二日後の夕方、デルカダール城
玉座の間
マルティナ「それじゃあ三日間本当にありがとう」
ラース「この時期にすまなかったな。さっさと帰ってチョコレート食べてこい」
バン「え?何言ってるんですか?マルティナ様、師匠。まだやる事あるじゃないですか」
ベグル「そうですよ。いつもの報告書とか書類とか」
マルティナ「いいのよ。今回のは私とラースでやっておくから。無理についてきてもらってたのに更にその時間を延ばすなんて出来ないわ」
ラース「そういう事だ。ほら、帰れ帰れ」
ダバン「あ、ありがとうございます!」
バン「やったー!今回は書類がないぞー!」
ベグル「お気遣いありがとうございます。失礼しました」
デルカダール城下町
バン「いやー、まさか書類が無いなんてなー。めっちゃ嬉しい!」
ダバン「何日分かまとまってるから結構な量あるはずなのに。マルティナ様もラース将軍も優しいな」
ベグル「ま、久しぶりに書類を忘れて早く帰れるぜ。さっさとジェーンとチョコ作らねえと」
バン「あ、そうだったな。ベグル、俺達の分も作れよな!」
ベグル「は?嫌に決まってんだろ。食べるのは俺とジェーンだけだ」
ダバン「バン、お前はメグさんからのがあるだろ。わがまま言うな」
バン「チェ〜」
ベグルとジェーンの家
ガチャ
ベグル「ただいまー。帰ったぞー、ジェーン」
ジェーン「あ!お帰り!ベグル君!」
ジェーンはソファに座ってチョコレートを食べていた
ベグル「ん?チョコ食べてたのか」
ジェーン「そうなの。あのね!メグちゃんと仲良くなってね!一昨日から一緒にお菓子作ってたの!」
ベグル「へー、そりゃあよかったじゃないか。これがそうなのか?」
ジェーン「うん。メグちゃんやっぱり私よりずっと手際よくて、いろんな事を同時に進めるんだよ。すっごく楽しかった」
ベグル「.........そうか(ジェーンは.......もうそこまで俺と作る事を楽しみにしてなかったのか)」
ジェーン「メグちゃんの作るお菓子どれも美味しいんだよ。ベグル君にも分けてあげるね。はい、これ」
ジェーンは小さめのタルトを渡した
ベグル「これはメグさんの?」
ジェーン「うん、そうだよ!食べてみて!私のより全然美味しいから!」
ベグル「............いや、いらねえよ。ジェーンが食べろよ。好きだろ?」
ジェーン「え?う、うん。ありがとう」
ベグル「少し疲れたから寝てるさ」
ジェーン「あ、うん。そうだよね。戻ってきたばかりにごめんね。おやすみ、ベグル君」
ベグル「(なんだよ........この気持ち。なんかモヤモヤすんな。ジェーンは.......俺よりメグさんと作った方がいいってのかよ)」
次の日、デルカダール城
訓練場
ベグル「...........」
ベグルは立ったままボーッとしている
バン「おい!ベグル!聞いてんのかよ!反応しろよ!」
ベグル「ああ、聞いてるよ」
バン「嘘つけ!なんで動かねえんだよ!今日は大剣の指導なんだぞ!お前以外教えられねえんだぞ!」
ベグル「あー、そうだな」
バン「そうだなじゃねえんだってば!動けー!」
ベグルの近くではバンが必死にベグルを動かしている
それを全員が不思議に見ていた
ギバ「ど、どうしたんだ?ベグルのやつ。上の空っていうか、もぬけのからって感じだぞ」
ダバン「(この感じ、さてはあの後何かあったな)」
ガザル「ハハハハハハ!!あのベグルがバンに怒られてやがる!めっずらしい事もあるもんだなー!」
ロベルト「だとしても様子がおかしい。ベグルのやつ、何があったんだ」
マーズ「すまない、お前ら。予定を変更して槍の指導に変える。大剣はまた後日やる。その時にもう一度集まってくれ」
見習い達「は、はい!」
訓練終了後
バン「どうしたんだよ!ベグル!今日は気持ち悪いぞ!」
ベグル「あー、俺もよくわかんねえんだわ」
ダバン「全く、昨日に何があったんだよ。ジェーンさんとチョコ作るんじゃなかったのか?」
ベグル「それがよー」
ベグルはバンとダバンに昨日の事を教えた
ベグル「それで俺の中でモヤモヤしちまって、ジェーンとうまく話せなくなっちまったんだ。今朝もそれで冷たく対応しちまった。結局何も食わずに来たしな」
ダバン「ベグル、お前.........その気持ちわかんないのか?」
ベグル「ダバンは知ってんのか?」
バン「バッカだなー、ベグル!お前なにメグに嫉妬してんだよ!」
ベグル「嫉妬?」
ダバン「バンの言う通りだ。ベグルはジェーンさんが楽しそうにメグさんとの料理の事を話すのが嫌だったんだろ?本当なら自分が一緒に楽しく作るはずだったから」
バン「わかるぞー、ベグル。ジェーンさんを横取りされたような気持ちだよな。俺もよくなる」
ベグル「........んだよ。バンすらもわかってるのかよ。確かに俺が帰ってくればジェーンは喜んでチョコレートを作ろうとしてくれると思ってた。
でも、ジェーンは違った。俺がいない間のメグさんとの料理が楽しかったんだろうし、自分の料理と比較してばっかだ。俺にはジェーンの料理だって美味いと思うのによ。これが嫉妬なのか?」
ダバン「まあな。のろけてくれるぜ、全く。こんなんでさっきあんなみっともない姿になってたのかよ。心配かけさせんな」
バン「面白かったし、今のベグル全然怖くねえぞ!」
ベグル「........チッ!癪に触るぜ。どうしたらいいんだよ、この気持ち悪い気分は嫌なんだ。対処法教えてくれ」
バン「まっすぐぶつかるといいと思うぞ!そのベグルの感じた事をジェーンさんにぶつけるんだ!」
ベグル「それはお前が考えなしにやってる事だろうが」
バン「ハァ!?そんなんじゃねえよ!」
ダバン「いや、ベグル。バンの意見もいいと思うぞ。ジェーンさんには何もその事を言えてないんだろ?一度話してみろよ。何かベグルの誤解とかジェーンさんの間違いがあるかもしれない」
ベグル「.........気持ち悪いだろ、こんなん言われても。まるで俺がジェーンに他の人と楽しく料理すんなって言ってるみたいじゃねえか」
バン「うわ、なんかそう聞くとベグルが凄く嫌なやつに見えてきた。あ、元からだった」
ダバン「ハハ、まあそう捉える事も出来るかもな。でもベグルだってわかってるだろ?ジェーンさんはミラやメグさんと一緒に楽しんで料理をしてるって。それを邪魔したくはないんだろ?」
ベグル「.......ああ。ジェーンの楽しそうな顔は好きだ」
ダバン「じゃあジェーンさんの好きにさせてやれ。でも、そのままだと何も解決しないな。だからベグルがジェーンさんと料理をする時はお前以外入れない。ベグルの独り占めだ。これで妥協しないか?」
ベグル「.......わかったよ。ま、ジェーンを縛るのは好きじゃねえ」
バン「嘘つけ!ベグルみたいな鬼畜が縛る事を嫌いなわけ」
一分後
ベグル「ったく、人が落ち込んでるからって好き放題言いやがって。後始末は頼んだぜ。俺は着替えた後、今夜のジェーンとの料理の準備してくる」
ダバン「お、おう......」
ダバンの側には見るも無惨な姿になったバンの骸が転がっていた
その頃、カフェ
ミラとメグがジェーンの相談にのっていた
ジェーン「って事があってね。ベグル君、何か怒ってるみたいなの。私、何か悪い事しちゃったのかもしれなくって。それがわかんないんだけど知らない?」
ミラ「ふふふ、やだー。ベグルさんったら意外と可愛い所あるのね」
メグ「そうだね。あのベグルさんでもそんな風になるなんて。バンだけかと思ってた」
メグとミラは互いに顔を見合わせて笑っている
ジェーン「え!?どういう事!?二人とも何かわかるの!?」
ミラ「ジェーン、それはねベグルさんの嫉妬よ。メグとの料理の話やジェーンの楽しそうな雰囲気に嫉妬したのよ」
メグ「ベグルさんにはなんだか申し訳ない事しちゃったな」
ジェーン「し、嫉妬?え?なんで?」
ミラ「きっとベグルさんはジェーンと一緒にチョコレートを作るのを相当楽しみにしてたのよ。でも、いざ疲れて帰ってきてみたらジェーンはメグさんとの料理に夢中だった。まるで、自分だけ楽しみにしてたように思っちゃったんじゃない?」
ジェーン「そうなの!?そんな事ないのに!私、ベグル君とのチョコ作りで美味しいのを作りたいからメグちゃんに」
メグ「そうだね。私やミラはその事を知ってるけど、ベグルさんに言えてないんだよね?じゃあベグルさんは勘違いしたままだわ。寂しがってるのよ」
ジェーン「そ、そっか。じゃあ今日ベグル君が帰ってきたらちゃんと第一に伝えないと!」
ミラ「ええ、そうしなさい。きっと大喜びするわよ。それにしてもいいなー、ジェーン。ベグルさんに愛されてて。メグもバンさんは素直だからわかりやすそうよね。ダバンももっと嫉妬とかしてくれていいのに」
メグ「バンはよく嫉妬してるよ。いろんな人にするから恥ずかしいけど」
ミラ「可愛いー。ダバンにもっとアピールしようかしら」
ジェーン「でも!ミラだって意外と鈍感だから気付いてないだけかもよ?」
ミラ「えー!私は鈍感じゃないわよ!ジェーンに比べたらマシ」
ジェーン「そんな事ないもん!」