ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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カミュと兵士達2

デルカダール城下町 広場

 

 

 

おばさん「あら、バン君!ちょうどよかったわ、よかったらこれ食べてって」

 

 

 

 

バン「おおー!美味そうな料理!なんていうやつだ?」

 

 

 

 

おばさん「ラタトゥユっていうトマトを中心にした野菜の煮込み料理なの。どう?」

 

 

 

 

バン「うん!!美味い!!」

 

 

 

 

おばさん「ふふ、ありがとねえ」

 

 

 

 

女性A「こんにちは、バンさん」

 

 

 

 

バン「ん、おう!こんちは!あれ?何に使うんだ?その道具」

 

 

 

 

女性A「あ、これは前に家の屋根が少し壊れてしまったのでその修理をと思って」

 

 

 

 

バン「そ、そうなのか!?危ないだろ、俺達に言えば手伝うぞ!」

 

 

 

 

女性A「いいえ、忙しい兵士さん達を頼らなくても大丈夫ですよ。本当少しだけなので」

 

 

 

 

バン「そ、そうか。無理すんなよな!」

 

 

 

広場にいるだけで様々な人がバンに話しかけていくのをカミュは離れた場所で静かに見ていた

 

 

 

カミュ「人気者だな、バンのやつ。まあ明るいやつだし、好かれるのは当然か」

 

 

 

その時

 

 

 

女の子「わーい!」

 

 

 

 

女の子の母親「こら!勢いよく走らないの!」

 

 

 

カミュの横から赤い風船を持って嬉しそうな女の子が走ってきた

 

 

 

女の子「キャッ!」

 

 

 

 

カミュ「おわ!」

 

 

 

ドサ

 

 

 

カミュ「わ、悪い、よそ見しててわからなかった」

 

 

 

 

女の子「あ........ご、ごめんなさい」

 

 

 

 

カミュ「いや、こっちこそ悪かったな。大丈夫か?」

 

 

 

 

女の子の母親「こら!だから走らないのって言ったのに!すみません、娘がご迷惑を」

 

 

 

 

カミュ「い、いや、大丈夫だ」

 

 

 

 

女の子の母親「あら?風船はどうしたの?」

 

 

 

 

女の子「え?........あ!私の風船が!」

 

 

 

女の子が上を見上げると家の屋根に赤い風船が引っかかっていた

 

 

 

カミュ「あー、俺とぶつかった時に離しちまったのか」

 

 

 

 

女の子「私の........風船が.........うわぁぁぁん!!」

 

 

 

女の子は泣き出してしまった

 

 

 

女の子の母親「もう!走るのが悪いのよ!」

 

 

 

 

女の子「だってーーー」

 

 

 

 

バン「ちょっ、カミュさん、何やってるんですか。こんな小さな子泣かして」

 

 

 

騒ぎを聞いたバンがやってくるやいなや、カミュを少し呆れたような顔で見ていた

 

 

 

カミュ「お、俺が好きで泣かせたんじゃねえよ」

 

 

 

 

バン「ほら、大丈夫だぞ。怖いおじさんに見えるかもしれないけど、この人はいい人だからな。風船ならまだあるからもう一つ貰ってこようぜ」

 

 

 

 

カミュ「てめえ.......後で覚えてろよ」

 

 

 

 

女の子「あれがよかったんだもん!」

 

 

 

 

女の子の母親「わがまま言わないの!」

 

 

 

 

カミュ「ハァ〜、まあ俺にも責任はあるからな。待ってろよ、取ってきてやるから。よっと!」

 

 

 

カミュはそこから身軽に跳び上がると、屋根に手をひっかけて勢いよく体を起こして乗り上がった。どんどん屋根を登っていき、上に引っかかっていた赤い風船を掴むとそこから女の子のいる場所まで飛び降りてきた

 

 

 

カミュ「ほらよ、今度はしっかり前見て歩けよ」

 

 

 

 

女の子「う、うん.......。ありがとう」

 

 

 

 

バン「さっすがカミュさん!軽々とよく登れますねー」

 

 

 

 

女の子の母親「ありがとうございます!わざわざ取ってきていただくなんて。この子がわがままを言ってすみません」

 

 

 

 

カミュ「俺も気づけなかったしな。おあいこだ」

 

 

 

 

女の子「ありがとうー、カッコいいお兄ちゃん!」

 

 

 

女の子と母親は手を繋ぎ、カミュ達に手を振りながら広場を去っていった

 

 

 

カミュ「ったく、これだからあまり子どもは好きになれねえんだ」

 

 

 

 

バン「そうは言っても扱い上手じゃないですか」

 

 

 

 

カミュ「おい、バン。だーれが怖いおじさんだって?」

 

 

 

 

バン「あ......。い、いや、ほら、いい人とも言ったじゃないですか!」

 

 

 

 

カミュ「うっせえ!」

 

 

 

 

バン「ヒイッ!逃げろ!」

 

 

 

 

カミュ「逃さねえよ!」

 

 

 

その後、デルカダール地方

 

 

 

バン「酷い.......ぐすん」

 

 

 

バンの頭にはたんこぶが出来ていた

 

 

 

カミュ「んで?次は何すんだよ」

 

 

 

 

バン「俺が馬鹿になったらどうしてくれるんですか、まったく。次は魔物調査をして、それを駐屯所にいるガザルと城門で見張りをしているマーズとロベルトに報告です」

 

 

 

 

カミュ「了解。ん?」

 

 

 

 

ギバ「あ、カミュさんじゃないですか!バンと一緒になんてどうしたんですか?」

 

 

 

こちらに向かってギバがやってきた

 

 

 

バン「おお、ギバ。ガザルと交代したのか」

 

 

 

 

ギバ「そうそう、お前はこれから魔物調査か?」

 

 

 

 

バン「おう!今日はカミュさんも一緒だ!」

 

 

 

 

カミュ「いろいろあってこいつに付き合わされてんだ」

 

 

 

 

ギバ「へ〜、なんか面白そうですね。俺もご一緒してもいいですか?」

 

 

 

 

カミュ「別に俺は構わねえよ」

 

 

 

 

ギバ「ありがとうございます!バン、今回はデルカダール地方だけか?」

 

 

 

 

バン「いや、師匠達は会議だからな。そんな時に何かあるのはまずいからデルカコスタ地方までやろうと思ってる」

 

 

 

 

ギバ「それもそうか」

 

 

 

 

カミュ「どんな風にやってんだ?」

 

 

 

 

バン「簡単ですよ。付近の魔物達の様子やどれくらい見かけるかなんかを記録していくんです。だからほとんど歩いて見渡してるだけですよ」

 

 

 

 

カミュ「そんなんでいいのか、それなら俺にも出来そうだな」

 

 

 

 

ギバ「実際たまーに街の人達も手伝ってくれるんですよ」

 

 

 

 

バン「羨ましい!俺の時はダメって師匠とベグルから言われてて、俺だけ街の人とやった事ないんですよ!酷いですよね!」

 

 

 

 

カミュ「あー......それは兄貴の言う通りだな。バンと一緒はちょっと」

 

 

 

 

バン「カミュさんまで!」

 

 

 

 

ギバ「街の人達は戦えねえんだから、お前みたいに突っ走るやつだと街の人達がもしもの時危ねえんだよ。仕方ねえだろ」

 

 

 

 

バン「そんな事ないしー!俺だって危ない時は街の人達くらい守れるし!」

 

 

 

 

ギバ「そもそもなっちゃ駄目なんだよ!」

 

 

 

しばらくして

 

 

 

三人は話しながら駐屯所までやってきた

 

 

 

バン「それで師匠は本当流石って感じでして.......あ、駐屯所にもう着いた」

 

 

 

 

カミュ「気づいてなかったのかよ。魔物調査してたのか?」

 

 

 

 

バン「してましたよ!ほら!」

 

 

 

バンは持っていた記録用紙をカミュに見せた

 

 

 

カミュ「いや、話の事しか書いてねえじゃねえか!」

 

 

 

 

バン「あれ!?おっかしいな〜、書いてたと思ったのに」

 

 

 

 

ギバ「なにやってんだよ、馬鹿。記入し直すぞ。ほら、まずはももんじゃが7匹。ズッキーニャが2匹。フロッグが4匹」

 

 

 

 

カミュ「やれやれだな」

 

 

 

 

ガザル「騒がしいと思ったらやっぱりバン達でしたか」

 

 

 

駐屯所のテントからガザルが出てきた

 

 

 

カミュ「悪いな、邪魔した」

 

 

 

 

ガザル「構いませんよ、いつもこんな感じなんで。俺達の退屈しのぎにもなりますし」

 

 

 

 

カミュ「前に兄貴が見張りの仕事を暇って言うなって怒ってたぞ」

 

 

 

 

ガザル「げ......。カミュさん、今の発言は忘れてください」

 

 

 

 

カミュ「わかってるよ。そうだ、魔物調査だがこの後デルカコスタ地方も調査した後、報告に来る」

 

 

 

 

ガザル「デルカコスタ地方まで?.........ああ、会議だから念のためって感じですかね。了解です」

 

 

 

 

カミュ「そういう事みたいだぜ。理解が早くて助かる」

 

 

 

 

ガザル「伊達にあんな馬鹿と長年一緒にいないんで。というか.........おい馬鹿!なにカミュさんに報告させてんだよ!お前から俺に言いにこい!」

 

 

 

 

バン「馬鹿じゃねえし、馬鹿って言うな!報告ありがとうございます、カミュさん」

 

 

 

 

カミュ「別に。それよりも今度はちゃんと書いたか?」

 

 

 

 

バン「もちろん!バッチリですよ!」

 

 

 

 

ギバ「バッチリってのは初めから書いてる時に言うんだよ!数を覚えてた俺に感謝しろよ?」

 

 

 

 

バン「ははー!ありがたやギバ様」

 

 

 

 

ガザル「茶番してねえでさっさと調査してこい、馬鹿二人」

 

 

 

 

カミュ「ガザルの言う通りだ。さっさと終わらせて早いうちに城に戻るぞ」

 

 

 

 

二人「はーい」

 

 

 

 

ガザル「(本当なら兵士長であるバンがリーダーシップをとるはずなんだろうが、まあバンにそれを求めるのは間違ってるよな)」

 

 

 

 

 

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