ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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72.カミュの罪

バイキングのアジト

 

 

 

ロウ「この先から何やら騒いでおる声がするのう」

 

 

 

目の前にある扉の先からは騒がしい声が聞こえてくる

 

 

 

イレブン「あ、ここに穴が空いてるよ。少し覗いてみるね」

 

 

 

イレブンが穴を覗くと、そこでは先程の金色の魔物達が騒いでいた

 

 

 

金色の魔物リーダー「お前ら、ラム酒の用意だ!思わぬお宝が手に入ったからな。キラゴルド様もお喜びになるだろう。こんな簡単に手に入るとは思わなかったがな」

 

 

 

 

魔物達「ヤイサホー!」

 

 

 

金色の魔物達は集まって酒瓶を手に騒いでいる。その奥にある牢屋には、静かに横たわるカミュの姿が見える

 

 

 

イレブン「!?皆、カミュを救い出すよ!」

 

 

 

バダン!

 

 

 

イレブン達は油断している魔物達の元に突撃していった

 

 

 

イレブン「魔物達!そこまでだ!カミュを返して!」

 

 

 

 

金色の魔物リーダー「なぬ!?なぜここが!..........おや?お前、まさか勇者イレブンか?」

 

 

 

 

魔物A「そういえば手配書の絵に瓜二つだ。間違いない、こいつだ。キラゴルド様に報告だ!」

 

 

 

一匹の魔物が奥に走っていった

 

 

 

シルビア「あら、イレブンちゃん。随分有名人みたいね。ちょっとだけヤケちゃうわ」

 

 

 

 

マルティナ「もう、変な事言ってないでカミュを助けるわよ」

 

 

 

 

金色の魔物リーダー「笑わせやがって。魔王様にボコボコにされた負け犬共が吠えやがる。行くぞ野郎ども、やっちまえ!」

 

 

 

 

魔物達「ヤイサホー!」

 

 

 

しかし、魔物達はイレブン達にすぐに倒された。カミュは牢屋に入れられていたが、鍵もかけられていなかったのですぐに救出できた

 

 

 

ロウ「大丈夫かの、カミュ。怪我も無いようでなによりじゃ」

 

 

 

 

マルティナ「さあ、一緒に帰りましょう。神父様も心配されてるわ」

 

 

 

 

カミュ「おれは....ここで....そうだ、あいつを.....あそこに」

 

 

 

カミュはまるでイレブン達の事など見えてないかのように、ふらふらと歩いて奥へ向かっていった

 

 

 

イレブン「あ、カミュ、どこ行くの」

 

 

 

 

グレイグ「何か思い出したのだろうか。様子も少しおかしいからな。俺達も急いで追いかけよう」

 

 

 

アジトの奥は外になっており、人も殆ど通らないため降り積もった雪が多く残っている。その先に割と頑丈な扉が入り口に付けられた大きな洞穴があった

 

 

 

風穴の洞穴

 

 

 

そこは洞穴の天井が空いているため風こそ防げないが、雪は殆ど通らない場所でまるで誰かがここで生活していたような跡がある

 

 

 

カミュ「おれは.....あいつを」

 

 

 

洞穴の真ん中は床が黄金になっており、そこでカミュは地面にうずくまっている

 

 

 

ロウ「カミュの様子がおかしい。ここで何があったというんじゃ」

 

 

 

 

イレブン「大樹の根っこがある。これで見てみよう」

 

 

 

イレブンは隅で光っている大樹の根っこに左手をかざした。すると、頭の中に映像が流れ込んできた

 

-----------------------

 

バイキング「おい、カミュ!ちゃんと働きやがれ!誰が10年前雪の中にいたお前らを助けたと思ってやがる」

 

 

 

 

カミュ「......わかったよ、あんたらには感謝してる」

 

 

 

まだ今よりも少し幼さが残るカミュがバイキングと思われる大柄な男に怒鳴られていた。カミュは不服そうにしながらも渋々手伝っている

 

 

 

バイキング「次はこれもあるからな、早くしろよ」

 

 

 

 

カミュ「ちっ.....」

 

 

 

 

マヤ「本当ヨーリョー悪いよな、兄貴は」

 

 

 

バイキングの男が見えなくなると、運んでいた木箱の裏からカミュと同じ髪色をしてポニーテールにしたカミュの妹、マヤが笑いながら出てきた

 

 

 

カミュ「マヤ、お前も手伝えよ。大体はお前があいつらの財布チョロまかしたからだろうが」

 

 

 

 

マヤ「いしし....やだ」

 

 

 

その夜

 

 

 

カミュ「ったく!こんなに遅くなったのマヤのせいだからな」

 

 

 

カミュはマヤと共に疲れ果てながらこの洞穴に戻ってきた

 

 

 

マヤ「うるさいな。そんな事言ってると、いつか俺が大金持ちになった時に分けてやんないからな」

 

 

 

 

カミュ「またその話かよ。でも、そうだな。いつか俺たちでドデカイお宝とってやって、こんな生活とはオサラバだ」

 

 

 

グゥ~....

 

 

 

二人の腹の音が洞穴に響いた

 

 

 

カミュ「だが、まずは今日のメシが問題だな。俺達もあの鳥みたいに翼があれば、こんな所すぐにでも飛んでいくのに」

 

 

 

カミュは洞穴の上空を飛んでいる鳥を羨ましそうに見ていた

 

 

 

マヤ「まったく、兄貴は夢ばっかりみてるぜ」

 

 

 

しばらく日が経って

 

 

 

マヤ「ああ、兄貴おかえり」

 

 

 

カミュが戻ってくるとマヤが既に洞穴に戻っていた

 

 

 

カミュ「ほらよ」

 

 

 

カミュはマヤにある物を渡した

 

 

 

マヤ「え?兄貴、これって」

 

 

 

そこには金色のチェーンに赤い宝石のような物がついたペンダントがあった

 

 

 

カミュ「今日の航海でたまたま見つけたんだ。今日はお前の誕生日だからな。プレゼントだ。おめでとう、マヤ」

 

 

 

 

マヤ「.....はあ!?何このダサい首飾り。兄貴さ、もっと俺の誕生日くらい頑張れよな。俺、あれが欲しいな。噂で聞いたレッドオーブってやつ。デルカダール王国の宝なんだってさ」

 

 

 

 

カミュ「はああ.....。やれやれ」

 

 

 

カミュは呆れたようにしている

 

 

 

マヤ「へへへ」

 

 

 

マヤはそう言いながらも、大切そうにペンダントを抱きしめて早速自身の首につけた

 

 

 

カミュ「その首飾りにはいわくがあってな。身につけたものに金銀財宝をもたらすらしいぜ」

 

 

 

 

マヤ「な....」

 

 

 

マヤの手にあった銅貨が光り始め、金のコインになった

 

 

 

カミュ「な!?マヤ、何したんだ」

 

 

 

カミュは突然の事に目を疑った

 

 

 

マヤ「わかんない......。俺、銅貨を磨こうと触ったら....」

 

 

 

マヤも驚きつつも近くにあるバナナにも触れると、光を放った後金のバナナに変わった

 

 

 

マヤ「は....はは。スゴイ!!マジなんだ!!スゴイよ!この首飾り、兄貴ありがとな!」

 

 

 

 

カミュ「......」

 

 

 

さらにその後

 

 

 

その洞穴には黄金でできた物が多くなっていた

 

 

 

カミュ「また増えたな」

 

 

 

 

マヤ「いしし、どうしたんだよ、兄貴。シケた顔してさ。なんなら、黄金分けてやろうか?こいつでどうかな」

 

 

 

それは黄金でできたカモメだった

 

 

 

カミュ「!!おい、マヤ。何だこれは」

 

 

 

 

マヤ「あれ?こんな小さいのじゃ嫌なの?流石俺の兄貴、案外よくばり」

 

 

 

 

カミュ「違う!!いい加減にしろって言ってんだ!」

 

 

 

 

マヤ「う、うるさいなー。びっくりするだろ。そんな大声出さなくても」

 

 

 

 

カミュ「........」

 

 

 

カミュはマヤを睨んでいる

 

 

 

マヤはカモメを罰が悪そうにみている

 

 

 

マヤ「.....わ、悪かったよ。ちょっと調子にのっただけじゃん。だからそんな怖い顔はやめろよ」

 

 

 

 

カミュ「いや、俺もカッとなっちまった。だがな....」

 

 

 

 

マヤ「わかったよ、この首飾りの力はしばらく使わない」

 

 

 

マヤは首飾りを外そうとする

 

 

 

マヤ「あれ?......なんで?兄貴、どうしよう。首飾りが外れない」

 

 

 

マヤは首につけたペンダントをガチャガチャといじるが、まるで石のように固く離れない

 

 

 

カミュ「はあ?そんな馬鹿な」

 

 

 

 

マヤ「嘘じゃないってば、本当に」

 

 

 

その時、首飾りが怪しく光り始める

 

 

 

マヤ「くそっ、何だこれ。!?.....え....。ど、どういう事だよ。俺、何もしてないのに」

 

 

 

マヤの体がどんどん黄金になっていく

 

 

 

カミュ「!?マヤ!動くなよ!」

 

 

 

カミュは短剣で壊そうとする

 

 

 

ガキン!パキパキパキ

 

 

 

カミュ「な!?」

 

 

 

パキン!

 

 

 

だが、短剣はペンダントに触れた瞬間金に変わり砕けた

 

 

 

その間もマヤの体は黄金になっていく

 

 

 

既に足は全て金に変わっていた

 

 

 

マヤ「やだやだ!何で俺の体が金に!」

 

 

 

マヤもなにがなんだかわからず混乱しながら泣き叫んでいる

 

 

 

マヤの体は既に胴体まで金に変わってきている

 

 

 

カミュ「マヤ!くそっ、どうすればいい」

 

 

 

床もどんどん金に変わっていく

 

 

 

マヤ「やだ!!助けて!!兄貴!!や......あに......き.......おにい......ちゃ....」

 

 

 

マヤは必死に助けを求めてカミュに手を伸ばし、カミュも手を伸ばすが、伸ばしたマヤの手も黄金に変わる

 

 

 

カミュ「な!?」

 

 

 

それに怯んだカミュの手はマヤの手を握る事なく、途中で止まってしまった

 

 

 

マヤ「!!」

 

 

 

そして首飾りの光がなくなると、そこには動く事も喋る事もなくなった、兄に助けを求めようとして手を伸ばしたままの金のマヤの塊があった

 

 

 

カミュ「あ........ああ.......ううう、うあああああ!!!!」

 

 

 

慟哭を上げ、涙を流しながら拳を打ち続けるカミュ

 

 

 

その後どれくらい経ったのかはわからないが、洞穴の扉を閉め、そこから出て行くカミュの姿があった。金のマヤを置いて。

 

-----------------------

 

カミュ「妹を.....マヤを失って、俺は逃げるように旅に出た。......全部俺のせいだったんだ。旅の途中調べていてわかった。

 

 

 

あいつに贈ったのは、誕生日の祝いどころか、呪われたアイテムだったんだ。自分の犯した過ちから逃げたくて、忘れたくて、あちこちでヤケになった。.....気づけばいっぱしの盗賊さ。

 

 

 

そんな時だった。預言者と名乗るやつにこう言われたんだ。伝説の宝珠を集め、地の底で出会う勇者に力を貸せ。さすればお前の贖罪も果たされるだろうってな。最初は信じちゃいなかった。うさんくせーのはもうコリゴリだったからな。

 

 

 

けれど、その予言通り俺はお前と.....イレブンと出会った」

 

 

 

カミュはイレブンに静かに振り返ると今までの怯えたような顔ではなく、前までの盗賊カミュの顔に戻っていた

 

 

 

ロウ「カミュ、お主記憶が」

 

 

 

 

カミュ「ああ、随分迷惑かけたみたいだな。預言者のいう贖罪が何かは知らねえ。だけど、お前達と旅を続けるうちにその預言を信じられそうな気がしたんだ。

 

 

 

イレブンも見たんだろ?この場所に黄金になった俺の妹がいたはずだ。この辺りには黄金を集めてるキラゴルドってやつがいるんだってな。

 

 

 

おそらくそいつの仕業だろう。北の方にそいつらの城があるらしい。乗り込んでやろうぜ」

 

 

 

 

イレブン「うん。マヤちゃんもそうだけど、町の人達も救わなきゃ」

 

 

 

 

カミュ「ありがとな、イレブン。俺も一緒に戦わせてくれ!」

 

 

 

カミュが再び仲間に加わった

 

 

 

 

 

 

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