もし絹旗最愛がヒロアカ世界に転移したら   作:まとろう

3 / 3
描写がすごく簡素になってしまったような…。
とにかく、USJ襲撃編です。


3話

〜火災ゾーンにて〜

 

(ここは…火災ゾーンでしたっけ。周りに誰もいないのは何故でしょうか…。うっ、超気持ち悪いです…)

 

ワープが成功したのか失敗したのか。なんか気分は悪いし、一人だけ変な所に飛ばされたようだ…。

 

(黒霧…後で超ぶっ飛ばしてやりましょう)

 

それは置いておいて、セントラル広場の方は上手くやっているだろうか。すぐに生徒を飛ばしてくる手筈だが。

 

(…戦闘音が聞こえてきましたね。とりあえず、第一段階は超成功と)

 

音を頼りに歩いて行くと、そこには集めた『敵連合』の一部と、尻尾?を持つ子供がいた。戦闘中の様だが…あれは少しまずいかもしれない。

 

(子供一人に超ボコボコじゃないですか…。もう少し頑張って下さいよ)

 

そうこうしている内に終わったらしい。まだ気分は良くないが…。

 

(始めますか…仕事)

 

* * *

 

火災ゾーン。火の海の中で、尾白猿夫は一人戦っていた。

 

「はぁ…はぁ…。皆は無事かな…。葉隠さん、上手く隠れてるといいけど…」

 

どうやら『敵』は自分たちを各個撃破していくつもりらしい。轟が言っていたように、彼らはバカだがアホじゃないようだ。

 

(僕が一人になってることを考えると…皆も一人である可能性が高い。対人経験が少ない人もいるだろうし、早くここから…)

 

その時。横に、何か。

 

(敵ッ!?まだいたか!)

 

即座に戦闘態勢に入る。が。

 

「…どうも。超道に迷ったんですけど…ここ、何処ですかね?」

 

…は?

 

(女の子?それに、俺より年下か…?もしかして、人質でも取っていたっていうのか!?)

 

逃げ出してきたのか。だとしたら保護しなければ。

 

ーーそう考えて近づいたのは間違いだった。

 

「キミ、ちょっとこっちにっ…!?」

 

一瞬で、懐に。

 

(しまった…!敵…!)

 

もう遅い。これは確実に…。

 

ガァァァァァン!

 

ーー轟音が響き渡った。

 

* * *

 

不意打ちは成功。殴った勢いそのまま、瓦礫に突っ込ませた。…のだが。

 

「超上手く流されましたね…。やっぱり貴方、何か格闘技でもやってます?」

 

「…流したつもりだけど…流石に勢いがね。おかげでこの有様だよ…」

 

意識を奪うまで行かなかったらしい。姿が見えないが、かなり余裕があるようだ。

 

(床に叩きつけて意識を奪うべきでしたか…。これではどこにいるか分かったものでは…)

 

「っ!!」

 

「一瞬で、決める!!」

 

上からの声。瓦礫を登ってきたらしい。だが。

 

ガンッッッッ!

 

「なっ!?」

 

「声出してりゃ、超分かるに決まってんでしょうがっ!」

 

回避は不要。窒素の壁で正面から衝撃を受け止める。そのまま尻尾を掴もうとしたが、

 

「っ!…オォォォォォッ!!」

 

(読まれたっ!)

 

思考を読まれ、距離を取られてしまった。

 

「はぁ…はぁ…。…君の個性、だいたい分かったよ。バリアでも、貼ってるんじゃないか?」

 

「まさか。たった2回の撃ち合いで、気づいた訳ですか?別に、超隠すつもりではありませんでしたけど…。」

 

たった2回。されど2回。『尻尾』というアドバンテージの少ない個性で最高峰の雄英に合格した実力は伊達ではなく、その努力は図りしれない。純粋な近接格闘戦において、1ーAで右に出る者はいない程。そんな彼に、2回も考えるヒントを与えてしまったのは、絹旗の大きなミス。

 

「俺の個性はとっくにバレてる。けど今、これで俺たちは同じ立場になったはずだ」

 

では、彼女はこのままいけば負けてしまうのか。ーーーー否。

 

「…『そんなこと』がバレた所で、超どうにかなると思ってるんですか?」

 

ーーそう。能力が悟られたと言って、彼女が負けることなど、あり得ない。

 

だって、彼女と尾白の間には、確実な能力差がある。

 

だって、彼女は尾白より多くの修羅場をくぐって来た。

 

だから。

 

(こんなガキ一人、超ひねり潰してやります!!)

 

物理的な距離など関係無い。足に力を込め、めいいっぱい踏み抜いていけば、すぐそこに。

 

(速いっ!!間に合わなーーー)

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

ゴンッッッッッッッッ!

 

鈍い音が響き、決着が着いた。

 

* * *

 

「はぁ…はぁ…。何、超手間取ってんですか、私…。」

 

傷一つ付けられることなど無く、絹旗は勝利した。が。

 

(感覚が超鈍って…。いや、そもそも、自分だけの現実《パーソナルリアリティ》が弱まってます。確実、に…。)

 

このままでは不味い。能力訓練でもするべきなのだろうかと絹旗は憂鬱になった。

 

* * *

 

〜土砂ゾーンにて〜

 

(何とか火災ゾーンから抜けて…超適当に歩いて来ましたが…)

 

絹旗の視線の先には、敵連中と一人の少年。そして、氷。氷。氷。

 

(あの生徒が一人で…超えげつないですね…)

 

だが、これは仕事。やるべきことはきっちりこなさなければならない。

 

(はぁ…)

 

心の中でため息をつき、二度目の憂鬱な気分を味わう。

 

* * *

 

「子ども一人になさけねぇな。しっかりしろよ。大人だろ?」

 

個性『半冷半燃』を持つ少年轟焦凍は、土砂ゾーンにて、自身の個性で敵を圧倒し蔑んでいた。

 

(オールマイトを殺す…初見じゃ精鋭を揃え、数で圧倒するのかと思ったが…。フタを開けてみりゃ生徒用のコマ…チンピラの寄せ集めじゃねぇか)

 

それでは自分は何をすべきか。そう考えていて。

ーーー気づかなかった。誰かが近づいていることに。

 

「えぇ、本当に。もう少し超マシなのを誘えば良かったです。誰も仕事してくれません」

 

「っ!!」

 

「情けない限り。幾ら強い子ども相手とはいえ、複数人で勝てないなんて、超大人失格ですよねぇ。おかげで、最終的に私一人で尻尾の人と戦う羽目になって。まぁ、時間は余り掛かりませんでしたが…」

 

ガキガキガキガキガキン!!

 

瞬間、絹旗の声を遮り、巨大な氷が彼女を襲った。

 

「悪いな。先手必勝だ」

 

轟はニヤリと笑って言った。

 

* * *

 

(尻尾…尾白のことを言っているらしいな。あいつが個性使ってるところまともに見てないが、雄英生相手に一人で勝つ時点でそこらの敵とは違う。誘うっつー発言からして、幹部級かそれに近しい奴だろ。なら、正面からぶつかるより先に勝負を決める)

 

そう判断した結果の行動。状況を鑑みて、最適解であったのは間違いない。

ーーーだが。

ーーーーこの程度の障害で、絹旗最愛は止まらない。

 

ガキンッ!

 

(…おい)

 

ガキンガキンッ!

 

まさか。

 

ガキンガキンガキンッ!

 

(まさか!!)

 

ガキンッッッッッッ!

 

「…人の話は最後まで聞けって習わなかったかァ、クソガキィ!」

 

(嘘だろ…。結構出力高めだったぞ…!)

 

「オレはさっきまでイライラしてたンだがよォ、今のテメェのナメた行動のせいで、それが爆発しちまったンだよなァ!!!」

 

轟の前に、大きな壁が立ち塞がる。

 




何とか土曜日中に書けた…。明日も投稿できるならしたいですね。
今回の話を書くにあたって、ヒロアカの原作を買うことにしました。最初は3巻だけだったのですが、読み始めにUSJ襲撃編が2巻からということに気づいて、雨の中2巻、ついでに1巻を買うことに。思わぬ出費…。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。