ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

573 / 589
突然変異と強襲

デルカコスタ地方

 

 

二人は話しながらデルカコスタ地方までやってきた

 

 

ベタヤール「ほう、ここにはなんかでかい神殿があるんだな」

 

 

 

ベグル「デルカダール神殿だ。遠くからでも少し見えてただろ?というか、旅人なのにここを知らないで来るのも珍しいな。昔からある神殿で歴史ある建物なんだ」

 

 

 

ベタヤール「悪かったな、田舎者でよ」

 

 

 

ベグル「そういや、出身はどこなんだ?」

 

 

 

ベタヤール「え?あぁ、そっか。俺はシルファ村だ。もう無くなっちまったけどよ」

 

 

 

ベグル「シルファ村?知らないな.....って、なくなった?」

 

 

 

ベタヤール「ホムスビ山地の北方にあったんだ。昔に魔物の襲撃にあって俺以外全滅したけどな」

 

 

 

ベグル「す、すまねえ。嫌な事聞いたな」

 

 

 

ベタヤール「いいって、別に。昔の事なんて気にしなくていいだろ、気が合うならそんなの大した問題じゃない」

 

 

 

ベグル「....はっ、だな。さて、あとは海岸まで行ったら見回りは終わりだぜ。どうだった?」

 

 

 

ベタヤール「ん〜、わりと可愛らしい魔物が多かった印象だな。平和な証だ。まあ、奥の方には結構危険なやつが潜んでるみたいだが」

 

 

ベタヤールは森の奥を睨んでいる。その先には、緑の体をした小さな鬼のような魔物、オコボルトがいた

 

 

ベグル「ああ。あれはオコボルト。かなり怒りっぽい魔物でな、剣や盾を使う少し面倒な魔物だ。人目につく場所まで来るのは珍しいな」

 

 

 

ベタヤール「......ここは、まだ無事か」

 

 

 

ベグル「?何がだ?」

 

 

 

ベタヤール「........まあ兵士だし、知っておくべきか。最近、魔物に変化が見られるようになったんだ。今まででは確認された事のない色の魔物や凶暴性、知能を持つ魔物が出てきている。

 

 

例えば、スライムナイトがいるだろ?あれは普通は緑色で、転生したハートナイトがピンクだろ?それが、黄色いスライムナイトがいるって事だ」

 

 

 

ベグル「聞いた事ない。つまり、突然変異って事か?」

 

 

 

ベタヤール「そういう事だろうな。何が原因かはわからないが、同個体とは遥かに凌駕する戦闘力を持ち合わせている。気をつけておけよ、きっとこの地方にも来る可能性が高い」

 

 

 

ベグル「....わかった。大事な報告を感謝する、王女達にも伝えておく」

 

 

 

ベタヤール「....その必要はなさそうだけどな」

 

 

 

ベグル「それって...?」

 

 

 

ベタヤール「そうだ、魔物で思い出した。デルカダール城には随分と魔物がいるんだな」

 

 

 

ベグル「え....?ま、まあキラーパンサー2匹を飼ってるからな」

 

 

 

ベタヤール「2匹......そうか。魔物を飼うなんて怖い事してるな」

 

 

 

ベグル「だろうな。まあいい奴なんだぜ」

 

 

その頃、デルカダール城

 

 

グレイグの部屋

 

 

グレイグとバン、マーズ、ギバが買い取った魔物の素材を選別していた

 

 

ギバ「この宝石はどうすればいいですか?」

 

 

 

グレイグ「ふむ、それはイレブンが使いそうだな。この袋に入れてくれ」

 

 

 

マーズ「にしても、結構な量あるんですね」

 

 

グレイグの部屋の床には毛皮や石などが散乱している

 

 

グレイグ「そうだな。しかもどれも状態がいい、あの旅人かなりの腕前だと思われるぞ。カミュのような器用さもあるのだろう」

 

 

 

バン「へ〜、俺もどんな人なのか見てみたかったなー!ん?」

 

 

バンは素材が入っていた麻袋の中にまだ一つ欠片が入っている事に気づいた

 

 

バン「グレイグ将軍、これまだ入って.....」

 

 

ドクン

 

 

バン「!!?」

 

 

 

グレイグ「バン?」

 

 

ドサァ

 

 

三人「!!!」

 

 

バンは麻袋に入っていた欠片を触った瞬間、そのまま倒れ込んだ

 

 

ギバ「お、おい、バン!!どうした!?」

 

 

 

バン「か.....かはっ......な、なんだ....」

 

 

バンは苦しそうに顔を赤くしながら胸を押さえている

 

 

グレイグ「ギバ、急いで治療班を呼んでこい!!姫様とラースにもだ!!」

 

 

グレイグはバンに緑の魔法陣を描きながらギバに指示を出した

 

 

ギバ「は、はっ!!」

 

 

 

マーズ「おい、バン!!しっかりしろ!これか、この欠片のせいか!?」

 

 

マーズは急いでバンの手にある欠片を取るが、特にバンに変化はない

 

 

グレイグ「ベホイム!」

 

 

グレイグはバンに強力な治癒魔法をかけるが、それでもバンには変化が見られない

 

 

マーズ「魔法を受け付けていないのか!?呪いの類!?」

 

 

 

グレイグ「いや、打ち消された感覚はない!確かに効いたはずだ。それでも駄目というのはどういう事だ」

 

 

 

バン「あ....ああああ.....」

 

 

バンが苦しむ姿がより激しくなると、バンの胸の中心から黒くなっていきバンの体を包んでいく

 

 

二人「!!!」

 

 

 

バン「やめろーーー!!!!出てくるなーーーー!!!!」

 

 

バタン!!

 

 

ラース「バン!!」

 

 

 

マルティナ「何が起こっているの!?」

 

 

勢いよく開いた扉からラースとマルティナがやってきた。離れた場所からは治療班の姿が見える

 

 

グレイグ「私達にもわかりません!ただ、回復魔法は確かに効いたはずですが、バンの苦しみは取れずに!」

 

 

 

ラース「おい、バン!!しっかりしろ!!」

 

 

ラースはバンの目前まで近づく

 

 

マルティナ「ラース、危険だわ!」

 

 

 

バン「ぐあああああっっ!!」

 

 

バンの体が全て黒く包まれる

 

 

全員「バン!!」

 

 

それと同時に異様な気配が城を包み込んだ

 

 

ブレイブ「ガルルル....」

 

 

 

コロ「グゥゥゥ.....」

 

 

玉座の間にいたブレイブとコロも遠くに威嚇している。その方角は、バン達のいる部屋に向かっている

 

 

デルカダール城下町 グラジー

 

 

ビル「.....なんだ、突然」

 

 

 

マドリー「嫌な予感しかしないわ。マヤちゃーん」

 

 

 

マヤ「はーい。って、あれ?どうしたの?ビルさんもマドリーさんも。なんか....怖い雰囲気だけど」

 

 

 

マドリー「今デルカダール城には帰らない方がいいわ。何か嫌な事が起きてる」

 

 

 

マヤ「え.....。に、兄ちゃん達に何かあったの!?」

 

 

 

ビル「わからん。あのお方達なら平気だろうが、事が止むまではここで大人しくしておけ」

 

 

 

マヤ「はい.....わかりました」

 

 

広場

 

 

エド「なんだよ、突然気味悪い気配が現れたぞ。しかも、どこかバンみてえな.....まさか、あいつも」

 

 

デルカダール城 グレイグの部屋

 

 

バン「.......」

 

 

バンは黒いオーラに包まれており、赤い目でこちらを見つめている

 

 

ギバ「ど、どうしたんだよ、バン!!その雰囲気、まるで」

 

 

 

ラース「ギバ、お前は一旦治療班を下げろ。そして、見張り役をやってるロベルト達も呼んでこい。バンを止めなくちゃならん」

 

 

 

ギバ「で、でも!」

 

 

バンの手と足に黒いオーラが纏われた

 

 

ラース「早く!!」

 

 

ラースがそう言って動いたと同時に、バンが動き出した

 

 

バン「.......」

 

 

 

ラース「せいけんづき!」

 

 

ゴッッ!!

 

 

バンとラースの拳が同時にぶつかり、激しい衝撃が駆け抜ける。周りに散乱していた魔物の素材や麻袋が吹き飛んでいく

 

 

ラース「いっっった!!こっちが押し負けるのかよ」

 

 

ラースは拳を痛めたのか少し手を振っている

 

 

マルティナ「ふっ!」

 

 

その頭上からマルティナがバンに向けてかかと落としをきめる

 

 

ガンッ!!

 

 

バン「......」

 

 

バンはそのまま跳躍して後ろに戻る

 

 

グレイグ「ふん!」

 

 

そこにグレイグが回り込み、バンの手と足を掴む

 

 

グレイグ「はあっ!!」

 

 

グレイグはそのままバンを投げ飛ばした

 

 

バァン!!!

 

 

壁に勢いよくぶつかり、大きな穴を開けた

 

 

マーズ「......武器なしでこれなんだから、本当にこの方たちは.....。というか、情けは一体....」

 

 

 

バン「.....」

 

 

バンは勢いよく起き上がると、グレイグに向かっていく

 

 

グレイグ「!!バンより速い!」

 

 

グレイグは横からの蹴りに反応が遅れる

 

 

ラース「お前の行動ならわかるぜ!!ふっ!」

 

 

ドスン!

 

 

ラースが割り込んで、足を受け止めた

 

 

ラース「ばくれつきゃく!」

 

 

ドガガガ!!

 

 

ラースがそのままバンの顔に蹴りを連打していく

 

 

ドォン!!

 

 

バンは扉をぶち破って飛んでいった

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。