ダンジョンで赤龍を追うのは間違っているだろうか 作:たーなひ
次から原作のとこまで飛ばします。
詳しくは後書きで。
本日、我々ロキファミリアはダンジョンは25階層、水の迷都へとやって参りました。
クエストを受注していて、メンバーは俺とアイズ。
ちょくちょくしてる特訓のついでに受けた。
クエストの内容は『マーメイドの生き血』の納品。
『マーメイドの生き血』は希少モンスターであるマーメイドのドロップアイテムだ。
ユニコーンの角と並ぶ希少アイテムらしい。
さっさと終わらせようと思っていたが、どうやらそうはいかないらしい。
「モンスター…いないね。」
そう、モンスターがいない。
25階層に入ってから全くエンカウントしない。
これだけ歩いてモンスターが全く居ないということは、おそらくそうゆうことだ。
「…ほっとくわけにも行かないよなぁ。」
「じゃあやっぱり…」
「まぁそうゆうことだろうな。」
「…フィン達居ないけど勝てるの?」
「無理なら逃げればいい。」
とは言え、大体のモンスターをソロで倒して来たんだし普通のモンスターなら問題無く倒せるはずだが。
しばらく歩いた所で導蟲が痕跡を示した。
示していたのは焦げ跡のようなもの。魔石が落ちているので戦闘によって出来た物だとわかる。
しかし、焦げ跡…炎か。
これだけ水の多い場所だ。炎を使うモンスターは水が苦手なことが多い。水辺に立ち入るモンスターとなれば随分限られてくる。
ディノバルドか…リオ夫婦か…後はジャナフもあるな。
「ねえ、クラウド。」
「どうした?」
「これ…」
アイズが水路を指差して言うので見てみる。
「これは………」
そこには無数の魔石とドロップアイテムが水底や水面に放置されていた。
「これも同じモンスターの仕業なのかな……?」
いや、これだけの数のモンスターを倒すとなると水上からでは出来ないはずだ。
水中のモンスター、その可能性がある。
それに加えて炎を使うモンスター。
「二体いる可能性があるな。」
「二体…」
互いに潰しあってくれると助かるんだが…。
落ちている魔石を辿って歩いていると、所々にあるドロップアイテムの中にマーメイドの生き血があったので回収しておいた。
それにしても痕跡が少ない。
焦げ跡と散らばる魔石しか痕跡が無い。
足跡すら無いということは飛ぶモンスターということになる。炎を扱うモンスターがこの水の中を泳いで行くとは考えにくい。
ようやく導蟲がモンスターに追跡を始めた。
焦げ跡しかないのでかなり量が必要だったようだ。
俺とアイズでその後を追いかける。
モンスターの魔石が散らばっている中で、所々に灰がある。
ついさっき倒された所だということだ。
少しずつ戦闘の音が大きくなっている。
水中で暴れる影。
打ち上げられて壁に叩きつけられるモンスター達。
そして迸る"雷"。
なるほど…そうゆうことか。
あの焦げ跡は炎によって出来たものではなく、電撃によってできたもの。
つまり最初から全てこのモンスター一体の痕跡だったというわけだ。
通称"海竜"ラギアクルス。
空の王者と呼ばれるリオレウスに対して大海の王者と呼ばれるモンスターだ。
「随分厄介なモンスターを引いてしまったようだ。」
「強いの?」
「そこそこだな。俺たち2人なら問題なく倒せる相手だが、地形が悪い。」
この階層の水路は天然の罠ともいえるほど流れが早く、深い。
とても水中戦が出来るような環境では無い。
遠くから魔法を当てていれば倒せるが、あいにく俺たちはそうゆう魔法を持ち合わせていない。
「…引きずり出すしか無いか。」
まあ、我慢比べだ。
だが今回はギルドの規定によるタイムアップもない。
駆け出しの時にガノトトスと対峙した時は陸で永遠に水から上がるのを待っていた事を思い出す。
そこらに落ちてる石ころを探して、スリンガーにセットする。
「……どうするの?」
「我慢比べだ。陸からチマチマ攻撃して、あいつを水中から引きずり出す。」
そう言って、石ころをラギアクルスに発射。
向こうもこちらに気付いたようだが、まだモンスターと戦っているので、この隙にチマチマ石ころを当てる。
すると、アイズが魔法を使い出した。
どうする気かと聞こうと思ったら、壁を走り出した。
そして壁と天井をうまく使いながらすれ違い様に攻撃を加えている。
モンスターを倒し終えたラギアクルスもこちらを標的にしている。
ガンナーならここからでも攻撃出来たんだが…
…待てよ?
クラッチは水中でも使える……ということは!
いい考えを思いついた俺はクラッチでラギアクルスの体に張り付く。
そして攻撃。
離れれば水の流れに逆らえず流されるが、すぐにクラッチでラギアクルスに張り付き、また攻撃。
これを繰り返すことで石ころよりも効率的に攻撃できる。というわけだ。
ラギアクルスもやられっぱなしでは無い。
だが、水中戦が久々な俺は当たり前のことすらも忘れていたらしい。
"水は電気を通しやすい"
誰でも知っている事だ。
そんな事すらも忘れていた俺が、ラギアクルスの急な放電攻撃に対応出来るはずも無かった。
「ぐっ!」
迂闊だった。
近づき過ぎるのも良くないが、離れ過ぎればクラッチが届かなくなる。
この方法では安定しないとわかったので、さっさと陸に上がって石ころでチマチマ援護する。
向こうが痺れを切らしてようやく陸に上がって来てくれた。
チマチマヘイト溜め戦法は功を奏したようだ。
さて、ここからがようやく本番だ。
ラギアクルスの噛みつきを横に回避して縦斬り二回、切り上げの後タックルの構え。そこに見切り斬りを合わせる。
まだ石ころが残っているので、折角だから使ってしまおう。
顔にクラッチして石ころを全弾発射、壁にぶち当てるてダウンをとる。
「尻尾と背電殻を重点的に狙え!」
「わかった」
尻尾を狙うのは攻撃のリーチを狭めるためで、背中を狙うのは帯電行動の頻度を減らすためだ。減る傾向にあるというだけで一概に減るとも言えないが。
ダウンから起き上がったラギアクルスが帯電を始めた。
「少し離れろ!」
電気が放出され、その直後に距離を取った俺たちへ雷球を吐いた。
横に回避して距離を詰める。
そしてボディプレスを行うが見切って大回転斬りに派生、のしかかり後に下がった頭に大回転斬りを叩き込んだら角が壊れた。アイズの攻撃で随分ダメージが蓄積されていたようだ。
角が壊れて怯んだ所でアイズに尻尾を切断される。
流石はレベル4、仕事が早い。
怒りの咆哮をあげて、そのまま帯電行動。
どうやら帯電が完了したようだ。背中の背電殻が青く光っており、それが帯電した証拠。
ここからはいくつかの攻撃に雷属性が追加される。
突進やタックルなどがその例だ。
早速突進が来た。電気を纏いながらの攻撃なので少し大きめに避けておく。
接近している俺たちに対して回転尻尾攻撃でなぎ払おうとするが俺は見切り斬りで対処、アイズは飛んで回避。
俺は大回転斬りの後特殊納刀で構える。
アイズに向かって噛みつきをしたので俺は普通に居合抜刀斬りを行う。アイズは噛みつきを上手く避けて斬りつけた。
ラギアクルスがとぐろをまき始めて、電気を溜めている。
大放電の予備動作だ。
これはまずい。
「アイズ!早く離れろ!」
「う、うん!」
俺は流石に間に合わんか…。
躱すしかない!
大放電が放たれる。
大放電は背電殻に溜めた電気を一気に放出する技で、一度放電した後、連鎖的にいくつかの方向に分かれて電気が迸る。
ここで重要なのは、その一度目の放電は帯電行動より少し広いぐらいの範囲という事だ。
つまり、今の距離でも十分間に合う。
そして二連鎖目だが、いくつかの方向、つまり全方向ではない。場所さえ分かれば容易に避けれるのだ。
何が言いたいかと言えば、威力は高いがそこそこの距離にいれば問題なく避けれるという事だ。
さて、上手く躱せた。
この大放電の後は帯電行動が減るのでチャンスだ。
背中は流石に狙いにくいので、比較的肉質の柔らかい前脚と胸を中心に狙っていく。
胸を狙うって……エッ…………!
爪を壊せばダウンを取れるので、ダウンを取った後は背中を狙えるというわけだ。
ボディプレスを見切って大回転斬りしたところでアイズの攻撃に怯んだので、兜割を背中に叩き込んでそのまま特殊納刀で構える。
回転尻尾攻撃が来たので居合抜刀鬼刃斬りを前脚に当てる。
すると爪が壊れてダウンしたのでもう一度背中に兜割。
ようやく背電殻も壊すことができたので、後は肉質の柔らかい胸を中心に狙っていく。
起き上がったラギアクルスが、足を引き摺りながら逃げようとし始めた。
流石に逃すわけにもいかない。
石ころを拾ってクラッチで張り付いた後、一度殴って向きを変えさせ壁にあてる。
頭部に鬼刃斬りから大回転斬りのあと兜割を叩き込めば、ラギアクルスは動かなくなった。
はい。
前書きにも書いたんですけど、次から原作の所まで飛ばします。
当初はこのモンスター狩りをしばらく続けるつもりだったんですけど、パターンがマンネリ化してて全然筆が進まんのですよ。だって日常回なんか書けないんだもん…。
しかも当初の予定では原作まで後4年分あるんですよ!
これは無理や…
というわけで書いときたいことは一先ず終わってるんでもう原作に入ります。
「いや、甘えず予定通り全部かけよ」って言う人が多ければちょっと考えますけど…