その日の夜、バンの部屋
コンコン
ラース「バン、いるんだろ?」
ラースがご飯を片手に扉を叩くが、中からは反応はない
ラース「.......開けろ、バン。飯くらい食べろ」
ラースは少し呆れたように話すが、それでも反応は返ってこない
ラース「チッ、予想通りだな。無理矢理入るぞ」
ガチャ
ラースはあらかじめ持ってきていた鍵で扉を開けた
バン「..........」
バンはベッドにうつ伏せになっている
ラース「いつまでそうしてる気だ」
バン「.........ししょうにはわからないですよ。はやくでていってください」
顔をベッドに押しつけているせいか、それとも満足に喋れないほど傷ついているのかいつもの明るい声の面影はなく、くぐもったような掠れたような声が返ってきた
ラース「ハァ.....わかったよ。飯、食べろよ。明日の朝飯と一緒にまた来る。じゃあな」
バタン ガチャ
ラースはご飯を机に置くと扉に鍵をかけ直して戻っていった
バン「..........ダバン」
次の日、大広間
マーズとロベルトとガザルは集まって話し合っていた
ガザル「んで?今日はどうする?」
ロベルト「ダバンに話を聞きたかったんだが、あいつどこにいるんだ?」
マーズ「わからないんだよな。城にはいないみたいだし。というか、ギバもベグルも今日はまだ城に来てないみたいだ。本当大丈夫かよ、こんなんで」
ロベルト「バンに話しかけてみるか?」
ガザル「昨日のままだと思うぜ。あいつ、部屋から出てきた所見てねえからよ」
マーズ「...........よし、俺が昨日みたいにまたバンと少し話してみる。昨日よりは粘ってみようと思う。ロベルトとガザルは城下町でギバとベグルとダバンを探してみてくれ。そこで話せそうだったら頼む」
二人「了解」
その頃、デルカコスタ地方 海岸
ベグル「..........」
ベグルが一人で砂浜に座って海を眺めていた
ザッザッザッ
ギバ「やーっと見つけた。こんな所にいたのかよ、ベグル」
その後ろからギバがやってきた
ベグル「.......なんだよ。ギバこそ城にいるんじゃねえのかよ」
ベグルは気にした様子もなく、そのまま海を眺めながら返事をした
ギバ「ベグルに用事があって探してたんだ」
ベグル「.......なんだ?あの時の発言が気に食わなくて俺を槍で貫きに来たってか?」
ギバ「違えよ!というか、発想が物騒なんだよ!これだから元暴走族は。仲直りだ」
ベグル「.........」
ベグルは仲直りという単語にチラリとギバを見た
ギバ「昨日、一晩寝ないでずっと考えた。いろいろな。やっと気付いたんだよ、お前がダバンに弱いと言った理由がよ」
ベグル「.......そうかよ」
ギバ「まあまずはそこより俺達の仲直りが先だな。ベグル、あん時は短気で迷惑してるとか言って悪かった。別に短気なのはベグルだけじゃねえし、迷惑とはそこまで思ってねえんだ。だから、すまん!」
ギバは綺麗にベグルに向かって頭を下げて謝罪した
ベグル「.........」
ベグルはそんなギバを少し意外そうに目を瞬かせながら見ている
ベグル「別に気にしてなんかいねえよ。俺こそ.....なんつーか、ヘラヘラしてるとか言って悪かったよ。ムカついててギバに変な事言っちまった」
ギバ「俺もベグルのその発言はそこまで気にしてなかったぜ。よし、次だな。ベグル、お前もダバンの間違いに気づいてたんだな」
ベグル「ああ、当たり前だろ。何年一緒にいたと思っていやがる。だからこそ、あいつのあの判断を最善の手とか言った事が許せねえ」
ギバ「その気持ちはよくわかる。俺も同じだ。だがよ、ベグル。お前くらい頭が回るならお前も気付いてるだろ?自分の発言がちょっと足りなかった事に」
ベグル「...........」
ギバ「ダバンもきっとこのままだと勘違いするぞ。もう一度伝えに行こうぜ。俺達の本当の気持ちをよ」
ベグル「............言ってどうなる。変わらなきゃいけないのはあいつ自身だろ」
ギバ「そうだな。だが、変化ってのは自然と起こる事は少ないんだぞ。誰かの影響や力を受けて、受け入れて変化するんだ。何もしないままだとダバンはこのままだ。俺達の手で、ダバンを後押ししてやるんだ!」
ベグル「また喧嘩みてえになるぞ」
ギバ「必要ならいくらでもやろうぜ、喧嘩!それでダバンに伝わるんならな!」
ベグル「..........ったく、わかったよ。じゃ、行くか。ダバンの元に。大暴れしてやろうぜ、あいつがこれから先も頑張っていけるようにな」
ギバ「おう!」
その頃、バンの部屋
マーズ「勝手にすまないな、バン。扉越しなんかじゃなくて、直接お前に話をしたかったんだ」
マーズはラース達からバンの部屋の鍵を借りて中に入っていた。バンはそれすらも気にしないようにベッドに伏せている
マーズ「ギバからお前達が昔にした約束の事を聞いた。大事な約束だったんだな。ダバンにとっても絶対あの約束は」
バン「そんなわけねえ!!」
マーズ「バン......」
バン「俺........あの頃は、本当に自分が誰なのかわからなくて......毎日不安で、こんな場所にいてもいいのかわからなくて、怖かった。だから!あの約束は、俺にとってここにいてもいいっていう証明みたいなもので!俺の存在を認めてくれたもので!大事な.......大事な、大事な約束だったんだ!
ギバもベグルもきっともう覚えてないのかもしれねえけど、俺は!ずっと覚えてた!!三人を誰よりも信じてた!ダバンは.........それを踏みにじったんだ!!」
バンはうつ伏せのまま、叫び声をあげる
マーズ「........バン、ギバもベグルもその約束は覚えているはずだ。ダバンだって忘れてなんかいると思えない。お前にとって大事な約束だったように、あの三人にとってもきっとあの約束は大事なもので、目標だったんだと思う。そうじゃなきゃ、ここまでやって来れるわけがない」
バン「じゃあなんでダバンはこんな事を!」
マーズ「それは本人にしかわからないだろうな」
バン「ダバン........なんで黙ってたんだよ......。俺達.....仲間だったんじゃねえのかよ」
マーズ「..........」
*3/29現在、タイトルミスってたー!!一話先のタイトル載せてた!
ま、まあこれくらい.....大丈夫だ!問題ない!(ヤケクソ)