かなりストーリー構成能力とか文章能力が低下していると実感しました。
リハビリも兼ねて卒論書くか~
現在時刻、午前9時30分。
場所、洛芦和高校正門。
今この場にいるのは、
中学生は、僕、奏、アニア、樋口、杏、露崎、佐伯(妹)、氷羽子さん等、計40名ほど。
高校生は、八條さん、冬琉さん、蹴策、雪原さん、佐伯(兄)等、計20名。
それに、各学校の担当教員を合わせた合計70名ほどの人間がこの場に集まっていた。
どこか緊張した面持ちで高校生を見ている中学生や、あくまで普段通りに騒いでいる者、いつもと変わらず楽しげに友人と会話をしている者など、洛高正門は、普段のこの時間帯には有り得ない活気を見せていた。
そう、普段であれば、自分の席に座って1時限目の授業を受けているであろう時間帯だが、今日は違う。
「はいはい、静かにして下さい、皆さん。
これから説明をしますから」
校舎を背に僕たちの方へと視線を向けてきた高校生の言葉に、騒いでいた中学生や、今後の事について打ち合わせを行っていた高校生が口を閉ざし、自分たちの前に立った生徒へと視線を向ける。
計70人分の視線を一身に受けた生徒だが、特に怯むこともなく口を開き言葉を続けていく。
「では、これから洛芦和高校オープンキャンパスを始めます。
今日1日のスケジュールは前日に配布したプリントに記載してありますが、念のためもう一度説明させていただきます。
皆さんもお手元のプリントを再度ご確認ください」
説明につられ、鞄を漁ってプリントを引っ張り出す音、ポケットから取り出す音、折り畳んだプリントを拡げる音などが周囲から聞こえてくる。
一方、僕は元々手に持っていたので、視線を下に落とすだけで特に音を立てる様な事はせずに終わった。
周囲から聞こえる音が少なくなり、全員が手元のプリントを見ているのを説明担当の生徒が確認したところで、改めて説明が始まった。
「え~、この後10時からは3つの班に分かれてそれぞれ学校内で行われている授業を見学してもらいます。
授業見学が終わり次第、一度体育館に全員集合していただいてそこで学校説明を行います。
その後、昼休憩を経て、高校生一人、中学生二人の計三人の班を作って自由に学校内を見学してもらいます。
今日高校は午前授業で終わりなので、部活動見学などは午後の最初から出来ます。
各中学の先生方はその間、待機場所として用意してある教室にいてください。
何かあったら私たち第一、第二、第三生徒会の役員いずれかに言っていただければすぐに対応いたします。
ああ、皆さんが気になさっていると思われる班の組み合わせですが、そちらの学校の先生方と我々が協議して既に決まっていますのでそれに従ってください」
班のメンバーについての説明を聞いた中学生たちの口から一斉に文句が飛び出してくるが、
「文句なら私じゃなくて各班の担当高校生か引率の先生方にお願いしますね」
それをあっさりと流し、説明は続けられる。
「学校見学はプリントに書いてある通り、15時までです。
その時間になったらまた体育館に集合してもらいます。
以上、簡単ですが今日の流れを説明させてもらいました。
詳しい部分は各自プリントで確認してください。
――ここまでで何か、質問は有りますか?」
先程の文句を吐き出していた口を一斉に噤み、押し黙る中学生たち。
「……では、授業見学を始めます。
これから読み上げる学校の皆さんが1班、その後呼ばれた学校の皆さんは2班、呼ばれなかった学校の皆さんが3班です。
1班は左の第一生徒会……やたらと暑苦しそうな白い制服の人の所に行ってください。
2班は後の第二生徒会……三つ編みで長いおさげを垂らした人の所に行ってください。
3班は右の第三生徒会……背中に大太刀を背負った色ぼけの人の所に行ってください。」
『………………………………』
分かりやすいけど、多量に私怨を含んだ説明に黙る僕たち中学生。
……というか、二人目までは外見の特徴だったのに、三人目になって突然明らかに外見とは関係の無い特徴が言われたのだけれど……
「ちょっと会長!!
色ぼけってどういうことですか!?」
「ええい、うるさい!!
和斉と付き合ってるからって生徒会室でいちゃいちゃするのが日常茶飯事のような人に文句を言われる筋合いはないわよ!!」
どこかで――というか普段から―――見たことのある太刀を背負った女子生徒が声を荒げるも、それを説明担当の学生は一言で切って捨てる。
……って、目の前の説明している人が(恐らく第三生徒会の)会長だったのか……
「は、はい!!
それじゃあ、班分けを発表しますね。
1班……」
待機していた別の高校生が説明役の生徒と太刀を背負った生徒の言い合いを無視して班訳を発表し始める。
呆気に取られていた中学生たちだが、自身の班が発表されるとのそのそと移動を始めた。
その間も続けられている口論は皆出来るだけ気にしない様に。
……慣れ切った様子の高校生の皆さんはまるで気にしていなかったけど……
というか、八條さんもいるなら何か反応しましょうよ!!
反応したら余計酷いことになるからだっていうのは分かりますけどさ……
♦ ♦ ♦ ♦ ♦
「……さて、ようやく個別の班に分かれたわけだが……」
「ですね」
「はい」
「今更お前たちに教室とか施設の案内っているのか?
個人的にはやらなくていい方が楽だし、科學部あたりに行けば塔貴也や秋希がいるから安心してサボれるんだが」
「ん~……一応、忘れてるところとかもあるかもしれませんし……」
「私は、15年ぶりぐらい、なので……」
一応現状を説明しておくと、僕や奏が現在洛高にいるのはオープンキャンパスに参加しているからである。
以前、冬琉さんが言っていた洛高に見学に来たらどうか、という案を僕らが承諾し、是非見学に行きたいと言う旨の返事をしたところ、何故かこんな事態になってしまった。
冬琉さんたちが学校側に話を持っていったらしい。
途中までは順調に進んでいたらしいのだが、話がある程度進んだあたりで第一生徒会と第二生徒会から猛反発を受けたそうだ。
何でも、第一生徒会は高位の悪魔を数人も洛高生でもないのに受け入れるわけにはいかないと声高に叫び、第二生徒会は明らかに第三生徒会側のみに利益の出るメンバーだけ入れるのは公平ではないと述べたそうな。
第一生徒会の言いたいことはまだ分からないでもないが、第二生徒会の言うことには色々納得がいかない。
が、以前の世界からあそこはそんなものだと分かっていたから、すぐに諦めた。
その後も色々反発があったらしく、会議を何度も行った結果としてオープンキャンパスなら問題なかろうという形に治まったらしい。
僕としては真日和の問題のことがあったから、出来るだけ自由に行動できる個別見学の方が良かったのだが、残念ながらそれが通らなかったためオープンキャンパスに参加、という形になったのである。
まぁ、入学前に洛高に来ることが出来ただけマシだと思っとこうか。
そんな事情もあって参加しているオープンキャンパスだが、既に午前の授業見学も終わり、昼休憩を経て、現在は午後の部である。
「了解。
今日は一応お前らが主役、というか主賓な訳だし、もてなす側としては従っとくとしますか。
なら、第三生徒会関係の施設を中心に回った後、科學部に向かうぞ。
それでいいだろ?」
「はい、大丈夫です」
「よろしくお願い、します」
昼休憩の前に発表された班分けは、僕と奏に八條さん、アニアと杏に冬琉さん、露崎と佐伯(妹)に雪原さんなどという明らかに何らかの思惑が働いているであろう組合せとなっていた。
蹴策と氷羽子さんは流石に一緒になっていなかったが、代わりに蹴策と樋口が同じ班になっていた。
その発表を聞いた時、心底巻き込まれなくて良かったと思ったものである。
巻き込まれたもう一人の班員の体調を案じてそっと祈っておく。
「それにしても、八條さんも大変そうですね……」
洛高の廊下を八條さんに説明されながら歩き、説明の時に生じた口喧嘩を思い出し同情の声を掛ける。
「まったくだ」
「でも、あんまり嫌そうじゃない、です」
八條さんが気疲れの溜息を零しながら僕の意見に同意するも、即座に奏がそんなことを言う。
「……まぁ、嫌ではないが」
満更でもない辺り、この雄型悪魔も質が悪い。
「それで、あの人が現第三生徒会の会長で良いんですか?」
このまま惚気を語り出されても面倒なので話を逸らす。
八條さん自身そこまで惚気る人ではないので乗ってくれるだろう。
「ん、ああ、そうだが……お前ら知らなかったのか?」
「僕らの年齢を考えてください。
入学するのが来年なんですから、今の3年生の方なんてまず知りませんよ」
どことなく不満そうな顔をしている奏を横目に捉えながら話を続ける。
「ああ、そういやそうだったな」
忘れていたと笑いながら言ってくる八條さん。
さて、唐突だが、これから向かう先に秋希さんがいるので、現状の整理もかねて説明である。
先日(無理矢理)僕が女装させられて起こした秋希さん解放事件のその後であるが、無事に謎の襲撃者による事件であると片付けられた。
冬琉さんによれば、僕と操緒が現場から去った数分後に学生連盟の援軍が到着し、冬琉さんと秋希さん、それに
その後、現場調査もすぐに開始されたもののあまり証拠や事件を解決に導くための物品は回収されず、進展がほとんどないままらしい。
まぁ、僕も逃げる時に黑鐵の力を使ったから早々ばれてもらっては困るが。
冬琉さんや秋希さん、それに彼女らと一緒にいた新人さんは事情聴取を受けたらしいが、見事に誤魔化し切ったそうだ。
新人さんは実際に見たままの事しか話せなかったし、冬琉さんたちも僕の女装した姿を犯人像として話し、
一応細部の特徴として、事前に打ち合わせしていた
あいつならこの時点では未確認の機体の筈なのだから。
流石に武器は鎖じゃなくて剣ということにしてあるが。
その後、
ちょくちょくアニアも駆り出されているが、あまり進展はない様子。
このままいけば、事件は迷宮入りして、未解決の案件として処理されるはずだ。
そして、肝心の冬琉さんと秋希さんのその後であるが、冬琉さんは検査入院で1週間ほど入院生活をさせられたが、特に体に異常はないということで無事退院。
退院後は学生連盟を辞め、洛高の第三生徒会に入会。
今では副会長として仕事に恋に奔走しておられます。
次に秋希さんだが、彼女の場合は
その結果、やや栄養失調気味だが、特に体に異常はないと判断された。
魂も無事体に定着しており、悪魔のように非在化する心配もないとのこと。
ただし、1年近く仮死状態にあったためか体の機能がかなり低下しており、日常生活や戦闘行為を可能にするためにはかなりハードなリハビリが必要だった。
まぁ、かなりハードというのは一般人にしてはということであり、橘高秋希という人間からしてみれば然して厳しくなかったらしい。
現在では既に学校生活に復帰している。
戦闘行為はまだ少し怪しいが、それも普段の道場での様子を見る限り、ほとんど問題ないものになりつつある。
学校では生徒会に直接所属することなく自身の恋人と同じ科學部に所属し、学生生活を謳歌しているらしい。
何はともあれ、一安心である。
閑話休題
先程の第三生徒会会長の姿を思い出しながら口を開く。
「第二生徒会の会長さんは知りませんけど、第一生徒会の会長は……雪原さん、でしたよね」
「……普通GDが生徒会長なんて出来ないはずなんだが、他に人材がいないらしくてな。
臨時であいつが1年間生徒会長をやることになってる」
「佐伯のところのは……?」
「ああ、確かにあいつは次期生徒会長候補だが、流石に入学したての1年生を生徒会長に据えるほどあちらも馬鹿じゃないさ」
確かに、今はまだ5月。
先日GWが終わったばかりのこの時期だというのに1年生を生徒会長に出来るわけもないだろう。
「僕としては雪原さんが会長のままでいてくれた方が良いんですけどね……」
僕の意見に同意しているのか、隣で奏が首を縦に振っている。
「そりゃあ、俺だってそうさ。
だが、生徒会長をやれる人間がいるのにGDを生徒会長にしとくわけにもいかんだろ」
「ですよねー……ああ、来年入れたとしても色々憂鬱だ……」
「うー……」
奏と二人、未来の事を思い、揃って気分が暗くなる。
「……一応、あいつが第一生徒会で会長やってた1年を過ごしたんだろ?」
「だからこそ、ですよ」
以前の世界の何も知らなかった時やあまり立場を気にしなくて良かった時と今とではあまりに僕の知識や立場が変わり過ぎている。
一々アニアや朱浬さんから説明してもらっていた側から、八條さんや蹴策に説明する側へ。
ただの第三生徒会お抱えの部活の部員から高位悪魔の組織の一員――しかもそれなりに上の地位――へ。
これで第一生徒会が以前の世界と同じ反応で済ませてくれるとは思えない。
……一応、立場はまだ漏れていないはずだが、それだっていつまで持つか……
「まぁ、入学したらすぐ
「そりゃまぁそのつもりですけど……」
そうでもしないと、また以前の世界みたく奏が捕えられることになってしまう。
流石にそんな事態は避けたい。
雪原さんが生徒会長ならそんな心配しなくていいのに……
雪原さんは法王庁側に所属してはいるが穏健派の人間であり、悪魔だからといって即取り締まったり処刑したりする人間ではない。
……流石に問題を起こしたらその限りではないけれど、それは
一方の佐伯兄は穏健派とは真逆の過激派。
校内にいる悪魔であればどこかに所属でもしていない限り問答無用で取り締まってくるのは、以前の世界の事からも分かるだろう。
さらに
そんな人間が第一生徒会のトップに就こうというのだから不安に思うなというのが無理な話である。
「俺も、今年に入ってから3回ぐらい絡まれたな……」
「……まだ5月ですよね?」
「ああ」
八條さんの言葉に尚更不安が高まっていく。
「さて、着いたぞ」
八條さんの言葉につられて視線を横に向けると、
「……ああ、懐かしい」
「……ええ」
やや古い校舎の壁に掛けられたプレートには【科学準備室】の文字が躍っており、扉には、
こちら科學部、体験入部、体験入学、大歓迎!!
と書かれた紙が張り付けられていた。
貼り付けられている紙はともかく、以前の世界で何度も出入りした部屋というのは何とも言えない感慨が湧くものだ。
郷愁の念とは違うと思うが、それに近い、帰るべきところに帰ってきた感覚。
今はまだ体験入学という段階だけれど、いずれは本所属になりたい。
「感動に浸っている所悪いが開けるぞ?」
「ああ、はい。
つい……すみません」
我に帰り、返事を返す。
ああ、恥ずかしい。
奏も顔を赤く染め、恥ずかしそうにしている。
そんな僕らを無視して、
「おい、塔貴也、秋希、もしくは黒崎、いるだろ?
お前ら待望の体験入学者だぞ」
ガラっと扉を開き八條さんは中に入って行く。
そんな彼の後ろに僕らも付いて扉の奥へと進む。
そこには、
「やあ、和斉……と、なんだ夏目くんと嵩月さんか。
体験入学者なんていうから期待しちゃったじゃないか」
眼鏡を掛けた(見かけだけは)好青年と、
「まぁ、そういうな塔貴也。
彼らやニア、それに氷羽子以外が体験入学でうちに来ても逆に怖いだけだ」
先日無事リハビリから復帰して高校に通い始めたパンク侍と、
「あ、八條さん、お疲れ様です。
それと……あなたたちが夏目くんと嵩月さんね。
皆から話は聞いてるわ、初めまして。
私は黒崎朱浬、よろしくね」
以前の世界では考えられないほどにやたらと畏まった調子の黒崎朱浬がいた。