では、どうぞ
確かにスキマを操る紫様なら外の世界へ行くことなど朝飯前だろう。
「それにあなたの課題は私の依頼でもあるのよ、あの男は後々幻想郷に害をもたらす」
「それなら私などではなく適任がいるのではないのでしょうか」
「それがねえ、話はそう単純ではないのよね、そうねまずはあの男と男の作り出した鬼について説明しましょうか」
「確か幽々子様曰く本当の鬼ではないとか」
「ええ、あの男の名は鬼舞辻無惨という元人間よ」
「確か人が妖怪になるのは禁忌とされていましたよね」
「無惨は特殊なケースでね、とある医者に治療の一環として鬼にされたのよ。鬼は非常に高い再生力を持っていてそれを利用しようとしたのね」
「では無惨は鬼にされて被害者ということでしょうか?」
「そうとは言い切れないのよね、その医者は治療が終わったら戻すつもりだったらしいのだけれど、すぐに結果が表れなかったせいで無惨は癇癪を起してその医者を殺害したのよ。そして医者が死んだあと自らの病が治っていることに気づいたってわけ。その後は鬼の本能に従い人を殺し続けているわ」
「なんというか、性格に難がありそうですね
「難ってものでは無いわ。傲慢、不遜、短期、まさに悪鬼よ。そんなものがなまじ力を付けたせいでこれまでに彼が関連した死者の数は大妖怪レベルだわ、いくらなんでもそんな者は幻想郷でも受け入れられないわ」
「ではなぜそんな危険な者の討伐を私に?」
「ええ、あなたに依頼した理由は2つ。1つ目は無惨の擬態能力よ。彼の擬態は姿形だけでなく気配や雰囲気でさえ全く別のものにできるのよ。だから運がなければ彼を見つけるのは私でさえ困難だわ」
「紫様ですら見つけられない者を私が見つけられるでしょうか?」
「2つ目の理由と重なるところもあるのだけれど、外の世界には鬼と戦う鬼殺隊という集団があるわ。鬼から人々を守るため鬼狩りをしているの。そこであなたにはその鬼殺隊に入り、無惨に近しい鬼を倒して無惨の情報を集めてもらいたいの」
「なるほど、それで2つ目の理由とは」
「ええ、鬼は鬼殺隊が使う特殊な剣で首を斬るか日光を当てて灰にしないと殺せないのよ」
「それで剣士である私に白羽の矢が立ったと」
「ええ、まあ最悪居場所が分かれば後は私がスキマで日光に照らすけど」
先ほどまで団子を摘まんでいた幽々子様が口を開いた。
「それじゃ妖夢の修行にならないじゃないの紫」
「私が手を貸すのは取り返しが付かなくなる寸前だけよ」
「取り返しのつかない状況とは?」
「彼が太陽の光を克服することよ、それで無惨は弱点が無くなってしまう。今は唯一の手掛かりである青い彼岸花探しに躍起になっているわ」
「いい妖夢、紫が介入する前に討伐しなきゃ課題失敗よ?」
「分かりましたが紫様、鬼滅隊にはどうやったら入れるのでしょうか」
「私が関係者に根回ししといてるからその人に詳しく聞きなさい」
「それじゃあ妖夢、旅立ちの準備をしなさいな」
「幽々子様、私がいなくても大丈夫ですか?」
「妖夢は余計な心配をしなくていいのよ、たったの数十年くらい大丈夫よ」
本当に大丈夫か心配しながらも黙々と身支度をした。
なんか妖夢の感情は希薄な気がするのでもうちょっと工夫してみます。