ダンジョンで赤龍を追うのは間違っているだろうか   作:たーなひ

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今更やけど
『こちらのモンスター』=モンハンのモンス
『ここのモンスター』、もしくはただの『モンスター』=ダンまちのモンスター
に統一しておきたいと思います。


森林マップ遠征☆1ー1

今俺達ロキファミリアは遠征に来ている。

 

その目的は、赤龍によって出現したこちらの世界のモンスターの討伐。

 

こちらの世界のモンスターがダンジョンに与える影響は大きい。

まず実力不足な冒険者が殺される。立ち回りさえしっかりすればレベル1でも倒せるモンスターもいるが、初見では間違いなく餌食になる。

次に沸きが少なくなる。こちらのモンスターが狩り尽くしているのか、ダンジョンが産むのを辞めているのかわからないが、モンスターが格段に少なくなる。これは過去2回、ロキファミリアも俺もモンスターを討伐するまで、一体もモンスターに会わなかったことからそう結論付けている。

 

 

さて、そうなると中層に入ってからモンスターを殆ど見ていない今は、こちらのモンスターが出ているという事になるわけだが。

 

「どういうことだ…。モンスターがいねぇ。」

 

そう言った狼人《ウェアウルフ》はベート・ローガ。レベル4の冒険者で、俺の一年と少し前に改宗してロキファミリアに入団したと聞いている。

 

「そうだね…。匂いもしないのかい?」

 

そう尋ねたのは団長であるフィン・ディムナ。

 

「あぁ……。いや、少し変な匂いがする。」

 

「変?」

 

「なんか、こう、嘔吐物みてぇな、ひでえ匂いだ。」

 

「ふむ…心当たりは?」

 

俺に聞いてきた。

嘔吐物…嘔吐物……ゲロ…?…うーむわからん。

 

「それだけじゃなんともな…。方向はわかるか?」

 

「このまままっすぐ…いや、少し左だな。」

 

そこで、導蟲が反応して、ベートが指す方向へと向かっていった。

 

「なんだそりゃ?」

 

「うーんなんというか…スキルみたいなもんだ。」

 

「どうしようか。居場所が割れたなら少数精鋭で向かう方が得策か…。」

 

「さっさと行って終わらせちまおうぜ。」

 

「…うん。そうしよう。…全員聞け!目標を補足した!これよりレベル3以上の少数精鋭で目標に向かう。リヴェリアとガレスには残ってもらうから、2人の指示に従ってくれ。」

 

「「「はい!」」」

 

「先に行くぞ。」

 

「あ、ベート!全く…クラウド、先に向かってくれ。」

 

「了解。」

 

 

 

 

走っているとそこら中に痕跡がある。

這いずり跡、足跡、木に付着した粘液や爪痕。

這いずり跡…はともかく、粘液に爪痕…となると…。

 

 

追いついてみたら、壁が崩れて砂埃が舞っている。

どうやら蹴飛ばしたらしい。

 

「ベート、初見のモンスターだろう。一人で飛び出すな。」

 

「ちっ、るせぇな。」

 

「ベート、クラウド!」

 

フィン、アイズ、ティオナ、ティオネが合流した。

 

「えー、もう終わっちゃったのー?」

 

ティオナが不満そうに言う、

 

「ふん。とろい奴が悪いんだよ。」

 

「むーー!」

 

「いや、まだだ。くるぞ。」

 

「「「!!!!」」」

 

一体のモンスターが砂埃から飛び出て姿を現した。

 

 

黄色い鱗。茶色や緑の縞模様。そしてたてがみ。

通称"賊竜"

 

「ドスジャグラスか…。」

 

「手強いかい?」

 

フィンが聞いてきた。

 

「雑魚だ。問題ない。一気に畳もう。」

 

「わかった。一気に畳むぞ!魔石がないことを忘れるな!ダメージを与えて削り倒すんだ!」

 

フィンの指示で一斉に斬りかかる。

 

「すご!ほんとに斬り離せない!」

 

「コラ、ティオナ!はしゃがないの!」

 

ベートの蹴りで怯んだので、クラッチで張り付いてセットしておいた石ころで壁あてを狙う。

 

「ほっ、おら!」

 

壁あてが成功した。大ダウンなのでチャンスだ。

 

「よし、一気に畳みかけろ!」

 

 

レベル6がいるから当然ではあるが、壁当ての後はそのまま削り切ってしまって動かなくなってしまった。

 

「倒した?」

 

「あぁ。もう死んでる。」

 

「んだよつまんねぇな。さっさと帰ろうぜフィン。」

 

「……………。」

 

「…?団長?」

 

「おい、フィン。」

 

「……嫌な予感がする。早く戻ろう。」

 

 

そう言って戻ろうとした時、導蟲が赤く反応した。

 

「!全員伏せろ!」

 

その瞬間、森からモンスターが飛び出てドスジャグラスの方に飛びかかった。

 

「んだありゃ!」

 

「クラウド!あれは?」

 

「アンジャナフ。火のブレスを吐くぞ気を付けろ。」

 

アンジャナフがこちらを向いて臨戦態勢を取る。

どうやら俺たちの狩ったドスジャグラスを横取りするつもりらしい。

 

「攻撃が通りやすいのは頭と尻尾だ。脚も破壊すれば通りやくなる。」

 

「わかった。ベートは頭、アイズは尻尾を狙え!残りで脚を狙ってバランスを崩させる!」

 

 

まずはベートとアイズが攻める。そして反応している隙に残りは足元に入って攻撃を加える。

 

 

やはり流石はレベル6。片足を集中的に狙って早くも脚を破壊した。

だが、直ぐに起き上がり怒りの咆哮をあげる。

アンジャナフは怒ってからが手強い。攻撃の頻度が上がり、炎が喉に溜まってブレスも多用してくる。

 

咆哮を見切っていた俺はそのまま鬼刃突きからとんで兜割を頭部に叩き込む。

 

「頭部を狙え!喉に溜まった炎を爆発させれば大ダウンを取れる!」

 

そう言うと、ティオナとティオネがベートと頭部を狙い始める。

俺は尻尾と脚を狙いながら立ち回っている。

 

レベル4ともなれば攻撃をくらっても大した怪我をしないし、レベル3の3人も身軽だったり攻撃パターンを把握していたりで被弾率も少ない。

全ては順調に見えた。だが、フィンにとってはそうじゃなかった。

 

(親指の疼きが止まらない…。)

 

 

 

頭ダウンをとって、一気に詰めようとしたその時、背後からやってきた黒い影がティオネとアイズを吹き飛ばした。

 

「アイズ!ティオネ!」

 

「ティオナ、2人を!」

 

「うん!」

 

「見えたかい?」

 

「いや、殆ど見えなかったが…」

 

俊敏性と一瞬の姿で影の正体は分かった。

 

「…あいつは俺に任せろ。2人はアンジャナフを。」

 

「…わかった。」

 

「おい、フィン!良いのかよ!こいつレベル3だろ!」

 

「大丈夫だ。問題ない。むしろタゲが散ってやりにくいんだ。1人の方がやりやすい。」

 

「そういうことだ。いくよベート。」

 

「ちっ!」

 

ベートは俺の事を心配しているのか…。優しいんだなぁ。口悪いけど。

 

 

さて。

影の正体は"迅竜"ナルガクルガ(※以下ナルガ)に間違いない。

 

俊敏性が武器で、背後を取ろうとする動きが多い。

また、尻尾叩きつけはかなり強力なので注意が必要だ。

 

 

ナルガが飛びかかってきた。回避しきれずに食らったがこれぐらいなら問題ない。

 

起き上がった後そのまま頭に縦斬りをナルガを二回、斬り上げからの斬り下がりまでしたところで、尻尾叩きつけのモーション。

それに見切り斬りを合わせて尻尾に大回転斬りのあと特殊納刀から居合抜刀斬りに派生。

続けて縦斬りの後、攻撃に即座に対応出来るよう突きの派生。

するとナルガが回転のモーション。見切り斬りを合わせて大回転斬り。

ナルガが怯んだので顔にクラッチして傷を付けて、先にスリンガー弾を回収しておく。

 

動き出したナルガは背後を取る動きから飛びつき。回避で躱したが、続けざまに放たれた飛びつきからのなぎ払いをかわせずに食らってしまう。

 

流石に体力が危ないので回復薬グレートを飲んでおく。

飛びかかって来ていたが走りながら飲んで避ける。

 

気付けばかなり壁際まで追い詰められていたので、壁当てを狙う。

一先ず少しつつきながら隙を狙う。

回転が来たので見切って大回転斬り。特殊納刀から居合抜刀斬りに派生したがバックステップにかわされた。

針飛ばしをしてきたので、これはクラッチのチャンスだ。

 

顔に張り付いて二度殴り壁に向かせてぶっ飛ばして、ダウン中は、厄介な尻尾から狙う。

ダウンの間に尻尾を切断は出来ればよかったが、ダウンから直ってしまった。

 

そこでナルガは大きく飛び退いて怒りの咆哮をあげた。

ナルガは怒ると眼が赤く光る。ゾーンや…ってなったのは主だけじゃないはず。

 

咆哮を回避して頭部を狙う。

縦斬りをしたところで噛みつき。見切れずに食らってしまった。

起き上がり鬼刃斬りを一段したところでナルガの回転。

見切り斬りから大回転に移ろうとしたが、怒り時の回転は二回なので、二回目を食らってしまった。

 

くそ!被弾が多い!新しい環境だからまだ慣れてないのか…?落ち着いて行こう。

 

「ふぅー…」

 

メンタルを切り替えた所でナルガが飛びかかってくる。

横に回避したがまた飛びかかってきたのでもう一度回避する。

 

ナルガの横に出たのでもう一度回避して尻尾を狙う。

縦斬りから突きをしたところで尻尾叩きつけ。これも二回になっているのでどちらも回避して埋まった尻尾に鬼刃斬りから大回転斬りまで入れる。

 

大回転斬りから特殊納刀に派生して抜かずに待機しておく。

噛みつきが来たのでそこに居合抜刀鬼刃斬りを見切って当てる。

 

距離を詰めて頭に2太刀。また叩きつけがきたので回避、二度目も回避して埋まった隙に鬼刃突きからの兜割を尻尾に叩き込む。

するとようやく尻尾が切れた。

 

離れたナルガを見れば怒りも解けている。

そこら辺の石ころを拾っておいて、隙を見てぶっ飛ばしを出来る様にしておく。

 

 

 

と思ったら、上から何かが降ってきた。

砂埃で何が降ってきたかわからない。

 

「よくもやってくれたなオラァ!!ぶっ飛べクソがぁぁぁ!!」

 

ティ、ティオネ!??ナ、ナンデ!??てかこわ!フィンと話す時めっちゃ猫撫で声なのに!こわ!女こわ!

 

 

「えぇ……」

 

「クラウド!」

 

ティオナとアイズが近寄ってくる。

 

「おぉ、ティオナ、なんなんだアレは…」

 

「あ、あはは。」

 

文字通り、ちぎってはなげちぎってはなげでナルガをボコボコにするティオネを見て、レベル3こわい女こわい冒険者こわいと思ってしまった俺は悪くない。

 

 

 

「ふぅ〜スッキリした!」

 

どうやらあのまま倒してしまったようだ…。

あれ?もしかしてレベル3って普通こんな強いのか?ってことは俺やばくないか?

と、1人でレベル3設定に絶望していると、ティオナが声をかけてくれた。

 

「スキルも発動しててあれが普通じゃないから大丈夫だよ。」

 

そんなに絶望してる感じがでてたのか…。

 

「でもすごいねクラウド!あんな素早い相手の攻撃ギリギリで躱したりしてて!」

 

「そうか?ティオネを見た後に言われるとなんとも…。」

 

「いやいや、普通そうについていってたけど外から見てると普通に早かったよ?ね、アイズ?」

 

「うん。」

 

「…そうなのか。というか見てたなら手伝えよ。」

 

「いやー、すっかり見入っちゃってねー!」

 

「全く…。」

 

「全員無事みたいだね。」

 

「「「フィン。」」」

 

「だぁんちょぉ〜!」

 

「僕らも随分前に倒してたんだけどね、良い機会だから観戦させてもらったよ。」

 

「フィン、お前もか。」

 

「別に良いじゃないの、勝てたんだし。」

 

うーん、1人頑張って間に呑気に観戦されていたとなるとな……。

 

「おい、さっさと帰ろうぜ。」

 

「そうだね。撤収しよう。本隊を呼んで来てくれ。」

 

「あ、じゃあわた「私に行かせて下さい!団長♡」……」

 

「あ、あぁ、頼んだよティオネ。」

 

言うや否や一瞬で行ってしまった。

 

 

これが…恋の力か!

 

 

 

こうして、俺の初めての遠征は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

ークラウドの戦いを観戦中ー

 

「あの技は!」

 

「ティオナ、知ってるの?」

 

「あの上段からの縦斬り…極東の絵本で見た!」

 

その絵本とは流浪人のサムライが刀を持って人々を救う英雄譚

 

「名前は確か………そう!思い出した!

 

 

 

 

  "龍槌閃"だ!!!」

 

 

「いや、ちげーから。」

 

 

おまけその2

 

 

「あの技は!」

 

「ティオナ、知ってるの?」

 

「極東の絵本で見たことある!居合の構えから繰り出さるのは最速の抜刀術!飛天御剣流に伝わる奥義!その名も……

 

 

 

 

  "天翔龍の「いや、ちげーから。」…」

 

 

 

 




しばらくこんな感じで色んなモンスター出していきます。
火山マップは深層なのでグラビとかブラキとかは出せない…かな?

そういえば、出現モンスターは4とワールドだけだと言ったな…。アレは嘘だ。

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