ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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旅の理由

夕方、ソルティコの街

 

 

ジエーゴの屋敷

 

 

ラースから話を聞いたバンがシルビアを訪ねていた

 

 

バン「という訳でして、テルマとエドの行きそうな道のりを予測して辿るとここ、ソルティコが一番行きそうだなとなって」

 

 

 

シルビア「なるほどね〜。エドちゃんとテルマちゃんがそんな事を。ウフフ、素敵じゃない!アタシ、そういう旅行もいいと思うわよ」

 

 

 

バン「シルビアさん、二人はまだ魔物をたくさん倒せるだけの」

 

 

 

シルビア「わかってるわ。確かにラースちゃん達の言う通り、二人だけで行動するにはアタシも心配だわ。

 

 

でも、わざわざ言いつけを破ってまで向かおうとするのは少し不思議じゃない?特に、あの真面目なテルマちゃんがそれを止めなかった。きっと何かしらの理由があるんだと思うの」

 

 

 

バン「た、確かに....。エドならともかく、テルマまで隠してたのは変かも」

 

 

 

シルビア「でしょ?だから二人にお話を聞いてみましょう。連れ戻すかどうかはその後判断しても遅くないわ。アタシも協力するから、まずはテルマちゃん達の実家に向かってみましょう」

 

 

 

バン「はい!そっか、ソルティコはテルマとチャムちゃんの故郷だった。シルビアさんは二人の実家もご存知なんですね」

 

 

 

シルビア「ええ、アタシとテルマちゃん達はそこで知り合ったのよ。(故郷....ね。もしかして....うふふ)」

 

 

海岸

 

 

エド「ひゃっほーい!!」

 

 

ザバァァン!!

 

 

エドが砂浜から助走をつけながら思いっきり海へと飛び込んだ。大きな水しぶきがたち、近くにいたテルマも巻き込んでいく

 

 

テルマ「わっ!!エド、お前もっと大人しく入ろよな!」

 

 

 

エド「いいじゃんか、別によ!それにしても海は気持ちいいなー!想像よりずっと暖かいし綺麗だ!」

 

 

 

テルマ「だろ?ソルティコの海は旅人とかにも大人気なんだ。でも、流石にそろそろ上がろうぜ。もう少しすると夜になるぞ」

 

 

 

エド「もうそんな時間なのか。あっという間だったな。じゃあまた今度遊ぼうぜ!」

 

 

 

テルマ「ああ.、もちろん。俺も久しぶりに海で遊べて楽しかったからな。俺の家はあっちだ。体を乾かしながら行こう」

 

 

テルマとチャムの家

 

 

コンコン

 

 

シルビア「テルマちゃーん、エドちゃーん。中にいるかしら?」

 

 

中からは返事がない

 

 

バン「........いないみたいですね。気配も感じられません」

 

 

 

シルビア「だとすると、まだソルティコに着いていないか、宿にいるかかしら」

 

 

 

バン「そもそも予想が間違ってた可能性もありますからね。キャンプを.....いや、エドもテルマもそんな事出来るとは思えないんだよなぁ。師匠もソルティコに向かってるだろうって言ってたのに」

 

 

 

シルビア「まあまた夜に来て.....あら?」

 

 

 

テルマ「あ」

 

 

 

エド「げ!?嗅ぎ慣れた匂いがすると思ったら!」

 

 

シルビア達の前には濡れた体をタオルで拭きながら歩くテルマ達がやってきた

 

 

バン「見つけたー!!」

 

 

 

テルマ「あ、えっと、バンさん。これはですね」

 

 

 

エド「逃げるぞ、テルマ!」

 

 

エドはテルマの腕を掴んでそのまま走り去ろうとする

 

 

バン「待て!!」

 

 

バンもそれを見て勢いよく走り出した

 

 

エド「ヒッ、速えな!!」

 

 

 

テルマ「エド!バンさんのスピードには流石に敵わないって!」

 

 

ガシ

 

 

バン「捕まえた。見ただけで逃げようとすんなよ」

 

 

 

テルマ「す、すみません」

 

 

 

エド「離せ!どうせ連れ戻しに来たんだろ!俺達は戻らねえからな!」

 

 

二人は腕を掴まれ逃げられなくなった。テルマはそのまま大人しくしているが、エドはジタバタと暴れ続けている

 

 

バン「おいおい、暴れんなって。連れ戻しに来たのは正解だけどまだ」

 

 

 

エド「ほら見ろ!えい!」

 

 

エドは一瞬爪だけ魔物の形に変化させてバンの腕を引っ掻いた

 

 

バン「痛え!!」

 

 

 

エド「くっ、これでも駄目かよ!」

 

 

 

バン「全く、エドの人の話の聞かなさは面倒なんだよな。あんまこういうの得意じゃねえけど、べグルよりは痛くしないからな。ふん!」

 

 

ガン!

 

 

エド「いっ....」

 

 

ドサ

 

 

バンはエドの頭に思いっきり拳骨を落として気絶させた

 

 

バン「よし。テルマ、一旦どうしてこんな事したのかを聞きたい。まずはテルマ達の家に邪魔していいか?」

 

 

バンは倒れたエドを持ち上げながらテルマに話しかけた

 

 

テルマ「は、はい!どうぞ。あ、シルビアさんもそのために来てくれたんですか?」

 

 

 

シルビア「ええ、そうなの。バンちゃんから話を聞いてね。何か理由があったんでしょ?」

 

 

テルマとチャムの家

 

 

テルマ「自由に座って大丈夫です。冬に帰って以来掃除してないので少し汚いですけど」

 

 

 

バン「別に気にしねえよ」

 

 

 

シルビア「お邪魔させてもらうわね」

 

 

中に入ると、少し広めのキッチンの近くに大きなテーブルと椅子が四つ並んでいた。奥には2階へ続く階段もある。また、扉の横にある大きな窓から夕日の光が家の中に差し込んでいた

 

 

エド「ん.....あれ、ここは」

 

 

 

バン「お、起きたな、エド」

 

 

 

エド「ハッ!!は、離せ!俺達は」

 

 

 

テルマ「エド、大丈夫だ。バンさん達はどうして黙ってたのかを聞きたいんだってよ」

 

 

 

エド「......連れ戻しに来たんじゃねえのかよ」

 

 

 

バン「それはそうだが、理由もなくこんな事やらないだろ。連れ戻すかどうかは理由を聞いてからにする」

 

 

 

エド「そっか。ありがとな、バン」

 

 

 

バン「おう!」

 

 

 

シルビア「この写真。.....テルマちゃんとチャムちゃんのご両親ね?」

 

 

窓の近くには少し大きめな写真が飾られており、そこには笑顔で映る二人の姿があった。写真の近くには花瓶だけが飾られている

 

 

テルマ「あ、そうなんです。父さん達が結婚した時に撮った写真だそうで。まだ俺達が産まれる前なんですけど、二人の姿がしっかり残ってた写真がこれしかなくて」

 

 

シルビア達はその写真を見つめていた

 

 

シルビア「そう。うふふ、チャムちゃんのお目目はママ似なのね。テルマちゃんもパパにそっくりよ」

 

 

 

エド「なんで写真だけなんだ?」

 

 

 

バン「こ、こら、エド。こういうのはな」

 

 

 

テルマ「はは、構いませんよ、バンさん。エド、言ってなかったな。俺達の両親はもう死んでるんだ。魔物に殺されてな」

 

 

 

シルビア「......」

 

 

 

エド「.....そうだったのか。魔物に.....か」

 

 

 

テルマ「別にそのせいで魔物が怖いとかはないさ。それに、俺達みたいなのはこの世界にまだたくさんいる。悲しんでばかりもいられない。

 

 

俺にはチャムも、グラジーの人達も、兵士の皆も、ラース将軍方もいる。それにエド。大事な友達のお前がいてくれる。俺は幸せ者だ」

 

 

テルマは三人に幸せそうな眩しい笑顔を見せた。その姿は差し込む夕日の光と合わさってとても輝いていた

 

 

エド「......ああ!ずっと友達だぞ!」

 

 

 

バン「.....それじゃあ隠していた理由を聞いていいか?」

 

 

 

テルマ「はい。いいよな?エド」

 

 

 

エド「おう。まず、誘ったのは俺からなんだ。テルマはいい奴だからよ、仲間の皆に見せてやりたかったんだ。魔物になれる俺でもこんなに大事な奴が出来たんだって」

 

 

 

テルマ「エドにとって、魔物の里の皆は家族のようなものです。家族に会いに行くのがそんなにおかしい事ですか?きっと魔物でも仲間のエドに久しぶりに会いたいと思ってるはずです。

 

 

会えなければ会えないほどその気持ちが強くなるのは、俺はよくわかります」

 

 

 

バン「.....なるほどな。魔物といえどエドにとっては家族だもんな。だが、テルマは人間だしその里の魔物からすれば部外者だぞ。そこはわかってんのか?」

 

 

 

エド「それはわかってる。だから、俺が仲間の皆に絶対大丈夫だって言うんだ。皆は優しいし、多少人間には俺の例もあって少しは好意的だからよ。テルマなら、魔物の事を少しでも理解してくれるからよ」

 

 

 

シルビア「でもね、二人はまだプチャラオ村までの距離を戦ったりしながら向かうには厳しいと思うの。甘く見てるわけじゃないのよ。ただ、二人に危ない目に遭ってほしくないのよ。二人ともアタシ達の大切な仲間だから」

 

 

 

テルマ「......それは、ごめんなさい。心配かけさせたのは謝ります」

 

 

 

シルビア「今である必要はあったのかしら?もう少し強くなってからでもよかったんじゃない?」

 

 

 

エド「......俺は、さ。ラースと出会ってから俺はまだまだ未熟なんだってわかって、強くなりたいって思ったんだ。止める爺ちゃんと喧嘩して村を飛び出してきたんだ。

 

 

別にそこは後悔なんてしてねえけど、仲間の皆に何も言わずに出て行ったのが心残りでよ。元気にしてるのか、とか、村はどうなってるか、とかずっと気になってたんだ」

 

 

 

バン「なるほど。確かに強くなるまで帰らないって言って喧嘩してきたのは兵士に入った時に聞いたな。寂しくなって群れの皆に会いたくなったのか」

 

 

 

エド「そ、そんなんじゃねえ!!」

 

 

 

テルマ「あの、バンさん。無理を承知でお願いです!もうここまで来たんだし、俺達の小さな旅を認めてくれませんか!?家族に会いたいエドの気持ちを、俺はサポートしてやりたいんです!

 

 

家族はいつでも会える存在じゃないから。また今度にしたら、その次が来る事はないかもしれない。そんな後悔をエドにしてほしくないんです!」

 

 

 

エド「テルマ.....」

 

 

 

テルマ「お願いします!!」

 

 

テルマはその場に座り込み、バンの前に土下座をして頼み込んだ

 

 

エド「俺からも、頼む!!城に帰ったらもっと訓練するから!今だけは頼むよ!」

 

 

エドもテルマの隣に並ぶと同じように土下座をした

 

 

バン「......(なるほどな。師匠が数日休みをくれたのはこれを予想していたからか。それでいて、魔物と話せる俺が適任だと。流石師匠だな、なんでもお見通しって事か)」

 

 

 

シルビア「どうする?バンちゃん。二人がここまでしてくれてるのよ」

 

 

 

バン「よし、わかった!兵士長が責任を持って二人の旅は認めるぞ!」

 

 

 

二人「!?」

 

 

 

テルマ「あ、ありがとうございます!!」

 

 

 

エド「っしゃー!!流石バンだ!べグルだったらこうはいかねえよな!」

 

 

 

バン「だが!これが条件だ!」

 

 

 

エド「えー....なんだよ」

 

 

 

バン「まずは俺が二人に同行する事。これは二人の安全のためだからな。

 

 

二つ目は、危険を感じたら俺の指示に従う事。この先何が起こるかわからない。その時には撤退せざるを得ない時もあるかもしれない。俺の指示には絶対従ってもらうぞ。

 

 

三つ目は、生きて城に帰る事!これは師匠から俺に出された指示でもあるからな」

 

 

 

テルマ「はい!わがままを言ってすみません!でも、本当にありがとうございます!」

 

 

 

エド「それくらいなんて事ないぜ!帰って皆に土産話たくさんしてやろうぜ!」

 

 

 

シルビア「ウフフ、よかったわね。テルマちゃん、エドちゃん。ねえ、よかったらアタシも同行していいかしら?」

 

 

 

テルマ「え!?シルビアさんも!?でも、サーカスとかは」

 

 

 

シルビア「一昨日大きなのは終わって少しお休みなのよ」

 

 

 

バン「シルビアさんまで来てくださるならもう百人力ですよ!ぜひお願いします!」

 

 

 

エド「確かに勇者の仲間でもある兄ちゃんが来てくれればもう万全だな!」

 

 

 

シルビア「ありがとう!それじゃあ明日から楽しく頑張りましょう!」

 

 

 

 

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