ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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ミラの夢

それから一週間後、ユグノア城 玉座の間

 

 

 

イレブン「へ〜、突然変異体。そんなのが出てきてるんだ」

 

 

 

ロウ「うむ。わしも耳にしただけで詳しくはわからぬが、姫からの手紙にもあった。同個体よりも遥かに強いらしい。わしらも警戒しておかねばならんかもしれんのう」

 

 

 

エマ「そんなのがいるんですね。イレブン、ロウ様、無理だけはしないでくださいね」

 

 

 

イレブン「うん。ありがとう、エマ」

 

 

 

イレブン達が少し話していると、玉座の扉が開かれた

 

 

 

ガチャ

 

 

 

ダバン「失礼します、ダバンです」

 

 

 

ダバンが礼をして入ってきた。その後ろにはミラもいる

 

 

 

イレブン「あ、ダバン。それにミラさんまで」

 

 

 

ロウ「おやおや、どうかしたのかのう」

 

 

 

ミラ「ご無沙汰してます、イレブン様、ロウ様、エマ様。実は折り入ってご相談したい事がありまして」

 

 

 

イレブン「どうしたの。なんでも力になるよ」

 

 

 

ダバン「ありがとうございます。あの、ミラは聖地ラムダが出身なのはご存知ですよね。その影響もあって古代文字を読めたりするんです」

 

 

 

ロウ「ほ!?勉強しても苦労すると言われるあの古代文字を!それは凄いのう!」

 

 

 

ミラ「そんな、ちょっとだけなんで大した事ではありません。それで、昔からの私の夢は考古学者になる事だったんです。いろいろあって中断していたけど、ダバン達からの応援もあってまた再開しようと勉強していたんです」

 

 

 

エマ「考古学者....。頭がよくないとなれないって聞いたわ、凄いです!」

 

 

 

ダバン「なので、もしもよかったらなんですけど、城の学者チームにミラを入れてほしくて」

 

 

 

ミラ「私、ダバンだけの収入でやっていくのは申し訳なくて。それに、ケニーの事でもお金を使いそうだし、私も少しでも働かないとと思いまして。本当に大した事じゃなくていいんです!ちょっと探索とかに行ければそれで大丈夫なんで!お願いします!」

 

 

 

イレブン「うん、それは全然平気!むしろ、学者なんて中々人がいなくてね。こっちからお願いしたいくらい!待ってて、今学者リーダーの人呼んでくる!」

 

 

 

エマ「私が行くわ、イレブン。マリーさんよね」

 

 

 

イレブン「ありがとう、エマ。じゃあお願い!」

 

 

 

エマは走って出ていった

 

 

 

ミラ「ありがとうございます!」

 

 

 

ダバン「よかったな、ミラ。ただ....お金の事なんて考えてたのかよ。別に俺の収入だって悪くないはずだろ?」

 

 

 

ミラ「収入に文句言ってるわけじゃないのよ。今後のため!それに、いつまでもダバンのお金で私やケニーまでお世話になるのはちょっと....情けない気がしてたの。ダバンのお荷物みたいだわ」

 

 

 

ダバン「お荷物!?ミラ、そんな事言うな!俺はミラの事をお荷物だなんて思った事ない!」

 

 

 

ダバンがミラの発言にカチンときたのか、強めの口調で声を出した

 

 

 

ミラ「あ、違....別に私だって」

 

 

 

ガチャ

 

 

 

マリー「失礼します、王様。歴史研究リーダー、マリーです」

 

 

 

ミラが慌てて言い直そうとしていると、タイミング悪く扉が開いて深緑色の長い髪をして丸い眼鏡をかけた中性的な顔つきの人がやってきた

 

 

 

イレブン「突然呼び出してごめん。新しくチームに入りたいって人がいて」

 

 

 

マリー「はい、お話はエマ様からお伺いしております。ミラさん、でしたね?」

 

 

 

ミラ「はい!雑用でもなんでもやるのでお願いします!」

 

 

 

マリー「なんでも古代文字が読めるとか。期待してますよ。おや、確か兵士長のダバンさん」

 

 

 

ダバン「こんにちは、マリーさん。話すのは初めましてかもしれないな。ミラは俺の奥さんでもあるんだ。よろしく頼みます」

 

 

 

マリー「そうでしたか、幸せそうでなによりですね。ではミラさん、私達の事について詳しく説明しますので私についてきてください」

 

 

 

ミラ「はい!じゃあ、ダバン.....また後でね。さっきのは忘れて。イレブン様、ロウ様、ありがとうございました!」

 

 

 

ミラとマリーは玉座の間から出ていった

 

 

 

ダバン「......はぁ」

 

 

 

イレブン「えっと、ダバン。ミラさんもいろいろ考えてるんだよ。きっと自分の力でお金を稼いで、ダバンを楽させたいとかさ」

 

 

 

ロウ「うむ。ミラさんの性格から考えるに、甘えっぱなしは嫌なんじゃろうて」

 

 

 

ダバン「それは.....理解してますけど。お荷物って.....なんでそんな」

 

 

 

ロウ「おそらく比喩表現じゃろうて。本気で思ってる訳ではないじゃろう」

 

 

 

ダバン「だと....いいんですけど。まあ夜にミラにもう一度聞いてみます。それでは、自主訓練してきます。失礼しました」

 

 

 

バタン

 

 

 

イレブン「.....大丈夫だよね、おじいちゃん」

 

 

 

ロウ「ほほ、ダバンもミラさんも共に話し合おうとしておるから大丈夫じゃろうて」

 

 

 

その後、ユグノア王国 広場付近

 

 

 

王国に流れる小さな川瀬にぼーっとダバンが座っていた

 

 

 

ダバン「あー......今日はいい天気だなぁ」

 

 

 

その背後から音もなく近寄る人が

 

 

 

シュッ!

 

 

 

パシッ

 

 

 

ケニー「チッ!」

 

 

 

グルン!

 

 

 

ケニー「ぬおっ!?」

 

 

 

ドサ!

 

 

 

ケニーが振るった短剣はダバンに当たる前に腕を掴まれ、そのままダバンの前に投げられる

 

 

 

ケニー「いってえな!」

 

 

 

ダバン「なあ、ケニー。聞いてくれよ〜」

 

 

 

ダバンは全く動じもせずにそのまま話しかける

 

 

 

ケニー「てめえ....腑抜けてやがるからチャンスだと思ったのに。あと、てめえの話す事に興味ねえ」

 

 

 

ダバン「さっきミラによ〜」

 

 

 

ケニー「あの女に何かあったのか?」

 

 

 

ダバン「やたらとミラに食いつくじゃねえか。やらねえぞ」

 

 

 

ケニー「な!?いらねえよ!あんな女!で!なんだよ、続き!」

 

 

 

ダバン「俺の金で生活していくのがお荷物みたいなんだってよ」

 

 

 

ケニー「.....は?なんだ、そりゃ」

 

 

 

今までしかめていた顔が突然きょとんとした顔になった

 

 

 

ダバン「よくわかんね。ミラ、俺のお荷物みたいって言っててショックだったんだ」

 

 

 

ケニー「へ〜。お前がショック受けてるのはざまあみろだけど、なーんか気に食わねえな、それ」

 

 

 

ダバン「だろ?俺、ミラがいなかったら飯も生活もろくに出来ねえのに」

 

 

 

ケニー「昔から何も変わってねえのかよ。一人暮らしして多少出来るようになるもんだろ」

 

 

 

ダバン「兵士の金があればそれなりな家と外でいい飯が食えるもんでな」

 

 

 

ダバンはため息混じりに今までの生活を振り返っていた

 

 

 

ケニー「はっ、そうかよ。いいねぇ、兵士様はお金持ちで」

 

 

 

ダバン「お前もなるか?兵士」

 

 

 

ケニー「まっぴらごめんだね。第一兵士なのに短剣使うなんて変だろ」

 

 

 

ダバン「使いたい武器があるならそれでやればいいだろ。何も剣だけじゃないさ。デルカダールには武器も持たずに突撃していく馬鹿が兵士長だったんだぞ」

 

 

 

ケニー「なんだそのかくとう馬鹿。というか、いい加減この手離せよ!」

 

 

 

その時

 

 

 

ロック「お!ダバン、いい所に!」

 

 

 

ダバン達の後ろからロックが走ってやってきた

 

 

 

ダバン「ん?ロック、どうした?」

 

 

 

ロック「あれ?お前、確かダバンの弟の。何してたんだ?」

 

 

 

ケニー「こいつを殺そうとしてた」

 

 

 

ダバン「弟と楽しくお喋りしてたんだ」

 

 

 

ロック「いや、お互いの解釈に乖離ありすぎだろ。一体どういう事だよ。まあいいや、聞いたか?遺跡調査の話」

 

 

 

ダバン「遺跡調査?知らないな」

 

 

 

ロック「そうか。さっき話題になってたんだが、この前新しく発見された大きな遺跡が山奥にあっただろ?」

 

 

 

ダバン「あー、あれか。柱とかゴロゴロしてる」

 

 

 

ロック「そうそう。そこにこの後、歴史研究チームを護衛しながら一緒に向かうんだってよ。お前は兵士長だから絶対行く事になると思うぜ」

 

 

 

ダバン「確かに。教えてくれてありがとな、ロック」

 

 

 

ロック「おう!俺も戦力としてはいい感じだし、選ばれたりしないかな〜」

 

 

 

ケニー「その遺跡、俺も知ってるぞ。ここから南西にある山の中だろ?というか、馴染み深いな」

 

 

 

二人「馴染み深い?」

 

 

 

ケニーのまさかの発言に二人とも不思議な顔をする

 

 

 

ケニー「そこ、盗賊の時に俺が隠れて拠点にしてた場所だ。ある程度の勝手なら知ってるぜ」

 

 

 

ロック「へー!お前盗賊やってたのか。なんだ、強そうだと思ってたけどきっと強いんだろうな」

 

 

 

ケニー「....別に....」

 

 

 

ケニーは突然褒められた事に少し照れている

 

 

 

ダバン「ケニーは素早いからな、結構やる方だぞ。というか、それならお前も来るか?勝手が知ってるなら案内してほしい」

 

 

 

ケニー「はっ、ごめんだね。誰がそんな事」

 

 

 

ダバン「その歴史研究チームにな、さっきミラが加入したんだ。もしかしたら俺達と来る事になるかもしれないぞ」

 

 

 

ケニー「は!?なんであんなただの女が!」

 

 

 

ロック「そうなのか、ダバン!」

 

 

 

ダバン「ミラは聖地ラムダの出身でな。考古学者を夢見て勉強してたんだ。だから古代文字とか読めたり、過去の歴史に詳しいんだぜ」

 

 

 

ケニー「へ〜、なんか意外」

 

 

 

ロック「学者か〜、ダバンの嫁さん美人さんな上にそんな頭までいいのか。く〜っ!そんな人を妻にしてるとか羨ましいったらないぜ!」

 

 

 

ダバン「で、ケニーも来てくれるか?」

 

 

 

ケニー「.....まあ、考えてやらなくもない」

 

 

 

ダバン「そうか、じゃあ気が向いたらついてきてくれ」

 

 

 

しばらくして、ユグノア城 玉座の間

 

 

 

兵士長のダバンとイレブン、歴史研究リーダーのマリーがこれからの予定について話し合っていた

 

 

 

イレブン「魔物の気配はあるとされてるから、くれぐれもマリー達はダバン達から離れないようにね」

 

 

 

マリー「はい、問題ありません。ダバンさん、いろいろご迷惑おかけしますがお願いします」

 

 

 

ダバン「いえ、護衛には慣れています。どこかに向かう際は連絡をお願いします」

 

 

 

イレブン「それじゃあ夕方には戻ってきて。何日かに分けてやっていこう」

 

 

 

二人「はっ!」

 

 

 

ミラ「ダバン、いきなり一緒にお仕事ね。私、役立ってみせるわね」

 

 

 

ダバン「ああ、前みたいに俺が周りを警戒しておく。ミラは気にせずに解読していてくれ。ああ、そうだ。それと、イレブン様、マリーさん。このメンバーにもう一名、連れていきたい人が」

 

 

 

イレブン「ん?誰?」

 

 

 

ダバン「おーい、ケニー!」

 

 

 

ダバンが声をあげて呼びかける

 

 

 

バダン!

 

 

 

しばらくして乱暴に扉が開かれた

 

 

 

ケニー「なっんでこんな所に来なきゃいけねえんだよ!クソ野郎!」

 

 

 

ミラ「あら!」

 

 

 

ダバン「弟のケニーです。口は悪いですが、どうやら今回の遺跡はケニーが昔拠点としていた場所のようで、勝手がわかっているみたいです。案内役としてお願いしました。腕も立つので魔物相手にも問題ありません」

 

 

 

マリー「おお、そうか。それはありがたい、ケニーさん、よろしくお願いします」

 

 

 

ケニー「.....うっす」

 

 

 

イレブン「(へ〜、ケニーとダバン。随分距離が縮まったんじゃないかな。あのカレーの件のおかげかな)」

 

 

 

ミラ「ふふ、まさかケニーまで来てくれるなんて。とっても頼もしいわ、ありがとう」

 

 

 

ケニー「別に。見てるだけだからな」

 

 

 

ダバン「それでは出発しましょうか」

 

 

 

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