ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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2章 崩壊した世界と誓い
52.崩壊した世界で


海底王国ムウレア

 

 

 

イレブンが目をゆっくりとあけると、見知らぬ空間が広がっていた。周りには魚達が泳いでいる

 

 

 

イレブン「(あれ?僕、どうなったんだっけ?魚達?なんか、体にも違和感がある。声も出ないし、鏡で見てみよう)」

 

 

 

イレブンは体が動かしにくいと思いながら鏡の前に行った

 

 

 

イレブン「(.....うわ!僕魚になってる)」

 

 

 

イレブンの姿は魚になっており、ぷかぷかとその場に浮いていた

 

 

 

その時、部屋の入り口から来た魚人がイレブンに気がついた

 

 

 

魚人「おお!勇者様が目覚めおった!一時期はエラ、皮膚ともに呼吸停止しておったというのに、これは奇跡じゃ!女王様に報告じゃっ!」

 

 

 

魚人は急いで部屋から出ていった

 

 

 

イレブン「(あ、ちょっと....。行っちゃった....。僕も何とかお城の方に行こう)」

 

 

 

イレブンはヒレを動かす感覚に戸惑いながらもゆっくりと動き始めた

 

 

 

玉座の間

 

 

 

イレブン「(ふう、やっとついた。これだけで疲れた感じがする)」

 

 

 

イレブンが一息ついていると、突然大きな揺れが襲ってきた

 

 

 

グラグラグラ!

 

 

 

城の上から小さな破片のような物が落ちてくる

 

 

 

セレン「くっ.....ハッ!」

 

 

 

セレンが持つ杖が光出し、セレンが力を込めると揺れが止まった

 

 

 

魚人「陛下!」

 

 

 

 

セレン「大丈夫よ、私にはまだやるべき事がある。

 

 

 

あらおはよう、イレブン。その姿とってもお似合いよ。いつにも増して可愛らしいわ。傷はだいぶ癒えたようですね。王国の民があなたを運んできた時には、難破船のようにボロボロだったんですよ。

 

 

 

魔王は、あなたを死んだ者と思っていました。私は魔王の目を欺くために、あなたを魚の姿に変えていたのです。あれからもう数ヶ月になるかしら。

魚になったあなたは今まで眠り続けていたわ。傷が完全に癒えれば、人間の姿に戻れるでしょう。無理は禁物ですよ。

 

 

 

フフッ、これであなたも、釣られるお魚の気持ちがわかるかも.....ですね」

 

 

 

セレンは少し冗談を言いながら優しく微笑んだ

 

 

 

グラグラグラ!

 

 

 

再び強い揺れが襲ってきた

 

 

 

イレブン「(セレン様、聞きたい事がたくさんあるんですが)」

 

 

 

 

セレン「あなたが挑んだ戦いのこと、共に戦ったお仲間のこと。私は全てを見ていました。イレブン、全てを受け入れる覚悟ができたら、私に付いてきなさい」

 

 

 

セレンは真剣な表情をした後、玉座の後ろにある扉に泳いでいった

 

 

 

守り人の海

 

 

 

セレン「人間を連れてきたのは何百年ぶりかしら。ここは守り人の海。海底の王たる者だけが入ることを許された海。これは千里の真珠。川や海、一滴の朝露全ての水に魂を乗せて、地上の様子を見る事ができる秘宝です。

 

 

 

地上にこっそり雨を降らせました。今なら、世界の様子を見る事ができます。さあ、世界はどうなっているのか。覚悟はいいですか?」

 

 

 

イレブン「(はい)」

 

 

 

セレンが真珠に力を込めると、真珠は青く光りだし、イレブンに映像を見せた

 

 

 

命の大樹は焼け落ちていた。世界は燃えたような跡がいたるところにあり、黒く燃えた岩がたくさん落ちている

 

 

 

セレン「魔王に戦いを挑んだあの日、世界は死んだのです。

熱を帯びた猛烈な爆風が世界を駆け抜け、草木を焼き払い、水を干上がらせた。

空からは燃え盛る大岩が降り注ぎ、山脈を崩し、大地を砕いた。

ウルノーガは多くの命を一瞬にして奪ったのです」

 

 

 

映像は色々移り変わり、たくさんの人達が倒れている場面や小さな女の子が一人で助けを求めている場面などがある

 

 

 

セレン「絶望が新たに生み出すものは悲しみだけ。私は、全てを見ていましたがどうすることもできませんでした。

そんなこの世界でも諦めずに抗おうとする、小さな希望の炎の力を各地で感じます。ですが、その炎も今や消えようとしている。

 

 

 

その炎を灯してあげるのが、あなたの役目。そして、今世界を統べるのは悪しき天空魔城に住む魔王ウルノーガ。魔王は大樹の魂だけではなく、世界全ての命をつみとり悪しき力に変えようとしているのです。あれをごらんなさい」

 

 

 

セレンが指す方を見ると、海に大きな魚の魔物やマーマンなどの群れが何かを激しく攻撃していた

 

 

 

セレン「あれは私達海底の民の命を狙う、魔王ウルノーガの手下です。海底王国は私が作った結界で魔王の目を欺き、難を逃れてきました。ですが、それももう限界です。魔王の力は私の力を遥かに凌ぎます。結界はじきに破れ、海底王国は魔物に飲み込まれることでしょう」

 

 

 

イレブン「..........」

 

 

 

海底王国 広場

 

 

 

セレン「不思議な人ですね。あの世界の惨状を目にしても、瞳に浮かぶ光は消えてはいませんね。

 

 

 

勇者イレブンよ、世界に再び光をもたらすために、希望の炎を灯しなさい。希望の炎は、あなたの仲間達と共にある。あなたの仲間達に宿る炎が照らす先に、歩むべき正しい道が示されるでしょう。...........くっ!」

 

 

 

パリンッ!

 

 

 

セレンの持つ杖が割れてしまった

 

 

 

それと同時に国を覆っていたバリアも消えてしまった

 

 

 

先程バリアを攻撃していた魔物達が王国に押し寄せてくる

 

 

 

セレン「ウルノーガはせっかちね。別れの言葉も言わせてくれないなんて。

 

 

 

イレブンよ、前を向きなさい!後ろを振り返ってはなりません。

 

 

 

 

勇者とは!最後まで.........決して諦めない者のことです!!」

 

 

 

セレンはイレブンに力強く言葉をかけると、イレブンの周りに強い水流を作り出し、遠くへと流した

 

 

 

イレブン「(あ、か、体が.....どんどん押し流される!駄目、セレン様!!)」

 

 

 

 

???「海底王国の民どもよ、魔王ウルノーガ様のためその命もらいうける」

 

 

 

魔物達が国を襲い始め、人魚達は逃げ惑っている

 

 

 

その光景をただ、イレブンはどうしようもなく見ているしかなかった

 

 

 

 

 

 

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