ザッザッ....
イレブン「え?皆?どうして.....」
仲間達は全員、イレブンの前に立ち塞がった
ベロニカ「イレブン!あんたは行かせないわ!」
グレイグ「俺も同意見だ。お前を一人で、過去に行かせるわけにはいかない。お前の代わりに俺が本当は行ってやりたいが。くそっ!何故俺はここで手をこまねいていろというのだ」
セーニャ「イレブン様、私達姉妹はあなた様を守るという使命があります。ここを通すわけにはいきません」
シルビア「お願い、イレブンちゃん。アタシ、もう大切な仲間を失いたくはないの」
ロウ「過酷な運命はいつも.....わしから様々なものを奪う。娘、娘の夫、ユグノアの民達、ラース.....。しかし、今度ばかりは止めねばならん。イレブンよ、どうか一度だけ、この年寄りのわがままを聞いてはくれんかの。お主までいなくなったら、わしは....」
マルティナ「私からもお願い。どうか考え直して、イレブン。ここで止めないとまた私は、ラースの時のように後悔する。私はラースがいなくなっただけでもつらいのに、イレブンまでいなくなったら、もう立ち上がれなくなってしまうわ」
ベロニカ「ダメよ、イレブン!お願い、行かないで。こんなきっかけを出したのは私なのよ。ラースの時もきっかけは私だった。もう、私のせいで誰かを失いたくないの!」
カミュ「時の番人が言ったように、過去に戻ったらもうこの世界に戻ってこれない。お前だってどうなるかわからないんだぜ。それでも本当に過去に行くのかよ?」
イレブン「皆、ごめん。僕は行くよ。ラースとマルティナをちゃんと結ばせてあげたいし、世界の皆を救いたい。僅かでもその希望があるなら、僕はこれにかけてみる!」
カミュ「.....負けたよ。お前はおっとりしてるようで、こういう時は頑固なんだよな。もう決めたんだろ?だったらもう何も言わねえ。俺はお前のその決断を信じるぜ。イレブン、お前の手でもう一度世界を救うんだ。頼んだぞ、相棒!」
イレブン「カミュ!うん、絶対に救ってみせるよ」
ベロニカ「....さあ行きなさい、イレブン。私達はあなたの意思を尊重するわ」
番人「覚悟を決めたのですね、イレブン。それでは私の知りうる限りのことを教えましょう。時のオーブを壊しあなたが過去に持っていける
物は、あなたの記憶でもある冒険の記録と、これまでに得た戦いの経験、時の祭壇を回っている悠久の金庫の中身のみ。
悠久の金庫はあなたと共に時を遡る事ができる世界で唯一の存在。これからの冒険に必要なものを過去へと運んでくれるでしょう。オーブとともに今装備している勇者の剣は壊れてしまうかもしれませんが、あなたはかつて、勇者の剣だった魔王の剣を持っているはずです。
しばらくはそれを装備しているといいでしょう。私の知りうる事はこれで全てです。さあ、時のオーブへ」
全員「イレブン!!」
グレイグ「過去で会う俺は、以前と同じく敵対する身だろう。しかし、お前が望んでくれるのなら、俺は再びお前に命を預けるだろう。俺は何度だって勇者の盾になる!」
シルビア「んもう!グレイグったら。堅苦しい別れはヤボよ。旅立ちの挨拶は気楽な方がいいの。サヨナラなんて言わないわ!だって、また過去で会えるしね!」
マルティナ「イレブンならきっと大丈夫よ。どんな困難にも打ち勝てるわ。でも、もしダメになりそうな時やつらくなった時は、私達やラースに頼ってね。きっと私達は、あなたが頼ってくれるのを待ってるわ」
ロウ「イレブンや、立派な顔つきになったのう。なあに、ちょっとの間お別れするだけじゃ。わしはお主を信じとるよ。今度こそ皆を救ってくれるとな。なんたって、わしの自慢の孫じゃからのう。ほっほっほっ」
セーニャ「.....私は、あなたをお守りする使命のもと必死にここまで歩いてきました。グズな私も少しはあなたの役にたてましたか?私は信じています。あなたなら、絶対にまた世界を救ってくださると」
ベロニカ「イレブン、私はあんたと、ううん、皆と冒険してるのが楽しかったわ。私の冒険はここで終わるけど、あんたはそっちに行って、もう一人の私や皆と冒険してね。きっとそっちの私も、皆との冒険が楽しくて仕方ないはずだわ」
イレブン「皆、さっき番人はおそらくこの世界に戻ってこれないって言った。でも、絶対にとは言わなかった。僕は勇者イレブンだよ?僅かな可能性があるなら、それを成功させてみせる!あっちの世界を救ったら、いつかこっちに帰ってくるよ。だから、待ってて」
全員「待ってる!」
番人「さあ、時は満ちました。過ぎ去りし時へ」
イレブン「ハア!」
勇者の剣が時のオーブを砕いたと同時に剣は折れてしまった
辺りは強い光に包まれる
ロウ「う、うう....イレブンよ、待ってくれ、イレブン!」
イレブン「皆、行ってきます」
カミュ「イレブン!俺達はもう一度、お前と旅をするからな!
また、会おうぜ!!」
イレブンの姿はなくなった
全員「...........」
全員が何も言わずに、ただ、ただ涙を流していた
ロウ「おお......イレブンよ.....。どうして....お主まで...」
グレイグ「ぐっ......。世界が平和になった.....。だが、なぜこんな事にならなければならんのだ...」
シルビア「アタシは.....皆の笑顔を守りたい....。そう思ってここまで来たのに....アタシは、イレブンちゃんにも笑顔でい続けてほしかった...」
ベロニカ「悔しい.....。こうやって見送る事しかできないなんて」
セーニャ「イレブン様.......」
マルティナ「ラース、ごめんなさい。イレブンまでもが、いなくなってしまうなんて......。私達が守るはずだったのに.....」
カミュ「............泣いてたって始まらねえ。イレブンは、戻ってくるって言ってた。俺の相棒は、何があっても諦めねえ。なら、俺達はイレブンを信じるしかない。勇者の奇跡でもう一度、この世界に戻ってきてくれる事を。
それまで俺達はこの世界を元通りにするんだ。いつか、イレブンが帰ってきた時に、驚かせてやろう。そして、皆で言ってやろうぜ。お帰りってな」