オーバーロード ~新参の堕天使~ 作:初心者騎空士
「やれやれ、国家建設も楽じゃ無いなぁ」
『同感』
アインズ・ウール・ゴウンのプレイヤー一行は、それはそれは疲弊していた。主に精神的に。
「しかし、アレ渡しちゃってよかったんですか?」
「防御パッシブ完全貫通の剣ですか?まあ、あくまでダメージを通せる、ってだけですし?それにコキュートスたっての願いでもありますし」
………件の剣こと
更に言えば、コキュートス自体が他の戦士系守護者らに比べ防御面の補強手段に乏しかったことも理由の一つであると判明し、揃って胸を撫で下ろしていた………その際、戦士レベルを上昇させるというぶっ壊れアイテムが発見されたものの、後程訪問してきたツアーらに無事返還された。
「えーっと………帝国、法国、竜王国、評議国とは現状問題無し、でいいんですかね?」
「そうなるな。エルフの方は言うまでもないが………まあ、それより今は」
立ち上がったラプチャーは
リ・エスティーゼ王国解体から早一カ月。王国解体、及び新国家建設に際しエ・ランテルという街は消え、ナザリックのNPC主導で建設された新興国家《アインズ・ウール・ゴウン神国》のお膝元にして首都たる大都市《ナザリック》へと多くの住人が集った。
と、いうのも、既にバレアレ一家が移住していた旧カルネ村を中心とした区画周辺に彼らを知る者が居を移し、そこから口コミで好意的な評判が広まったお陰でもあるだろう。とはいえ、ダークエルフや一部のエルフ、更にはこの短期間で上手く従属させた亜人も入り乱れている為、完全に平穏、とはいかないが………
「えーっと、それで他はどんな感じでしたっけ?」
「冒険者組合であれば、お前たちのお望み通り
「旧リ・ブルムラシュールは、北部の監視も含め現在パンドラとその補佐にセバスが、旧リ・ボウロロールにはコキュートスと補佐のユリが滞在、暫定統治をしてますね………コキュートス、大丈夫かなぁ………」
「補佐役にユリくっつけてるし、大丈夫………だといいなぁ」
ナザリックが存在するのは、アゼルリシア山脈の南端方面。その為、監視の目が届きにくい北部への牽制の為、今後に向けたNPCによる統治のモデルケース確立も兼て、特に広大且つ野放しにするのが得策では無い地に、比較的善寄りのNPCを置いているのだ。
悪寄りのNPCの場合、万一があった場合が不味い為保留中………というより、アルベドとデミウルゴスには新興都市《ナザリック》の運営を丸投げしている為、そっちに回す余裕がない。
「で、王様たちは海沿いでしたっけ?」
「そそ。有事に備えた護衛としてフル装備のガゼフってあのオッサンを放り込んでる………にしてもクライムだっけ?羨ましいなー!金髪美女の嫁とか!」
「………ソウダナ」
割と本質を理解できているラプチャーの生返事を気にすることなく性癖について熱弁するペロロンチーノを前に、茶釜はこの愚痴をシャルティアに伝える事を決意した。
「現状、問題らしい問題は皆無ですが………」
「この一月、リング・オブ・サステナンス常備で働きまくりましたからね………休みたい」
「いや、アウラとかマーレも頑張ってるのにそりゃないでしょ愚弟」
「そ、それじゃあ!みんなで宴会しようぜ!こう、パーッ!って感じで!」
「いい案ですね!………あ、けど俺が人間の姿になるとアルベドが………」
「………メイドたちが委縮しそうだなぁ………」
「「あ………」」
問題発覚により、打ち上げの予定は霧散………
「あ、アルベドにも同じアイテム使えば!」
「………アレもう一個あったかな………」
「あ、そこからですか………っと、一旦その話は置いておきましょう」
ヘロヘロの咳払いが、話を元に戻す。
「現状、元王国エリアに問題は無し、ってことでいいんですよね?」
「ええ、現状は報告がありませんね」
「そりゃいいや、あたしたちの仕事が減る」
精神的な疲労を隠せぬ面々は、その事実に安堵を零す。
「で、帝国が属国云々仰ってて、竜王国も似た感じで………」
「「うわぁ………」」
「え?マジで?!ロリ女王様が服じゅっ!?」
仕事量の増加に力ない悲鳴が上がる中、悪い方向にテンションが飛びそうになったペロロンチーノに椅子が叩きつけられ、壁まで吹っ飛ぶ。
「………あ………殺っちゃった?」
「い、生きてるよ………一応」
「スライムは元の筋力低い上、茶釜さんは防御型ですからね~」
「まあ、当たりどころが悪ければ人間でいう頸椎がイカれて即死だろうがな」
安堵の様子を見せた一行だが、ラプチャーの言葉で再び凍り付く。
「まあ、直撃した角度や位置を見るに、問題無いだろう」
「いやいやいや!安心できませんからね!?」
「あー、それと法国、評議国が同盟関係の構築を求めてますねー。現状接触がないのは、北東の都市国家連合と、南西の聖王国ですね」
「ちょっ、ヘロヘロさん!?あ、ダメだこりゃ。皆さん、休憩!今日は休暇です!」
ヘロヘロの声が死んでいる事に気付き、モモンガが慌てて宣言する。
流石のリアルブラック企業経験者でも、一カ月不眠不休は過酷が過ぎたようだ………そして、それに平然と耐えれているNPCたちに、改めて畏怖を覚えるのだった。
―――――
………こうして、ナザリックに微かな賑わいを取り戻した立役者の物語は、一先ずの幕引きを迎えた。
大いなる存在として名を馳せた彼らは、これからも《神》として、数多の救いと庇護を与え続けるだろう。
何れ再会を願う者たちに、顔向けできるように。
そして、かつての自分たちのような存在を、生み出さぬために。
めっちゃ短い上色々端折りましたが、これにて完結です。
短い間でしたが、こんなクソみたいな駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
筆が乗りましたら、ラプさんちが消えなかったIFもやるかもです。