それから五ヶ月後、ユグノア王国
ダバンとミラの家
商店街の賑やかな声が聞こえてくるくらい近くの家に、ダバンとミラが住んでいた
ダバン「それじゃあ今日も行ってくる」
ミラ「ええ、頑張ってちょうだい」
ダバン「そうだ。今日からケニーが釈放される」
ミラ「......そう。本当に大丈夫?」
ダバン「まあなんとかする。ただ、気を抜く時間が少なくなるからな。ミラには悪いが」
ミラ「いいわよ、そんなの。帰ってきたら思う存分リラックスしてちょうだい」
ダバン「はは、助かる。それじゃ!」
ユグノア城 玉座の間
ダバン「おはようございます、イレブン様!ロウ様!」
イレブン「あ、おはよう。ダバン」
ロウ「ほほ、おはよう。今日も早いのう」
ダバン「訓練の前に体を温めておきたいですから。デルカダールではバン達もこの時間に集まってたんですよ」
イレブン「そっか、デルカダールは訓練が朝なんだったね」
ダバン「はい。昼の場合もありましたが大抵は朝でしたね。ユグノアが昼の訓練なので、まだ少し慣れないのですが」
ロウ「別に構わんよ。訓練場は開放してある。自由に使ってもらって構わん」
ダバン「ありがとうございます。それと.......今日って」
イレブン「......うん。ケニーを釈放する日だね」
ダバン「...........」
ロウ「本当に大丈夫かの?お主にもしもの事があったら」
ダバン「.......そんな事にはなりませんよ。なるとしても、その時はケニーにもう一度家族に戻ってきてもらってからです。それだけはやり遂げてみせます。バン達との約束でもあるので」
イレブン「わかった。釈放するのは夕方だよ」
ダバン「承知いたしました。その時間はこちらに向かうようにします」
その後、訓練場
ダバン「ふっ!ふっ!」
ダバンは筋トレなどのトレーニングをした後、一人で剣を振っていた。ダバンしかいない訓練場にダバンの声だけが響いている
ダバン「...........駄目だ。ケニーの事を考えすぎて邪念が多い。集中出来てない証だな」
その時
ロック「お!やーっぱりダバンだ!」
訓練場の入り口からロックがやってきた
ダバン「ロック、おはよう。今日は早いな、自主練か?」
ロック「まあな。ここ最近、かなーり強い新入兵士がやってきたからな。俺も負けてられねえってよ」
ダバン「ふっ、そうか。それなら俺と手合わせしてくれないか?」
ロック「お、いいぜー。ダバンからは学べる動きが多いからな。どんどんやってこうぜ!」
ダバン「片手剣使い同士だしな。俺もロックとやるといい刺激になる」
ロック「んな世辞いらねえよ。ダバンからしたら俺なんて余裕だろ。ま、ちょっと待ってろよ。ストレッチだけさせてくれよな」
ダバン「世辞なんかじゃないさ。本心だよ」
ロック「な........そ、そういうのは照れるからやめろ.......」
ダバン「はは、悪い悪い」
昼頃
イレブン「じゃあ、相手がカウンターを狙っていた場合、片手剣一本でどう対応すればいいと思う?」
兵士達「うーん........」
イレブン「.............ダバン、わかる?」
ダバン「はい。カウンターの武器や構えによってよりけりですが、槍の場合を想定するならカウンターは上か下からカウンターが飛んできます。それをわかっていれば、剣で受け流すなり避けるなりします」
イレブン「うん、そうだね。流石ダバンだよ」
ダバン「補足するなら、そもそもカウンターをさせない方法もありますね。カウンターはこちらの攻撃を利用する技。なら、こちらの攻撃を利用出来なくさせる攻撃をすればいい。
例えば槍の場合、下からの攻撃は武器の構造上絶対にいなす事が出来ません。それをうまく使えばカウンターを使わせない戦い方が出来ます」
イレブン「お、おお.......。僕も知らなかったよ」
ロック「すっげえな、ダバン!なんでそんなに知ってんだよ」
ダバン「これは俺がデルカダールで教わった方法をそのまま言ってるだけだ。俺が凄いんじゃない。俺達を指導してくれた人が凄いんだ」
イレブン「でも、それをしっかりと学べて使う事が出来るダバンだって凄いさ。かなりの努力をしたのもよく伝わるよ」
ダバン「ありがとうございます」
夕方、玉座の間
ダバン「..........」
ケニー「..........」
イレブンが牢屋から手錠をつけたケニーを連れてやってきた
ロウ「ケニーよ、お主をこれより釈放する。今後は悪い行いはせず、過ごしていくのじゃ」
イレブン「手錠を開ける。暴れたりしないように」
ガチャ
ケニー「.........ふん」
ケニーはようやく自由に動かせるようになった手首を動かしている
ケニー「おい、クソ兄貴。黙って見てねえでなんとか言ったらどうだ?俺が解放されたんだぞ?」
ダバン「あ、ああ。そうだな。よかった。これでお前とゆっくり」
ダバンが話しながらケニーに近づくと
バシッ!
ケニーは近づいてきたダバンの顔を軽くはたいた
ケニー「必ずてめえを殺して俺がお前を超えてみせる。誰にも俺が下だと思わせねえようにな」
ケニーはそう言い残すと走って玉座の間から出ていった
ダバン「.......ケニー.......」
イレブン「明日から本当に気をつけるんだよ?ダバン。絶対に何かしてくるはず」
ダバン「もちろん肝に銘じています。長くご迷惑をおかけしますが、どうか見守っていてくださると大変ありがたい限りです」
ロウ「それはもちろんじゃが、困っている時は遠慮なく頼るのじゃぞ?」
ダバン「はい!」
次の日、ダバンとミラの家
ミラ「いってらっしゃい、ダバン」
ガチャ
ダバン「ああ、いってくる」
ダバンが扉を開けて出ていこうとした時
ヒュッ!
ドスン!
ミラ「!!」
ケニー「チッ!!」
ダバン「よう、ケニー。おはよう」
ケニーが屋根から短剣を振り下ろしてダバン目掛けて落ちてきたが、ダバンは見向きもせずに避けケニーに片手をあげて挨拶している
ミラ「嘘......。もう家がわかったの?」
ケニー「当然だろうが。盗賊なめんなよ」
ダバン「ケニー、俺はおはようと言ったんだが?」
ケニー「うるせえ!!これだけだと思うなよ!」
ケニーはそう言い残すとそのまま屋根をつたって走り去っていった
ダバン「朝の挨拶くらい返せよ、馬鹿な弟め。昔は返してくれたのに」
ミラ「ダバン、なんでケニーがいるって?」
ダバン「玄関で話してる時に真上から僅かに気配を感じた。多分期待した感情が漏れ出たんだな」
ミラ「..........なんだかあなたの強さを垣間見たわ」
ダバン「まあこれくらいならバン達誰だって出来るさ」
ミラ「少し安心したわ。無事に帰ってきてね」
ダバン「当然。それじゃあな」
その後、商店街
人混みの中をダバンが歩いていると背後から物音を経てずに近寄っていき
ベキッ!
ケニー「〜〜!!!」
短剣を持っていたケニーの手を勢いよく曲げられ、嫌な音がした
ダバン「そんなんで俺を超えるつもりか?まだまだだな」
ケニー「くそ!!」
昼頃、広場
ロック「って事があってさー!」
ダバン「はは、それは災難だったな」
ロックとダバンが見回りしながら話していると
ヒュン!
パシッ!
ロック「は.....?」
どこからか飛んできたボウガンの矢をダバンは手で掴んだ。いきなりの出来事にロックはポカンとしている
ダバン「...........方向と速度、狙いの角度的に城の屋根近くか」
ロック「いやいや!何冷静に分析してんだよ!今の危うく殺される所だったんだぞ!?」
ダバン「ああ、気にしないでくれ」
ロック「いや、気にするわ!!」
ダバン「弟と勝負しててな。どっちが上かっていう」
ロック「命をかけた勝負ってなんだよ!」
ダバン「まあまあ」