ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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57.再び歩く

最後の砦

 

 

 

そこはテントは少なくなっており、争った跡があった。人は見当たらない

 

 

 

グレイグ「誰か.....誰か!!生きている者はいないのか!王よ!どこにおられる!!」

 

 

 

二人で探していると、村の奥から明るい音が聞こえてきた

 

 

 

イレブン「......この音は?」

 

 

 

 

いまひびくよろこびの歌

 

 

朝が来た 朝が来た

 

 

我らを照らす明日への光

 

 

大鷲が天を舞い我らをたたえる

 

 

山河の水は清く澄み我らを癒すだろう

 

 

歌えデルカダールの民よ

 

 

強き心の太陽の民よ

 

 

歌え 歌え よろこびの歌を

 

 

 

遠くから国の旗を掲げながら高らかに歌う人達が歩いてきた

 

 

 

夜は明け、朝日が周りを照らしている

 

 

 

デルカダール王「グレイグ。よくぞ、よくぞやってくれた」

 

 

 

デルカダール王はグレイグに優しく微笑みながら肩に手を置いた

 

 

 

グレイグ「は!う、ううっ!」

 

 

 

グレイグはデルカダール王の言葉に感動している

 

 

 

イレブン達は囲まれていたが、それをどかすようにしてある人が突き進んできた

 

 

 

ペルラ「もうどいて!どいておくれよ!イレブン!!今まで薄暗くてよくわからなかったけど、男前になったじゃないか!フフフッ!やっぱりあんたは私の子だ!」

 

 

 

ペルラはイレブンを抱きしめた

 

 

 

デルカダール王「イレブンよ。グレイグと力を合わせ、よくぞ太陽を取り戻してくれた。礼を言おう。しかし、世界は未だ混乱を極めておる。

 

 

 

そなたはこの世界の希望、勇者じゃ!どうかロトゼタシアに光を取り戻してくれ。

 

 

 

グレイグよ、今日まで我らのためよく戦ってくれた。今宵の勝利は、お前の力あってこそのもの。されば、お前の剣を今こそ世界のために役立てる時じゃ。意味はわかるな?

 

 

 

砦の事は案ずるな。民は強い。そして、わしもな。はっはっはっ!

悩む事はない。お前の心はとうに......決まっておるのだろう?」

 

 

 

 

グレイグ「王にはお見通しですか。イレブン、我らが勇者よ。この命、今日からあなたに預けます。何なりと指示をどうぞ」

 

 

 

グレイグはイレブンの前に跪いた

 

 

 

イレブン「違うよ、グレイグ。そんな事しなくていいの。僕や仲間の皆と一緒に世界を守ろう。ほら、手をとって」

 

 

 

イレブンは笑いながらグレイグに手を差し伸べた

 

 

 

グレイグ「ああ!」

 

 

 

グレイグはそれに笑顔で手を取った

 

 

 

グレイグが仲間に加わった

 

 

 

デルカダール王「皆の者!夜が明けたぞ!我らの勝利だ!」

 

 

 

ワアアアア!

 

 

 

太陽を取り戻した最後の砦の祝宴は一昼夜続き、山間の砦に絶え間なくよろこびの歌が響いた

 

 

そして、夜があけた

 

 

 

次の日、王のテント

 

 

 

イレブンがテントに入ると既にデルカダール王とグレイグが待っていた

 

 

 

デルカダール王「おお、イレブン。昨日はぐっすり眠れたか?それとも、民に眠らせてもらえなかったかな?平和の証だからな、民達も喜んでいるんだ。

さて、本題に入るかの。グレイグ、お前に渡すものがある。これじゃ」

 

 

 

デルカダール王はグレイグにある物を差し出した

 

 

 

グレイグ「!?これは、デルカダールの盾!」

 

 

 

 

デルカダール王「お前は、わしにとって我が子のようなもの。旅立ちにふさわしき身支度を整えるのが親の役目。祝いじゃ、受け取れ」

 

 

 

 

グレイグ「どうでしょうか」

 

 

 

グレイグは早速構えてみせた

 

 

 

デルカダール王「うむ。よく似合っておるぞ。その盾は世界最高の騎士の証。そなたこそ勇者を守る最強の盾じゃ。よいな?」

 

 

 

 

グレイグ「ハッ!」

 

 

 

 

デルカダール王「さて、イレブンよ。道標となる大樹は地に落ち、勇者のつるぎは魔王に奪われたと聞く。しかし、わしはそなたの父ユグノア王からこんな話を聞いたことがある。

 

 

 

北のゼーランダ山と南のドゥーランダ山。その山頂に住まう民達は、なにやら勇者とゆかりのある者達らしい。あの話が本当であるとすれば、そなたは彼らに会うべきであろう。魔王を倒す助けを得られるかもしれない。

 

 

 

ナプガーナ密林を西に抜けると、ソルティアナ海岸に通じる谷がある。その先にある関所を抜ければ、ドゥーランダ山はすぐそこじゃ。我らも預かり知らぬ道ゆえ、何が起こるかわからぬ。心して向かうがよい」

 

 

 

最後の砦 入り口

 

 

 

何人もの村の人々や兵士達がイレブンとグレイグを見届けようと集まっていた

 

 

 

ペルラ「ああ、イレブン。これだけは覚えておいて。世界を救う勇者だろうが何だろうが、あんたはあたしの息子だよ。

 

 

 

ちゃっちゃと世界を救って、イシの村に帰ってきておくれ。あんたの大好きなシチューを、大鍋いっぱいに作って、母さんはいつまでも待ってるからね」

 

 

 

 

 

 

ここから少しだけオリジナルです

 

 

 

ナプガーナ密林 キャンプ場

 

 

 

最後の砦を出た際に高く登っていた太陽は既に沈みかかっていた

 

 

 

イレブン「グレイグ、今日はここら辺で休んでおこう。距離はまだまだあるからしっかり休んでおきたいんだ」

 

 

 

 

グレイグ「了解した、それでは薪を持ってこよう」

 

 

 

 

イレブン「お願い、グレイグ」

 

 

 

その夜

 

 

 

夕食も終えて、焚き火の前でイレブンとグレイグは黙り込んでいた

 

 

 

イレブン「......」

 

 

 

 

グレイグ「.......(気まずい、何を話せばいいんだ。今までの事もあって接し方がわからん、ううむ)」

 

 

 

 

イレブン「グレイグ」

 

 

 

 

グレイグ「(!)ああ、どうした」

 

 

 

 

イレブン「母さんやエマをホメロスから、ウルノーガから守ってくれてありがとう。まだ、ちゃんとお礼言えてなかったから。グレイグがいなかったらきっと、村の皆は殺されてた。本当にありがとう」

 

 

 

イレブンはグレイグに頭を下げる

 

 

 

グレイグ「感謝されるような事じゃない。たしかにあの時村は焼いてしまったが、罪も無い民達を殺すなど、俺にはできなかった。.....俺は、あの時からホメロスがおかしい事に気づくべきだった」

 

 

 

 

イレブン「でも、ホメロスも元はそんな酷い人じゃなかったんだよね?」

 

 

 

 

グレイグ「当然だ。昔から口は悪かったが、俺と共に歩んだあいつは人を簡単に殺すようなやつじゃない。ずっと共にいた俺はあいつの優しさを誰よりも知っている。魂を魔王に売る前は、あいつも良き騎士だったのだ」

 

 

 

 

イレブン「......それを僕の仲間のラースって人にも、会ったら聞かせてあげて。ラースは、ホメロスとホメロスが連れていた魔物達に故郷の村を滅ぼされた上に、村の皆やラースの幼なじみを目の前で殺されてるから」

 

 

 

 

グレイグ「何だと!?あいつは.....そんな事まで。だとしたら、ホメロスの事を憎く思っていて仕方ないだろう。俺は、そのラースという男に謝り尽さなければならないな。

 

 

 

その村にも、いずれ必ず向かって謝罪しなければ。もしや、その男は氷の魔女の時、イレブンの隣にいた茶髪の男か?」

 

 

 

 

イレブン「うん、そうだよ。きっとどこかで生きてるから、会ったら伝えた方がいいと思うよ。僕も手伝うからさ」

 

 

 

 

グレイグ「そうか。ありがとう、イレブン」

 

 

 

 

イレブン「そういえばね、ラースってマルティナと付き合ってるんだよ」

 

 

 

イレブンは思い出したように笑いながら伝えた

 

 

 

グレイグ「な、何だと!!?姫様と!?本当か!イレブン!」

 

 

 

グレイグはかなり驚いた様子でイレブンに詰め寄った

 

 

 

イレブン「うん。皆が言うにはどっちも愛しあってるんだって。僕もね、2人をみてて仲いいなーって思うんだ」

 

 

 

 

グレイグ「な、何と....。イレブン達は、彼女がデルカダールの姫という事を知っているのか?」

 

 

 

 

イレブン「うん。全員知ってるよ。ラースは関係ないって言って告白したんだって。ラースって頭もいいし、とっても頼りになるんだよ」

 

 

 

 

グレイグ「だが、姫様と付き合うなら相当強くなくてはこの先やっていけないぞ」

 

 

 

 

イレブン「ラースはね、かなり強いんだよ。格闘センスはマルティナを超えてて、強い魔物に武器無しでも普通に倒すんだよ。

 

 

 

それに魔法も使えて、僕より使うのが上手でたまに教えてもらってたんだ。回復魔法は出来なかったみたいだけど」

 

 

 

 

グレイグ「ふ、ふむ。俺も姫様の格闘センスには驚いたが、それを超えているのか。魔法も扱うのが上手いなら相当できるやつだな。両方扱うのは、日頃からどちらも鍛えていないと出来ないからな。

 

 

 

言われてみれば、魔女の手先との戦いの時も俺が翻弄されていた素早いあいつに、盾や魔法を使って上手く注意をひいていた。ただの旅人では絶対にできない動きだったな」

 

 

 

 

イレブン「朝とかの時間がある時に、僕らは模擬練習をよくしてたんだよ。ラースはマルティナ以外にもいろんな人とやってたから、今度グレイグもラースと戦ってみなよ。片手剣と盾も使うから、グレイグと少し似てるかもよ」

 

 

 

 

グレイグ「なるほど、いい考えだ。実力も知りたいからな」カサカサ

 

 

 

グレイグの側の木から何かが落ちてきた

 

 

 

イレブン「あ、ミノムシがグレイグのそばに落ちてきた」

 

 

 

 

グレイグ「!!!!??ノアアアア!!!」ダッッ

 

 

 

グレイグは大きな叫び声を上げながら凄いスピードでテントの中へと入った

 

 

 

イレブン「え!?グレイグ!?急にテントの中入ってどうしたの?」

 

 

 

 

グレイグ「す、すすすまない、イレブン。俺は虫が大の苦手なんだ」

 

 

 

グレイグは震えながら顔だけを出していた

 

 

 

イレブン「......ぷっ、アハハハハハ!」

 

 

 

 

グレイグ「な、なぜ笑うのだ!!」

 

 

 

 

イレブン「だ、だって.....ク、クク.....僕より体大きいのに、そんな小さいのがダメなのがかわいくって」

 

 

 

 

グレイグ「う、うるさいぞ!イレブン!男にかわいいなんぞ使うな!」

 

 

 

グレイグは恥ずかしいのか、怒っているのか顔を赤くしている

 

 

 

イレブン「アハハハハ!!」

 

 

 

イレブンは我慢出来ずに大きな声で笑い出した

 

 

 

グレイグ「笑うのをやめろー!!」

 

 

 

二人の賑やかな声が静かな森に響いていた

 

 

 

そして夜が明けた

 

 

 

 

 

 

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