GATE 不屈の艦 彼の地にて斯く戦えり   作:aroma moko

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遭遇

コダ村難民 車列後方

メリザ一家

 

既に馬車を失った彼女達一家は、もう何時間も乾燥し、太陽の照りつける

大地を歩き続けている。夫も私も喉の渇きが限界に達している上に

優先して飲ませていた子供達の飲み水も既に底を尽きた、脚ももう限界を迎え始めている。

 

 

(あぁ…せめて息子だけでも緑の人達に…)

 

緑の人…突然村に現れ炎龍の襲来を教えてくれた上、私達村の住民を見捨てる事なく何故か共に移動してくれる謎の人達。

 

道中馬車が泥にハマった時など後ろから押して手助けし、感謝の言葉も受け取らずに他の所に助けに行くお人好しの集団だ。

 

もしかしたら息子の事も助けてくれるかもしれない。そんな事を地面を見ながら考えていた。

 

ふと照りつける太陽の暑さが消えたと思い後ろを振り返ると。

巨大な龍が空を舞っていた。

 

まるで今まで仕留めた獲物の血で全身を染めた様な赤い鱗に覆われ、その目は足元に居る私達の事を殺意の篭った目でこちらを見ていた。

 

(あれが炎龍…ッ!)

炎龍の事を認識した途端、私は子供達を抱えて走り出していた。一瞬の後に私達が居た所を火炎が包んだ。反応があと少し遅れていたら巻き込まれていただろう。

 

そして、次々と私達の周りの車列に襲いかかる炎龍に背を向けて、あたし達は夢中になって走った息子を抱き抱え、必死に走った。背後から聞こえてくる悲鳴や怒号は無視して走り続けた。

 

自分達の側を誰かの馬車が猛スピードで走り抜けていくが、ガタがきていたのか、馬の全力疾走に耐えきれずに馬車が分解し人や家財があたり一面にちらばる。介抱してやりたいけど、今はそれどころではない。

 

 

奇跡的にまだ生き続けている。炎龍と遭遇してから30分?15分?それともまだ1分と経っていないのだろうか?時間の間隔が無くなるほど全力で走ったせいだろうか。地面の砂に足を取られて転けてしまった。

 

 

「もうダメ…足が」

 

動こうにも足は震えるばかり。

 

夫も息子も必死に腕を引っ張って連れて行こうとしてくれている。だけど、もう動かない。もたついている私達を見つけた炎龍の恐ろしい唸り声が聞こえその方向を見ると炎龍と目があった。口には炎が渦巻いており、私達を焼き殺すつもりなんだと一目でわかった。

 

 

あぁ、終わりだ…と思った瞬間、炎龍の顔や身体中に火花が散り、炎龍が顔を背けた。

 

(一体何が…!?)

 

そう思い辺りを見渡すと緑の人達が乗っている乗り物と知らない乗り物が凄いスピードでこちらに近寄ってきていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

第3偵察隊 伊丹耀司二等陸尉

 

「総員射撃開始!民間人が多数いる、誤射に注意ッ!」

 

俺が全員に射撃を命じたと同時に聞きなれない射撃音とエンジン音が聞こえてきた。64でもMINIMIでも12.7ミリでもない射撃音だった。

 

 

1つは発射速度が速い機関銃。もう一つは3点射の銃声だった。

 

 

(増援?…この辺りに展開してたのは俺たちだけだったと思ったけど…)

 

炎龍から狙いを外さないまま辺りを軽く見ると、俺たち第3偵察隊の車列の左側に見た事も無い車が走っていた

 

 

「ええ!!誰ですかアイツら!?」

 

口には出さなかったが倉田の驚愕は俺の驚愕でもあった。

 

流線型の車体にはデカイ銃座が搭載されていてそこに全身緑のスーツを着た兵士が3人、炎龍に対して射撃していたのだから。

 

『隊長!12.7mmが貫徹しません!』

 

「…あぁ!くそ!!良いから撃ち続けろ!コッチに気をひけたらそれで良いんだ!」

 

一先ず謎の兵士達の事は置いておく事にした。多分だが)敵ではないし、今は避難民を逃す時間稼ぎが必要だからだ。

 

 

「伊丹隊長ォ!全然効いてないっスよ!!」

 

12.7ミリの弾丸は無情にも炎龍の鱗に火花や傷をつけるばかりでやはり貫通まではしていないようだ。俺達も射撃を続けているが、どう見たって効いてない。

 

 

だが、無駄って訳じゃない

「構うな!撃ち続けろッ!奴の狙いを避難民から俺たちに変えさせるんだ!」

 

実際、奴は避難民の車列じゃなく俺たちの車両を狙って攻撃してくる。

 

「これでいい!」

 

避難民が少しでも遠く離れられる様に撹乱すれば俺たちの勝利なのだから。

 

思惑が上手くいってニヤリと笑った時、炎龍と目があったような気がした。

 

そして、炎龍の口元に集まる炎を見て何が来るかを理解した

 

「ブレス来るぞ!回避ッ!!」

そう叫び、俺たちの車列がハンドルを切り、曲がった瞬間。

 

 

俺達の車列が居た場所が炎に包まれた。

 

 

(あっぶねぇ…あんなのに巻き込まれたらひとたまりもないぞ…)

 

焼死なんてゴメンだと思いながらブレスの跡を見ていた時、炎の中から先程の謎の兵士達の乗っていた乗り物が火達磨になって飛び出てきた。

 

「巻き込まれたのか!?」

火達磨になっていてもスピードは緩んでおらず、荒地に煽られ横転し土煙が舞う。

 

どこの誰かは知らないが民間人を逃す為に戦った事には違いない兵士達が火達磨になり犠牲となった。

 

「くそッ!」

 

せめてどういった組織の者かは聞いておきたかったと思いながら炎龍の方を見ようとすると。

 

火達磨になって死んでいる筈の兵士達が土煙の中から飛び出して炎龍に向かって走っていったのを確認した。その手に長い筒状の物を携えて。

 

「は?生きて…え?」

 

 

俺はもういっぱいいっぱいだったが、背後から聞こえてくる叫び声には気がついた。炎龍に襲われた村から救助したエルフが自分の目を指差しながら何かを言っている。

 

その瞬間、何処を狙えばいいのか分かった。

 

「総員ッ!目を狙えッ!!」

 

言い切るのが早いか射撃が早いかの差で小隊全員の射撃が炎龍の頭部に集中した。

 

炎龍も生物、流石に目ん玉も鱗並みに硬いなんて事はない筈だ。案の定、顔に対する射撃に嫌がる素振りを見せ動きを止めた。

 

(ここしかない!)

 

「勝本!!パンツァーファウスト!」

LAVの射手である勝元陸曹が車内からLAMを取り出し構える、そして引き金を…引く前に後方の安全確認をした。

 

(((バカ!とっとと撃てッ!!)))

 

この時ばかりは第3偵察隊の気持ちは

一丸となった筈だ。走行しながらの射撃に後方の安全もクソもない…が染み付いた習慣故にしょうがない。

 

そしてようやくLAMの射撃体制が整い、引き金を引いた時と同じ瞬間、全力疾走しながらあの兵士達も手に持つ筒状の武器…ロケットランチャーを発射していた。計4発のロケット弾が炎龍に向かって飛んでいく。

 

しかし勝本の発射したロケット弾は地面の起伏によって車体が揺れた事と、

行進間射撃という無茶な芸当のせいで大きく狙いを外してしまった。

 

(ありゃあ…外れるなこりゃ)

 

しかし、勝本以外の3本のロケット弾は頭部、胴体部、脚部の命中コースだった。ロケットが炎龍の身体に当たる瞬間、炎龍の身体が凄い力で揺らされた。

見ると、地面に巨大なハルバードが突き刺さっていた。

 

その揺れのせいで、炎龍は体勢を崩した上、本来は外れる筈だった勝元のロケット弾が左腕に着弾し、本来は全弾着弾する筈だった兵士達のロケット弾は1発のみが翼に当たった。

 

二発のロケット弾を食らった炎龍は痛みからか、もしくは怒りからか激しい

咆哮と共にどこかに飛び去っていった。

 

 

訪れたのは生き残ったという充実感、助けられなかった者が居た事に対する無力感、そして…

 

自分達の目の前にいる兵士達への疑問だった。

 

 

「富田、栗林両名は俺と来い。後のメンバーは

おやっさん、お願いします」

「…わかりました、お気をつけて」

 

おやっさん達から離れてあの3人の元に歩いていく、無論銃は保持したまま。

 

…共に炎龍と戦った仲ではあるが、所属不明の謎の武装勢力なのだ。疑いたくはないが…

 

近づいていくにつれて、向こうもこちらに気が付いたようで近寄ってくる。そして近づけば近づく程威圧される。

 

(デッカ…!?)

 

自分達の頭3つ分はデカイ。身長は優に2メートルを超えているだろう。自然と見上げる形になる。全身を緑のアーマーで覆い、ヘルメットの金色のバイザーが威圧感を増している原因だろう。

 

「あー、自分は陸上自衛隊第3偵察隊隊長、

伊丹耀司二等陸尉です、そちらの官姓名は?」

 

こちらの言葉に少し驚いた感じに顔を動かし、彼等は『日本語』で名乗った。

 

「UNSC海軍 スピリットオブファイア所属、レッドチームリーダーのジェローム092だ」

 

 

UNSC?

スピリットオブファイア?

 





国連宇宙司令部(United Nations Space Command)の略称。
『HALO』の世界における人類側の主要な政府機関であり、様々な下部組織を持ち、人類の軍事・政治の全てを統括している。



ジェローム092

ジェロームは2511年に生まれ、彼の遺伝子構造に海軍情報局とハルゼイ博士は目をつけた2517年にSPARTAN-Ⅱ計画に適した候補者に選ばれた後、拉致され、リーチに送られた。そこで特殊な訓練を受ける。2525年、彼とその他の候補者は肉体的・精神的能力を増強する改造 を受ける。この改造によってジェロームは、死ぬことも身体障害が残ることもなく、生き残った。

訓練の中で、彼は候補者の中でもトップクラスであった。 ハルゼイ博士とメンデス曹長は、彼をSpartan-IIグループの新たなリーダーに選んだ。これはカート-051 、フレデリック-104 、ジョン-117 も同様に選ばれている。

ジェロームのリーダーシップは早くから見出されており、後にスパルタンの中でも最も早くレッドチーム のリーダーになっている。


最後までお読みいただきありがとうございます。
次回はUNSCサイドから始まります。

ではお楽しみに
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