ダンジョンで赤龍を追うのは間違っているだろうか   作:たーなひ

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こんにちは。
コメント思ったより沢山頂けて嬉しかったです!「どうせ誰にも読まれへんねやろなぁ」って思ってたのでマジでモチベガン上がりしました。ありがとうございました。

では2話目どうぞ!


テツカブラは見切り斬りをご存じでない!??

「すまない。助かったよ。」

 

金髪の子供が話しかけてくる。優しそうな少年に見えるが見た目に騙されてはいけない。

今時はアイルーだけで古龍を討伐する"ニャンター"なる者もいるのだ。あんなに可愛らしいアイルーに古龍を打ち倒すほどのパワーが秘められているのだからその倍はあろう人間ともなれば計り知れない。

中には古龍のソロタイムアタックを競う界隈もあると聞くが、そこまでいくともはや化け物である。

話が逸れた。

 

 

「いや、気にすることはない。テツカブラには俺も駆け出しの頃かなり苦戦させられた。まあいずれ慣れるさ。

そうだ、あのモンスターの事を教えておいてやろう。

肉質は普通なら頭が1番柔らかいぞ。何より牙を破壊すれば掘り出す岩が小さくなって岩を使った攻撃の規模が小さくなるから優先的に狙うのがオススメだ。

次にオススメなのはあ「ちょっとまってくれ。」ん?」

 

「あのモンスターの事を…知っているのか?」

 

「あぁ、もちろん知っている。クエストを受けて来たわけじゃないのか?」

 

「いや、そんな依頼は無かったはずだが…。君が受けたのかい?」

 

お互いの言う"クエスト"は少し齟齬があるのだが現状どちらも気付くことはない。

 

「いや、そういうわけではない。

討伐が厳しいなら手を貸そうか?見た感じかなり苦戦していたようだし、地上に出るのを手伝ってくれるなら無償で討伐しても良い。」

 

最優先事項は地上への帰還。その為ならテツカブラを無償で狩る程度安いものである。

 

「もちろん手伝ってくれるならありがたい申し出だ。君はあのモンスターの事に詳しいみたいだしね。

だけどどうするんだい?刃が通らないし、肉も断てないしその上魔法も効かない。有効打があるようには思えないけど。」

 

(魔法?)

「モンスターの肉がそう簡単に断ち切れるわけ無いだろうに。ジャギィですら真っ二つにするのは至難の技だぞ。

斬って斬って斬りまくってじわじわ体力を削るんだよ。」

 

「うーん、(よくわからないけど)まあ倒してくれるなら頼むよ。」

 

「ああ。」

 

 

(となると手負いを抱えたまま追跡するのは危険か…。僕だけ残ってアイズたちは返そう。)

「アイズ、みんなを連れて先に帰っておいてくれるかい?」

 

「………………」

 

「アイズ?」

 

「…私、ついて行きたい。」

 

アイズは結構頑固な性格だ。こうなるとなかなか折れない。

 

フィンは溜息を吐いて言う。

 

「あのねアイズ。気になるのはわかるけどあれだけの怪我人の数だ。残りのメンバーで怪我人を守りながら地上に帰れるか少し怪しい。わかるだろう?」

 

「…でも、行き道は全然モンスター居なかった。」

 

「確かにそうだけどダンジョンは何が起こるかわからない。そういう油断は禁物だ。」

 

「………じゃあ、私のエリクサーをみんなに渡して行く。そしたら怪我人も減るから大丈夫でしょ?」

 

「…………………はぁ。わかったよ。そうしてくれ。」

 

「うん。」

 

アイズは団員の元へ歩いて行った。

 

 

「話は纏まったか?」

 

「あぁ、すまない。待たせてしまったね。」

 

「気にするな。」

 

「そういえば自己紹介がまだだったね。僕はフィン・ディムナ。」

 

「俺はクラウド。クラウド・ベロキシナムだ。」

 

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14階層のとあるルーム

 

『グオォォォォォォォ!!!!』

鬼蛙と対峙する男が動く。

 

 

まず脚狙って縦斬り。次いで切り上げ、さらに突き。

ここでテツカブラの四股踏み。

それに合わせて見切り切りからの大回転斬り、さらにそこから派生して特殊納刀からの居合抜刀斬り。

 

切り下がって一旦距離を取る。

 

するとテツカブラは突進で一気に距離を詰めに来る。

それを横に回避し、来るであろう追撃の突進を予測して続けてローリング。

案の定追撃があり、上手くかわしたので此方に後ろを向けている。

その隙に後脚に縦斬り、そして鬼人斬りをしたところでテツカブラが飛び上がった。そのままプレスに来るがそこに見切り斬りを合わせて大回転斬り。

 

と、後脚が壊れた。

この隙に転倒して軟化している尻尾に鬼刃突きから兜割を叩き込む。

 

その後起き上がったテツカブラの怒りの咆哮が響き渡るがそれをクラウドは予測していた。

 

見切って大回転斬りを当てたあとは特殊納刀。

 

 

テツカブラの突進に、居合抜刀鬼刃斬りを合わせ…

 

 

 

鬼刃斬りを食らって仰向けになったテツカブラは少し痙攣したあと、完全に動きを止めた。

 

 

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(すごい……!!)

 

アイズは目の前の光景に釘付けになっていた。

 

流れるような剣技、すべての攻撃を紙一重で見切りその隙に大振りを叩き込み、背後に目がついているかのような突進に対する転身での回避。

 

そして何よりあの極東に伝わる最速の剣技"居合"。それを突進のすれ違い様に叩き込むまさに神業。

 

 

一切無駄の無い美しい剣技に、アイズは見惚れていた。

 

 

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「ふぅ…。」

 

納刀して一息。

 

 

思いの外早く討伐できたな…。既に彼らがかなり削っていたんだろうか。まあMRの装備だからそんなものな気がしないでもないが…。

 

 

 

2人が近づいて来る

 

「すごいね。一瞬で片付けてしまった。」

フィンが言った。

 

「いや、フィン達がかなり削ってくれていたから、もともとそれほど体力は残って無かったんだろう。」

 

「そうなのかい?」

 

「あぁ。多分な。あまりダメージを負っているように見えないが確実に蓄積されているから、根気強く頑張ればいつか倒せる。」

 

「そうか…。ありがとう、本当に助かったよ。」

 

「いやいや、お安い御用さ。

それよりコイツはどうするんだ?俺は素材必要無いから全部貰ってくれて構わないんだが。」

 

「良いのかい?なら遠慮なく貰うよ。

アイズ、これはギルドに引き渡そう。地上に出た後ギルドの回収を呼んで来てくれないか?」

 

「うん。わかった。でも灰にならないけど倒せてるの?」

 

「灰?灰にはならないぞ?焼いたわけでも無いし。」

 

「そうなの?」

 

「あぁ。」

 

「外のモンスターみたいだね。とりあえず地上に出ようか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地上に向かう道中で分かったことがある。

 

それは新大陸では無いということだ。

というのも、モンスターの湧き方がおかしい。壁から生まれるモンスターなんて聞いたことがないし、何より倒した後に灰になって紫色の石を落とす。さっき話していた灰がどうとかいうのはこういう事だったのか…。

初めて見た時は驚いた。

一太刀でモンスターが斬れていくのはあまり経験がないので変な感じだ。

 

それとなく原理を聞いてみたがよく分かっていないという。

 

 

時々会話に入る聴き慣れない言葉、現実離れしている生物。

 

 

 

ここで、ある可能性に思い至る。

 

 

 

ここが異世界である、という可能性だ。

とても信じられる話ではないが、荒唐無稽というわけでもない。

実際新大陸でも異世界のモンスターが現れる事もあったし、ゲラルトという前例もある。

新大陸には異世界と繋がる特異点のようなものでもあるのだろうか。

 

そう考えると、理解できない事象にも納得がいく。

世界が違えば、そこには違う法則があり、事象があるのだろう。

 

 

問題は、俺がこの世界に受け入れられるかどうか。

 

ゲラルトの時はレーシェンという脅威を倒す明確な共通の目的があった。

信頼関係を築くほど過ごしたわけではないが、共通の目的があったので手を互いに取り合うことが出来た。

 

 

だが、俺の場合はどうだろうか。

彼らの戦いぶりを見る限り、危険度5以上のモンスターでもでもない限り討伐は可能だろう。

つまりある程度のモンスターではレーシェンほどの脅威には遠く及ばない。

 

互いに協力を必要としている状況であれば敵対することもないだろう。

人を最も団結させるのは敵の存在だと言うが、実に的を得ている。

上手く立ち回らなければ敵対されて拘束されたりするかもしれない。

 

 

 

 

閑話休題。

 

 

 

 

 

10何回ほど階段を上がったが、そろそろ地上に出るらしい。

 

さあ、どう立ち回るか……。

 

 

 

 

___________________________________________

 

ー地上ー

 

 

 

 

僕らは特に何事もなく地上にでた。

 

道中何度かモンスターと遭遇したが、いつも通りのモンスターだった。

クラウドは灰になって消えたことに驚いていたように見えたが、オラリオの外で腕を振るっていたということだろうか。

 

「ふぅ。ようやく地上だ。じゃあアイズ、ギルドに連絡しに行ってくれないかい?」

 

「うん。わかった。」

 

ギルドに向かったアイズを見送って、クラウドに声をかける。

 

「今日は本当に助かったよ。ありがとう。」

 

「ん?あぁ、いや何、お互い様と言うやつだ。俺も出られなくて困っていたからな。」

 

「そういえば、君はどこのファミリアなんだい?」

 

「ファミリア?なんだそれは。」

 

「ファミリアを知らないのかい?」

 

「あぁ。何分田舎でな。ろくに外と交流しなかったものだからさっぱりなんだ。」

 

「そうだったのか…。なら神の事は分かるかい?」

 

「神?神様ということなら存在自体はもちろん知っている。もちろん見た事はないがな。」

 

なるほど……まだファミリアに所属していないなら…是非ロキファミリアに欲しい所だ。

闇派閥なら警戒が必要だが、特に嘘を言っている感じもしないし演技というわけでもないだろう。何より親指が疼いていない。

 

「それなら、ウチのホームに来ないかい?」

 

「ホーム?」

 

「要は家だよ。お礼もしたいしあのモンスターの事も聞いておきたい。」

 

「ふむ……………。わかった。案内してくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーロキファミリア本拠『黄昏の館』ー

 

 

「そこに掛けてくれ。」

 

応接室に通してソファに掛けてもらい対面に机を挟んで座る。

 

「改めて、僕はロキファミリア団長、フィン・ディムナ。早速だけど、あのモンスターについて聞いてもいいかな?」

 

「……………いや、先にこの都市について説明してもらってもいいか?」

 

「……うん、全然構わないよ。

まず、ここは迷宮都市オラリオ…都市の中心にそびえ立つバベルの下にダンジョンと呼ばれる穴があって……ー」

 

 

 

______________________________________

 

 

やはりここは異世界なのだと確信した。

 

神の存在、レベル、魔法、恩恵、ファミリア。

 

夢物語のようで、理解できても納得が追いついていかない。

 

 

(ここからはダンまち知ってる人は次のーーーーまで飛ばして大丈夫です。)

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話をまとめると、ここはオラリオと呼ばれる都市で、バベルと呼ばれる頂点が見えないほどの巨大な塔を中心にメインストリートが広がっている。

そのバベルの下にはダンジョンと呼ばれる洞窟があり、最深部まで到達した人間は未だにいない。現在の最高到達階層は

59階層。

ダンジョンでは人間を喰らうモンスターが生み出され、そのモンスターは胸に魔石を持ち、絶命時に魔石とごく稀にドロップアイテムを落として灰になる。魔石を砕く事でモンスターは絶命するが、ギルドでの換金には魔石が必要なので、お金を稼ぐなら魔石を回収する必要がある。

ただダンジョン以外でもモンスターは生まれる。オラリオの外では繁殖によって増えており、魔石がないので死体が灰になることもない。

 

次にファミリアについて。

ファミリアとは、神とその眷属の事で、神は約1000年前娯楽と刺激を求めて天界から下界に降りてきたらしい。

眷属は、神が下界の子供に自らの血(神血《イコル》)を垂らすことでステータスを刻まれ、常人を超える身体能力などの恩恵を得る。

ステータスは背中に刻まれ、能力が数値化され、さらにスキルが発現したり、魔法が使えるようになるという。

さらに恩恵を得た眷属は、経験値《エクセリア》を貯めることでレベルアップと呼ばれる器の昇華をすることが出来るようになる。レベルが一つ違うだけで実力がかなり変わるらしい。レベル1がレベル2に勝つことはごく稀にあるが、レベル3には絶対に勝てないという。要は下位上位G級みたいなものだろう。

因みに今の最高はレベル7が1人らしい。

ファミリアにも規模があり、オラリオにおいては今いるロキファミリアとレベル7を有するフレイヤファミリアが二大派閥として君臨している。

また、ファミリアにはそれぞれの神が持つ特色が反映されており、ダンジョンで生計を立てる冒険者中心の探索や、鍛治、農業、商業など幅広い。

 

人間以外の種族もおり、エルフやらドワーフやら小人族《パルゥム》やら獣人やらたくさんいるらしい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

と、以上がこの都市、ひいては世界の概要である。

 

 

「やけにデカい家だと思ったが最大派閥だったのか…。」

 

「ははは。まあ隠してたわけでもないんだけどね。

それじゃあ、あのモンスターについて聞いてもいいかい?」

 

「あぁ。あのモンスターはテツカブラ。通称"鬼蛙"。肉食強力な顎に発達した四肢を持っていて……ー」

 

 

せつめいちう

 

 

「ふむ…なるほど。君はあのモンスターを知っていたみたいだけどあれはオラリオの外にいるモンスターなのかい?」

 

「あぁ。俺のいた地域にはいたがここらへんでは見なかったな。」

 

このままオラリオの外から来たという体でいこう。我ながら自然な立ち回り。俺でなきゃ見逃しちゃうね。

 

「……よし。何故ダンジョンに居たのか気になるところだけど一先ずこんな感じかな。他に捕捉するところはあるかい?」

 

「いや、特に無いな。」

 

「そうか。折角だ、君の事も聞いておきたい。」

 

「俺の事?」

 

「あぁ。正直な話、君がウチに欲しいんだ。君ほどの腕ならどこも欲しがるだろうし、今のうちに唾をつけておきたい。」

 

なるほど…。どこかのファミリアには所属したいと思っていたから、これは願ったり叶ったりだ。

上手いこと入団すれば、強力な仲間と元の世界に帰る手掛かりをつかめるかもしれない。

 

 

「じゃあ『フィ〜ン〜』ん?」

 

「お、ナイスタイミングだね。」

 

 

フィンが立ってドアを開ける。

 

 

 

 

そこに立っていたのは、不思議な雰囲気の赤髪の女性だった。




はい。主人公の名前出ましたね、クラウド・ベロキシナム。
ほんまはグリ○ジョー・ジャガージャック的なクッソオサレネームにしたかったんですけど、人と被らんように奇抜にいこうと思ったらベロキシナムになっちゃいました。なんか聞いたことある気がするんですけど気のせいですかね?

なんか思ったより文字数が嵩んで、1話の1.5倍ぐらいになりました。どんくらいなら読みやすいんかイマイチ分からないですよね。

あと、思ったよりモンハン側(?)からのコメントが多かったんでびっくりしました。まあ今はモンハン結構アツイですしね。もう主はほぼエアプになりましたが。

相談なんですけど、展開で悩んでる所があって、結晶があるところって18階層じゃないですか。………ん?結晶……タイトルは赤龍ムフェト・ジーヴァ…うっ!頭が………!でも18階層って中層やから割と序盤じゃないですか。うーん出せ……なくもないけど…おーーん。

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