全員「.....」
全員が黙って嫌な気配がする方への道を見つめていた
ダバン「よし、こうしてても仕方ない。ミラ、マリーさん。俺達三人が前に出ます。出来るだけ離れずに、でも後ろからついてきてください」
ミラ「うん。わかったわ」
マリー「はい。ミラさん、先程貸した道具をすぐに使えるようにしておきましょう」
ロック「よーし、さっさと行ってさっさとこんな所抜けようぜ!走ればすぐだって」
ダバン「だな」
石の広間
そのまま道を進んでいくと、大きな空間に出た。上からは外の青い空が見えている
全員「!」
ダバン「なんだ、あれ」
その中央には大きな赤い塊が転がっていた
ケニー「....前に来た時はあんなんなかったぞ。あれは....宝石?」
マリー「ここで取れた物でしょうか。それとも誰かがここに?」
ガラ
全員「!!」
赤い塊が勝手に動き出し、意思を持つかのような動きで形を成していく
ミラ「これって!」
ゴーレム「ゴーレム!!」
赤いルビーで出来た巨大なゴーレムとなった。その大きさは普通のゴーレムよりも大きく、ダバン達が真上を向かなければ顔すらも見えない
ロック「おいおい!こんな宝石みたいなゴーレムがいんのかよ!」
ゴーレム「ゴー!」
ゴゴゴゴゴ
ゴーレムが大きく声をあげると、通路への道が石で塞がれた。それと同時に、吹き抜けとなっていた場所も石で塞がれていく
ケニー「光がなくなるぞ!」
周りは空からの光がなくなっていき、どんどん真っ暗となる
マリー「私にお任せください!発光虫!」
マリーが袋から数個壁に向けて虫を飛ばすと、壁にくっついた虫がそれぞれ光を放ち始めた
吹き抜けとなっていた場所は石で塞がれ、広い空間にゴーレムとダバン達は閉じ込められた
ゴーレム「ガー」
ゴーレムがドスンドスンと足音をたてて近づいてくる
ロック「ダバン、やるしかないみたいだな」
ダバン「ああ。どうやらただのゴーレムなんかよりよっぽど知性も強さもありそうだ。気をつけろ」
ケニー「女達はそこでじっとしてな!はっ!」
ケニーが素早くゴーレムへと走っていく
ケニー「厄介な事はさせねえ!眠りな!ナイトメアファング!」
大きく跳んだケニーは二振りの短剣に黒いオーラを纏わせて腕に勢いよく切りつける
ガン!!
ケニー「いっ!!」
しかし、短剣はその身体に一切刺さらずビリビリとした感覚がケニーに返ってきた
ケニー「ちっ!」
なんとかゴーレムの体を蹴って距離を離し、ダバン達の元まで下がる。ゴーレムはまるで何もされてないかのように立っている
ケニー「こいつ、どんだけ硬いんだ。全く刃が通らねえ」
ダバン「そうか。ゴーレムでさえ、岩にも剣は通るのにな」
ロック「どんだけカッチカチなんだよ、こいつ」
ミラ「ほ、宝石だからかもしれないわ!」
ケニー「宝石だから?」
ミラ「ええ。宝石はダイヤみたいに岩や鉄よりもずっと硬いのよ。赤い宝石。つまりルビーとかだとするなら、鉄や銀なんかじゃ傷一つ付けられない可能性もあるわ!」
ダバン「となると、剣じゃこいつの身体は壊さないのか?」
ロック「いやいや、だとしたらどうすんだよ!こんなん!」
ケニー「......なら、これでどうだ?」
ケニーは目を閉じて集中すると、ゴーレムに緑色の魔法陣が浮かぶ
ダバン「!お前、魔法を」
ケニー「ルカニ!」
ゴーレム「ゴー...」
ゴーレムに特に変化は見られない
ロック「....効いたのか?」
ケニー「知らね。あまり使った事もないから失敗した可能性もある」
ロック「まあいっか、効いたと信じるぜ!俺も向かう!」
ロックがゴーレムに走っていく
ゴーレム「ガー!」
ゴーレムは巨大な足でロックを踏み潰そうとする
ロック「そんな見え見え、喰らうかよ!はやぶさ斬り!」
ロックは軽々と避けると、足に向かって素早く斬撃を二回繰り出した
ガァン!ガァン!
ロック「っっっくぅー!!いってえー!!」
ロックは手を振って痛がっているが、その足には少し傷が付いていた
ロック「ルカニちゃんとかかってるみたいだぜー!」
そう言いながらロックが離れていくと
ゴーレム「ガー!」
ゴーレムがロック目指して指を指した。すると
ボゴ
全員「!」
壁に付いていた石がいくつも勝手に浮いて動き出した
ダバン「なに!?」
マリー「これは!石が!」
ゴーレム「ゴーレム!!」
ヒュヒュヒュヒュヒュ!!
ゴーレムの雄叫びに合わせて凄い勢いでロックへいくつもの石が飛んでいく
ロック「マジかよ!」
ロックは盾を持って一つ目を塞ぐ
ガァン!!
ロック「ぐぅっ!」
ガァンガァンガァンガァン!!
なんとか防いでこそいるが、その威力と数に盾が凹んでいく
ケニー「おい、なんとか逃げろ!」
ダバン「ロック!」
ダバンがロックを助けようと向かう
ゴーレム「ガー!」
ゴーレムは今度は天井の石をダバンに向けて落としてきた
ダバン「チッ!」
ドオン!!
ダバンが後ろに避ける
ゴーレム「ゴーレム!」
ダバン「!?」
落ちてきた石が今度はそのままダバンに向かって飛んでくる
ガァン!!
ダバン「ぐはっ!」
避けきれなかったダバンが直撃して壁まで吹き飛んでいく
バァン!!!
ミラ「ダバン!!」
ロック「なっ!」
そのままダバンに向かっていた石は違う角度からロックへと向かう
ドォォン!!!
マリー「ロックさん!!」
ロックは石に埋もれてしまった
ゴーレム「......」
ゴーレムはケニーとミラ達へ振り向く
ケニー「.....こんな化け物、どうしろってんだよ!!」
ケニーはゴーレムへと走っていく
ゴーレム「ガー!!」
壁から石がどんどんケニーへと向かう
ケニー「はっ!よっ!」
ガァン!キン!
ケニーは素早く躱したり、短剣で防いでいきながらゴーレムへと近づく
ケニー「これでも喰らって....!」
ケニーが攻撃しようと跳ぶと、ゴーレムが既に腕を振り上げていた
ゴーレム「ゴーレム!!」
ボゴォン!!
ドドドドド!
ゴーレムに叩き落とされたケニーの元に追っていた石が大量に落ちていく
ミラ「ケニー.....」
マリー「あ.....あああ.....」
ゴーレムがゆっくりとミラ達へ向かう
マリーが恐怖からか腰を抜かしてそのまま崩れ落ちていく
ゴーレム「......」
バラバラバラ
二人「!」
ゴーレムが崩れていくと、今度は体の赤い宝石一つ一つが浮いている
ミラ「?......まさか!」
ビュン!
ミラ「マリーさん!!」
赤い宝石がミラ達に向かっていく瞬間にミラはマリーの手を取って走り出した
ガガガガガガァン!
赤い宝石が壁に打ち込まれていく
マリー「ど、どうしましょう。私達だけに....」
ミラ「.....まだダバン達は生きてます!なんとか皆で逃げないと!」
ミラは塞がれた壁に向かっていく
ミラ「この壁を壊しちゃえば....」
ミラは叩いたりぶつかったりするがびくともしない
ビュン!
その後ろから赤い宝石が向かってくる
マリー「ミラさん!」
ミラ「!」
ダバン「ばくれつきゃく!」
ロック「はやぶさ斬り!」
ダバンとロックが間に入り、宝石を攻撃していく
ガギン!!ガァン!!
ダバンとロックに全部落とされた宝石は力無く地面に落ちた。ロックは頭や腕から血が、ダバンは鎧が大きく凹んでいる
ロック「いつつつつ.....ミラさん、マリーさん、逃げてください」
マリー「ど、どうやって」
ダバン「ばくれつきゃく!」
ボガァン!!
塞がれていた壁をダバンが蹴り破って壊した。しかし、石がピクピクと動こうとしている
ダバン「さあ、ここから早く!」
ミラ「ダバン達も!」
ダバン「俺達はここに残る!イレブン様やロウ様をお呼びしてきてくれ!俺達じゃ相手にならない!」
マリー「残ったらダバンさん達が!」
ロック「まあまあ。ほーら、早く行った行った」
ロックが二人を無理矢理押し出した
石がまた動き出し、元の壁に戻ろうとしている
ロック「男達にさ、最後の覚悟くらい決めさせてくれ。死にたくはないんだけどさ」
ロックが少し照れたように笑った
マリー「!!」
ロック「王様達によろしくな!」
ロックがもう壁になるタイミングで戻っていった
ダバン「....お前も逃げてよかったんだぞ」
ロック「そーんな薄情じゃないって。何も出来ないかもだけど、俺がいるから動けるかもしれないんだろ?囮や肉壁くらいにはなるさ」
ダバン「.....ありがとう」
ミラ「駄目!!」
二人「!!」
二人が振り返ると、ミラがギリギリで戻ってきた
マリー「ミラさん!!」
そのマリーの声を最後に壁に戻ってしまった
ダバン「なんで.....なんでわかってくれなかった!!!ミラ!!」
ダバンが苦しそうな顔で大声をあげた
ミラ「私だって、ダバンと一緒に!」
ダバン「ミラは今ここにいたら駄目なんだ!!お前は!!荷物も同然なんだよ!!」
ミラ「!!!」
ミラはその言葉に泣きそうな表情をするが、ぐっと堪える
ミラ「荷物でもいいわよ!!ダバンとケニーを置いていくなんて、私が出来るわけないわ!」
ダバン「この......わからず屋が。いつもみたいに守ってやれると思うなよ」
ゴーレム「ゴーレム!!」
三人の前にゴーレムが立ちはだかった