ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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魔物、人間

バン「なんだよ、話って。なんで俺に?」

 

 

 

げんじゅつし「ありがとう。エド、人間の仲間、なれた。エドは人間。自分達、魔物。生き方、違う」

 

 

 

バン「感謝されるような事はしてないぞ。人間だって様々いるんだからな。エドは俺達の大事な仲間だ。だから、俺はあんた達が許せない。家族と信じていたエドの心を踏みにじった」

 

 

 

げんじゅつし「........わかっている。自分達だって........こんな事.....したくなかった」

 

 

げんじゅつしはそのまま崩れ落ちると、涙を流し始めた。それを見た周りの魔物達も泣き始めたり、涙を滲ませていた

 

 

バン「.....さっき、エドに帰る場所はないと言ったよな。なんでだ?」

 

 

 

ゴーレム「.....○〜#$>\・♪☆」

 

 

泣いて話せなくなったげんじゅつしに変わってゴーレムが話し始めた

 

 

バン「エドは元々人間だから魔物の自分達と一緒に暮らすべきではない、か。じゃあ、なんでエドを育てたんだ。話に聞く限りだとエドの父ちゃんが拾ったとか」

 

 

 

げんじゅつし「そう....。ベンガルが、山に捨てられていたあの子を、持って帰ってきた。自分達は猛反対したのだが、ベンガルは聞かなかった。渋々育てていくうちに......自分達に.....ココロが芽生えた。

 

 

エドはとてもよい子。可愛く、真っ直ぐで、頑張っていた。自分達もエドにどれだけ救われたか」

 

 

げんじゅつしがポツリポツリと話していく。周りの魔物達も黙って涙を流しながら聞いていた

 

 

げんじゅつし「エドはきっと、もう自分達の事、嫌いになった。人間として過ごしてもらうために.......魔物の自分達を気にしないでいいように......たくさん傷つけた。皆にもつらい思いをさせた、すまなかった」

 

 

げんじゅつしは村の皆に向かって頭を下げた

 

 

バン「......馬鹿だな、お前達。なんでそれをエドに言わないんだよ」

 

 

 

げんじゅつし「エドは、必ず自分達を気にする。エドは、ここが好きだから。帰ってこようとする。だから......嫌いになるようにした。こんな事、言えない」

 

 

 

バン「そうか。まあ事情があったのはわかった」

 

 

 

げんじゅつし「.......これでいいと思っていた。思わなければいけない。だが.......こんな気持ちになるのなら初めから........いや、ココロなど芽生えなければよかった」

 

 

 

バン「.......」

 

 

バンは静かに涙を流す魔物達を見てそのまま去っていった

 

 

その後、プチャラオ村

 

 

宿屋

 

 

包帯や薬を塗ったエドがベッドに横たわっていた。バンは先程の魔物の話をシルビアとテルマにしていた

 

 

シルビア「そう.....。エドちゃんは人間だから、ねぇ。エドちゃんから見たらそんなの関係ないのに。エドちゃんはあの村の皆を家族だと楽しそうに話していたのに」

 

 

 

テルマ「.....エドには、この事話すんですか?」

 

 

 

バン「まだ話さない。ここで話したらエドはすぐに村に戻るだろうからな。エドが目を覚ましたらデルカダールへ帰る。その後でエドには話そうと思う」

 

 

 

テルマ「わかりました」

 

 

 

シルビア「魔物だから、人間だから。確かに全く違う種族だけど、時に分かり合える存在なのに心苦しいわね」

 

 

その夜

 

 

テルマ「ん......。まだ.....夜か」

 

 

テルマがふと目を覚ました。テルマはチラリと周りを見るとまだ真っ暗で夜な事がわかる

 

 

シルビア「スゥ......スゥ.....」

 

 

 

バン「メグ......へへ」

 

 

近くのベッドにはシルビアとバンの姿はあるが、エドのベッドからはエドがいなくなっていた

 

 

テルマ「!?エドがいない?」

 

 

テルマはそのまま外に出ていった

 

 

プチャラオ村 広場

 

 

夜も更けてきて商人の街といえど、流石に静かになり人気もなくなっていた

 

 

テルマ「どこ行ったんだ、エドのやつ」

 

 

 

おっさん「お〜、どうした坊主、ヒック。探し物かい?」

 

 

テルマが走りながらキョロキョロと見渡していると、それを見た酔っぱらいのおっさんが話しかけてきた

 

 

テルマ「あ、すみません。あの、俺と同じくらいの身長で、前髪がこんな感じのやつ見ませんでしたか?」

 

 

 

おっさん「ん〜......あ〜、あの坊主の事か。そいつならちょっと前に、この先にある高台に向かっていったのを見たぜ、ヒック」

 

 

 

テルマ「ありがとうございます!」

 

 

高台

 

 

テルマ「ハァ、階段が多いな。あ、エ.....ド.....」

 

 

長い階段を登って村の高台へやってくると、大きな岩の上にエドが座り込んでいた

 

 

エド「.......」

 

 

エドは青い毛が生え、爪や尻尾、牙が生えた魔物の姿になっていた。その姿のまま、夜空の月を眺めていた

 

 

テルマ「......エド、探したぞ。あまりその姿になるなよな。村人が驚くだろ」

 

 

テルマがエドに話しかけながら近づいた

 

 

エド「........」

 

 

 

テルマ「おい、エド。無視すんなよ、聞こえてんだろ?」

 

 

 

エド「テルマ」

 

 

 

テルマ「ん?」

 

 

 

エド「お前には、俺が、何に見える?」

 

 

エドはつらそうな、悲しそうな表情でテルマを見た

 

 

テルマ「.......何言ってんだよ。その姿を見るのは久しぶりだけど、どんな姿でもエドはエドだ。俺の大事な友達だ」

 

 

 

エド「.........俺は、一体何なんだ。人間なのか?魔物なのか?俺は......どっちにもなれない......」

 

 

 

テルマ「エド.....」

 

 

 

エド「俺、知ってるんだぞ。見習い達の中で、俺の事を人間になれない魔物だって言われてるの。別に気にしてはなかったけど、家族の......魔物の皆からは、人間はこの群れにいらないと言われた。人間からは魔物に見られて、魔物からは人間に見られて......。俺は.....俺は.....」

 

 

 

テルマ「エドは人間だ!ちょっと不思議な力が使えるだけだ!見習い達の意見なんか気にするな!俺が帰ったら絶対懲らしめてやる!」

 

 

 

エド「......もうわかんねえよ。俺が何なのか、俺すらもわからねえ。父ちゃんから貰った自慢のこの力も......今は何の役にも立たない」

 

 

 

テルマ「俺はその力で助けられたんだぞ。エドならきっとその力でいろんな人を助けられる!」

 

 

 

エド「......魔物の力、だよな」

 

 

 

テルマ「まあそうだな」

 

 

 

エド「もう魔物になっちまいてえよ。そうすれば俺は、皆にまた家族として迎え入れてもらえる」

 

 

 

テルマ「それは......エド?」

 

 

 

エド「そうだ.....魔物になれば父ちゃんみたいになれる。俺の事を魔物だと言う人間達にも、本物の魔物を見せてやれる。魔物に......魔物に!」

 

 

エドは突然力を溜めながら呟き始めた。エドの体からはそれに合わせて怪しい雰囲気に包まれていく。赤いオーラがエドを包み込む

 

 

テルマ「な、なんだこれ!おい、エド!!しっかりしろ!」

 

 

 

エド「俺は!!!魔物だ!!!」

 

 

テルマの叫び声をかき消すようにエドが叫ぶと、エドに生えていた青い毛は逆立ち、エドの体を覆うように大量に生えてきた。また、尻尾は二つに分かれ爪や牙は更に伸びて凶悪になっている。エドは赤いオーラを纏い、目も黒い目ではなく、真っ赤な目をしている

 

 

その姿はまさに、理性を無くした魔物の姿

 

 

テルマ「エド!!!」

 

 

 

魔物「ギャオオオオ!!!」

 

 

一際大きな雄叫びをあげた。怒りと悲しみと困惑に囚われた、魔物の叫び声は村中全体に響き渡った

 

 

 

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