王様のいるテント
イレブン「(少し緊張するな。でも、前に会った時とは違ってウルノーガは入ってないんだ。大丈夫)失礼します、王様。イレブンです」
イレブンが中に入ると、そこにはウルノーガがいなくなったデルカダール王がいた
デルカダール王は以前の姿と変わらず、鋭い目付きでイレブンを見ると少し驚いたような、されど安堵した顔をした
デルカダール王「おお.......生きておったか。わしは長い間、悪い夢を見ておったようだ。そなたが生まれた日からな。
わしの所業は聞いた。何も思い出せぬが.....民にも......そなたにも本当に申し訳ない事をした。......許してくれとは言わん。この業は、民達を守ることで返していくつもりだ。イレブンは、大樹での出来事を覚えておるか?」
イレブン「はい、しっかりと覚えています」
デルカダール王「そうか。わしは何も思い出せぬ。ただ、わしに取り憑いていた何者かが抜けていったような....そして気を失い、気付いた時にはこの砦に運ばれた後だった。
のう.....イレブン、一つだけ聞かせてくれ。
我が娘、マルティナは生きておるか?」
イレブン「はい、一緒に旅をしていました。今も、きっとどこかで生きています」
デルカダール王「そうか」
デルカダール王はそれを聞くと少しだけ安心したように口角を上げた
その時、兵士が入ってきた
兵士「報告いたします!英雄の帰還です。今回も、逃げ遅れた民を救い出したようです」
デルカダール王「さて、我らの英雄がお帰りか。望まぬ事かもしれぬが、そなたもあやつを出迎えてやってくれ」
イレブン「わかりました」
二人は同時にテントを出た
最後の砦 入り口
イレブン「......グレイグ」
入り口からは数人の人達を連れてグレイグがやってきた。その姿はあの日から変わっており、彼を象徴していた黒と金色の線が入った鎧は着ておらず、盾もなくなっている。
青と水色の市松模様の服に黄色のシャツとズボンという、なんとも言えない服装をしている。また、その顔もあの気迫に満ちた表情はしておらず、どこかやつれたような顔をしている
グレイグ「......生きていたのか」
グレイグはイレブンを軽く見てそう言った
デルカダール王「よく戻ったな、グレイグ。して、成果は?」
グレイグ「デルカダール城に何やら不穏な動きが....。闇に生じて何かが起きましょう。王よ。民達を安全な場所へ。
皆聞け!じきに魔物どもが来る。戦いに備えよ!かがり火をたけ!」
グレイグは周りの人達に準備をさせている
デルカダール王「悪く思わないでくれ。グレイグほどの男でも、これまでの事を整理できていないのだ。近頃のあやつは、まるでおのれを痛めつけるかのように戦っておる。
わしには見てられん。これ以上、あやつを一人で戦わせたくないのだ。頼む。そなたの力を貸してやってくれ」
イレブン「わかりました。僕にできる事ならば」
デルカダール王「今夜の戦いを凌げば、わしらに勝機はある。準備を整え、砦の外に向かうのじゃ。頼んだぞ、イレブン」
砦の外
イレブンが支度を終えて向かうと、既に兵士達やグレイグは列を作り待機していた
イレブン「グレイグ!僕も一緒に戦う!みんなを守るよ!」
グレイグ「お前も来たのか」
グレイグ達の前からは魔物の群れが向かってきていた
グレイグ「来るぞ!いけえーーっ!」
兵士達「うおおおおーっ!」
魔物達「ギィィッッ!!」
兵士達と魔物の群れとの勝負が始まった
大量の人と魔物が武器でぶつかり合う中、イレブンにも魔物がやってくる
イレブン「かえん斬り!」
イレブンは目の前に向かってきた魔物を炎を纏った剣で一瞬で二つにした
ザシュ!
ジュワー
魔物「ギィィ!!」
魔物が煙となって消えた瞬間に目の前から別の魔物が攻撃を仕掛けてきた
イレブン「はやぶさ斬り!」
イレブンは怯む様子もなく、そのまま魔物の懐に入り込み剣を素早く二回強く斬りつける
魔物「ギャ」ジュワー
魔物達「ギャギャア!!」
今度はイレブンの周りから同時に複数の魔物達がやってくる
イレブン「ハッ!」
イレブンは力強く剣を天空に掲げると勇者の力、聖なる雷が剣に落ちる
魔物達「ギィ......」
魔物達もその雷に怯む
イレブン「ギガスラッシュ!」
イレブンは剣に纏った勇者の雷を魔物ごと横薙ぎに切り裂いた
魔物達「ギャアアア!」
ジュワー
イレブンのギガスラッシュにより次々と魔物が斬り伏せられていく
兵士「ひい!もうダメだー」
イレブンの後ろで魔物から今にも攻撃を喰らいそうな兵士がいた
魔物「ギィィ!!」
イレブン「はやぶさ斬り!」
イレブンは素早くその魔物に走り、背後から力強く二回斬りつけた
魔物「ギィィィ」
ジュワー
兵士「助かった、ありがとう!」
イレブン「グレイグの所に行かなくちゃ!グレイグ!」
イレブンは先頭にいるグレイグを援護しようとグレイグに向かっていく
グレイグ「!?伏せろ!」
イレブン「!?」
イレブンは言葉の通りに伏せた
イレブンの後ろからは魔物が斬りかかろうとしていた
魔物「ギィィ!」
グレイグ「デヤアアア!」
グレイグが乗っていた馬を走らせ、イレブンに近づくと馬から飛び降りて魔物に大剣で魔物の体を二つにした
ズバン!
ジュワー
イレブン「ごめん、ありがとう!」
グレイグ「気を抜くな!」
グレイグとイレブンの周りにはまた大量の魔物が集まってきた
魔物達「ギィィ....」
イレブン「!?囲まれたか」
グレイグ「次は構う余裕はない、なんとかするんだ。いくぞ!」
イレブンとグレイグは互いに背中合わせとなり、迫り来る大量の魔物達を相手にしていく
イレブン「ハッ!えいっ!てやぁぁ!」
グレイグ「ふん!どりゃああ!」
グレイグとイレブンは攻撃を避けながらも反撃をしっかり決め、確実に数を減らしていく
イレブン「はあっ!.....!?なんだ?魔物が避けていく」
グレイグ「何かくるぞ」
突然魔物達が道を作り出し、そこを大きな鎧をつけた魔物が歩いてきた
魔物「その大剣、その強さ。貴様がグレイグか。魔軍司令様が言う通りだな。馬鹿正直で間抜けなツラよ。貴様をしとめれば、褒美はたんまりだ。魔軍司令殿は気前がいいぞ。
かかれ、おまえら!グレイグを殺せ!」
周りの魔物達が一斉にグレイグ目掛けて飛びかかった
イレブン「させないよ!ギガスラッシュ!」
イレブンが飛びかかる魔物達とグレイグの前に割り込み、聖なる雷を纏った剣で群れを全て斬り伏せる
魔物達「ギャアアア!!」
グレイグ「お前!」
イレブン「僕も一緒に戦う。大丈夫、足は引っ張らないようにする」
グレイグ「勝手にしろ」
イレブン「勝手にするよ!ギガスラッシュ!」
イレブンは再び迫り来る魔物達を斬り伏せていく
その後
グレイグ達の周りの魔物もあらかた片付け終わった頃
魔物「ひけーっ!退却だー!」
魔物の声により全員引いていく
イレブン「終わったみたいだね」
その時、後ろから兵士が話しかけてきた
兵士「グレイグ様、イレブン殿。王様がお呼びです」
グレイグ「わかった、すぐに行く」
王のテント
デルカダール王「この度の働き、見事であった。よくやった、グレイグ、そしてイレブン。わしはお前達の強さを見て確信した。今こそ、この地に光を取り戻す戦いを仕掛ける時だとな。
魔物の巣窟と化したデルカダール城に潜入し、常闇を生む魔物を打ち倒す。お前達にこの作戦をまかせたい」
グレイグ「!?お言葉ですが、王よ」
グレイグはデルカダール王の発言に眉を上げると、すぐに不満そうな顔をした
デルカダール王「まあ聞け。私とて無策ではない。何か敵に一矢報いる事はできないかと、城を探らせてあったのだ。報告によれば、デルカダールの崖上に地下水路に続く洞窟があるという。
城の中に入るにはこの方法しかない。この鍵で地下水路から城内へ忍び込むのだ。イレブン、そなたに任せよう」
イレブンはデルカダールの鍵を手に入れた
グレイグ「王よ!私は反対です!その間、砦の指揮は誰が取るのです!我らの留守に攻め入られれば、ここは魔物の餌場と同じですぞ!」
デルカダール王「そこを利用するのだ。魔物がここを攻めている間、城の警備は手薄になろう。その時、城に潜入し魔物を打ち倒すのだ」
グレイグ「しかし、私は!!私は、これ以上民を失うわけにはいかない!」
グレイグは叫ぶようにデルカダール王に詰め寄るが、デルカダール王は優しくグレイグの肩を叩きながら伝えた
デルカダール王「だからこそ、お主に頼むのだ。お主しかいない。このまま夜が続けば、いずれ人の心は失われよう。なぁに案ずるな。
わしはこの数ヶ月で思い知らされた。我が民達は強く、優しさに満ちて、なによりも勇敢だ。一晩だ、一晩守り切ればわしらの勝利だ。砦はわしが守る。そなたらは、我らの希望じゃ」
デルカダール王は運命を託すかのように二人を見ていた