導きの教会 周辺
まだ朝早くという事もあり少し薄暗く、魔物も寝ているのか姿が見えない
ブレイブ「息子よ!どこにいるのだ!返事をしろ!」
ブレイブは焦りながら走り回り、周りをくまなく探している
ラース「(勝手に抜け出したと考えていいだろうな。侵入されたというのは、城が荒らされていたわけでもないから考えにくい。だが、どうして抜け出した?)」
ブレイブ「くっ、ここら辺にはいないというのか。ラース様、森の近くまで行ってみましょう」
ラース「そうだな。あそこはコロもよく居た場所。そこにいる可能性は高いもんな」
ナプガーナ密林近くの滝
ラース「うーん.........見当たらないな。どこに行ったんだ?」
ブレイブ「ラース様やマルティナ様にまでこんな迷惑をかけさせるなんて......。絶対にキツく叱ってやらねば」
ラース「まあまあ。コロは今までこんな事しなかっただろ。きっと何かあるんだ。最近、コロの様子がおかしかったんだろ?」
ブレイブ「........そう.....ですね」
ラース「だろ?きっと関係があるのかもしれない。コロを見つけて話を聞いてみようぜ(ブレイブ、何か知ってるのか?)」
ブレイブ「はい。しかし、この周辺にもいないとなると残りは城下町か森の中ですかね」
ラース「うーん.......マルティナと一度合流するか?いや、森の中にも念のため........」
ブレイブ「森でしたら私のみが探します。ラース様には危険ですので」
ラース「別に魔物とは戦えるから俺の心配いらねえけどよ。............あ!もう一つある、コロが行きそうな場所!」
ブレイブ「どこでしょうか?」
ラース「お前達のお気に入りって言ってたあの崖だよ!」
ブレイブ「!そうか!確かにあそこなら!流石です、ラース様!早速向かいましょう!」
滝に近づくと裏側に細い道があり、そこを進むと大きな崖が目の前にたっている。ゴツゴツとしているが、段差も至る所にあり登る事が出来る
ブレイブ「私が上に登ってみてみます。ラース様はこの近くにいないか探していただけますか?」
ラース「そうだな、ブレイブの方が安定して登れるしな、って!あそこ!」
ラースがふと上の方を見るとコロが一人で座っているのが見えた
ブレイブ「!!見つけた!!あの馬鹿息子め!」
ブレイブが急いでそこに向かって崖を登っていく
ラース「まあ、無事なようで一旦安心だな」
その時
ヘルコンドル「グァァァー!」
コロの上空に大きな鷲の姿をした魔物、ヘルコンドルが飛んでいた
ラース「!?ヘルコンドル!......まさか!」
ヘルコンドル「グァァァー!!」
ヘルコンドルは座っているコロ目掛けて空から攻撃を仕掛ける
ラース「まずい!!コロ!!気付け!!」
ブレイブ「息子よ!!逃げろ!!」
コロ「!?クッ.......」
コロがブレイブの声に気付き振り返ると同時に、向かってくるヘルコンドルにも気づいた
ヘルコンドル「ギィィ!」
ドガァ!
狭い崖ではコロが思うように動けず、ヘルコンドルの蹴りを喰らい崖から真っ逆さまに落ちていく
ブレイブ「!!!」
ラース「コローー!!!」
ラースが全速力でコロの落下地点に向かって走り出す
ヘルコンドル「ギィィャァァ!!」
ヘルコンドルは落ちたコロを更に追いかけていく
ブレイブ「させるか!!」
ブレイブも崖から飛び降りた
ラース「間に合え!!」
ドサァ!!
ラースがギリギリで落ちてくるコロを抱き抱えた
コロ「クゥ......」
ラース「はは、よかっ」
ヘルコンドル「グァァァ!」
ラース「!」
ヘルコンドルが獲物を横取りされたとばかりに怒りながらラースに向かってくる
ラース「よっ!」
ラースは身軽にヘルコンドルの攻撃を避ける
バギィッ!
それと同時に脚を使ってヘルコンドルを蹴り飛ばした
ヘルコンドル「ギィィ....」
ブレイブ「はっ!」
ズバッ!
その場所へ飛び降りたブレイブが爪を使い、背中を切り裂いた
ヘルコンドル「ギィィィ.....」ジュワー
ラース「ナイス、ブレイブ」
ブレイブ「ラース様こそ、あそこに飛ばしていただきありがとうございます」
コロ「........」
コロはしょんぼりとした顔をしている
ブレイブ「大丈夫か」
ブレイブが抱き抱えられているコロに近づいていく
コロ「キャン」
コロがブレイブを見ると
ブレイブ「馬鹿息子が!!」
コロ「!!」
ブレイブ「貴様、どれだけの迷惑をかけたのかわかっているのか!!」
ブレイブが強い怒鳴り声をあげた
コロ「クゥ.......」
ブレイブ「ごめんなさいで済むと思うな!今回ばかりは絶対に許さん!勝手に城を抜け出しただけでなく、今俺達が見つけていなかったらお前は死んでいたのだぞ!!」
コロ「..........」
ラース「まあ待て、ブレイブ。話はひとまず城に戻ってからだ。マルティナにも無事に見つかった事を報告しないとな。怪我はしてないか?」
コロ「キャン」
ブレイブ「ふん、強がるんじゃない。ラース様、息子の左下の背中を触ってみてください」
ラース「ここか?」
コロ「!?クッ......」
コロが顔を歪めた
ブレイブ「先程ヘルコンドルに蹴られた場所です。毛で隠れていますが、おそらく皮膚が切れています」
ラース「あ、本当だ。血がついている。治療してもらわないとな」
ラースは触った指に血がついているのを確認すると、そのまま城へと戻っていった
その後、デルカダール城 医療部屋
コロの胴体に包帯が巻かれた後、ラースとマルティナとブレイブはコロと話そうとしていた
マルティナ「よかったわ、見つかって。もう痛くない?」
コロ「キャン!」
ラース「ブレイブ達がお気に入りにしている崖にいたんだ。そこでヘルコンドルに襲われていたが、助ける事が出来た。無事でよかったよ」
ブレイブ「ラース様、マルティナ様、甘やかさないでください。どれだけの事をしたのかしっかりとわかってもらわなければ」
ラース「まあ待てよ、ブレイブ。コロから理由を聞いてからにしようぜ。コロ、どうして城を抜け出したんだ?」
ラースはコロにも魔物が話せる薬を舐めさせた
コロ「........あー、あー。あ、喋れる。えっとね.....俺、考えてる事があったの」
マルティナ「考えてる事?」
コロ「うん。俺、父ちゃんしか知らないんだ。かぞく?ってやつ。マルスやルナや他の魔物には、父ちゃんと母ちゃんがいる。なのに、親、父ちゃんしか知らないなって」
ラース「確かに.......。でもブレイブ、コロがいるって事はお前にも」
ブレイブ「ハァ........。やはりそういう事だったか。安心しろ、お前にも母ちゃんはいる。いや、"いた"が正しいな」
コロ「母ちゃんは........どこ?」
ブレイブ「死んだ。お前を産んですぐだ。だから知らないのは当然だ」
コロ「............」
コロはそれを聞くと悲しそうに顔を伏せた
マルティナ「群れにいた頃の話よね。ブレイブの奥さんはどんな人だったの?」
ブレイブ「どんな.......ですか。そうですね。落ち着きがなく、常にうるさいやつでした。それでいて、私と同じくらい強いキラーパンサーです」
ラース「へぇ、なんだかブレイブとは真逆って感じなんだな。どことなくバンみたいな感じがするな」
ブレイブ「そうですね。私が昔、バンを嫌っていた理由の一つでもあります。似ていたからこそ、少し腹が立っていたのです。まあバンとは違い、あいつは賢かったですが」
コロ「母ちゃんはさ.......優しかった?」
ブレイブ「.........そうだな、俺よりはマシだ。怒る顔を見た記憶はない」
コロ「............母ちゃんがいてくれればよかったのに」
ブレイブ「なに?」
コロ「怖い父ちゃんより、優しい母ちゃんの方がいい」
ブレイブ「.............なんだと」
コロが小さく呟いた声は耳のいいブレイブにははっきりと聞こえていた
コロ「あ.......。違うよ、父ちゃんも好き!でも」
ブレイブ「ふん、そうか。ならば、会わせてやろう」
ヒュッ!
全員「!?」
ブレイブは素早くラース達の間にいるコロに爪を引っ掛けると、窓に向かっていく
コロ「え........」
マルティナ「ブレイブ!?やめなさい!!」
ブレイブは窓を開けるとコロを窓から出した。今のコロはブレイブの引っ掛けられた爪のみで支えられており、宙に浮いている
ラース「馬鹿野郎!何している!!」
コロ「とう.......ちゃん」
ブレイブ「ここから落ちれば、あいつと会える。貴様はそれを望むんだろう?俺は優しくないからな」
ラース「本当にやめろって!!」
ラースはなんとかブレイブからコロを救い出し、窓を閉めた
ブレイブ「..........」
マルティナ「ブレイブ、今の発言で怒るのはわかるけど落ち着きなさい。あなたらしくないわ」
コロ「こ、ごめ........父ちゃん」
コロはラースの腕の中でブルブルと震えている
ブレイブ「ふん」
ブレイブはコロを一瞥すると医療部屋から出ていった
ラース「ブレイブ........」