ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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見放し

次の日、ソルティアナ 山岳地帯

 

 

テルマ達はガサガサと音を立てて茂渡る草を掻き分けながら歩いていた

 

 

テルマ「ハァ、ハァ。あー、結構大変」

 

 

 

バン「道がないからな、こうやって進むしかないけど山だから斜面もあってキツイな」

 

 

 

シルビア「大丈夫?テルマちゃん。無理しないでいいから、つらくなったらすぐに言ってね。休み休み行きましょう」

 

 

 

テルマ「い、いえ、まだ大丈夫です。それに、皆さんの足を引っ張るわけにはいきませんから」

 

 

テルマは息を切らしながら少し汗を滲ませている

 

 

バン「そんな事ないぞ、テルマ。この旅は二人がきっかけなんだ、それなら二人に合わせるのが俺達だろ。おーい、エド!魔物はいそうか?」

 

 

バンが上を見ると、エドは木の上で遠くから魔物がいるかどうかを見張っていた

 

 

エド「いや、特にいなさそうだぞ!ただ、草の中とかに隠れてるかもしれねえ。そっちは変わらず慎重に頼む」

 

 

 

バン「おう!エドこそ空からの魔物にも気をつけておけよ!エドは大丈夫そうだな。テルマ、少し休むぞ。朝から歩き続けてそろそろ昼にもなるしよ、休むのも大事だって師匠はいつも言ってるからな」

 

 

 

シルビア「そうよ、テルマちゃん。そろそろお昼ご飯にして元気を蓄えたら、またその後から頑張りましょう。無理はよくないわ」

 

 

 

テルマ「わ、わかりました。エド!ちょっと休んでいいか?」

 

 

 

エド「ん?おう!俺も腹減ったしな!ちょうどいいや!」

 

 

エドはそのまま木から飛び降りてきた

 

 

シルビア「それじゃあ皆で休憩ね。アタシは近くに聖水を撒いてくるわ」

 

 

 

バン「じゃあまずは休めるようにここら辺の邪魔な草を切るか」

 

 

 

エド「あまりたくさん切らないでくれよ。魔物や生き物達の隠れる場所でもあるからな」

 

 

 

テルマ「ああ、わかってるさ。俺達が座れる分だけにする」

 

 

バン達はそれぞれ武器で小さく円を作るように草を切っていった

 

 

その後

 

 

エド「それでな!ドラゴンバゲージのやつは本当デカイのに臆病でよ!いつも俺が守ってやってたんだ!まあ他にもゴーレムも一緒だったぜ。あいつは力持ちで皆を持ち上げられるんだ!」

 

 

エドはこれから向かう村にいる魔物達の事を嬉しそうに話していた

 

 

バン「へ〜、いろんなやつがいたんだな。俺もメダチャット地方の魔物は詳しくねえから色々見てみたいな!」

 

 

 

シルビア「ふふ、エドちゃんは皆の中心になってたのね。頼もしいじゃない」

 

 

 

テルマ「村に着いたらその友達にも会ってみてえな。よかったら紹介してくれよ」

 

 

 

エド「もちろんだぜ!あいつら元気にしてるかな〜。俺がいなくなって寂しがってたりしてな!」

 

 

 

テルマ「そうかもしれないな。エドは賑やかだから静かになって寂しがってるんじゃないか?特にそのドラゴンバゲージは話に聞く限りだとそんなイメージがする」

 

 

 

エド「俺も俺も!へへ、楽しみになってきた!そろそろまた向かおうぜ!」

 

 

 

シルビア「そうね。そろそろ休憩は終わりにしましょう」

 

 

 

バン「このペースだと夜になる頃には抜け出せますかね?」

 

 

 

シルビア「う〜ん、どうかしらね。もしかしたら夜もこんな風に過ごす可能性もあるわ。まあそれも旅の醍醐味よ!テルマちゃん達は気にしないでね!アタシ達に全部任せてちょうだい!」

 

 

 

テルマ「また頑張りますね!」

 

 

 

エド「おう!」

 

 

次の日の昼

 

 

メダチャット地方 エドの故郷

 

 

エド「到着だぜ!久しぶりの景色だ!」

 

 

空を隠すように鬱蒼と生い茂っていた木々が無くなり、空から差し込む日の光が真ん中にそびえる大きな樹木を照らしていた。樹木には穴が空いており、家のようになっている

 

 

シルビア「あら、本当に魔物の住む場所って雰囲気ね。周りとは景色が違うわ」

 

 

 

テルマ「へ〜、ここがエドの故郷か。結構広いんだな」

 

 

 

バン「.....仕方ない事だけど、なーんか怪しまれてる空気感だな。影からジッと俺達の事見てるみたいだぜ」

 

 

 

エド「まあ仕方ないよな。でも俺が話すから大丈夫!」

 

 

すると、エドの後ろからふわふわとベホイミスライムがやってきた

 

 

ベホイミスライム「○×☆¥〜」

 

 

 

エド「お!×#☆○!」

 

 

エドとベホイミスライムは知り合いなのか未知の言語で話し始めた

 

 

シルビア「う〜ん、なんて言ってるかわからないわね。エドちゃんは本当凄いと思うわ」

 

 

 

バン「(あれ?前よりはっきり鮮明に聞こえる。一体化した影響か?)俺わかりますよ。今、ベホイミスライムがエドに帰ってきたのかと尋ねたんです。エドはそれにそうだ、仲間や友達も連れてきたって言いました」

 

 

 

テルマ「え....。す、凄いですね、バンさん!魔物の言葉がわかるんですか!?」

 

 

 

シルビア「バンちゃんもわかるの!?アタシも知らなかったわ!」

 

 

 

バン「色々ありまして....。あまり言わないでもらえるとありがたいです」

 

 

 

シルビア「それはそうよね。わかったわ」

 

 

 

エド「あれ?おーい、どこに行くんだよ」

 

 

エドと話していたベホイミスライムはそのまま去っていってしまった

 

 

テルマ「ん?他の皆に伝えに行ったんじゃないのか?」

 

 

 

エド「いや、なんか。雰囲気がおかしくてよ。あまり嬉しそうじゃなかったんだ。失礼だよな、まったく!」

 

 

 

バン「あのベホイミスライムに好まれてなかったんじゃねえの?」

 

 

 

エド「うっせえ!確かに女だからあまり話しかけられはしなかったけどよ!嫌われてはねえはずだ!」

 

 

 

シルビア「あら、女の子だったの。見た目じゃ全然アタシ達には判断出来ないわね」

 

 

すると、周りから続々と魔物がやってきた

 

 

テルマ「わっ!なんかたくさん出てきた」

 

 

 

エド「おお!皆お出迎えか?って、ジジイまでいる....」

 

 

げんじゅつしを中心に様々な魔物がエド達を見ていた

 

 

げんじゅつし「ギギ.....#○*☆×#¥」

 

 

 

エド「◎※♪>#×*!」

 

 

 

げんじゅつし「.........☆$#/×<」

 

 

 

エド「え.....」

 

 

げんじゅつしとしばらく魔物の言葉で会話していたエドが突然ポカンとした表情になった

 

 

バン「ん?何かおかしいぞ」

 

 

 

テルマ「な、なんて言ってたんですか?」

 

 

 

バン「今、あのげんじゅつしはお前の帰る場所はないと言ったんだ」

 

 

 

シルビア「ど、どういう事!?ここはエドちゃんの故郷なんじゃないの?」

 

 

 

エド「....¥○?<#○☆☆#×¥」

 

 

 

げんじゅつし「☆$#/×<」

 

 

 

エド「な、なんで....。俺、ずっとこれまで皆と仲良くしてきただろ!仲間だって言ってくれたじゃねえか!!」

 

 

 

げんじゅつし「〜〜〜」

 

 

げんじゅつしは赤い魔法陣を描くと、複数の炎の弾がエドに向かっていく

 

 

ボォン!

 

 

全員「!?」

 

 

エドの足下へ落ちたそれにエドが怯んだ

 

 

テルマ「ちょっ、今のってメラミですよ!なんでエドは攻撃されてるんですか!?」

 

 

 

バン「い、いや、俺にも何がなんだかわからねえよ。ただ、あのげんじゅつしは人間の仲間などいないって言ったんだ」

 

 

 

シルビア「エドちゃんを仲間じゃない?でも、今エドちゃんは仲間って言ってくれたって」

 

 

 

エド「......お、おい、嘘だよな!ゴーレム!」

 

 

エドは走って並んでいるゴーレムの元に走ろうとする

 

 

どくやずきん「.....」

 

 

ヒュッ

 

 

ドス!

 

 

エド「ぐっ.....」

 

 

遠くにいるどくやずきんが放った矢がエドの脇腹に突き刺さった

 

 

テルマ「エド!!」

 

 

 

エド「なあ......ゴーレム。嘘だよな?俺達....友達だって」

 

 

エドは脇腹を押さえながらゴーレムの元に歩いていく

 

 

ゴーレム「.....ガー!!」

 

 

ゴーレムはエドに大きく拳を振り上げた

 

 

エド「!!!」

 

 

バギィッ!

 

 

エドはゴーレムのパンチに直撃して横に吹き飛ばされる

 

 

テルマ「エド!!」

 

 

テルマはエドに向かって走っていく

 

 

シルビア「流石に止めないとまずいわ!アタシ達も行くわよ!」

 

 

 

バン「はい!」

 

 

 

エド「......なん.....で....」

 

 

倒れて動かないエドの元にトンブレロが炎のブレスを吐き、エドを焼いていく

 

 

テルマ「やめろ、やめろー!!」

 

 

 

エド「ゲホッ....ゲホッ....」

 

 

意識が朦朧としてきたエドの前にはドラゴンバゲージが立ち塞がった

 

 

エド「ドラゴン......バゲージ.....お前は........お前も.....俺を....」

 

 

 

ドラゴンバゲージ「............〜!!」

 

 

ドラゴンバゲージは目を瞑ってエドを押し潰そうと足を踏み出した

 

 

ガァン!!

 

 

テルマ「ぐぐぐぐ....」

 

 

テルマがその間に剣を持って割り込んだ

 

 

エド「.......テル......マ.....」

 

 

 

テルマ「ぐっ、無理だ!エド、悪い!!」

 

 

ドカ!

 

 

テルマはエドを軽く蹴り飛ばした

 

 

テルマ「ぐあっ!!」

 

 

テルマはそのままドラゴンバゲージのパワーで足に踏み潰される

 

 

バン「テルマを、その足を離せ!」

 

 

バンがドラゴンバゲージに蹴りかかった

 

 

バシィ!

 

 

ドラゴンバゲージ「ギィ.....」

 

 

テルマを踏む足をバンが蹴るとそのままドラゴンバゲージは倒れた

 

 

テルマ「ぐっ、ありがとうございます、バンさん」

 

 

 

バン「お前ら、事情は知らねえけど仲間のエドを傷付けるなよ!これ以上やるなら相手になるぞ!」

 

 

バンを構えをとった

 

 

エド「!!やめ.....ろ....バン!」

 

 

エドはかすれた声でバンに叫んだ

 

 

バン「エド....。だが、こいつらはお前を!」

 

 

 

エド「うっせえ......俺の家族に.....手を出すな.....」

 

 

エドはふらふらと立ち上がり、バンを睨みつけた。その目はボロボロの姿でありながらも、はっきりとバンに敵意を持っているのが伝わってくる

 

 

バン「.......わかった。手は出さない。だが、ここは退くぞ。お前もこれ以上治療なしだと危険だ」

 

 

 

シルビア「そうね。アタシが先頭に立つわ、テルマちゃんはエドちゃんをお願い!バンちゃん、後ろは任せたわ!」

 

 

 

テルマ「はい!エド、俺が背負う。急いで治療してもらうぞ」

 

 

 

エド「ぐっ......どうして......どうして」

 

 

エドは涙を流しながらテルマに無理矢理運ばれていった

 

 

バン「........!」

 

 

バンはふと魔物達を見るとドラゴンバゲージが泣いているのが見えた

 

 

バン「(あいつ、なんで泣いてなんかいるんだ?そんなに俺の蹴りが痛かったか?)」

 

 

 

げんじゅつし「......ギギ.....お前、自分達の声、聞こえてるな」

 

 

 

バン「な!?話せるのか!?」

 

 

 

げんじゅつし「少し、人間の言葉、話せる。聞いてほしい事、ある」

 

 

 

バン「お、おう」

 

 

 

 

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