パラパラパラパラ....
激しい土煙が舞う中、ケニーは立ち尽くしていた
ケニー「あ.......ああ.....」
ミラ「ケニー!!どこ!!大丈夫なの!?」
離れた場所からミラの叫び声だけが聞こえる。ケニーは返事すらせずにその場をただ見つめていた
ダバン「がは.......ぐ、無事か......ケニー」
ゴーレムからの巨大な腕に押し潰されそうになった瞬間、ダバンがケニーを突き飛ばし、代わりにダバンの下半身が全てゴーレムの腕に潰されていた
ケニー「兄貴!!!!!」
ミラ「え、ダバン!!!うそ.....」
ケニー「ご、ごごめん、俺.......」
ダバン「ケニー.....ミラ.....今すぐ逃げろ.......もうこれ以上は戦えない......二人だけでも.......生きろ」
ミラ「!!!」
ケニー「そ.....そんなん、でも!!兄貴もロックも!!」
ダバン「見てわかるだろ?もう......助からない」
ダバンの足はピクリとも動かない
ケニー「...!!あ、あああ......」
ゴーレムの腕がどかされていく。ゴーレムは腕に付けた自身の宝石を再度体に纏うと、ヒビが入っていた腕や足が前のように元通りになっていった
ミラ「そんな......再生能力なんて........あんなの、適うわけないわ」
ミラは顔を青くしてゴーレムを見ていた。体や足も震えている
ダバン「ミラ......ケニーを、頼む。俺の.....大事な弟で、最後の形見だ......」
ケニー「やめろ.....」
ダバン「こんな事になるんだったら.......もっと早く正直になれれば」
ケニー「やめろよ、兄貴!!!!なに、生きるのを諦めてんだ!!!俺達、あんなに頑張ってきただろ!!信じてれば幸せがくるんだろ!!!それを教えてくれた兄貴が!!諦めるなよ!!!!」
ケニーはダバンの元にしゃがみ込んだ
ケニー「生きてくれよ!!!」
ケニーは大粒の涙を流しながらダバンを抱きしめた
ダバン「ケニー......」
ミラ「..........」
その様子を黙って見ていたミラは静かに息を吐いて、大きく吸いこむと覚悟を決めた顔で前を向いた
ミラ「私がやるわ」
ミラは袋から弾を取り出してゴーレムへ向かっていく
ケニー「ミラ、何を」
ミラ「喰らいなさい、ボウガン弾!!」
ミラが勢いよく黒い球をゴーレムへ投げつけた。途中から形を変え、弾はボウガンの矢へと変化した
ガァン!
ゴーレム「ゴォ....」
ゴーレムの体に当たり、ゴーレムはダバン達から視線を逸らし、ミラへと向いた
ダバン「やめろ......ミラ.....そんな事をしたら」
ミラ「私が相手よ、ゴーレム!!こっちに来なさい!!」
ケニー「駄目だ、ミラ!!こんな化け物にミラが適うわけ!!」
ミラ「かなう、かなわないなんかじゃないわよ!そんなの私だってわかってる!!でもね、私はダバンもケニーもロックさんも!誰一人として失いたくないの!やっと素直になれたのに.....ここからだっていうのに!それをこんなやつに邪魔されたくなんてない!
ダバン、私が時間を稼ぐ!その間に少しでも足を回復して!ケニーはそのお手伝いしててちょうだい!ロックさんも近くにおいてあげて!こいつは私がなんとかする!」
ゴーレムはミラへと向かっていく
ダバン「ぐっ......うう......ミラ」
ダバンは涙を流して唇を噛み締めている
ケニー「.....ミラ.....」
ミラ「(怖い、怖い、怖い!!足がすくんで動けない。でも、今ここで私がやらなかったらダバンもケニーも......そんなの、想像出来ないくらい怖い!!!)」
震える足をなんとか動かすようにダバン達とは違う方へと走っていく
ドスン!ドスン!
ミラの後ろからついてくるゴーレムの足音がする
ミラ「はあ.....はあ.....ケニーの地図だと、この先に階段が!」
ミラはケニーから貰った地図を読み込み、急いで頭の中に構造を叩き込んでいた
ミラ「私はここよ!早くしなさい、ゴーレム!!」
ミラは足下に落ちていた赤い塊をゴーレムへ投げつけた
バァン!
ゴーレムの足へと当たった塊は粉々になり、足が小さくひび割れた
ゴーレム「ゴーレム!!」
ゴーレムがミラへと指さした。いくつか石が浮き上がり、ミラへと向かって飛んでいく。しかし、その個数は前よりかなり少なくなっていた
ミラ「(私の投げた石は操られてないし、周りの瓦礫はたくさんあるのに反応してない。やっぱり何かある。あの操る石の種類がきっと!違いが何かあるんだわ!)」
ミラは急いで目の前の階段を駆け上がる。飛んできた石が階段の入口を塞ぐように埋まっていった
ボォン!ボォン!
ミラ「これでこっちに来てくれるかしら」
少しすると瓦礫を壊したのか地響きのような音がした
ドガァン!
ゴーレム「ゴーレム!!」
ドスンドスンとゴーレムが階段を登ってくる音がする。階段に体が入らなかったのか体は先程より小さくなっている
ミラ「(体の大きさも自由自在なのね、こんなゴーレム本当に見たことも聞いたこともない)」
ミラはそのまま走っていく
その頃、ケニー達は
ケニー「大丈夫か、兄貴。動けるか?」
ダバン「まだ.....無理だ。せめて足が少しでも動けば.....」
ダバンは必死にベホイムを当て続けているが、色が変わった足は特に良くなる兆しは見えない
ケニー「ミラ.....無事だよな」
ダバン「まだ大丈夫なはずだ。.........すまん、ケニー。こんな事になっちまった」
ケニー「いや.....兄貴は悪くない。俺が......よそ見したから、ロックも、兄貴もミラも.......全部俺のせいなんだ!」
ダバン「そんな事ない。あんな化け物相手だ、当然だろ。早く来てくれ、イレブン様、ロウ様」
ケニー「あんなのに適うのか?王様だろ?」
ダバン「.......わからない。でも、信じるしかない」
ケニー「あの女も.....名前なんだっけ。こんな山の奥から一人でユグノアまで戻れたかな」
ダバン「.......大丈夫、信じよう。ケニー、諦めてすまなかった。お前のおかげだ」
ケニー「おう」
ユグノア城 玉座の間
ボロボロの姿になったマリーが保護され、兵士達の肩を借りながらイレブンへ報告していた
マリー「王様、ロウ様!!!大至急アルト遺跡の方へ!!ダバンさん達が見たことも無い巨大なルビーのゴーレムに襲われております!!!とんでもない強さです!!!ダバンさん達では相手にすらなりません!!」
泥だらけになって端正な顔が傷だらけになりながらも、気にせず大声で叫んだ
全員「!!!」
ロウ「イレブン!!!」
イレブン「うん!今すぐ向かう。おじいちゃん後はよろしく!!」
イレブンは剣を持つとそのまま走って飛び出していった
マリー「王様だけでは危険です!!ロウ様も」
ロウ「わかっておる。じゃが、まずは知らせてくれたマリーの怪我を直さんとな」
マリー「この程度の怪我、まだ遺跡にいるダバンさん達に比べたらかすり傷!!私の事よりも!!」
ロウ「落ち着くのじゃ、マリー。緊急事態なのはよく伝わった。イレブンも回復魔法を使える、戦闘もお主が信頼する通りじゃ。まずはイレブンが時間を稼いでくれる。それにもしもの備えをこちらもしておかねばならん。わしの仲間達にも声をかけなければならん可能性すらある相手じゃ。よく逃げ延びてくれた。どれ、ベホマ」
ロウはマリーを優しく撫でながら体全体に緑の魔法陣を描き、強力な治癒の力をかける
マリー「......申し訳ございません。ありがとうございます、ロウ様」
ロウ「うむ。おそらく話に聞いた突然変異の一種じゃろう。あのダバンすら適わないとなると.....強さは別格なのじゃろう。わしも忙しくなる。エマちゃんや、少し仕事が多く回るがすまんのう」
エマ「大丈夫ですよ、ロウ様!お城の事は皆で頑張りますので、どうかイレブン共々ご無事で」
ロウ「ああ、助かるのう。よし、まずは連絡からじゃのう」
アルフ遺跡
ドスン!ドスン!
ゴーレム「ゴーレム!!」
ゴーレムはミラを指さした。壁についていた石が浮き上がりミラへと向かっていく
ミラ「投網弾!」
ぼふん、ぼふん!
ミラの投げつけた弾から網が発射され、石は網の中に入っていく
ミラ「(もう少し、もう少しよ!)」
ゴーレムがミラへと進むと
カチッ
何かの起動音がした。すると
ヒュン!ガァン!!ガァン!!
壁が突然開くとそこから斧や剣が大量に出てきてゴーレムの体に当たっていく
ゴーレム「グオオ...」
小さくなったゴーレムの体からバラバラと石が砕けて落ちていく
ミラ「(小さくなった分耐久力が落ちているのかしら。だとしたら好都合ね。ケニーの罠を存分に利用させてもらいましょう)」
ミラはそのまま走って上に向かっていく
ミラ「ゴーレム!そんなんじゃ私は倒せないわよ!」
ゴーレム「ゴー!!」
ゴーレムは怒ったように速度を早めてミラに向かっていく
更に階段を駆け上がっていくと
カチッ
ゴーレム「ゴーレム!!」
ドスゥン!!
大きな穴が空き、ゴーレムの体は穴に真っ逆さまに落ちていった
そこに上から弾が落とされていく
シュー
紫の煙を放つ弾がいくつも落ちてくる
ゴーレム「ゴー!!」
ミラ「ありったけのヴェレ弾よ。あなた、さっきケニーがヴェレ弾を投げた時少しだけど体が溶けてたわよね。その体、毒に弱いのね。なら、こんな狭い中で大量の毒を浴びたらどうなるのかしら」
ジュー!
穴の中から大量の煙が出てくる
ゴーレム「ゴーレムー!!」
ミラ「どんどん小さくなっていくわね。さあ、最後にこれでも喰らいなさい!火薬弾!」
カチッと蓋を開けて赤い弾を投げ入れる。しばらくすると
ボォォン!!!!
巨大な爆発音が響き渡った。パラパラと天井から土煙が落ちてくる
ミラ「わ....わりとびっくりしたわね。ど、どう?倒せたりしない?」
ミラがおそるおそる穴に近づいていくと
グラグラグラ!
ミラ「キャッ」
強い揺れと同時に全体からミシミシと音がする。ピシッと天井や床に大きな亀裂が入っていく
ミラ「待って、これってまさか!!崩れてる!?」
遺跡の崩壊が始まった
山の上にある遺跡は土煙を舞いながらどんどん沈んでいっていた
イレブン「遺跡が!!」
ミラ「きゃあああ!!!!」