俺が信じる道   作:アイリエッタ・ゼロス

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林間学校 初日

「診察したが、いつもと変わらなかったよ一海君」

「そうですか」

 俺は今、病院に来て診察を受けていた。

 

「この一ヶ月、何か調子が悪くなった事は?」

「特に無いですね」

「そうか。薬はいつも通りの量で良いかい?」

「いえ。一日分多く出してもらっても良いですか? 明日から林間学校なんで」

「そうか。わかった、出しておこう」

「ありがとうございます」

 俺がそう言うと、先生は思い出したかのようにこう言ってきた。

 

「....あれからもう五年か。君も大きくなったね」

「....急にどうしたんですか」

「いや。子供が成長するのは早いものだと思ってね」

「そうですか」

「....あの二人も、今の君を見たらとても喜んだ事だろうね」

 そう言った先生の表情は悔しさに満ち溢れていた。

 

「....だと良いんですけど」

「....」

 俺と先生の間にはしばらく沈黙が続いた。

 

「....今度、二人に会いに行くよ」

「そうですか....父さんと母さんも喜びますよ」

 そう言って俺は席を立った。

 

「じゃあ、ありがとうございました。また来月来ます」

「あぁ。何かあればすぐに来るといい」

 その声を背中に聞き、俺は診察室から出た。

 

 

 〜〜〜〜

 

「あれ? カズミ?」

「三玖? それにお前ら....」

 俺が病院を出てからしばらくすると、偶然三玖達と出会った。

 

「胡蝶君、何してるんですか?」

「さっきまで病院に行ってたんだよ」

「病院って....どこか悪いの?」

 俺がそう言うと、二乃が心配そうに聞いてきた。

 

「まぁちょっとな。別に命に関わるような事じゃないけど」

「そう....」

「てか、お前らは何してたんだ?」

「私達はさっきまで上杉君の服を買いに行っていたんです」

「上杉の?」

 五月の言葉に俺は疑問を持った。

 

「上杉さん、全然服を持ってないらしいんです。だから、明日からの林間学校の

 ために服を買いに行っていたんです」

「そうだったのか。よく上杉も行ったな....」

 普段の上杉の事を思うと、珍しい事もあるんだなと俺は心の底から思った。

 

「まぁ無理矢理だったけど....」

「....そうか」

「(あいつも大変だな....)」

「でも明日から楽しみですね!」

「そうだな。じゃあさっさと帰った方がいいんじゃないか?」

 四葉の言葉に、俺はそう返した。

 

「それもそうですね」

「じゃあ帰ろっか! 胡蝶さん、また明日!」

「じゃあね」

「おう。じゃあな」

 そう言って、俺は四人と別れた。

 

 

 〜〜〜〜

 二乃side

 

「あ、そうだ二乃」

「何よ」

 家に帰って晩ご飯を食べていると、急に一花が何かを思い出したように

 私に声をかけてきた。

 

「カズミ君、キャンプファイヤーのダンスに誘えたの?」

「〜〜っ!? ゴホッ、ゴホッ!」

 一花の言葉に私は驚いてむせてしまった。

 

「大丈夫....?」

「きゅ、急に何聞いてくるのよ!」

 私は三玖から水の入ったコップを受け取って飲むと、一花にそう叫んだ。

 

「いやぁ、ちょっと気になってねぇ」

「べ、別にアンタには関係ないじゃない」

「でも、早く言わなくて良いの? カズミ君、私のクラスの女子にダンスに誘われてたよ」

「えっ....」

 一花の言葉に私は固まった。すると、それを聞いていた三人もこう言ってきた。

 

「....そういえば、この前私のクラスの女子にも誘われてた」

「あ! 私のクラスの人にも誘われてたよ! 五人ぐらい!」

「私のクラスの人も誘っている人はいましたね....」

「....嘘」

 三人の言葉を聞いて、私は信じることができなかった。

 

「嘘じゃないよ。でもその時返事はしてなかったけどね」

「まぁ、カズミ優しいから人気なんだろうね....」

「それに運動神経も良いもんね!」

「後カッコいいからね」

「成績も優秀ですからね」

「てか、よくよく考えてみるとカズミ君ハイスペックだね」

 そんな話を聞いていると、私はどんどん焦りが出てきた。

 

「ま、カズミ君の周りはそんな感じ。後は二乃次第だよ」

「う、うるさいわね....」

 そう言いながら、私は自分の携帯を見ていた。

 

 

 〜〜〜〜

 次の日

 

「はぁ....」

 結局私は、胡蝶君をダンスに誘えずじまいだった。

 

「(誘うだけでこんなに悩むなんて....どうしたら....)」

 そう考えていたら....

 

「二乃?」

「っ!? こ、胡蝶君!」

 急に後ろから胡蝶君が声をかけてきた。

 

「どうかしたのか? さっきから何か考え込んでたが....」

「な、何でもない....っ!」

「(これ、もしかしてチャンスなんじゃ....!)」

 ちょうど今、私達の周りには人が少なかったからダンスに誘うには絶好のチャンスだった。

 

「ね、ねぇ胡蝶君」

「なんだ?」

「あ、あの....もし良かったらなんだけど....キャンプファイヤーの時、私と....!」

 そう、続きを言おうとしたその瞬間....

 

「あ! 二乃いた!」

 四葉がそう言って私の腕を掴んできた。

 

「四葉!?」

「二乃、ここにいたんですね」

「五月! それに一花と三玖まで!」

 四葉の後ろには一花と三玖、五月がいた。

 

「胡蝶君も一緒だったんですね。ちょうど良かったです」

「ちょうど良かった?」

「説明は後でするから。今は一緒についてきて」

「はぁ?」

 一花はそう言って胡蝶君を連れて行った。

 

「ちょ、ちょっと一花!」

「ほら、二乃も行くよ」

「急いで急いで!」

 私も三玖と四葉に背中を押されてどこかに連れて行かれた。

 

 

 

 

 

 

 

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