それから二週間後、デルカダール城
大広間
カミュがデルカダール城へ訪れると、玉座の間に続く扉の前にブレイブが座っていた
カミュ「ん?ブレイブ?」
ブレイブ「ガウ」
ブレイブはカミュにぺこりと挨拶する
カミュ「どうしたんだ?中に入れてほしいんだけどよ」
ブレイブ「ガウガウ」
ブレイブは首を横に振っている
カミュ「あー、なるほど。会議かなにかしてんのか。タイミング悪かったな」
ブレイブ「ガウ....。ガウガウ」
ブレイブは少し申し訳なさそうにしている
カミュ「いや、別にブレイブは悪くねえよ。門番みたいなもんなんだから大丈夫だぜ。じゃあ俺は訓練場にでもいってバン達と話してくる。また後でな」
ブレイブ「ガウ!」
訓練場
カミュ「お、やってんな。よっ」
カミュはそのまま訓練場へと飛び降りた
バン「あ!カミュさん!どうも!」
ベグル「あ、本当だ。こんにちは」
ガザル「そこから飛び降りるの危ないんですけど」
カミュ「よう、バン、ベグル、ガザル。今自主練中か?」
ガザル「はい、そうですね。他の人達は見回りだったり見張りをやってます」
ベグル「カミュさんはどうしてこちらに?」
カミュ「いや、兄貴達に会いに来たんだけどよ、今ちょうど会議中みたいでな。入れなかったんだ」
バン「あー、そういえば師匠達今日は一日会議ですね。夕方過ぎくらいまでは玉座の間に入れないかと」
カミュ「そんな長いのか。それならクレイモランでゆっくりしててもよかったな」
バン「あ!という事はカミュさん!今お時間ありますよね?」
カミュ「ん?まあそうだが、どうした?」
バン「俺と手合わせお願いします!」
カミュ「あー.......。お前、本当昔から俺達に手合わせ申し込むよな」
バン「だって師匠以外の皆様も凄くお強いですし、勉強になりますから!いいですか?」
カミュ「ここ最近本気で体を動かしてたわけじゃねえから、前より鈍ってるかもな。ま、それでもいいならやるか」
バン「はい!」
ガザル「俺も同じブーメラン使いとして勉強させてもらいますね」
ベグル「それなら少し片付けるんで、待っててください。おら、バン!お前が言い出したんだから、率先して片付けろ!」
バン「おう!」
数分後
バン「俺は大丈夫ですよー、カミュさん!」
カミュ「まったく.....。まあいい運動になるだろ。いくぞー」
バン「はい!」
カミュ「よっ!」
カミュは勢いよく走りながら一直線にバンへ向かっていく
カミュ「ヴァイパー」
走りながらカミュが短剣に毒を纏わせていく
バン「(やっぱり師匠よりスピードが速い!)」
バンが身構えると
タッ!
バン「!?」
バンの攻撃範囲ギリギリでカミュは飛び上がった
カミュ「ファング!」
キィンッ!
バンの真後ろへと飛び降りたカミュがそのままバンの背中へと短剣を突き刺したが、バンは反射的に体を逸らした。鎧と短剣が擦れ合う音が鳴り響いた
バン「〜〜っ!!っぶない!本当、一瞬でこれだからカミュさんは油断できない!」
カミュ「へぇ、前はこれに対応出来なかったのに少しは成長したな」
バン「たまたまですよ!」
カミュ「そういうのは嘘でもいいから特訓しましたとか言うもんじゃねえのか?」
バン「俺、嘘つけないんで!」
バンがカミュに向かって走っていく
カミュ「知ってるよ。ま、バンらしいけどな!」
カミュも短剣を再び構えた
バン「ばくれつきゃく!」
バンは走る姿勢から身をかがめ、脚をカミュへと向けると同時に強く連続で蹴りを繰り出していく
ガンッ!ヒュッ!キンッ!
カミュも避けたり、短剣で防いでいく
カミュ「その動きは兄貴やマルティナで慣れてるぜ!」
バン「なら!」
バンはその姿勢から勢いよく横に飛び移る
バン「ミラクルムーン!」
バンは身体を捻りながら回転してカミュに向かうとその勢いを合わせて蹴りを繰り出していく
カミュ「よっと!」
カミュは勢いがある蹴りを危険と判断し、そのまま飛び退いて回避した
バン「まだまだ!」
バンはそのまま壁に激突するかと思われたが、また体を捻ると壁に足をつきカミュに向かって突撃する
カミュ「!チッ」
バン「はあ!!」
バンの猛スピードの蹴りがカミュに向かう
ビュンッッ!!
バン「!!」
カミュはそのままジャンプして足を避けた。バンはまさか避けられるとは思わず、足が大振りとなり隙だらけとなった
カミュ「会心必中!」
バゴォォン!
カミュの狙いを定めた拳がバンの脳天に直撃した。バンの顔は勢いよく地面にめり込んだ
カミュ「ま、勝負ありだな」
ボコッ!
バン「負けたー!!悔しいー!」
カミュ「ま、あの連続攻撃にはビビったぜ。壁を足場にして更に向かってくるとは思わなかった」
バン「ですよね!絶対当てられると思ったのに!」
カミュ「俺があれに当たってたらどうなるかはわからなかったな」
ベグル「お疲れ様です。カミュさんってブーメラン使いなのに、接近戦も得意ですよね」
カミュ「勘違いされやすいけどよ、別に好き好んでブーメラン使ってるわけじゃねえんだぜ」
ガザル「え?そうなんですか?」
カミュ「俺は元々短剣が性に合ってるんだよ。ブーメランはたまたま使えたから使ってるってだけだ」
バン「片手剣も使えますもんね。確かにブーメラン以外は接近戦になる武器ですね」
カミュ「だろ?ま、今日のバンとの手合わせは俺の勝ちって事で」
バン「ぬぬぬ......。次は俺が勝ちますからね!」
ベグル「あ、そうだ。カミュさん、この後もお時間ありますか?」
カミュ「ああ、大丈夫だが?」
ベグル「それでしたら、バンの見回りのサポートをお願いしてもよろしいですか?俺、この後書類を作らなければいけなくて」
ガザル「俺はこの後、ギバと見張りの交代なんですよ」
カミュ「..........ハァー」
カミュは顔に手をつくとため息をついた
バン「な、なんでため息なんですか!」
カミュ「別に......。まあ引き受けてやるか」
ベグル「本当すみません。なにかしでかしたら先程みたいに容赦なく殴ってもらって構いませんので」
カミュ「そうさせてもらう」
バン「いやだ!!」
ガザル「見回り内容は簡単なので、カミュさんはバンを警戒していただくだけで大丈夫ですのでお願いします」
カミュ「はいよ」
デルカダール城下町
カミュ「なんで俺がこんな事.....」
バン「いいじゃないですか!俺とお話しましょうよ!」
カミュ「俺はバンの保護者じゃねえんだぞ。そういうのは兄貴やベグルの役目だろうが」
バン「なんですか、保護者って!俺、子どもじゃないですよ!」
カミュ「精神年齢の話だよ。んで、何すんだ?さっさと終わらせようぜ」
バン「まずは街の人とコミュニケーションですよ!」
カミュ「........そうか。俺は見とくからバンが自由にやれよ」
バン「えー、カミュさんも皆とお話しすればいいのに。皆優しいですよ」
カミュ「俺はパス。ほら、広場に向かおうぜ」