ダンジョンで赤龍を追うのは間違っているだろうか 作:たーなひ
ー12階層ー
上層では、10階層より下からギミックが現れ始める。
とは言ってもせいぜいが霧で、視界が悪くなる程度。
体に悪影響を及ぼすようなギミックは無い。
しかし、今この階層に広がっている黒い霧はモンスターを凶暴にし、人間に悪影響を及ぼす。
その発生源は黒い竜、"黒蝕竜"ゴア・マガラである。
一行が到着した12階層では、黒い霧がそこらに散らばっており、生命の気配が全く無かった。
「この黒い霧が例のウイルスという訳かい?」
「あぁ。」
「なんというか…禍々しいな。」
「出来るだけ避けて進んで行こう。」
一行は先へと進む。
しばらく歩くと、黒い霧がだんだんと増えてきた。
「増えてきたね。」
「…近いぞ。」
その時、一体のオークがこちらに向かって来ていた。
「あれは…ただのオークみたいね。」
「感染してないのか…。」
ティオネの言葉にリヴェリアが返す。
「……様子が変だな。」
何かから逃げているような。
次の瞬間、黒い影がオークに降りかかった。
「な、なに?」
「やっぱりゴア・マガラか!」
その影はゴア・マガラ。
飛竜種のようでありながら特異な様相はどこか不気味さを漂わせる。
「不気味じゃの。」
「これホントにモンスター?」
ティオナの疑問もわかる。ゴア・マガラはただの飛竜種ではない。
ゴア・マガラは長い時間を経ることで古龍の一種とされるシャガルマガラへと変態する。
古龍の力は強大だ。いるだけで周りの環境を変える力を持つ。
神さながらの力を有する存在の幼体と考えれば、このゴア・マガラも普通のモンスターとは一線を画す存在だ。
『キシャァァァァァ!!』
咆哮と共に霧が撒き散らされる。
「うわっ!めっちゃ霧出てきた!」
「もう気にするな!攻撃してりゃ治る!」
ゴア・マガラを相手にする時のコツは、ウイルスにビビらない事だ。
ウイルスを避けようとするあまり隙が出来て死んでしまう初心者ハンターは多い。
治るものに一々ビビっていてはハンターなど出来ない。
ゴア・マガラがブレスを吐いてくる。
実は結構ホーミング性があり、早々に軌道から避けてしまうと曲がってこちらに当たってしまう。
俺はギリギリまで引き寄せて躱したが、ガレスとティオナが当たってしまう。
「うおっ!」
「うわ!…なにこれ!なんか侵蝕されてる気がする!」
そうだろうそうだろう。わかるんだよなんとなく。
上手く避けたメンバーはさっさと近づいて攻撃を加え始める。
向こうの世界ではギルドの規則によって4人まででしかパーティが組めなかったが、この世界にはそんな規則はない。
4人でやれば手数も増えて楽になる。
今は8人いるので単純計算でさらに倍楽になる。
加えて冒険者は身体能力が高い。力で言えばハンターなど軽く凌いでいるし、レベル5やら6になれば耐久すらもハンターを超すだろう。
何が言いたいかと言うと、めっっっっちゃ楽ということ。
分類上は他のモンスターと次元を異にしているとはいえ所詮は通常のモンスター。これだけの戦力があれば苦労するはずもない。
ゴア・マガラには視覚器官、つまり目が存在しない。
ならばどうやって敵を感知しているのかと言えば、答えはこの黒い霧である。
霧と言っても便宜上そう呼んでいるだけで、実際には鱗粉だと考えられている。その鱗粉によって敵を感知している…というのが定説だ。
そしてその感知能力が高まるにつれて体色が変化し始める。
やがて感知能力がピークに達すると、空を覆い隠すほどの大量の鱗粉を放出する。そして頭部と一体化していた触角が展開され、翼脚の爪を出し地に下ろした6足歩行となる。
この姿を"狂竜化状態"と呼び、行動パターンが大きく変わる。
通常時は空中戦闘やブレスなどを使うが、狂竜化状態になると近接に特化し、攻撃的になる。(wiki参照)
このダンジョンという環境がそうさせたのか、俺達がそれだけ削ったということかわからないが、その狂竜化状態へと姿を変えた。
「な、なんだあれは!」
「翼じゃなくて…腕?」
「なんか景色も変わってない?」
そう。ゴア・マガラの出す霧によって見える景色がモノクロのような景色に変わる。
「気を付けろ!さっきまでとは全然違うぞ!」
ゴア・マガラはブレスを貯めている。
「やばい!口元から離れろ!」
そして放たれる連鎖ブレス。範囲もさることながら、威力もバカに出来ない。
「ぐぅっ!」
「っ!」
「フィン!アイズ!」
「っ!テメェ!!私の団長に何してくれてんだオラァ!!」
………"私の"?
「僕はティオネのじゃないんだけど…」
ティオネ怒ると怖いな…。だから怒蛇なんて呼ばれてるのか。
「……まあ、頭に血上ってるが押してるから良いんじゃないか?」
実際、押している。
そういえば怒ってる時はスキルが発動していると言っていたな。
ゴア・マガラののしかかりで地面がえぐれた。
「うわっ!すっごいパワー!」
「あれ食らったら一溜りもねぇな。」
「気ぃつけろよ若造ども!」
「わかってらあ!」
……どうやら結構余裕で勝てそうだ。
そもそもゴア・マガラの強さの一端はウイルスにある。
オラリオの冒険者も、克服の仕方が分からなければ手に負えなかっただろう。耐異常のアビリティでも防げないみたいだし。
だが残念ながら、幸いにも、"俺"という存在がこの世界に来ていた事でその脅威は半減した。
ベートの蹴りで、感知能力が元に戻る。
脚を引きずって逃げようとするが逃しはしない。
アイズの剣がとどめとなって、ピクリとも動かなくなった。
ふぅ。
誰一人大きな怪我も無く倒せたのは良かった。
8人での連携も板についてきた。
「はー!いやー、強かったねー!」
「ほんと。早く帰ってシャワー浴びましょ。」
あとは残りのウイルスだが、新たに供給されなければ自然に消滅していくのでもう少しの間だけダンジョンを封鎖しておけば大丈夫だろう。
「よし。それじゃあ、帰還しよう。」
一行は帰路に着いた。
ー黄昏の館ー
「そういえば、アレって発症してたらどうなってたの?」
ご飯を食べながらティオネが聞いてきた。
「俺は発症した事がないが、聞いた話では免疫と体力の低下が見られるらしい。あまり詳しい話は聞かなかったがな。」
「ふーん。」
「…………ねぇクラウド。」
黙っていたアイズが口を開いた。
「あのモンスターは、そっちで言えばどれくらい強いの?」
難しい質問だな。"危険度"なら申し分なく今のところ最高クラスだが、"強さ"となると微妙なところだ。
「そうだな…。リオレウスやディノバルドと同等と思ってもらっていいはずだ。」
実際そのくらいだろう。厄介ではあるがそこまで強くない。
だが、アイズはまだ気になる事があるらしい。
「あのモンスター、今までのモンスターと違う気がした。」
「違う?何が?」
「雰囲気?かな…不気味な感じがした」
…もしかして古龍の幼体である事を言っているのだろうか。
まあゴア・マガラ自体不気味な存在であることは間違いない。
「そうだな………
古龍って知ってるか?」
ゴア・マガラが現れたのなら、いずれ古龍も、現れるだろう。
早いうちに話しておいて損はないはずだ。
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ー12階層ー
フィン達が倒したゴア・マガラ。
死んでいた。間違いなく。命を絶った。
しかし、その黒い影は動いている。
やがて外殻にヒビが入る。
その外殻が剥がれ。
白い鱗が露わになる。
飛び去った白い竜の存在は、誰も知らない。
はい。いつもより短いんですけど、5000時書くのって無理ですよね。アベレージ、下がります。
フィン、ベート、ティオネ、ティオナ、ガレス→喋り方分かりやすいから結構喋る
アイズ、リヴェリア→あんま喋らん。なんならアイズほぼ喋ってない。
って感じやと思うんですけど、読んでる側って誰が喋ってるかわかるんですかね?
あと、戦闘描写。
俺は戦闘シーンとか「イメージわかんからええや」って感じで斜め読みしてるんですけど皆さんは細かいとこまであった方が良いんですかね?
流石にソロの時は細かく追っていきますけど。
では、誤字報告お待ちしてます。