南の洞窟
???「わ〜。ハネの人達楽しそうに何してるだ?」
隅からは小さな少年が話しかけてきた
シルビア「あら〜。アタシ達攫われた村人を助けるために、悪い魔物ちゃんをやっつけに行くのよ」
グレイグ「坊主。お前もしや、バハトラの息子チェロンではないか?」
チェロン「うん」
グレイグ「どうしてこんな危ない所に。お父さんが心配していたぞ」
チェロン「父ちゃんが魔物に言ってただ。父ちゃんの一番大切な物は、死んだ母ちゃんのペンダントだって。父ちゃんの大切なもの、おらじゃなかった。それ知って、すごく悲しかっただ。
だから母ちゃんのペンダント取り返して、父ちゃんを見返してやるって思っただ。それで魔物を追っかけてきただ。でも途中で怖くなって、ここで隠れていただ」
グレイグ「なるほど。バハトラがそんな事を。しかし、この辺りは子どもには危険すぎる。私達にまかせて早く村に帰りなさい」
チェロン「嫌だ!みんなが行くならおらも行く!母ちゃんのペンダント取り返すまで、村には絶対帰らないだ!」
チェロンは反発するように言った
グレイグ「はあ」
シルビア「いいじゃない〜。連れてってあげましょうよ!アタシ達と一緒にいれば、チェロンちゃんも安全じゃない?」
グレイグ「ふうむ、わかった。貴様が責任を持って、チェロンを守るのだぞ」
チェロン「ありがとう、ハネのお兄ちゃん達。フールフールのやつはこの先の岬の洞穴に入っていっただ」
岬の洞穴
中にはピンク色の龍のような賢者の姿をした魔物がいた
フールフール「ホッホッホ、これは驚きました。このフールフール様の前にノコノコと現れる人間がいるとは」
フールフールの奥にある牢屋には村人達や宝物の山が置いてある
シルビア「アナタがプチャラオ村を襲った悪い魔物ちゃんね!村の皆を返しなさい!」
フールフール「ホッホッホ。そんな事のためにわざわざ危険を冒しここまできたのですか。とんだお馬鹿さんがいたものです。
.....いいでしょう。そんな馬鹿げた勇気を評して、村人を解放してさしあげます。ですが、アナタの一番大切な物を譲ってくだされば村人を解放しましょう。悪い話ではないでしょう?」
イレブン「それなら....」
シルビア「待って!イレブンちゃん。アナタにこれ以上、大切な物を失わせはしないわ。ここはアタシの出番。アタシがずっとずっとあたためてきたとっても大切な物。この魔物にあげるわ」
フールフール「ホッホッホ。人間にしては物わかりがよくて助かりますよ。では早速いただきましょうか」
シルビア「ハイ、これ。大切に使ってね」
シルビアは惜しそうにフールフールにある物を渡した
フールフール「どれどれ。お、おお......これは何とかぐわしい香り。こ、これは......って、うまのふんじゃないですかぁ!!」
フールフールは手のひらに握られた物を見ると地面に投げ捨てた
シルビア「あっかんべー。アンタなんかうまのふんがお似合いよ」
イレブン「アハハハハ!シルビア、最高」
フールフール「わたしを怒らせましたね。このフールフール様をここまでコケにするようなおバカさんは、これでもくらいなさい!」
フールフールはいきなりイレブン達周囲に魔法陣を作り出し、イレブン達の魔力を封じ込めた
全員「!?」
フールフール「泣いて詫びようが絶対に許しませんよ。アナタ達の大切な命、力ずくで奪ってあげましょう!」
フールフールがあらわれた
シルビア「アンタにはお仕置きが必要みたいね!」
イレブン「はやぶさ斬り!」
シルビアの攻撃に合わせて、イレブンもフールフールに剣を素早く斬りつける
フールフール「ふっふっふ、さあ当ててごらんなさい」
フールフールは余裕そうに二人の攻撃を躱している
グレイグ「ならば当てさせてもらうぞ!」
フールフール「なに!?」
正面からのイレブンとシルビアに気を取られていたフールフールの真横にグレイグが大剣を構えていた
グレイグ「全身全霊斬り!」
ズバァン!
フールフール「ぐおお....」
ロウ「いやしの雨よ、ふりそそげ」
ロウはその間に祈りを捧げて雨乞いをすると、聖なる雨がイレブン達に加護のように降り注ぐ
フールフール「中々やるようですねぇ。ならば、スクルト!」
フールフールは自身に魔法陣を描くと、皮膚を硬化させた
フールフール「ベギラゴン!」
更に連続でイレブン達全体に朱色の魔法陣を描くと、魔法陣から包むように強い炎が放射されイレブン達を焼いていく
全員「くっ!」
ロウ「魔法が封じられた中でのこれは厄介じゃのう」
シルビア「アタシだってこれくらい出来るわよ!」
シルビアは謎の対抗心を見せて、口からフールフールに向けて炎を吹き出した
フールフール「おやおや、面白い事が出来るものですねえ」
フールフールは全く気にも留めていない様子だ
イレブン「はやぶさ斬り!」
イレブンがそのままフールフールに向かって攻撃を仕掛ける
フールフール「ホッホッホ、わかっていますよ」
フールフールは余裕そうに避けてみせた
ロウ「グランドクロス!」
フールフール「!?」
しかし、フールフールが避けた先にはロウの放つ十字の攻撃が待っていた
ドォン!
フールフール「グハァ.....。くっ、この老いぼれが!」
フールフールはロウに向かって攻撃を仕掛ける
ロウ「ほっ!ほほ、ただの老人だと舐められては困るのでな」
ロウも軽々と避けてみせた
フールフール「ほざいていろ!ラリホーマ!」
フールフールはロウにカチンときたのか、ロウを中心に緑色の魔法陣を瞬時に描くと強い催眠の力をかけた
ロウ「!?ぐぅ....」
ロウは立ったまま眠ってしまった
フールフール「これで私の自由ですよ!」
グレイグ「させん!全身全霊斬り!」
フールフール「ぐっ、つくづく邪魔をしてくれますねぇ」
ロウに向かおうとするフールフールの前にグレイグが大剣で攻撃して立ちはだかった
イレブン達にかかっていた魔力の封じ込めの力が弱まり、イレブン達も魔法が使えるようになった
シルビア「ロウちゃん!起きなさい!」
シルビアはロウの元に走り、頭に鋭いツッコミをいれる
ロウ「おお、すまぬのう」
ロウはその衝撃に目を覚ました
イレブン「ありがとう、シルビア!はやぶさ斬り!」
フールフール「ぐあっ!」
フールフールの後ろからイレブンが素早く剣で斬りつけた
ロウ「グランドクロス!」
前に押し出されたフールフールにロウが再び十字の攻撃を放つ
フールフール「これ以上喰らってなるものですか!」
フールフールは倒れそうになった体を持ち堪えさせ、横へと避けた
フールフール「マホトーン!」
再びフールフールはイレブン達周囲に魔法陣を描き、魔力を封じ込めた
シルビア「効かないわ!」
シルビアは魔法陣の力が影響しなかったのか、封じられずに済んだ
フールフール「ならば!ディバインスペル!」
フールフールは今度はイレブン達周囲の魔法陣から、呪文に対する抵抗力を弱める魔法をかけた
グレイグ「ならば!マジックバリア!」
グレイグが対抗策として、イレブン達に呪文に対する抵抗力を上げる魔法をかけて打ち消した
フールフール「ぐぐぐく.....こしゃくな」
イレブン「おじいちゃん!奥義やるよ!」
イレブンがロウに合図を送る
ロウ「まかせろい!グランドクロス!」
ロウがフールフールの頭上に十字の攻撃を放つ
フールフール「な、なんですか!?」
イレブン「覇王斬!」
そこにイレブンが巨大な大剣を作り出して、グランドクロスには向かって振り落とした
二人「グランドネビュラ!」
巨大な大剣は回りながら十字型の攻撃と大剣が凄まじい音をたててフールフールに突き刺さる
フールフール「グアアアア!!」
ロウ「ルカニじゃ!」
ロウは倒れたフールフールに追い討ちとして魔法陣を描くと、皮膚軟化の魔法をかけた
フールフール「ぐぐぐ、力が.....抜けていく」
グレイグ「全身全霊斬り!」
イレブン「はやぶさ斬り!」
二人の攻撃が倒れているフールフールに直撃する
フールフール「嘘だあ!このフールフール様が負けるなんて。グアアアア!」
ジュワー
シルビア「他人の物を欲しがるゲス野郎にはお似合いの末路よ」
チェロン「みんな〜。怪我ないか?ハネの人達と助けにきただ」
チェロンが急いで牢屋にいる皆の元に走っていった
村の女性「あ、牢屋が開くようになってる。チェロン、勇敢なのね。閉じ込められていただけで、みんな怪我はないわ。旅のお方、助けてくださってありがとうございました。何とお礼を言ったらいいか」
シルビア「いいのよ、アタシの使命は皆を笑顔にする事だからね」
チェロン「あった!母ちゃんのペンダント!あっ.....壊れちまってる。父ちゃん悲しむだ」
チェロンは近くにあった宝物の山から形見のペンダントを見つけたが、チェーンは壊れ、ペンダントの部分も割れてしまっていた
シルビア「そんな事ないわ!大切なのは気持ちよ。チェロンちゃんの気持ち、きっと伝わるわ。たった一人の家族なんでしょ」
チェロン「うん!」
シルビア「それじゃあ、皆を連れてプチャラオ村に帰りましょう」
プチャラオ村 バハトラ宅
恐る恐るチェロンは家に入り、座っているバハトラに話しかけた
チェロン「......父ちゃん今帰っただ。ごめん、父ちゃんが一番大切にしてた母ちゃんのペンダント、壊れちゃっただ」
チェロンは壊れたペンダントを申し訳なさそうにバハトラに見せた
バハトラ「ペンダントだと.....。このバカモンが!!」
バハトラはチェロンの姿を見ると怒鳴って近寄ってきた
チェロン「!!」
バハトラ「どんだけ.....心配したと思ってただ!お前の命より大切なものなんてねえべ!」
バハトラはチェロンを優しく抱きしめた
チェロン「え.......。だけど父ちゃん、母ちゃんのペンダントが一番大切だって」
バハトラ「そんなの、嘘に決まってる。あの魔物に質問された時、悪い予感がしてとっさに嘘をついただ。おめえを守るために」
チェロン「.....本当?おらの事なんて.......どうでもいいのかとすっかり勘違いしてただ。心配かけて本当にごめん」
チェロンからは涙が出ている
グレイグ「チェロンは父親の本当の気持ちを確かめないまま、勝手に勘違いをしていた。話し合えば分かり合えるものだな」
シルビア「.....そうね。アタシ先に戻ってるわね」
シルビアは顔を暗くして出ていった
チェロン「そうだ父ちゃん!この兄ちゃん達が皆を救ってくれただ」
バハトラ「旅のお方には二度も助けられちまったな。アンタ達はおら達のヒーローだ。本当にありがとう」
チェロン「あれ?ハネのお姉さんは?お礼言いたかったのに」
グレイグ「急に出ていったが、どうしたのだろうか。探してみよう」