ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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魔導核

夕方、デルカダール城 城門前

 

 

 

魔物の群れを倒しきったベグルとベタヤールは二人で話しながら帰ってきた

 

 

 

ベグル「ベタヤール、あんなに強いなんて驚いたぜ」

 

 

 

ベタヤール「俺こそベグルがあんなにパワフルに動くなんてな、流石はその体格に大剣だな。正直言うとちょっと引いた」

 

 

 

ベグル「な!?そんなに暴れてねえよ!あんなに一瞬で魔物を切り刻んでたお前に言われたくねえ!」

 

 

 

ベタヤール「はは、悪い悪い。ん?」

 

 

 

バン「よう、待ってたぞ」

 

 

 

城門の見張りの位置からバンが降りてきた。顔や腕には包帯がギプスがされてある

 

 

 

ベグル「バン、お前その怪我どうした?ガザルにされたにしては大怪我だな」

 

 

 

バン「ベグル、こいつと仲良くなったのか?」

 

 

 

バンは普段のおちゃらけた顔はせず、睨むようにベタヤールを見ている

 

 

 

ベグル「あ、ああ。少しな。どうした?お前、そんな殺気立つなんて珍しいな。って、そうだ!報告しなきゃいけない事があるんだ!デルカコスタ地方で魔物が」

 

 

 

バン「その報告は後回しだ。お前、何者だ?」

 

 

 

ベグル「!?」

 

 

 

ベタヤール「.....な、なんですか、兵士さん。そんな睨んで警戒までされると、流石に怖いですよ。ベグル、ここの兵士達どうなってんだよ。ただの一般人に向ける敵意じゃないだろ」

 

 

 

バン「......まあいい。明日の昼、城の玉座の間にお前を連行させてもらう。王女様達がお前と少し話したい事があるそうだ」

 

 

 

ベグル「何があった」

 

 

 

バン「この後話す、その間に逃げられても困るからな。悪いが、これさせてもらうぞ」

 

 

 

バンはそう言って手錠を出した

 

 

 

ベタヤール「わ、わぁ....。あれ?俺、何かしました?」

 

 

 

ベグル「そ、そこまでする必要ないだろ!罪人みたいじゃないか!こいつはただの......」

 

 

 

途中で止まったベグルにベタヤールは少し驚いた表情をする

 

 

 

ベタヤール「いや、そこで止まるのかよ!俺を庇ってくれるんじゃないのか!」

 

 

 

バン「明日までの辛抱で頼む。これ付けて城まで来てくれ。部屋は用意してある、悪いようにはしない」

 

 

 

ベタヤール「お、俺の宿は」

 

 

 

バン「宿代が浮いて助かっただろ?荷物とかあるなら部屋を教えてくれれば俺達が取りに行く」

 

 

 

ベタヤール「流石に荷物を人に見られたくないな〜。取りに行っていい?」

 

 

 

バン「.....いいぞ。ただし、俺とベグルもついて行く。変な気は起こすなよ」

 

 

 

ベタヤール「うへぇ.....。ベグルでさえあの強さだったのに、その上もう一人なんか強そうな人がいると流石にお手上げかな〜」

 

 

 

そのままベタヤールはバンに近づいて手首を差し出した

 

 

 

ベタヤール「君、中々面白い事してくれたね」

 

 

 

バン「!!?」

 

 

 

ふとバンにだけ聞こえるレベルでそう囁かれた

 

 

 

ベグル「どうした?」

 

 

 

ベタヤール「なんでもないよ。手錠掛けられてびっくりしただけ」

 

 

 

バン「(こいつ.....やっぱり怪しいな。何を隠している)」

 

 

 

その後、宿屋まで行き荷物を取るとそのまま城へと向かった

 

 

 

デルカダール城 客室

 

 

 

ベタヤール「おー!!お城の部屋ってだけあって凄い豪華!!」

 

 

 

バン「あまりはしゃぐなよ。ご飯は用意させる、ただし部屋から出るなよ」

 

 

 

ベタヤール「いやー、出たくなんてなくなりましたよ」

 

 

 

バン「ならいいけどな」

 

 

 

ベグル「......ベタヤール。正直言うと、俺はお前を怪しいなんて思えない。あの語ってくれた夢、眼差し、本気の目をしてた。そんなやつが怪しいわけない。俺は信じてるぞ」

 

 

 

ベグルはそう言って部屋を立ち去った

 

 

 

ベタヤール「......ベグル....」

 

 

 

その夜、デルカダール城 大広間

 

 

 

ラースとマルティナ、グレイグは3人で麻袋に入っていた物を調べていた

 

 

 

グレイグ「どれだ、図鑑にはあまり乗っていない物もある」

 

 

 

マルティナ「これ、多分ほうおうの羽根ね。凄い綺麗だわ」

 

 

 

ラース「俺達が覚えてる魔物と照らし合わしていく必要があるのは苦労するな。明日、イレブンやカミュにも頼ろう。俺達より詳しいだろうしな」

 

 

 

そう言ってラースが黒い物に何気なく触るとほのかに白く光った

 

 

 

ラース「!!」

 

 

 

バッ!

 

 

 

ラースは反射的に持っていた物を投げ捨てた

 

 

 

二人「!?」

 

 

 

マルティナ「どうしたの、ラース!」

 

 

 

ラース「.....これだ。きっと、バンをおかしくさせた原因だ」

 

 

 

既に光は消えており、ただの黒い物体になっている

 

 

 

グレイグ「本当か!こんな、何の変哲もなさそうな欠片が」

 

 

 

グレイグはそう言って投げ捨てた欠片に手を伸ばした

 

 

 

グレイグ「む!?」

 

 

 

グレイグも指が触れた瞬間にすぐに手を引っ込めた。再び白く光った

 

 

 

グレイグ「これは.....なんだ。触れた時にだけ邪悪な力を感じたぞ」

 

 

 

マルティナ「私も触ってみてもいい?」

 

 

 

ラース「.......ああ。俺の予想が正しければ、マルティナは効かないはずだ」

 

 

 

マルティナ「え?.....?本当ね、特に何も」

 

 

 

マルティナは特に何も感じないようで、そのまま物体を触り続けている。物体も特に光る事はない

 

 

 

グレイグ「ど、どういう事だ」

 

 

 

ラース「これは、おそらく魔導核と呼ばれる、キラーポッドとかの中身だろう」

 

 

 

グレイグ「中身?中にいるのは魔物ではないのか?」

 

 

 

ラース「あいつらは所謂、魔導人形のようなものだ。この魔導核があいつらの外装や中身のような物を作り出して動いている。倒せばそのまま煙となって消え去るが、詳しくは知らないがこうして魔導核を取り出す方法があるらしい」

 

 

 

マルティナ「そんな方法が...。でも、どうしてバンはあんな風に?」

 

 

 

ラース「この魔導核、おそらくただの魔導核じゃない。邪悪な力や魔力が込められている。魔導核自体、魔力がないと働かない。だから俺やグレイグには感じ取れてマルティナには感じ取れない。

 

 

バンにも魔力こそないものの、中には魔物の姿のバンがいる。魔物にこんな邪悪な塊を与えれば暴走するのは、これまででよくわかってるだろ」

 

 

 

グレイグ「なるほどな。なら、これは即刻で破壊した方がいいな」

 

 

 

マルティナ「そうね。こんな物あってもいい事はなさそうね」

 

 

 

ラース「.....いや、少しだけ待ってほしい。試してみたい事がある」

 

 

 

二人「?」

 

 

 

次の日、デルカダール城 玉座の間

 

 

 

兵士全員に連行されてベタヤールがやってきていた

 

 

 

ベタヤール「こ、こんな状況初めてだ」

 

 

 

ベグル「.....すまん。出来るだけ早く」

 

 

 

バン「ベグル」

 

 

 

ベグル「.....わかってる。仕事に支障はきたさない」

 

 

 

マルティナ「突然ごめんなさい、旅人さん。デルカダール王女のマルティナといいます」

 

 

 

ベタヤール「へ、あ。こ、こちらこそ初めまして。しがない旅人のベタヤールといいます。あのー、お話とは?」

 

 

 

グレイグ「俺からさせてもらおう」

 

 

 

ベタヤール「あ!えっとー、確かブレイクさん」

 

 

 

グレイグ「グレイグだ!貴様から貰ったあの魔物の素材、どうやって入手した?」

 

 

 

ベタヤール「どうやって?えっと、魔物を倒したら煙にならずに残った物があったのでそれを」

 

 

 

グレイグ「そうか。狙わないと取れない物もあるみたいだが」

 

 

 

ベタヤール「流石に狙ってますよ。ただ倒してるだけじゃ旅人出来ないんで。結構お金必要なんすよ」

 

 

 

ラース「ただ、魔物が普通のやつではないな。何の魔物かわかるか?」

 

 

 

ベタヤール「見事な質問攻め。まあ予想してましたけどね。耳にした事ありませんか?魔物の突然変異について」

 

 

 

ラース「......数回だけ。だが、これ全部がそうだというのか?」

 

 

 

ベタヤール「まあかなりの数は突然変異体の素材です。馴染みがないのもそのせいですね。まだこの地方には来てないですが、他の地方の奥地では見られるようになってきてます」

 

 

 

ラース「......そうか。よし、これで最後の質問だ。お前、魔物は好きか?」

 

 

 

ベタヤール「?いえ、嫌いですね。あまり関わりたくないです」

 

 

 

ラース「そうか、わかった。質問ばかりしてすまなかったな、もう解放していいぞ」

 

 

 

バン「え....。い、いいんですか?師匠。だって、こいつは」

 

 

 

ラース「大丈夫だ、いつまでもこうさせてるのは可哀想だろ。ほら、鍵」

 

 

 

ラースは持っていた手錠の鍵で手錠を開けた

 

 

 

ベタヤール「お師匠さん?」

 

 

 

ラース「ああ、紹介がまだだった。俺はラース、マルティナ王女の騎士をやってる。以前は兵士長をやっていたから、兵士長からは師匠って呼ばれてる。よろしくな」

 

 

 

ラースはベタヤールに手を差し出した

 

 

 

ベタヤール「そうなんですね、よろしくお願いします」

 

 

 

ぎゅっ

 

 

 

ベタヤール「.......それでは、自由になった事ですし俺は帰りますね」

 

 

 

マルティナ「ええ、拘束させてごめんなさい。お詫びのお金も用意したから自由に使って」

 

 

 

グレイグ「持っていけ」

 

 

 

グレイグは5万ゴールドが入った袋を渡した

 

 

 

ベタヤール「わぁ!嬉しいです、ありがとうございます、ブレイクさん!」

 

 

 

グレイグ「だから!!グレイグだと言っているだろう、貴様!!」

 

 

 

ベタヤール「へへ、すみません、グレイグさん。それではー!」

 

 

 

バタン

 

 

 

バン「.....なんで、解放したんですか?あの素材は用意された罠だった可能性も」

 

 

 

ラース「それはない。本人にその意思はなかったようだし、偶然俺達が持ってしまったんだろうな」

 

 

 

バン「.......師匠、実は俺....いや、いいです。わかりました」

 

 

 

ラース「?まあいい。とりあえず、この嫌なやつ取らないと」

 

 

 

ポト

 

 

 

ラースの手からあの魔導核が落ちてきた。ベタヤールと握手した際に、これを触らせたのだ

 

 

 

マルティナ「どうだった?反応は」

 

 

 

ラース「黒。反応なしに見えたが、魔導核は光っていた。紫に、な」

 

 

 

マルティナ「だとすると、彼は....」

 

 

 

ラース「ああ。少なくとも、嫌な力を持っているな」

 

 

 

グレイグ「本当に捕らえんでよかったのか?」

 

 

 

ラース「敵意がないのにそんな事出来ない。王国の規則にもそうあるしな。敵意が向けられれば、遠慮なくいかせてもらう」

 

 

 

ベグル「......」

 

 

 

その頃、デルカダール城門前

 

 

 

ベタヤール「.......あー、してやられた。あの茶髪の騎士のやつ、頭が回りやがるな、くそ」

 

 

 

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