その頃、グラジー
昼の仕事が終わり、片付けをしていた所にルナがやってきていた
マヤ「どうしたの?ルナ。泣きそうな顔してるけど」
ルナ「マヤお姉ちゃん.......」
ルナはマヤの腕を軽く掴んでいる
マヤ「.......ビルさん」
ビル「ああ、大丈夫だ。俺達でやっておくよ」
マドリー「ほら、マヤちゃん、ルナちゃん。この部屋使っていいわよ」
マドリーは自分の部屋に二人を招いた
チャム「ルナちゃん、大丈夫?」
ルナ「う、うん。ちょっといろいろあって」
テルマ「チャムー、テーブル拭くから手伝えー」
チャム「あ、はーい。また後でね、ルナちゃん」
その後
ルナはマヤに今日の出来事を伝えた
マヤ「そっか、それで怒って出てきちゃったんだ」
ルナ「うん。少し痛いけど、まだ大丈夫だもん。それに.......磨かなかった私が悪いんだからお母さん達が構う必要ないのに」
マヤ「ふふ、ルナは自分が悪い事をしたって自覚してるんだね。偉いと思うよ」
ルナ「だって昔からお母さんとお父さん、グレイグさんにおじいちゃんにも歯を磨けって言われてたもん」
マヤ「大事だね。ルナはさ、構われる事が嫌だったの?それとも虫歯を医者に見せるのが嫌だったの?」
ルナ「.......構われるのはそこまで嫌じゃない。お母さん達基本優しいから。たまに怖いけど。だから今回は悪い事をしたから怒られると思ってたの。だから言わなかった。でも、お母さん達は全然怒らなかった。
よかったと思って医者に見せたくないって言ったら少し怒り始めたの。意味わかんないよ。虫歯を治すのって痛いんでしょ?そんな所に無理矢理連れて行こうとするお母さん達がわかんないの」
マヤ「私は虫歯になった事ないからわからないなー。どんな風になるの?」
ルナ「歯に穴があくんだって」
マヤ「ええ!?それになっちゃったの!?ちょ、よく見せて!!大変だよ!」
マヤは大慌てでルナの口を開けようとした
ルナ「むー、まだ大丈夫!」
マヤ「だ、だって穴があくって」
ルナ「まだあいてないもん!」
マヤ「そうなの?でも、放っておくと大変だよ」
ルナ「知ってる」
マヤ「じゃあどうして行かないの?」
ルナ「痛いの嫌だから」
マヤ「.........今も痛いんじゃないの?」
ルナ「これくらい我慢できるもん」
マヤ「もっと酷くなったらもっと痛くなるよ?」
ルナ「でも抜かれるのも嫌だもん」
マヤ「歯が抜かれちゃうんだ。それは痛そう」
ガチャ
マドリー「大丈夫よ、ルナちゃん。まだ歯を抜く事まではしないわよ」
手を拭きながらマドリーが入ってきた
マヤ「あ、マドリーさん」
マドリー「ふふ、虫歯になったの?ルナちゃん。でも話せるって事はそこまで大きくなってはないのね」
ルナ「マドリーさんも知ってるの?虫歯」
マドリー「ええ、もちろん。私、ちょっとだけなら人間の医療知識があるんだから」
マヤ「そうなんだ、知らなかった。じゃあ虫歯についても知ってるんだね。どんなものなの?私知らなくて」
マドリー「しばらく歯を磨かなかったりしていると、歯に食べかすや汚れが付着し続けるの。その汚れは歯の中にある菌の最高の餌なのよ。その菌が歯を攻撃して、歯に穴が空き始める。その穴を更に菌が攻撃して、いずれ歯を貫通する。
そこまで進んでしまったらもうその歯は使い物にならないわ。歯を抜くという方法しか治療がなくなるわね。でも、それより前。つまり、菌が攻撃し始めた時や攻撃する前なら対処法はいくらでもあるわよ。ルナちゃんはまだきっと攻撃が始めたての頃。まだ治るわ、大丈夫」
ルナ「そ、そうなんだ!詳しいんだね、マドリーさん!お医者さんみたい!」
マヤ「へー、歯を抜くってのは最終的な治療なんだ。ほら、ルナ。まだ大丈夫だよ、お医者さんに見せにいこう」
ルナ「...........やだ」
マドリー「あら、どうして?歯を抜きたくないんでしょ?」
ルナ「私......出て行く時にお母さんとお父さんに放っといてって言った。お母さんとお父さん怒ってるよ、きっと。私のために色々してくれてたのに」
マヤ「大丈夫。姉ちゃんと兄ちゃんがそんな事で怒るはずないよ。きっとルナの帰りを待ってるはず」
ルナ「.......本当かな。怒られないかな.......怖いよ」
マドリー「........よし。それじゃあルナちゃん、今日はここに泊まっていって。お姉さん達がマルティナ様達の様子見てくるから。それで怒っていたら宥めておくし、怒ってなかったら明日謝りに行きましょう」
ルナ「いいの?」
マドリー「ええ、もちろん。でも、もし怒ってなかったらルナちゃんは自分から謝るのよ?だって、悪い事したと思ってるんでしょ?」
ルナ「う、うん。わかった」
マドリー「それじゃあ決定ね」
夕方 デルカダール城 大広間
マヤ「ただいまー」
グレイグ「む、よかった。帰ってきたか、マヤ。って、マドリーか」
グレイグが待っていた。少し焦ったような表情をしている
マドリー「お世話になっております、グレイグ様。少しお話したい事がありまして」
グレイグ「.......ルナがグラジーに行っていないだろうか。城下町にはいないようでな」
マドリー「はい、予想通りですよ。ルナちゃんがしょんぼりとした様子でやってきました」
グレイグ「す、すまない。迷惑かけてしまったな」
マヤ「大丈夫だよ、ルナから何があったのかは聞いてるから。姉ちゃん達怒ってる?怒ってないよね」
グレイグ「姫様達か?怒ってはいないぞ。心配はしているがな。もういつも帰る時間を過ぎているのでな。もしや何かあったのではと思っていたが大丈夫のようだ。グラジーにいると聞けば安心するだろう」
マドリー「ふふ、やはりそうですよね。ルナちゃんを落ち着かせるためにこちらで一日お預かりします。そのご報告です」
グレイグ「そうか、度々迷惑かけてすまない。多少わがままな所があるからそこは叱ってくれて構わないからな」
マドリー「あら、そんな所もあるんですね。可愛らしいですよ。明日の朝、ルナちゃんを連れてまた来ます。その時にお医者さんにも行けるようにしておこうと思いますのでご安心ください」
グレイグ「そうか、早い所行かせた方がいいと思っていたのだ。その助けはありがたい」
マドリー「いいえ、これまでの恩返しに少しでもなれればと思ってますので。それではまた明日。じゃあね、マヤちゃん」
マヤ「うん、また明日ー。お疲れ様でした」
夕食時
マルティナ「よかったわ、グラジーにいてくれて」
マヤ「うん、だから大丈夫だよ。ルナ、二人が怒ってないか心配してた」
ラース「別にあれくらいで怒るわけないのになぁ」
マルティナ「そうね。まあルナからしたら怒らせたと思ったのかもしれないわ」
デルカダール王「マルス、今夜はしっかり歯を磨くのだぞ。なんなら、わしが一緒に磨いてやろうかの」
マルス「えー.....自分で出来るよ。でも、久しぶりだからたまにはいいかも。じいちゃん、一緒に磨こう」
デルカダール王「ああ、そうだな。一緒にやるかの」