その後
ベロニカ「皆、それぞれの魔法の式、構造わかったかしら?」
生徒達「はい!」
ベロニカ「それじゃあこれから外に出て、実際に魔法を使ってみるわよ!」
メダチャット地方
湖のある広い場所にやってきた
ベロニカ「ここなら問題ないわね。それじゃあさっきのグループで調べた魔法を使ってもらうわ。グループの中の一人だけでいいからね。各グループの代表を決めて」
生徒達はガヤガヤと話し合っている
ラース「念のため周辺に聖水をまいてこようか。ちょっと任せたぞ」
ラースは近くの森や山を警戒していた
ベロニカ「そうね、安全にしておいた方がいいもんね。頼んだわ、ラース」
ラースは小走りに離れていった
ベロニカ「さて.........ん?」
ベロニカの視界にあるグループの人達が入りこんだ
4人の生徒が一人の気弱そうな生徒を薄笑いするように見ていた。その気弱そうな生徒は困ったように笑っている
ベロニカ「(なにかしら、あのグループ。なんかいい感じしないわね。何か話してるみたいだし、少し聞いてみようかしら)」
ベロニカはそのグループに近づいていく。すると少し会話が聞こえてきた
生徒D「あんたがやってよ。お母様、お城の学者さんなんでしょ?」
生徒E「そうじゃん!学者の娘なら魔法くらい使えるでしょ」
生徒F「私達、面倒なんだよねー」
気弱そうな生徒「う、うん。いいよ。でも、構造や式は皆もちゃんと理解した方が」
生徒G「は?口答えしないでくれる?いいのよ、ちゃんとやってるんだから」
気弱そうな生徒「でも.......さっきの構造とか式も全部私が」
生徒D「だーかーらー、あんたは魔法が使える以外取り柄ないんだから私達の言う通りにしてなさい!」
ベロニカ「(なによ、こいつら。一人に全部任せっきりで何もしないでいるなんて最悪じゃない!この子も何言いなりになってんのよ)」
ベロニカはグループに話しかけようとする
生徒B「ベロニカ先生、ちょっと質問が」
ベロニカ「え?あ、うん。いいわよ(後でちょっと声かけてみましょ)」
しばらくして、各グループから一人ずつ代表者が前に出てきた
ベロニカ「それじゃあ一番グループはメラだったわね。出来るかしら?失敗しても大丈夫だからね」
生徒A「は、はい!〜〜」
ゆっくりと呪文を詠唱し、女の子の前に小さな赤い魔法陣が描かれる
生徒A「メラ!」
ボッ!
小さな火の球が湖に向かって飛んでいき、途中で消えた
ベロニカ「うん、上手よ!しっかり炎をイメージ出来たみたいね」
ラース「落ち着いて詠唱も出来ていたな。初めは丁寧にやる事が大事なんだ、よかったぞ」
生徒A「ありがとうございます!」
パチパチパチ!
生徒達からも拍手が送られた
ベロニカ「それじゃあ次のグループね。次はギラよ。メラより少し難しいけど、基本は同じ。頑張って」
生徒H「はい!頑張りますね!」
ラース「何か目標の物があるとやりやすいよな。よっと」
ラースは片手に小さな水色の魔法陣を描くと氷を出して、湖の前に置いた
ベロニカ「そうね。ありがとう、ラース。この氷を目印にして」
生徒I「凄い!あんな簡単にヒャドを使ってる」
ラース「それじゃあ始めていいぞ」
生徒H「はい!〜〜〜」
女の子は慣れたように呪文を詠唱していき、朱色の魔法陣が氷の横一列に描かれる
ラース「お?」
ベロニカ「あら、もしかして」
生徒I「ベギラマ!」
ジュウウ!
氷の横から波打つ炎が現れ、氷を全て溶かした
パチパチパチ!
生徒達から早くも拍手が巻き起こった
ラース「ほう、中級呪文に挑んで成功させたか。魔法使いの素質があるな」
ベロニカ「そうね。やるじゃない!失敗したっておかしくないのに、いきなり中級呪文に挑むなんて」
生徒I「ありがとうございます!私、前にギラは成功させた事があったので、今回は中級呪文のベギラマに挑戦してみたんです。成功してよかった!」
ベロニカ「皆も出来そうだったら中級呪文に挑戦していいからね。暴発も恐れなくていいわ。失敗は成功のもと。その挑戦する意気込みが大切なの。さ、次のグループよ」
どんどん発表が続き、最後のグループになった
ベロニカ「これで最後ね。次の人、お願いするわ」
気弱そうな生徒「は、はい」
ベロニカ「(あ、この子のグループなのね)」
ベロニカがチラリと気にしていたグループを見ると発表も聞かずに4人で楽しそうに話しているのが見えた
ラース「最後はジバリアだな。トラップ系の少し特殊な魔法だ。物じゃなくて、俺が標的になろうか。俺の足下を狙うんだ」
ラースは生徒の前に少し離れて立った
気弱そうな生徒「よ、よろしくお願いします」
ベロニカ「(まあいいわ)特殊だから初めてだと失敗するのが当然よ。それでも臆せず頑張って」
気弱そうな生徒「はい、いきます!〜〜〜」
静かに詠唱が始まるとラースの足下に茶色の魔法陣が描かれていく
ベロニカ「(あら、いい感じじゃない。結構器用な証拠ね)」
魔法陣に魔力を込めようとした時
シュン!
全員「!!?」
ラースの足下にあったはずの魔法陣がいきなり消失し、後ろの湖に大きな魔法陣となって現れた
気弱そうな生徒「え?あ、あれ?ええ!?」
ラース「暴走か!?」
女の子は焦って詠唱をやめるが、魔力は既に魔法陣に注がれており湖の底から地面が勢いよく上がってきた
ボゴォン!!
大きな土柱が空に伸びあがった
バシャアアッ!!
その影響により、湖の水が大きな波となってこちらに向かってくる
生徒達「キャアアア!」
ベロニカ「皆、落ち着いて!一ヶ所に固まりなさい!」
ベロニカが全員を一ヶ所に丸く集める
ベロニカ「ラース!」
ラース「ああ、大丈夫だ!設置完了!ジバルンバ!」
ラースは土柱を確認した瞬間に茶色の魔法陣を横に広く描き、巨大な土壁を作り出した
ドオン!
波はその壁により湖に戻っていく
ラース「よーし、もう大丈夫だ。ビックリしたなー、皆」
ラースは地面を戻した後、笑いながら皆に振り返った
生徒達も安全なのを確認したのか、安堵した表情になっている
気弱そうな生徒「あ、あの......すみません!すみません!」
気弱そうな女の子は罪悪感を感じているのか、顔を青ざめながら皆に頭を何度も下げている
ベロニカ「大丈夫よ。あれは偶に起こるもので、魔力の暴走。魔法に必要以上の魔力を込めるとああなるの。前に教えたわよね。でも、今回はそうじゃないの。実はごく稀に魔力自身が勝手に暴走してしまう時もあるわ。それは誰にも制御出来ないし、いつ起こるかわからないわ。
今回はそのごく稀にが起こってしまっただけ。あなたは悪くないわ。土柱も出たからちゃんとジバリアが成功していた証拠よ。胸を張っていいの。皆もこの子に拍手してあげて」
パチパチパチ!
気弱そうな生徒「あ、ありがとう.....ございます」
ベロニカ「それじゃあ今日の魔法教室はここまで。また次回よろしくね」