ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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心を開いて

 

その後、仲間達はそれぞれ解散していったが、バン達は久しぶりのダバンとの再開という事で、バン達と共にラース、マルティナ、グレイグもユグノア城に残っていた

 

 

玉座の間

 

 

ラース「大変だったな、イレブン、じいさん」

 

 

 

イレブン「予想以上だったよ、突然変異。ラース達は手紙に書いてたけど出会った事あったの?」

 

 

 

マルティナ「いいえ、私達もまだないわ。話に聞いただけなのと、少し不思議な旅人に会ってね。そこからよ」

 

 

 

ロウ「ふむ?旅人とな」

 

 

 

グレイグ「ベタヤールという名でな。そいつが持っていた魔物の素材がほぼ突然変異した個体の素材だったのだ」

 

 

 

イレブン「ええ!?じゃあ、突然変異の個体をたくさん倒しているって事!?あんなに強いのを!?」

 

 

 

ラース「強さは個体によってそれぞれあるみたいだぞ。強いやつはとことん強いって言ってたはず。おそらく今回のもそういうやつだったんだろ」

 

 

 

ロウ「ふむ.....。旅人ならばユグノアにも来てくれるかの。詳しく話を聞いてみたいものじゃな」

 

 

 

グレイグ「まだこっちにいるみたいです。今度俺達もまた話を聞いてみないとな」

 

 

 

マルティナ「でも、嫌われちゃったみたいよね」

 

 

 

ラース「仕方ないな。警戒はしておかないといけないし」

 

 

 

ロウ「警戒?」

 

 

 

ラース「そいつ、なんか危ない力を持ってるみたいなんだ。何かはわかってないし、本人に自覚があるのかもわからん。いい奴なのかそうでないのか....掴みどころのなさそうなやつだった。珍しくバンも毛嫌いしてるような雰囲気出してるしな、逆にベグルはそいつが気に入ったのか仲良くしてるみたいだぞ」

 

 

 

イレブン「あの明るくて人懐っこいバンが毛嫌い?珍しい、そんな人いるんだ。それに、危ない力か。気になるね」

 

 

 

マルティナ「ええ。悪意はまだ見られてないからこっちも迂闊に手は出せないの。バン達にも警戒の指示を出してるわ、ベグルは少し戸惑ってるけどね」

 

 

 

その頃、医務室

 

 

バン達はダバン達と会話を弾ませていた

 

 

ロック「そうなのか、バン!!お前面白いやつだな!!ははははは!!」

 

 

 

バン「へへへへ、ありがとな、ロック!」

 

 

 

ガザル「お前ら仲良くなるの早すぎだろ」

 

 

 

ケニー「似た者同士なんじゃねえの」

 

 

 

マーズ「ロック、ダバンはどうだ?上手くやれてるか?」

 

 

 

ロック「もちろんだぜ。強いし頼りになるし、凄いいい奴だ!」

 

 

 

ダバン「ロック....」

 

 

 

ロック「言うんだったらもう少し物を壊しやすい所をどうにかって感じかな!」

 

 

 

ダバン「おい!!」

 

 

 

ケニー「ああ、そうだった。おい兄貴、馬鹿力なんだから木の盾なんか使うなよ。いっぱい壊してんだってな」

 

 

 

ダバン「な!!なんでケニーまで知ってんだよそれ!」

 

 

 

ロベルト「ああ、ユグノアだと訓練用の盾が木の盾なのか。それはちょっとダバンには扱いずらいだろうな」

 

 

 

バン「ダバンも結構力強いもんなー、不器用だし!」

 

 

 

ダバン「う!る!せ!え!」

 

 

ダバンは顔を赤くしてバンとロックの頬を思いっきり引っ張っている

 

 

バン「いひゃいでしゅ、ダバンしゃん、ちぎれるちぎれる」

 

 

 

ロック「いでででででて!!」

 

 

 

ベグル「.......」

 

 

ベグルは和気あいあいとしている雰囲気を他所に顔を下に向けていた

 

 

ギバ「どうしたんだよ、ベグル。今日はなんだか落ち込んでんな」

 

 

 

ダバン「なんかあったのか?」

 

 

 

バン「笑え笑え、ベグル!顔怖いぞ!いつもだけど」

 

 

 

ベグル「.......なあ、ダバン」

 

 

 

ダバン「ん?」

 

 

 

ベグル「ぶっちゃけてくれていい。もしそのゴーレムと俺達が対峙していたらどうだったと思う?」

 

 

 

全員「!」

 

 

 

ダバン「........。わからない、この7人全員ならまだ可能性はあったかもしれないが、もし俺のように一人だったり誰かを庇いながらだとするなら......全滅だろうな。バン、例えお前でもだ」

 

 

 

全員「........」

 

 

 

ベグル「だよな。話を聞いただけで俺もそう考えた。相手に有利な状況を常に作らされ続けてたのもそうだし、俺達全員でもそれに対応できる力は持ってない。だが、そんな敵がこれから出てくる。更なる段階に俺達も進まなきゃいけなさそうだよな」

 

 

 

ロベルト「......イレブンさん達の本気の強さって......俺達どれくらいついていけるのかな」

 

 

 

ガザル「ちょっと怖いよな。というか、ラース将軍これまででもまだ俺達に手加減してたのかよ!あの人の実力が未知数すぎるぜ....」

 

 

 

ベグル「俺、今度ベタヤールに会ったらあいつとも特訓してみようと思う。あいつ、突然変異体に詳しいんだ。そんなやつらと戦ってんなら何か知ってるかも」

 

 

 

ダバン「ベタヤール?誰だそいつ」

 

 

 

バン「ベグル、お前まだあいつと関わって」

 

 

 

ベグル「いいだろ、別に。ダチみたいなもんだ」

 

 

 

バン「......こんな事言いたかないけどさ、俺あいつ嫌いだ」

 

 

 

ギバ「え....珍しいな、バン。お前が誰かを嫌いなんて言うとか」

 

 

 

バン「まあ、俺もあまり誰かを嫌いになる事ねえけどよ。あいつからは......なんか、嫌な気配がする。何を感じとってんのかわかんねえけど.....なんとなく嫌なんだ」

 

 

 

ベグル「.......わかった。俺もあいつの近くでよく見ておく。とりあえず俺に一旦任せてみてくれないか?あいつとはそれなりに仲良くやってる。敵対しないように立ち回るし、いざとなったら皆にも協力してもらう」

 

 

 

ロベルト「っとと、ダバン、ベタヤールっていうのは最近デルカダールにやってきた旅人で、突然変異の魔物を倒してたやつなんだ。ラース将軍達曰く怪しい力を持ってるとか」

 

 

 

ダバン「へー、すげえなそいつ。怪しい力ってのは気になるけど、ベグルが気にしてんなら大丈夫そうだけどな」

 

 

ガチャ

 

 

グレイグ「そろそろ帰るぞ、お前達。話はできたか?」

 

 

 

ギバ「あ!グレイグ将軍。うし、帰るかー」

 

 

 

バン「おう!ダバン、まずはゆっくり体休めろよ。そんでまた元気になったらいつでもデルカダールにこいよ!」

 

 

 

ベグル「無理しすぎんなよ。ケニー、ミラさん、ロック。こいつ無理しすぎないようによく見といてやってくれ」

 

 

 

ロック「おーう、任せとけって」

 

 

 

ミラ「はい、大丈夫ですよ。ジェーンにもよろしく伝えといて、ベグルさん」

 

 

 

ケニー「....ま、またな....」

 

 

 

兵士達は手を振りながら帰っていった

 

 

 

ミラ「.......あのね、ダバン」

 

 

 

ダバン「ん?」

 

 

 

ミラ「こんな事になっちゃったけど、あの時。イレブン様に私を研究者チームに入れてくれってお願いした時の事、覚えてる?私、あなたのお荷物みたいって比喩表現って言った事」

 

 

 

ダバン「ああ.....。そういえばそうだったな。でもあれは俺が悪かった。まさかそんな事をミラから言われるなんて思わなくて」

 

 

 

ミラ「ううん、私もわかってたのよ。ダバンは私を大切にしてくれてる、必要としてくれてるって。でも.....私はこれまで遺跡の探索や調査にはダバンに頼りきりだった。マリーさんみたいに自分の身は自分で守ろうなんて.....考えてすらいなかったのよ。

 

 

でも、今回の事で痛感したわ。もしも、なんて考えたくなかったけどもし、今回みたいにダバンでも敵わないような魔物がいたら、私は間違いなくお荷物その物。遺跡の中で無理やり私が残った時.....ダバンは苦しそうにそう言ったわよね」

 

 

 

ダバン「あれは!!!ミラに危険な場所から離れてほしくて」

 

 

 

ケニー「ミラ、兄貴はお前を荷物だって言いたいんじゃなくて、戦いなんてしないで俺達を安全に待っていてほしくて」

 

 

 

ミラ「そうだけど!!!あなた達はそうやって!!!傷ついて、苦しんで、涙も血もたくさん流して......。

 

 

もし......もし、あなた達が死んだら.......私はどうすればいいの」

 

 

 

二人「........」

 

 

ミラが下を向いて体と声を震わせながら叫ぶ。その様子にダバンとケニーは黙り込んでしまった

 

 

ミラ「お願い、約束して。私を置いていかないで......。あなた達にとって、戦いで命を落とすのは栄誉の証かなにかかもしれないけれど、私はなによりもあなた達の無事を祈ってる。それ以外何もいらないから......ダバンやケニーがいない世界なんて、私にはそんな世界、生きている価値がないわ」

 

 

ミラは涙を流しながらまっすぐにダバンとケニーを見つめた。ケニーはミラを見つめていたが、ダバンはそれを見て苦しそうな顔で下を向いた

 

 

ケニー「ミラ......」

 

 

 

ダバン「......ああ、もちろんだ。約束する、俺は、俺達は、ミラを置いてなんかいかない。それにさ、今回はミラにずっと助けられてた。もしミラがいなかったら、ミラが無理やりでも残ってくれなかったら、俺達はあの遺跡で死んでたはずだ。

 

 

 

ミラの知識もそうだけど、なによりもミラの勇気に助けられた。戦ったことなんてなかっただろうに、あんな巨大なゴーレムに一人で立ち向かった。本当に凄いよ、ミラ」

 

 

 

ケニー「うんうん、ミラにはマジで助けられた。だからさ、泣くなって。ミラのおかげで俺達は今こうして生きてんだからさ」

 

 

 

ダバン「ケニー、お前にもたくさん助けられた。ありがとう、ケニー」

 

 

 

ケニー「兄貴......。べ、別に!あれくらい俺にかかれば当然だし!?」

 

 

 

ダバン「ははは.....。今回、俺は......何の役にもたてなかったからさ。守りたいって、思ってもミラもケニーも俺が守る必要なんてないくらい強くて、かっこよくて.......逆に守られてばかりだ。ごめんな、ミラ、ケニー。俺、もっと強くなるからさ......なんもない俺を」

 

 

 

ロック「ちょい邪魔させてもらうぜー」

 

 

ダバンが下を向いて震えるように話していると、今まで空気を読んで黙っていたロックが声を荒げた

 

 

ロック「おいダバン、そんな姿勢で話してていいのか?」

 

 

いつもの飄々としたロックの声とは思えないほど低い声が医務室によく響いた

 

 

ロック「ケニーとミラさんはお前の方を向いて話してる。ちゃんと向かい合って、目を合わせようとしてる。心の内を正直に話してる。それなのにお前はなんだ?下向いて、いつもと違ってぼそぼそと」

 

 

ロックがベッドから降りて動きにくい足を庇いながらダバンのベッドまで歩いていき、ダバンの胸ぐらを掴んだ

 

 

ロック「お前の声、なんも聞こえねえよ。お前、こいつらと向き合おうとしてんのか?ちゃんと向き合おうとしてる二人に対して、お前は顔も上げねえでそれでいいんだな!?そんな気持ちで二人と並ぼうとしてんだな!?」

 

 

 

ダバン「!?」

 

 

ダバンははっとした表情でロックを見た

 

 

ロック「今回ので反省すべき点があるのはわかる。ミラさんとケニーにたくさん助けられたのもわかる。でも、お前が何の役にもたてなかったは違うだろ。お前の盾に何度俺やケニーやミラさんが助けられたと思ってんだ。俺は、もしお前が居てくれなかったらそれこそ全滅だったと思うぜ」

 

 

 

ダバン「ロック.......。でも、俺......」

 

 

 

ミラ「ダバン、自信もって。私は数え切れないくらいあなたに助けられてるの。いつもありがとう、ダバン」

 

 

 

ダバン「ミラ......」

 

 

 

ケニー「あー......いや、その.....あ、兄貴は昔から.....ずっと俺を助けてくれてただろうが。だから......あ、ありがとう.....」

 

 

 

ダバン「ケニー.....」

 

 

 

ロック「そしてもちろんこの俺も!お前に助けられてばかりだぜ!サンキュー、ダバン!」

 

 

 

ダバン「........ごめ、むぐ」

 

 

ロックは謝ろうとするダバンの口を指で塞いだ

 

 

ロック「わかってねぇなー、ダバン。こういう時は、ごめんじゃねえの。ありがとう、だろ?」

 

 

 

ダバン「ありがとう。いつも本当にありがとう、ロック、ミラ、ケニー。俺、もっと頑張るからな」

 

 

 

ロック「おう!」

 

 

 

ミラ「ええ、ずっと頼りにしてるわ」

 

 

 

ケニー「ま、まあ.....な。もっと頼ってくれていいんだぜ」

 

 

ガチャ

 

 

マリー「ミラさん、ロックさん、ケニーさん、ダバンさん!!」

 

 

マリーが血相を変えて入ってきた

 

 

ミラ「マリーさん!」

 

 

 

マリー「王様達からようやく入っていいとの許可を貰えたので!ほんっとうによかった.....。無事かどうかずっとずっと心配で......。すいません、私が救援が遅れたばかりに.....」

 

 

マリーは深々と四人に頭を下げる

 

 

ミラ「そ、そんな事ありませんよ、マリーさん!マリーさんが救援を出してくれなかったらどうなっていたか」

 

 

 

ダバン「そうですよ、マリーさん。一人にしてしまってこちらこそすいませんでした」

 

 

 

ケニー「魔物とかは平気だったのか?」

 

 

 

マリー「お恥ずかしながら、皆様の戦闘の影響か揺れが何回かあり、魔物も慌てて山を降りていまして。丸腰の私では中々大変でした」

 

 

 

ロック「あちゃー、そりゃそうだよな。いや、マリーさんも本当によく頑張ってくれたぜ。ありがとな、マリーさん。王様が来てくれなかったらまずかったぜ」

 

 

 

ミラ「あの、ごめんなさい、マリーさん。マリーさんのこの道具達、ほぼ全部使い切っちゃって......」

 

 

ミラは弾などが入っていた空の麻袋を返した

 

 

マリー「ああ!!そうなのですか!!よかった......。私の道具が少しでも皆様の役にたったのならよかったです」

 

 

 

ダバン「少しなんてもんじゃなかったさ、これがなかったら助からなかった場面がたくさんあるんだ」

 

 

 

ケニー「そうそう。マリーのおかげだ!ありがとう、マリー」

 

 

 

ミラ「でも、今度お詫びするので!!」

 

 

 

マリー「いえいえ!そんな滅相もない!また私が補充していくので気になさらず」

 

 

 

ミラ「あ、あと私も今度こういうの持っておきたいのでマリーさんオススメの物とか教えて貰えると助かります」

 

 

 

マリー「もちろんです!今度一緒にお買い物とかしましょう、ミラさん」

 

 

 

ケニー「あ、それなら俺も行く。店とかも知りてえし、特殊なやつでも俺なら詳しいから解説できるぜ」

 

 

 

マリー「それは大変心強いです!ケニーさんも一緒に行きましょう」

 

 

 

ダバン「.......ケニーのやつ、心を開いてくれたな」

 

 

 

 

ロック「いい弟だな。やっと正直になったって感じだ」

 

 

 

 

ダバン「......皆のおかげだよ」

 

 

 

 

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