その日の深夜、デルカダール城下町
皆が寝静まった夜、夕方まで続いていた飾り付けも終わり人の気配は全くしない
???「...........」
城門の脇にある小さな隙間から謎の光る目が覗いていた
次の日、デルカダール城
大広間
グレイグが朝ごはんを食べる場所に行こうとすると
バタバタバタ!
グレイグ「む?」
入り口からこちらに向かって走ってくる音にグレイグが入り口を見ると
バン「た、大変です!グレイグ将軍!」
まだ鎧を着ておらず、私服姿のバンが大焦りで走ってきた
グレイグ「どうした、バン!何かあったのか!」
バン「せ、窃盗です!」
グレイグ「なに!?」
デルカダール城下町 商店街
そこは昨日ロベルトと商店街の人が話していたイースターエッグが置いてあった場所であり、あるゲームをするためのエリアだった
グレイグ「これは.......」
しかし、そこにあったはずの卵は全て無くなっており何かに荒らされたような形跡も多く残っている
女性A「あ、グレイグ将軍。見てください、せっかく用意した卵が誰かに盗まれたんです!」
バン「朝早くにこちらの方が見た時には無くなっていたそうなんです」
女性A「昨日の夜には全部あるのを確認してるんです!きっと夜中に誰かが盗んだんです」
グレイグ「...........む、これは」
グレイグは傍らに落ちている灰色の小さな毛と商品や被せてあった布についている何かで貫かれたような穴を見ている
グレイグ「..........まさか」
バン「グレイグ将軍?何かありましたか?」
グレイグ「いや、なんでもない。一度城に戻って姫様達にも報告してこよう。俺に少し思い当たる節がある」
バン「?わかりました」
その後、デルカダール城
朝食場
全員「ええ!?イースターエッグが盗まれた!?」
グレイグ「はい、卵は全て無くなって荒らされておりました」
マルティナ「酷いわ、なんでそんな事を」
ラース「他の場所は無事なのか?」
グレイグ「特に何もなかったようだぞ。狙われたのはイースターエッグの場所だけだ」
デルカダール王「なぜそこだけを狙ったのだ。金目的なら銅像なりなんなりとあったはずじゃが」
マルティナ「侵入経路はわかる?城門は閉じているはずだけど」
グレイグ「そこまでは.....。ですが、城門からでない事は確かです。昨日城門を閉めたのは私ですので、しっかり鍵をかけたのも覚えています」
ラース「となると、内部の犯行か?」
グレイグ「いや、待つのだラース。俺に少し犯人が思い当たるのだ、これを見てほしい」
グレイグは先程商店街で拾った灰色の小さな毛を見せた
マルティナ「なにこれ?毛?」
グレイグ「イースターエッグの場所に落ちておりました。それと布や商品にまるで角で破かれたような痕跡もありました」
ラース「!?おいおい、まさかグレイグ。犯人はいっかくうさぎだとか言わないよな?」
グレイグ「そのまさかだ。俺は犯人はいっかくうさぎだと考えたのだ」
ラース「なんで魔物があんな卵を狙うんだよ、理由がわからねえよ」
デルカダール王「まさか.......。グレイグよ、お主あの昔話が本当に起ころうとしておると言うのか?」
ラース「昔話?」
グレイグ「そうです、王よ。ラースは知らんだろうな。姫様も昔の話なので知っているかはわかりませんが、イースターが出来たきっかけは確かに春の訪れを祝うためだったが、その裏にはもう一つある出来事があったのだ。それが、いっかくうさぎの卵隠しだ」
ラース「た、卵隠し?なんだそれ」
マルティナ「あ!聞いた事あるわ。確かこの地方に昔からあるお話の一つ「春と卵とうさぎ達」の事よね」
デルカダール王「ああ、そうじゃ。そこではいっかくうさぎ達が春になってようやく産まれた卵を盗むんじゃったな。それを嘆いた大人達を見た街の子ども達がいっかくうさぎを探しに出た。その先々でいっかくうさぎ達が隠した卵を見つけたりしていくのじゃ。
最後には大人達を助けようとした子ども達の優しき心にいっかくうさぎ達が感動して、一緒にお祭りを楽しんだんじゃったな」
ラース「話と全く一緒だ。だが、そんな話が本当に現実に?」
グレイグ「確証はない。だが、そうだとすれば全て辻褄が合う。侵入経路もおそらくこの前話していた城壁の穴からだろう。いっかくうさぎ程度ならあそこを潜り抜けられる」
デルカダール王「昔話にはなっておるが、この話は実際に起きた話だとも言われておる。グレイグの仮説はそこまで間違ったものではあるまい」
ラース「そうだったんですか。なんか信憑性が出てきたな」
マルティナ「でも、どうするんですか?お父様。本当に昔話の通り子ども達を探しに行かせるのですか?マルスやルナに行かせたとしても、危険な事には変わりありません」
デルカダール王「それは........うーむ」
グレイグ「..........いっかくうさぎ達は警戒心が強い魔物です。自分より大柄な大人達だと警戒して出てこないでしょう。ですが、子ども達や青年程度であれば私達ほど警戒はしないかと」
ラース「青年.........。よし!こうしよう!」
その後、デルカダール城下町 広場
マルティナからの招集により、そこには若い人達や子ども達が集められていた
マルス「母さーん、緊急って何の集まりなの?」
マルティナ「少し待っててね。コホン、突然の招集すみませんでした。実は、今日のお祭りで使うはずだったイースターエッグがいっかくうさぎ達に盗まれました」
全員「!?」
マルティナ「いっかくうさぎ達の持っていったイースターエッグがないとお祭りは台無しになってしまいます。早く取り返したいのですが、私達では警戒心の強いいっかくうさぎは出てきません。
そこで警戒されにくい皆さんなら、無事盗まれたイースターエッグを取り返してきてくれると思ったのです」
テルマ「マ、マジか〜......」
マルティナ「お願いします。楽しいイースター祭のため、どうか探してきてください」
ルナ「はいはーい!行くよ、お母さん!」
マルス「僕も!すっごく楽しそう!冒険だね!」
チャム「私もー!」
テルマ「ちょっ、チャム!お前は戦えないだろ。兄ちゃんが守ってやるから」
エド「へへ、よくわかんねえけどテルマが行くなら俺も行こーっと!」
続々と楽しそうな声をあげながら参加者達が決まっていく
マルティナ「(よかった、なんとかなりそうだわ)」
その後、城門前
マルティナ「何かあっても絶対無理しないでね」
医者「ここまで戻ってくれば私達が治療いたします」
神父「頑張ってきてください。皆様にご加護があらん事をお祈りしています」
全員「はーい!」
マルス達は楽しそうにしながら走っていった
バン「ほ、本当に大丈夫なんですか?マルティナ様。監視すらしないなんて」
マルティナ「私だって心配よ。でも、戦える人達とチームにしたしなんとかなると信じてるわ」