ダンジョンで赤龍を追うのは間違っているだろうか 作:たーなひ
最近リアルが忙しくて…って言いますけどリアルじゃない方が忙しいってなんなんですかね。あ、ゲームか(名推理)
ー11階層ー
駆け出しと思われる2人の冒険者。
「ふぅ。」
「ようやく片付いたわね。」
一通り倒して一息ついた所で、何体かのコボルトが近寄っていた。
「ちっ、全然休ませてくれねぇな!」
「でも…こんな所にコボルト?変じゃない?」
「関係ねえよ!オラァァ!」
「ちょっ!ちょっと!」
活発そうな少年は少女の忠告を聞かずに突撃してしまった。
とはいえ、11階層まで来る冒険者にとってコボルトは何度も戦って勝利した相手。ただのコボルトなら負けるはずは無かった。
"ただの"コボルトなら。
「なんだコイツら!」
少年は苦戦していた。
ただのコボルトかと思っていたがそうではない。随分凶暴性が増している。
それも一体ではない。五体全てが普通のコボルトとは違う。
我を忘れているかのように凶暴化しているモンスター。
強化種か?と思ったがそれも違う。強化種は体の色が違うのだ。通常のコボルトは青色だが、強化種は赤くなる。
それに凶暴性は増しているが強化種ほど強くなったわけでも無さそうだ。
というのも、彼らは過去に強化種と戦った事がある。
その時はたまたま居合わせた冒険者と協力して倒したのだが。
「なに苦戦してるのよ!」
少女が声をかける。
「違うんだよ!なんかコイツら変なんだよ!」
そこで三体のコボルト達の矛先は少女に向かった。
「ま、まずい!早く逃げろ!」
「ひっ!!」
少女は後衛、魔法使いだった。
彼女には近づいてきたコボルトを退ける術など無く…
「きゃあぁぁぁぁ!!!」
「おい!おい!!!…クッソ!どけよ!!」
熱くなった少年に冷静な判断が出来るはずもなく…。
油断した冒険者がそこらのモンスターの餌食になるのはありふれた話である。
しかしこのモンスター達を"ありふれた"と言うことは出来ないだろう。
そのモンスターは黒い息を吐いて、肉塊を貪り食っていた。
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「ーーという訳らしくてね。」
フィンが言うには、上層で冒険者の死亡が相次いでいるらしく、今はガネーシャファミリアがダンジョンを封鎖している。
その調査依頼である。
「目撃者はいないのか?」
「誰もいないみたいでね。見つかった冒険者はみんな殺されてるんじゃないかって言われてるよ。」
ほー。
「と言っても上層のモンスターだろう?そこらの中堅派閥でも問題ないと思うが。」
例え強化種が数体いてもレベル3なり4なりがいれば上層の強化種ならば何の問題もなく倒せる。
「本当に上層のモンスターならね。」
…そういうことなんだろうな。
まあ分かっていたことだ。
異変らしい異変が起きれば大体が俺絡みだと思われるのも考えものだが、今のところでは全部俺絡みなのでなんとも言えない。
「概要はわかった。メンバーは?数人に絞るんだろう?」
「そうだね。人数がいれば良いってわけでもない事はわかっているからね。今のところはサポーターを抜いた前のメンバーで行くつもりなんだけど。」
「ふむ……いいんじゃないか?」
という訳で、私は今、ダンジョンにいる。
まあ上層なので何の苦労も無くモンスターを捌いていく。
「手応えないわねー。」
「ほんとそれー。」
「黙ってやれバカゾネスども。」
悪態を吐きたくなるのも分かるが、どうにも今までと違うようだ。
「普通に…モンスターいるね。」
「クラウド絡みでは無いということか?」
「まだ断言は出来ない。先へ進もう。」
ー9階層ー
ここでも普通通りにモンスターが出てくる。
まあ俺達が勝手に予想してるだけだから、そもそも『こっちのモンスターがいる時はダンジョンがモンスターを生まない』という仮定を間違っている可能性は大いにある。
と、ここでベートが立ち止まった。
「どうした?ベート。」
「……妙な匂いがする。」
「妙?」
「別に臭いわけでも無いが…なんか嫌な感じだ。」
「気のせいじゃないの?」
「ちげーよ。何かあるのは間違いねぇ。」
一行は気を引き締める。
しばらく歩くと、モンスターと接敵した。
「アレって…ダンジョンリザード?なんで9階層に…。」
「なんか……いつもと様子違くない?」
「随分具合が悪そうじゃな。」
さっすがガレス。こんな時でもジョークを言えるんだね。
俺達に気付いたのか、ダンジョンリザードがこちらに向かってくる。
「うわっ、こっちきた。」
「うりゃあぁぁ!」
ティオナが倒した。
魔石を落としたが普通のダンジョンリザードのもののようだ。
「ティオナ、倒したら何もわからないじゃないか。」
「え、やっぱりあのモンスター変だった?」
「バカゾネスが。」
「ベートうるさい!私が行かなかったらやってたくせに!」
「テメェと一緒にすんなバカゾネスが!」
2人はそのまま口喧嘩を始めてしまった。
うーん、さっきまで緊張感あったんだがなぁ。
「はぁ…」
リヴェリアも苦労してるんだな…。
ー10階層ー
あの2人は幹部3人に止められても未だに腹の虫が収まらないらしく、どっちが多く倒せるかという競争を始めてしまった。
まああの2人ならそうそう命の危機になったりしないし、なったとしても喧嘩したからと言って助けないほど器が小さいわけでもないので問題無いだろう。
しかし、どうにも妙だ。
先程からモンスターが、何かから逃げるかのようにこちらに向かって来ている。
あの2人かと思ったが、人間から逃げるモンスターなんて聞いた事がない。あくまで"この世界においては"だが。
どうやらあの2人はそのまま下の階層に降りたようだ。
魔石も回収せずに散らばったままだし間違い無いだろう。
みんなで後を追う。
「そういえばクラウド、ランクアップしたんですってね。」
「そうなの?」
その道中、ティオネが聞いてきた。アイズも気になるみたいだ。
「あぁ。」
そう、結局ランクアップしたという事にしたのだ。
「まぁあんだけモンスター倒してれば納得よねー。」
ティオネはまだレベル3だ。ティオナも。
今いるメンバーでレベル3なのは彼女ら姉妹だけ。もしかすると焦りを感じたりしているのだろうか。
そう思うと、あれだけベートに突っかかるティオナに納得がいかないでも無い。
いや、いつも通りか。そんな気がしてきた。
ー11階層ー
先に到着したティオナとベートは、モンスターを探していた。
「全然いないね。」
スンスンと匂いを嗅いでからベートが答える。
「嫌な匂いが強くなってる。」
「フィン達待った方が良いかな?」
「そうだな。流石に待っといた方が『グルルル…』…チッ!」
そこに現れたのは五体のコボルト。
「うわ、なんかこいつらも変なんだけど…」
『グルル……ガァ!!』
「おっと!」
飛びかかってきたがティオナが余裕を持って躱す。
「いっくよー!……………それ!」
一体のコボルトをぶった斬った。
「おい待てバカゾネス。フィン達が来るまで倒すな。」
「えー、なんでー?」
「こいつらの異変を調べたいんだろ。フィン達は。」
「…つまりこれ全部捌きながら待たなきゃいけないのー?」
「出来ねぇなら別に構わねぇぞ。」
「カッチーン!別に出来るし!めんどくさいだけだし!」
2人の相性はそんなに悪くない。
遅れて到着したフィン一行。
モンスターと戦うベートとティオナを見つけたのでフィンが声をかける。
「ベート!ティオナ!」
「あ!やっときたー!おっそーい!」
モンスターの攻撃を捌きながらティオナが答える。
「ベートが倒すなって言うから待ってたんだよー?」
ほう、ベートが。
「とっとと調べること調べろ。」
調べろと言っても、一目でわかってしまった。
これはおそらく
「狂竜化だ。」
"狂竜化"とは、狂竜ウイルスに感染したモンスターが発症する一種の病気だ。凶暴になるなどの症状がある。
伝染し、瞬く間に広がるウイルスだが、死体からは広がらない。感染する前にさっさと倒してしまえば問題ないわけだ。
そんな感じの事を説明したところで、
「もう倒していい?」
ずっと捌きっぱなしだったティオナに聞かれたので「もういいよ。」と答えた。
「狂竜化…ねぇ……。」
「原因はわかったけど、つまりウイルスなんでしょ?どうしようもなく無い?」
ティオネがそう言う。
「自然発生するようなものなら手が出せんな。」
「いや、このウイルスは自然発生するものでは無い。」
「おいおい、まさか人だって言うんじゃねぇだろうな。」
恐らく作れなくもない。が違うだろう。
冒険者は知らないが、ハンターでも放置すれば体に悪影響を及ぼすウイルスだ。
並の研究者では解析も出来ないし、並の体力では瞬く間に体に悪影響が出る。
「流石にそれはない。モンスターだ。心当たりは二体…いや、一体だな。」
「毒系のモンスターか…厄介だな。」
「いや、これは毒ではないぞ。解毒薬でも治らないからな。」
「どうやって直すんじゃ?」
「克服するんだ。」
「「「克服?」」」
「そう、克服。詳しい仕組みはわかっていないが、攻撃を加え続ける事でウイルスを克服する事が出来る。克服した後は少しの間だけ身体能力が上がるから多少はチャンスだな。」
知り合いの研究者に聞いてみたところ、アドレナリンなどと合成する事で全く違う物質に変わり、それが身体能力を上げる作用を持つ…らしい。詳しいことはよくわからんが。
閑話休題。
「でもそんなの感染したかどうかわかるの?」
「なんか、こう、『なんか蝕まれてるきがする!』ってなるから多分大丈夫だ。」
これはマジ。吸い込むと『うわ!なんかやばい!→めっちゃ広がってる気がする!→やばいめっちゃ蝕まれてる気がする!→あ、なんか消えた!→と思ったらめっちゃ身体能力上がってる!気がする!』ってなる。
マジだから。一回吸ってみてくれ。克服した後の多幸感がやめられないんだよなぁ。
ただしなんでもいいから殴ったりできる物を用意しておけ。発症してしまった後の事は知らない。だって発症したことないし。
閑話休題。
「そのモンスターの名前は?」
「"黒蝕竜"ゴア・マガラだ。」
はい。
キリがいいのでいつもよりほんのちょっと短いです。
このダンジョンへの持っていき方なんですけど
ダンジョンでなんか事件
↓
依頼来る
↓
ダンジョン行く
以外の流れが思いつかなくて、いっつもフィンさんが依頼を持ってきてくれる感じになっちゃうんですよね。
なんか良いの無いですかね?
そうそう、今回ちょっと遅かった(俺的には)のは、思い付かなくてという理由がありましてね。
二つ三つ先は見えてるんですけど直近で何を出せばいいか全くわからなくなっちゃいまして。なんとかどこでも出せそうな彼を出す事にして落ち着きました。
どっかでミルクボーイ風のやりとり入れたいです。
書いてて楽しそう。