とにかく、USJ襲撃編です。
〜火災ゾーンにて〜
(ここは…火災ゾーンでしたっけ。周りに誰もいないのは何故でしょうか…。うっ、超気持ち悪いです…)
ワープが成功したのか失敗したのか。なんか気分は悪いし、一人だけ変な所に飛ばされたようだ…。
(黒霧…後で超ぶっ飛ばしてやりましょう)
それは置いておいて、セントラル広場の方は上手くやっているだろうか。すぐに生徒を飛ばしてくる手筈だが。
(…戦闘音が聞こえてきましたね。とりあえず、第一段階は超成功と)
音を頼りに歩いて行くと、そこには集めた『敵連合』の一部と、尻尾?を持つ子供がいた。戦闘中の様だが…あれは少しまずいかもしれない。
(子供一人に超ボコボコじゃないですか…。もう少し頑張って下さいよ)
そうこうしている内に終わったらしい。まだ気分は良くないが…。
(始めますか…仕事)
* * *
火災ゾーン。火の海の中で、尾白猿夫は一人戦っていた。
「はぁ…はぁ…。皆は無事かな…。葉隠さん、上手く隠れてるといいけど…」
どうやら『敵』は自分たちを各個撃破していくつもりらしい。轟が言っていたように、彼らはバカだがアホじゃないようだ。
(僕が一人になってることを考えると…皆も一人である可能性が高い。対人経験が少ない人もいるだろうし、早くここから…)
その時。横に、何か。
(敵ッ!?まだいたか!)
即座に戦闘態勢に入る。が。
「…どうも。超道に迷ったんですけど…ここ、何処ですかね?」
…は?
(女の子?それに、俺より年下か…?もしかして、人質でも取っていたっていうのか!?)
逃げ出してきたのか。だとしたら保護しなければ。
ーーそう考えて近づいたのは間違いだった。
「キミ、ちょっとこっちにっ…!?」
一瞬で、懐に。
(しまった…!敵…!)
もう遅い。これは確実に…。
ガァァァァァン!
ーー轟音が響き渡った。
* * *
不意打ちは成功。殴った勢いそのまま、瓦礫に突っ込ませた。…のだが。
「超上手く流されましたね…。やっぱり貴方、何か格闘技でもやってます?」
「…流したつもりだけど…流石に勢いがね。おかげでこの有様だよ…」
意識を奪うまで行かなかったらしい。姿が見えないが、かなり余裕があるようだ。
(床に叩きつけて意識を奪うべきでしたか…。これではどこにいるか分かったものでは…)
「っ!!」
「一瞬で、決める!!」
上からの声。瓦礫を登ってきたらしい。だが。
ガンッッッッ!
「なっ!?」
「声出してりゃ、超分かるに決まってんでしょうがっ!」
回避は不要。窒素の壁で正面から衝撃を受け止める。そのまま尻尾を掴もうとしたが、
「っ!…オォォォォォッ!!」
(読まれたっ!)
思考を読まれ、距離を取られてしまった。
「はぁ…はぁ…。…君の個性、だいたい分かったよ。バリアでも、貼ってるんじゃないか?」
「まさか。たった2回の撃ち合いで、気づいた訳ですか?別に、超隠すつもりではありませんでしたけど…。」
たった2回。されど2回。『尻尾』というアドバンテージの少ない個性で最高峰の雄英に合格した実力は伊達ではなく、その努力は図りしれない。純粋な近接格闘戦において、1ーAで右に出る者はいない程。そんな彼に、2回も考えるヒントを与えてしまったのは、絹旗の大きなミス。
「俺の個性はとっくにバレてる。けど今、これで俺たちは同じ立場になったはずだ」
では、彼女はこのままいけば負けてしまうのか。ーーーー否。
「…『そんなこと』がバレた所で、超どうにかなると思ってるんですか?」
ーーそう。能力が悟られたと言って、彼女が負けることなど、あり得ない。
だって、彼女と尾白の間には、確実な能力差がある。
だって、彼女は尾白より多くの修羅場をくぐって来た。
だから。
(こんなガキ一人、超ひねり潰してやります!!)
物理的な距離など関係無い。足に力を込め、めいいっぱい踏み抜いていけば、すぐそこに。
(速いっ!!間に合わなーーー)
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ゴンッッッッッッッッ!
鈍い音が響き、決着が着いた。
* * *
「はぁ…はぁ…。何、超手間取ってんですか、私…。」
傷一つ付けられることなど無く、絹旗は勝利した。が。
(感覚が超鈍って…。いや、そもそも、自分だけの現実《パーソナルリアリティ》が弱まってます。確実、に…。)
このままでは不味い。能力訓練でもするべきなのだろうかと絹旗は憂鬱になった。
* * *
〜土砂ゾーンにて〜
(何とか火災ゾーンから抜けて…超適当に歩いて来ましたが…)
絹旗の視線の先には、敵連中と一人の少年。そして、氷。氷。氷。
(あの生徒が一人で…超えげつないですね…)
だが、これは仕事。やるべきことはきっちりこなさなければならない。
(はぁ…)
心の中でため息をつき、二度目の憂鬱な気分を味わう。
* * *
「子ども一人になさけねぇな。しっかりしろよ。大人だろ?」
個性『半冷半燃』を持つ少年轟焦凍は、土砂ゾーンにて、自身の個性で敵を圧倒し蔑んでいた。
(オールマイトを殺す…初見じゃ精鋭を揃え、数で圧倒するのかと思ったが…。フタを開けてみりゃ生徒用のコマ…チンピラの寄せ集めじゃねぇか)
それでは自分は何をすべきか。そう考えていて。
ーーー気づかなかった。誰かが近づいていることに。
「えぇ、本当に。もう少し超マシなのを誘えば良かったです。誰も仕事してくれません」
「っ!!」
「情けない限り。幾ら強い子ども相手とはいえ、複数人で勝てないなんて、超大人失格ですよねぇ。おかげで、最終的に私一人で尻尾の人と戦う羽目になって。まぁ、時間は余り掛かりませんでしたが…」
ガキガキガキガキガキン!!
瞬間、絹旗の声を遮り、巨大な氷が彼女を襲った。
「悪いな。先手必勝だ」
轟はニヤリと笑って言った。
* * *
(尻尾…尾白のことを言っているらしいな。あいつが個性使ってるところまともに見てないが、雄英生相手に一人で勝つ時点でそこらの敵とは違う。誘うっつー発言からして、幹部級かそれに近しい奴だろ。なら、正面からぶつかるより先に勝負を決める)
そう判断した結果の行動。状況を鑑みて、最適解であったのは間違いない。
ーーーだが。
ーーーーこの程度の障害で、絹旗最愛は止まらない。
ガキンッ!
(…おい)
ガキンガキンッ!
まさか。
ガキンガキンガキンッ!
(まさか!!)
ガキンッッッッッッ!
「…人の話は最後まで聞けって習わなかったかァ、クソガキィ!」
(嘘だろ…。結構出力高めだったぞ…!)
「オレはさっきまでイライラしてたンだがよォ、今のテメェのナメた行動のせいで、それが爆発しちまったンだよなァ!!!」
轟の前に、大きな壁が立ち塞がる。
何とか土曜日中に書けた…。明日も投稿できるならしたいですね。
今回の話を書くにあたって、ヒロアカの原作を買うことにしました。最初は3巻だけだったのですが、読み始めにUSJ襲撃編が2巻からということに気づいて、雨の中2巻、ついでに1巻を買うことに。思わぬ出費…。