ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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アルモニア

バン「.............」

 

 

 

バンは目を閉じてそのまま倒れている

 

 

 

マーズ「お、おい!無事なんだよな!?おい、起きろ!!バン!!」

 

 

 

シュウウウ

 

 

 

バンの体がどんどん薄くなっていく

 

 

 

全員「!!!」

 

 

 

 

ベル「村長!!あれはどうなっているのですか!?」

 

 

 

 

村長「.............互いが互いの存在を消しておる。双方真逆の力がぶつかり合い、その力によりバンの体は消滅しようとしている」

 

 

 

 

マルティナ「なんですって!?バン!!駄目よ!!バン!!」

 

 

 

 

マーズ「村長さん!なんとかならないのですか!?このままではバンが!!」

 

 

 

 

村長「わしもわからん。こんな事など初めてじゃからのう。だが、一つだけ昔話で聞いた事がある。

 

全てを一つにする曲があると。

 

その曲は人間も魔物も問わず全ての者を繋ぐ曲らしい。

 

 

 

その名もアルモニア。調和の曲じゃ。

この曲ならば、バンの体や心も一つに出来るやもしれん」

 

 

 

 

ベル「こんな時に曲ですか!?今はそれどころじゃ」

 

 

 

 

マーズ「その曲、村長さんは弾けるんですか!」

 

 

 

 

村長「無理じゃ。楽譜などないし、どんなメロディなのかもわからん。存在だけが伝えられておるのじゃ」

 

 

 

 

マルティナ「そんな........。じゃあ、バンは」

 

 

 

バンはどんどん消えていっており、透けて大地が見えるようになってきている

 

 

 

ラース「(調和..............全てを一つにする曲............)」

 

 

 

ラースは考え込んでいる

 

 

 

マーズ「こんなもの!!ふん!ふん!」

 

 

 

マーズは剣で壊そうとしている

 

 

 

ベル「私も行くぞ!はあ!!」

 

 

 

ベルも隣で大剣を当てている

 

 

 

しかし、壁はビクともしていない

 

 

 

マルティナ「ラース?考え込んでどうしたの?」

 

 

 

 

ラース「(.............そうだ。昔、婆ちゃんに)」

 

 

-----------------------

ガラッシュの村

 

 

 

〜♪

 

 

 

ラースの祖母が草笛で安らぎの唄を奏でていた

 

 

 

その隣では子どものラースが穏やかな顔をして聴いている

 

 

 

祖母「ラース、この子守唄はね、遥か古の時代から伝わる曲なんだよ」

 

 

 

 

子ラース「へー、古って事はローシュ様の時?」

 

 

 

 

祖母「どうだろうねえ。もしかしたらそれよりも前かもしれないよ。この子守唄は曲名はないのだけど、心を一つにする曲なんだそうよ。私はこの曲が大好きでねえ。とっても落ち着くの」

 

 

 

 

子ラース「僕も!聞いててすっごく気持ちよかったし、落ち着けた。婆ちゃんと心が一つになったね!」

 

 

 

 

祖母「ふふ、そうだねえ。それじゃあラースもこの曲出来るようになるといいねえ」

 

 

 

 

子ラース「うん!絶対吹けるようになる!それでね!ギルグード達に教えるんだ!」

 

 

 

 

祖母「おやおや、それはいいねえ。楽しそう」

 

-----------------------

 

 

ラース「(あの時、確か婆ちゃんは心を一つにする曲だと言っていた。別の曲である可能性は高いが........)」

 

 

 

 

マーズ「メラゾーマ!」

 

 

 

 

ベル「全身全霊斬り!」

 

 

 

 

マルティナ「ミラクルムーン!」

 

 

 

三人はがむしゃらに壁を壊そうと攻撃している

 

 

 

バンは既に輪郭が見えなくなりそうなほど消えかかっている

 

 

 

ラース「時間はない!これに賭けるしか!」

 

 

 

ラースは足下の草を取り

 

 

 

〜♪

 

 

 

ラースは安らぎの唄を吹き始めた

 

 

 

マーズ「え?ラース将軍?」

 

 

 

 

ベル「なんだ?この曲は」

 

 

 

 

マルティナ「その曲、安らぎの唄」

 

 

 

その時、バンが消えていくのが止まった

 

 

 

全員「あ!!」

 

 

 

〜♪

 

 

 

ラースはそのまま演奏を続ける

 

 

 

村長「な、なんと............。

まさか、これが........アルモニア?」

 

 

 

〜♪

 

 

 

ラースの演奏はこだまして周囲に響き渡っている

 

 

 

バンの消えていた体がどんどん戻っていく

 

 

 

ベル「おお.........これが全てを一つにする曲」

 

 

 

 

マーズ「この曲がそんな意味があったなんて」

 

 

 

 

マルティナ「よかった............」

 

 

 

〜♪

 

 

 

透明な壁もいつしか消えていった

 

 

 

そして演奏が終わる頃にはバンの体は元通りになっていた

 

 

 

バン「ん............あれ、俺」

 

 

 

 

全員「バン!!」

 

 

 

全員がバンに駆け寄った

 

 

 

マルティナ「よかったわ!無事で!体は大丈夫?」

 

 

 

 

マーズ「魔物のバンじゃないよな?」

 

 

 

 

バン「そっか、俺あいつに勝ったんだな」

 

 

 

 

ベル「消えていく時はどうしたものかと焦ったぞ」

 

 

 

 

村長「ラース様、まさかアルモニアをご存知だったとは。なんとも素晴らしい曲でした」

 

 

 

 

ラース「俺の村に伝わる曲だったんだ。まさかこれがそのアルモニアだなんて思わなかった。曲名は誰も知らなかったしな。さて、と」

 

 

 

ラースはバンに向かっていく

 

 

 

バン「あ、師匠!俺、無事に」

 

 

 

ガツン!

 

 

 

バン「いったーー!!!」

 

 

 

ラースはバンの頭を思いっきり殴った

 

 

 

バン「な、何するんですか!!」

 

 

 

 

ラース「心配かけさせんな!馬鹿!なーにが無事だ!

死んでたってなにもおかしくなかったんだぞ!!」

 

 

 

 

バン「う.........すみません」

 

 

 

 

ラース「もう一人はどうなったんだ?死んだのか?それともお前の中にいるのか?」

 

 

 

 

バン「わかんないです。前までと何も変わんないですよ」

 

 

 

 

ラース「そうかよ。まあいい、何かあればすぐに言えよ」

 

 

 

 

バン「もちろんです!」

 

 

 

その後、ガオスの村

 

 

 

ラース「それじゃあ俺達は帰らせてもらう。色々ありがとな」

 

 

 

 

ベル「こちらこそ、私のせいでこんな事態にまで発展してしまい申し訳ありませんでした」

 

 

 

 

マルティナ「いいのよ。その結果色々知れたんだから」

 

 

 

 

マーズ「お前、それ持って帰るのか?」

 

 

 

 

バン「おう!俺の両親なんだろ?絵だけどこれくらい息子なんだから持っておかねえと」

 

 

 

バンはナーシャとゲインが仲良く手を取り合って見つめている絵を背負っている

 

 

 

村長「バンや」

 

 

 

 

バン「はい!」

 

 

 

 

村長「ほほ、よく笑う子じゃな。昔からそこは変わらんくてよかった。

元気に生きるのじゃぞ、ゲインもナーシャもきっと見守っておるはずじゃ」

 

 

 

 

バン「ああ!俺の昔も知れたし、親もわかった。ちょっと驚いたけど、スッキリした!

いつか会えたら俺は元気に生きたぞ!って自慢してやるんだ!」

 

 

 

 

村長「そうじゃな。二人も喜ぶじゃろう。それではさようならじゃ」

 

 

 

 

バン「じゃあなー!」

 

 

 




アルモニアはイタリア語で「調和」という意味があります。
実はラースの演奏する曲、安らぎの唄には前からこのタイトルが合ったのですが、いつ出そうか悩んでいたらこんなに放置されてしまいました。
バンの設定も深い部分になるので後回しにしていたらこんなに時間が......。放置って怖いですね
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