ニマ「待ちな。これからはイレブンの修行を始めるよ」
イレブン「え?僕の?」
ニマ「本来なら私があんたの師匠になるはずだったんだけど、こうなってはどうしようもないからね。技を教えるなら今しかないってわけさ」
ロウ「しかし、イレブンもグランドクロスを?」
ニマ「いや、イレブンは別の大技さ。さっきロウが放った技こそが、ドゥルダの奥義グランドクロス。あの技は神話の時代、勇者の仲間の一人ウラノスによって編み出された技だ。
そして、あんたに教える技はグランドクロスにも引けを取らない大技、覇王斬さ。覇王斬は初代大師テンジンとの修行の中で編み出した、空前絶後の秘奥義だからね」
ロウ「なるほど。わしがウラノス様の技を覚え、イレブンがローシュ様の技を覚えれば向かう所敵なしじゃな」
ニマ「でも覇王斬は郷に受け継がれながら、ローシュ以外には誰も習得できなかった。その技を僅かな時間で覚えようってんだから、当然修行はとても厳しいものになる。どんなに厳しくつらい修行が待ち受けていても、それに耐える覚悟があるかい?」
イレブン「うん。僕は世界を守るために、もっと強くならなくちゃいけないんだ!」
ニマ「いい返事だね。それじゃあ修行を始めるよ。
覇王斬は自身の魔力を刃の形にして放つ技。さあ手を前に出し、剣をイメージし、魔力を集中させな」
イレブン「(剣、剣、こんな感じの剣)」
シュン!
イレブンの前には小さいながらも黄色い剣の形をした魔力の塊が出来上がった
ニマ「まあ最初はそんなもんだろう。後は実戦で技を磨いていくとしようかね。ロウ、あんたイレブンと戦いな」
ロウ「ええ!わしがイレブンと戦うのですか!」
ニマ「さっき奥義を覚えたお前ほどピッタリな相手はいないだろ。ユグノア王家の血を引く者同士の戦い、こいつは見物だね。それじゃあ、ロウにパワーを貸すからちょっと待ってな」
ニマはロウに向かって力をこめる
ロウ「うおおおお!?力がみなぎる!若き日の力を取り戻したようじゃ。今なら大師様にも勝てるようじゃ!」
ロウはパワー全開のようになった
ニマ「いいかい、ロウ。手加減はいらないよ。全力のグランドクロスをお見舞いしてやりな。イレブンはロウの猛攻に耐え、隙を見つけながら覇王斬を使うんだ。そうやって繰り返す内に覇王斬はどんどん威力を増していく。そうやって完成させるんだ」
イレブン「わかりました!」
ロウ「さあ、ありったけのお主をみせてみい!」
ロウがあらわれた
ロウはグランドクロスを放つための精神統一をしている
イレブン「(剣、剣を思い描け!)」
イレブンも先程のように剣をイメージしながら手に魔力を込めていく
ロウ「グランドクロス!」
ロウの方が早く技が完成し、先程空に打った大きな十字の攻撃がイレブンを中心に広がる
ゴオオオッ!
イレブン「ぐうっ!かなり強力だ。ベホイム!」
イレブンは想像以上の攻撃力に驚きつつも、自身に緑色の魔法陣を描き強い治癒の力をかけて、傷を瞬時に回復させた
ロウ「とりゃ!」
ロウはその隙にイレブンに突っ込んできた
イレブン「これくらい!」
イレブンは軽々と避けてみせた
イレブン「今度は僕の番だよ、覇王斬!」
まだ小さい剣の形をした攻撃がロウに突き刺さった
ロウ「大師様から貰った力、見せてやるわい!」
ロウが力を溜めると、ロウの姿が歪んでいき、ロウの影ができた
イレブン「この技はパープルオーブと同じ!?なら、ギガスラッシュ!」
イレブンは分身に驚きつつも、聖なる雷を宿したなぎはらいでロウとロウの影ごと切り裂いた
ロウ「ぬう.....。イレブンも少し見ぬ間に勇者らしい技を使うようになったわい」
ロウは折角の自身の影がすぐに消えてしまった事を残念に思いながら、精神統一を始めた
イレブン「覇王斬!」
イレブンはそれよりも早く剣のイメージを素早く終わらせて、ロウに向かって先程よりも大きくなった魔力の剣の塊をぶつける。その大きさは普通の剣と変わらないほどになっていた
ロウ「ぬう!わしも負けてはおれん!グランドクロス!」
ゴオオオッ!
ロウも剣で少し後ろに押しやられるが、そこからイレブンに向かって高く跳びながら十字の攻撃をイレブンに放った
イレブン「ぐっ!ベホイム!」
イレブンもグランドクロスの威力で後退しながら、緑色の魔法陣を描いて強い治癒の力をかけて、傷を瞬時に塞いだ
ロウ「とりゃ!」
再びロウが突っ込んできた
イレブン「覇王斬!」
イレブンも先程と同じようにロウに向かって更に大きくなって剣の塊をぶつける。その大きさは大剣よりも大きくなってきている
ロウ「ほうっ!!」
イレブン「!?」
ロウは突然しゃがみ込み、イレブンの放った覇王斬はロウを素通りしていった
ロウ「先程と同じとはいかんぞ!」
ニマ「いいじゃないか、ロウ!そのままやっちゃいな!」
ロウ「はっ!大師様がわしに期待している!?ならば!その期待に応えて見せましょう!はああああ!!」
ロウはニマから貰った力を最大限に発揮するかのような声をあげて、極限の集中状態に入り込んだ。ロウはゾーンに入った ちからがあがった
更にそれと同時にロウの影が再び出来上がった
ロウはグランドクロスを放つための精神統一を始めている
イレブン「(長期戦になるとまずい!これで終わらせられるか!?)覇王斬!」
イレブンは影とロウを同時に巻き込むような大剣を思い描き、上空に放った。その大剣はそのままロウ達に向かっていき、ロウ達に突き刺さった
イレブン「どうだ!?」
ロウ「まだじゃ!グランドクロス!」
イレブン「!?」
煙の中からロウが飛び出して、先程よりも大きくパワーアップした十字の攻撃をイレブンに放った
ゴオオオッ!!ドガァン!
イレブン「ぐはああっ!!」
その強力な攻撃は地面を綺麗に十字に割る威力をしており、イレブンを強く叩きつけた
イレブン「ぐっ........。流石、おじいちゃん。でも、僕だって......まだやれる!覇王斬!」
イレブンは最後の力を振り絞り、これまでよりもずっと大きな剣を上空に放った
ロウ「な、なんと!」
ロウの上空に巨大な大剣が矛先をロウに向けている
イレブン「はあああ!!」
イレブンはそのまま両手を振り下げると、大剣もそれに合わせてロウに急降下していく
ドガァァン!!ビュオオオ!!
深々と地面に突き刺さった大剣の衝撃が周りに強い風を吹かせた。煙が晴れると刺さっていた大剣も消え去った
ロウ「うう......」
ロウはたおれた
ニマ「いいねえ、いいねえ。よくやったイレブン。僅かな時間で覇王斬を習得できるか内心不安だったけど、取り越し苦労だったようだね。やるじゃないか」
イレブンは覇王斬を習得した
ニマ「いいかい?あの光の剣の強さは、あんたの心の強さ。あの剣を鍛え上げるんだ。決して折れない強き剣に。そうすれば、あんたはどんな困難にも立ち向かっていけるよ。心を強くあり続けるんだ。それじゃあロウを起こすとするか」
ニマは倒れて傷だらけのロウを回復させ、イレブンの傷も回復させた
ロウ「まさか奥義を覚えたわしを倒すとは。ここまで成長しているとは思わなかったぞ」
イレブン「おじいちゃんこそグランドクロス、凄く強かったよ」
ニマ「つらい修行から逃げずによく頑張ったね。これであんたもあたいの立派な弟子さ」
その時、地を這うような声が聞こえてきた
見つけたぞ
死滅した世界で這いずり回るムシケラどもよ
ここで滅ぼしてくれる
イレブン「!?」
ロウ「その声はまさか!」
ニマ「魔王ウルノーガ!」
空に大きな裂け目が出来ると、ウルノーガの攻撃がイレブン達に降り注いできた
ニマ「はあっ!」
ニマが咄嗟に力を込めてバリアを作り出した
バァン!バァン!ドン!
ウルノーガの攻撃はバリアにより守られた
ニマ「ちいっ!魔王め!とうとうこの冥府にまでその力を!ヤツの力を甘く見過ぎてたか!
まだ教えたい事があるって言うのに忌々しいやつだよ。だが仕方ないね。あんた達2人には最終奥義を授けるよ!
ローシュとウラノスが協力して放つ合体技。それこそが、初代大師が考案した真の最終奥義だ。
さあ二人とも。覚悟はいいかい?遥かなる時を超え、もう一度伝説を繰り返すんだ。その最終奥義を、あたいの冥土の土産にさせておくれ」
ニマは早口で説明をする。その様子からあまり時間がない事が伺える。ロウとイレブンは互いに顔を合わせて頷いた
させるか
ウルノーガの攻撃がどんどん激しくなっていく
ニマ「あたいの掛け声に合わせて技を放ちな!チャンスは一度きりだよ!ロウ!ありったけの力で空にグランドクロスを放ちな!」
ロウ「ぬぅああああ!」
ドゴォォォン!!
空に大きな十字型が浮かび上がる
ニマ「イレブンはそこに覇王斬を!」
イレブン「(心を強く!皆を、世界を今度こそ守る!心を剣に!)ハアアア!」
イレブンの心の強さを持った巨大な剣がロウのグランドクロスの真ん中に突き刺さる。大剣が回りながら十字型の攻撃と一緒に突き進んでいく
ニマ「この技こそ、ドゥルダに伝わる最終奥義!グランドネビュラだ!」
二人の大技が隙間からの魔王の力を弾き、冥界に大きな穴を開ける
ドゥーランダ山頂
サンポ「あっ!戻ってきました!これはいけません。身体が衰弱しています。急いで2人を郷まで運びましょう!」
疲労の中気を失ったイレブンは、ニマ大師が最後の力を振り絞り、魔王の目を眩ませる夢をみた
そして夜が明けた
ドゥルダ郷
イレブン「.......あれ?ここは....」
イレブンが目を覚ますと、そこは宮のベッドだった
グレイグ「よかった、イレブン。目が覚めたな」
近くにはグレイグが立っていた
イレブン「おはよう、グレイグ」
イレブンはゆっくりと起き上がった
グレイグ「体も大丈夫そうだな。ロウ様は先に目覚められて、一足先に外に出ている。俺達も行こう」
宮殿前
ロウ「おお、よかった、イレブン。目覚めたようじゃな。
何じゃ?人の顔をジロジロ見おって」
ロウはすっかり元通りになっていた
イレブン「だって、おじいちゃん。一日ですっかり元通りなんだもん」
ロウ「ふぉっふぉっ、あれくらい大師様の修行に比べればなんでもないわい。飯を食べればすぐ元通りよ」
サンポ「ロウ様から話は聞いています。冥府でニマ大師と出会い、修練を受けられたようですね。ローシュ様の技を覚えただけでなく、ドゥルダの最終奥義まで習得したとの事。大変喜ばしい限りです」
ロウ「そうじゃ、グレイグ。わしがあっちの世界にいる間、イレブンが世話になったようじゃな。礼を言うぞ」
グレイグ「それには及びません。これまでの無礼を考えれば、当たり前の事をしたまで。むしろ、こちらがお詫びする立場です」
ロウ「いいんじゃ。グレイグ。顔を上げい。そなたも運命に翻弄された哀れな男。お主を責めるつもりはない」
グレイグ「しかしロウ様、我々はこれから一体どうすれば。ドゥルダに来れば何かわかると思ったのですが」
ロウ「それなら心当たりがある。大師様の話によると、先代勇者達は神の乗り物で空を飛び、邪神と戦ったらしい。その乗り物を手に入れれば、天空にいる魔王を打ち倒す方法も見つかるやもしれん。
それに、バラバラになった仲間の事じゃが、皆諦めの悪い者ばかりじゃから、きっと世界のどこかで生きのびているはず。
よいか、イレブン。仲間を探しながら先代勇者の足跡を辿る為、もう一度聖地ラムダを訪ねるのじゃ」
ロウが再び仲間に加わった
サンポ「イレブンさんが強大な魔王ウルノーガと戦うために、我らドゥルダの民も協力いたします。勇者様のために特別な修行を用意しました。自らの力を高めたいと思ったらぜひ、ドゥルダの大修練場に来てください」