それから四日後、デルカダール城
朝食場
ルナ「うっ......」
全員でご飯を食べていると、突然ルナが口を押さえた
マルス「ルナ?どうしたの?」
ルナ「痛い〜」
マルティナ「大丈夫?唇でも噛んだの?」
デルカダール王「いや、押さえる場所は奥歯の部分。まさかルナ」
ルナ「歯が痛い〜。なんか噛んだらズキッてした」
ラース「ちょっと口開けてみろ」
ルナ「.........やだ」
グレイグ「おそらく虫歯だぞ、ルナ。歯は毎日磨いていたか?お風呂の後にするようにしていただろう」
ルナ「..........」
ルナはグレイグの問いに顔を背けた
マルティナ「ハァ......。ルナ、この後お医者さんに診てもらうわよ」
ルナ「やだ!ちょっと磨かなかっただけだもん!」
デルカダール王「だが、そのままでは美味しい料理も食べれないぞ。いいのか?このソテーはルナの好物であろう?」
ルナ「ほしい!おじいちゃん、ちょうだい!」
デルカダール王「残念だが、虫歯のルナにはあげる事は出来ん。無事治ったらまた好きに食べられるぞ」
ルナ「えー!おじいちゃんの意地悪!」
ラース「歯を磨かなかったルナが悪いんだぞ。面倒くさがるなよ」
ルナ「私だけじゃないもん!マルスだって磨かない事多いもん!」
マルス「ブフッ!ちょ、ちょっとルナ!」
隣で何食わぬ顔で食べていたマルスもルナの発言に焦り始めた
マルティナ「......マルス?」
マルス「な、なに?母さん。睨まないで、怖いよ。僕は痛くないよ!固い物だって食べられるよ!」
マルティナ「口、開けてみて」
マルス「うっ.......。は、はい」
マルスは水を飲んだ後、恐る恐る口を開けた
マルティナ「...........右の歯、怪しいわね」
グレイグ「本当だ。マルス、お前もやはり汚れているぞ。お前もこの後ルナと一緒に医者に診てもらえ」
マルス「えー!」
ラース「まったく......。自分で出来るって言ってたから任せたのに、こんなんじゃ俺達がまた見ないとだぞ」
その後、マルスとルナの部屋 前
ルナは扉に鍵をかけ、閉じこもってしまった
ラース「おい、ルナ。痛いんだろ?早く治してもらえって」
ルナ「痛くないもん!」
ラースは扉の前でルナを説得させようとしていた。マルティナとグレイグは先にマルスを連れて医者に見せに行った
ラース「さっき痛がってたじゃないか。医者が嫌なのか?あの人は優しいじゃないか」
ルナ「痛い事するもん!私、知ってるよ!歯を抜くんでしょ!」
ラース「なんでそんな一部分だけ......。それはもっと虫歯が酷くなったらだ。今ならまだ大丈夫だが、放っておくと本当に歯を抜く事になるぞ。凄く痛いぞ、嫌なんだろ?」
ルナ「大丈夫だもん!」
ラース「まったく......。反抗期ってやつか?」
その頃、医療部屋
マルス「あー.......」
医者「あー、本当ですね。軽い虫歯です。まだ小さいので痛みとかはないと思いますけど、後々成長すると痛みも出てきます。早めに発見できてよかったです」
マルティナ「そうですか、歯磨きをサボっていたみたいで。まあ当然ですよね」
医者「はは、そうなんですか?マルス様、今夜からしっかりと磨いてくださいね。ご飯食べれなくなるし、酷いと話せなくなりますよ」
マルス「ひぃひゃだ!(嫌だ!)」
医者「そうですよね。私もそんな事になりたくないですので、しっかり磨いてますよ。マルス様もまた歯磨きしてくださいね。こちら、歯に塗る薬と念のため痛みがやってきた時のための痛み止めです。痛み止めはまだ使わなくていいですが、もし痛がるようでしたら飲ませてください」
マルティナ「ありがとうございます。それと.....実はルナも虫歯でして」
医者「え!二人揃って虫歯に!昔の風邪の時といい、本当仲良しですね〜」
グレイグ「いや、なにもこんなものまで同時になってほしくはなかったがな」
医者「ふふふ、グレイグ様のおっしゃる通りですね。まあなってしまったものは仕方ありません。まだ小さいうちは虫歯になりやすいですし。ルナ様はどちらに?」
マルティナ「自分達の部屋に閉じこもっちゃって。朝、歯を痛がってご飯を食べれなかったんです。だからルナの方がマルスより酷いはずなんです」
医者「あ〜、既に痛みも出ていましたか。それはまた.....。ルナ様は大丈夫なのですか?」
グレイグ「ラースに説得させてもらっているのだが、この調子だと苦戦していそうだ。そろそろ反抗期なのかもしれんな」
医者「もうそんな年齢ですし、女の子は男の子より少し反抗期が早いですから普通ですよ。少し様子を見に行ってきます」
マルティナ「迷惑かけてすみません、お願いします」
マルスとルナの部屋 前
医者「ラース様、お話はお伺いしましたよ」
ラース「あ、すまない。わざわざ来てくれたのか。ほら、ルナ!医者が来てくれたぞ」
医者「ルナ様ー、歯が痛いとお聞きしましたよ。大丈夫ですかー?」
ルナ「痛くないよ!お母さん達が嘘言ってるの!」
ラース「いや嘘じゃないからな!」
医者「あはは、なるほど。今ルナ様は歯が痛くないという事で大丈夫ですか?」
ルナ「うん!」
医者「わかりました。それではもし痛くなるようでしたら遠慮なく私にご連絡くださいね」
ルナ「そんな事ないもん!」
ラース「いいのか?絶対痛いはずなんだが」
医者「よくはありませんが、本人が強く嫌がっているのであまり刺激するわけにもいきません。痛みの強さがどれくらいかはわかりませんが、普通に喋れて叫べるあたりまだ大丈夫だと思います。
マルス様は小さい虫歯でした。痛みはまだありませんし、歯磨きするようにも言いましたのでひとまず大丈夫かと。念のため痛み止めも渡しましたので、ルナ様にはそちらを飲ませていただければ多少痛みは和らぐはずです。時間稼ぎですが、その間にルナ様が来ていただければと思います」
ラース「なるほど、わかった。ルナがまさかこんなに嫌がるとは思わなかったんだ。兵士達の事もあるのに、迷惑かけて悪いな」
ラースは医者にペコリと頭を下げた
医者「いいえ、そんな事ありませんよ。これくらいどうって事ありません。それよりもまあ......兵士さん達の方が、というよりバンさんの治療と蘇生の回数が一向に減らなくて........。楽しそうで何よりですが........ちょっと私個人としては......」
医者も少し苦笑いしている
ラース「すみません........。後で副長を叱っておきますので」
ラースはそれを聞いて更に深く頭を下げた
その後、玉座の間
マルスによりルナが半ば無理矢理連れてこられていた
ルナ「マルスー!離してってば!」
マルス「大丈夫!話すだけだから!」
ラース「あー、ルナ。今はもう医者に行かないから落ち着け」
ルナ「..........」
ルナはそれを聞くとぶすっとした顔で暴れるのをやめた。顔は横になっているブレイブ達を見ている
マルティナ「ルナ、どうして医者に行きたがらなかったのかだけ教えて」
ルナ「........言わない」
マルティナ「怒らないから」
ルナ「言わない!」
マルティナ「そう.....。今は歯は痛くない?見せなくて本当に大丈夫?」
ルナ「痛くない!お母さん、なんでそんなに私を医者に行かせたがるの!」
マルティナ「だってルナが歯が痛いって」
ルナ「もう大丈夫だもん!」
ラース「ルナ、喋れるだけでご飯を食べるのは大変なんだろ?」
ルナ「お父さんもいっつもお母さんの味方するんだから!放っといてよ!」
ルナは走って玉座の間から出ていった
マルス「あ!ルナ!」
マルスが急いで後を追う
ルナ「来ないで!マルス!」
廊下からルナの叫び声が聞こえた
マルティナ「.......ちょっとしつこかったかしらね。嫌われちゃったわ」
ラース「だな。荒れてるみたいだ、夕食までに戻ってくるだろうか。それにしても、ルナも大概強がりだったり強情だな。親に似て」
マルティナ「自分の事よね?」
ラース「ん?そう思うのか?」
マルティナ「.........ラースだって強情な時あるわよ」
ラース「いやいや、マルティナの方が多いだろ」
グレイグ「(二人とも強情ですから受け継がれて当然です)」
グレイグは二人の言い争いに口を挟む気にはなれず、心の中で静かに呟いた