次の日、デルカダール城下町
商店街
マルティナは多くの人に聞き込みをしていた
マルティナ「申し訳ありません。この数日間、広場で窃盗がありまして怪しかった者がいないか探しているのですが」
女性「ごめんなさい、私旅人だからわからなくて」
男性「マルティナ様!?あー、えっと、すみません。俺は思い出の物とかは捨ててしまったので広場の事はよくわからないんです」
広場
マルティナ「う〜ん、あまり情報が集まらないわね。どうしたらいいかしら」
ロベルト「マルティナ様!またお一人で行動されてましたか!」
ロベルトが広場から走ってきた
マルティナ「あ、ロベルト。でも、あなたにはここを警戒していてもらいたいし」
ロベルト「俺、ラース将軍からもグレイグ将軍からもマルティナ様をあまり一人で行動させるなって言われてるんですよ!俺が二人から怒られてしまいますよ!」
マルティナ「そ、それはごめんなさい。でも、私が動きたいの。私が始めた事よ、責任は全部私が受け持つわ。大丈夫、危険な事はしないと約束するから」
ロベルト「そういう問題でもない気はしますが....。でも、マルティナ様の覚悟は伝わりました。俺もお手伝いさせていただきます」
マルティナ「ありがとう。ロベルトは何か情報はあった?」
ロベルト「少しだけ。思い出の物を集め始めて5日後に、見た事ない人がここの周囲を見ていたそうです。男性で、旅人にしては貧相な服装だったと聞いています」
マルティナ「ありがたい情報ね!となると、まず怪しいのはその旅人ね。その情報をくれた人ってどなたかしら」
ロベルト「それは....」
ロベルトは少し苦笑いしている
マルティナ「?」
メグ「私です、マルティナ様。バン共々いつもお世話になっております」
ロベルトの近くからメグがやってきた
マルティナ「あら、メグさん!もしかして、今の情報ってメグさんから?」
メグ「はい、そうなんです。数日前にバンからこのような事があると聞いて、私も家にある捨てられずにいた思い出の物を出そうとしてたんです。その時、この思い出収集場に見た事ない男性の方がいらして、何か呟いていました。
少し気味悪くなったのですが、思い出の物に向けて最後の言葉をかけていると思ってそのままにしていたんです」
マルティナ「なるほどね。特徴とか覚えてるかしら」
メグ「少し怖かったのであまり直視はしていないのですが、ラース様ほどの身長で全体的に綺麗な服装はしていませんでした。所々破けた黒いコートに、護身用なのか少し錆びていた剣も見られました。おそらく、バンや兵士さん達が持つ片手剣だと思われます。形が見慣れていたので」
ロベルト「流石メグさんだ。武器の事までわかるのか」
メグ「いえ、そんな!バンが持っている剣と大きさとかそっくりだったので、短剣や大剣ではないなと思った程度ですよ」
マルティナ「貴重な情報だわ。ありがとう、メグさん。ちなみに、メグさんの出した物って盗まれたのかしら」
メグ「はい.....。先程見てみたのですが、無くなっています。私が赤ちゃんの頃から使っていたおもちゃのベルです。マサルにも使っていたんですけど、もうマサルも大きくなっていらなくなったので。
あんな物を取って何に使うんでしょうか。いらなくなっていたので盗まれても困りませんけど、大切な思い出も盗まれたような気がしてやっぱり悲しいですね」
マルティナ「そうよね。きっと盗られた人は皆悲しい気持ちになっているわ。私のグリズリーの人形も無くなってる。これ以上被害は出したくないわ。絶対捕まえてみせる!」
夕方、広場
マルティナはその後も聞き込みを行なっていたが、怪しい男の目撃情報こそ上がれど足取りまでは掴めずにいた
マルティナ「(今日はここまでかしらね、集まった情報をまとめないと)」
ギバ「おーい、ロベルト!ちょっとだけ運ぶの手伝ってくれ!」
汗だくになっているギバが援護を求めにやってきた
ロベルト「おう、今行く。マルティナ様、ちょっとの間離れますね」
マルティナ「ええ、今日はそのまま休んでいいわ。また明日頑張りましょう」
ロベルト「はっ!」
ロベルトはマルティナに敬礼をしてギバの後を追っていった
ルリ「あ、マルティナ様ー!」
商店街の方からルリとその母親が一緒に歩いてきた
マルティナ「あら、ルリちゃん。こんばんは」
ルリの母「マルティナ様、ルリがご迷惑をおかけしたようで大変申し訳ございません。ルリ、うーちゃんは諦めなさい」
ルリ「やだ!!うーちゃんが王国に住むのはいいけど誰かに盗まれるのは絶対やだ!私も犯人を見つけるの!」
ルリの母「危ない事はしないでって言ってるでしょ!」
マルティナ「お母様、大丈夫ですよ。先程犯人と思われる情報がありました。うーちゃんも他の物も必ず取り返して見せます」
ルリ「本当!?じゃあもうちょっとだね!どんな人!」
マルティナ「男の旅人さんだそうで、所々破れたコートと錆びた片手剣を持っているそうよ。あと黒ずんだ帽子もしてるみたい」
ルリの母「え......。それって....あの方みたいにですか?」
マルティナ「え?」
マルティナが振り返ると、思い出収集場に情報通りの男の人がしゃがんでゴソゴソと漁っている
ルリ「あー!!本当だ、そっくり!!」
怪しい男性「!?」
ルリの大きな声に男は驚いて振り向くと、自分を見ている3人に気がつき慌てて逃げ出した
ルリ「あ、逃げちゃう!」
ルリが追いかけようとすると
ルリの母「ダメよ、ルリ!危ない人なのよ!」
マルティナ「私が追いかけます!ルリちゃん達は待っていてください!」
ルリ「私も行くのー!うーちゃんが待ってるの!」
ルリの母の腕の中でジタバタと暴れるルリを横目に先程の男性をマルティナは追いかけた