俺が信じる道   作:アイリエッタ・ゼロス

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旅館

「(何故こうなった....)ドロツー」

「ま、またですか!?」

 俺は今、中野家の車に乗ってU◯Oをしていた。

 何故俺が中野家の車に乗っているかというと、上杉を林間学校に連れて行くためだ。

 上杉はらいはちゃんが風邪を引いた為、林間学校に行こうとしなかったが、勇也さんが

 どうにか説得して俺が上杉を車の中に連れ込んだ。

 そして今、俺達は学校のバスを追いかけているのだが....

 

「てか、いつになったら動くんだろうな....」

 俺達は今、猛吹雪の影響で道を進めていなかった。

 

 

 〜〜〜〜

 

「おぉ! 良い部屋だな!」

「言っとる場合か....」

「そうですよ。ここ五人部屋ですよ」

 あの後、結局先に進めず俺達はある旅館で一泊することを決めて旅館の部屋に来ていた。

 

「なんで他の部屋が空いてないのよ!」

「団体のお客さんが急に入ったらしいよ」

「車は?」

「仕事があるって言って帰ったよ」

「じゃあ外は?」

「....二乃、それはマジで死人が出るぞ」

 二乃が言っているのは犬小屋の事だった。

 

「まぁまぁ、一晩だけだって」

 一花はそう言って二乃をなだめるが、二乃は怪訝そうな表情で上杉を見ていた。

 

「そうだぜ二乃! 文句を言ってないで楽しもうぜ! こんなに良い旅館なんだ!」

「....女子集合」

 上杉がそう言った瞬間、二乃達は端っこの方に集まった。

 

「(こんなにテンションが高い上杉は見た事がないな....)」

 俺は上杉の様子を不思議に思った。すると、上杉はカバンから何かを取り出し見ていた。

 

「何見てるんだ?」

「ん? あぁ、これか」

 上杉が見ていたものはらいはちゃんからの手紙だった。

 

「らいはちゃんからか」

「あぁ。楽しんで来てくれってさ」

「良い妹だな」

「あぁ」

 すると、上杉はカバンからトランプを取り出して五人に近づいて行った。

 

「やろうぜ!」

「へっ!?」

「トランプ! やろうぜ!」

「(....何かテンションが空回りしてるような)」

 心でそう思ったが、俺は口には出さずに一緒にトランプをした。

 

 〜数時間後〜

 

「スゲェな! タッパーに入れて持ち帰りたい!」

「やめろ」

「やめてください」

 上杉の言葉に、俺と五月はそう言った。

 

「でも、こんなの食べたら明日のカレーが見劣りしそうだね」

「言うなよ四葉....」

「そういえば、林間学校のスケジュール見てなかったかも」

「二日目の主なイベントはオリエンテーリングに飯盒炊飯、夜は肝試しで、三日目は自由参加の

 登山にスキー、釣り、そしてキャンプファイヤーだ」

 一花の不意な発言に、上杉は滑らかにそう言った。

 

「何で全部暗記してるの....?」

 一花は上杉がスラスラと言ったことに驚きながらも少し引いていた。

 

「あ! 後、キャンプファイヤーの伝説の詳細がわかったんですけど....」

「またその話か」

「伝説?」

「伝説って何だ?」

 四葉の言葉に、俺と一花はそう返した。

 

「知らないんですか! 林間学校のキャンプファイヤーのフィナーレで踊った

 ペアは生涯を添い遂げる縁で結ばれるんです!」

「そんなジンクスがあるのか....」

「でも、本当はですね....」

「そんな話はいいでしょ。胡蝶君以外、誰からも誘われてないんだから」

 二乃の発言に部屋は静まった。

 

「....意外だな。上杉はわかるが、五人とも誰からも誘われなかったのか」

「「っ!」」

「あ、あはは....」

 俺の発言に一花と三玖は一瞬驚いたような表情をし、四葉は苦笑いしていた。

 

「胡蝶君は誰かと踊る約束をしたんですか?」

 五月は不思議そうに聞いてきた。

 

「いや。誘われはしたが全部断った」

「全部ですか!」

「あぁ。あんまり話したことのない奴等ばかりだったからな。それに、踊るんだったら....」

 そう言いながら、俺は二乃の方を見た。

 

「っ、何?」

「っ! いや、何でもない....」

 俺はすぐに視線を逸らした。すると、一花は旅館のパンフレットを見ていて急にこう言った。

 

「へぇ、ここ露天風呂があるんだ。....え、混浴?」

 一花がそう言った瞬間、二乃と五月の手が止まった。

 

「お風呂まで一緒なの!?」

「言語道断です!」

「いや別で入れば良いだろ」

 俺は二乃と五月にそう言った。

 

「あ、ごめん。温浴だった」

「おい一花....」はぁ

 俺は一花の勘違いに呆れてため息が出た。

 

 〜〜〜〜

 二乃side

 

「いやぁ、広いねぇ」

 湯船に入るや否や、一花はそう言った。

 

「そうだねー」

「それに、みんなでお風呂に入るなんて何年振りでしょうか」

「確かに....」

 四人は呑気にそう言っているが、私はある事が気になって仕方がなかった。

 

「二乃、どうかしたの?」

 私の様子がおかしいのを気づいたのか一花がそう聞いてきた。

 

「今日のアイツ、明らかにおかしいわよね」

 アイツというのは上杉のことだ。

 

「上杉さん、普段旅行とか行かないのかな?」

「まるで徹夜明けのテンションでしたね....」

「それが問題なのよ。あの狭い部屋にお布団が七枚....誰がアイツの隣で寝るか」

 私がそう言うと、四人はそれぞれ考え始めた。

 

「....二乃、考えすぎじゃない? 私達、ただの友達なんだし」

「そうだよ! 上杉さんはそんな人じゃないよ!」

 一花の発言に四葉は同感だという様子でそう言った。

 

「じゃああんたが隣で良いのね?」

「うえっ!?」

「アイツはそんな奴じゃないんでしょう。なら心配ないでしょ?」

「そ、それは....どうなんだろう....」

 私が四葉にそう言うと、四葉は顔を赤らめて湯船に沈んでいった。さらにリボンも

 垂れていった。

 

「(ダメなんじゃない....)」

「では二乃で良いんじゃないですか?」

 私がそう考えていると、急に五月がそう言ってきた。

 

「五月! なんで私なのよ!」

「二乃なら殴ってでも抵抗してくれそうなので」

「ご飯抜きにするわよアンタ....一花、あんたなら気にしないんじゃない?」

「おっと、私に来たか....」

 私は五月を睨みながら一花にそう言った。

 

「ただの友達なんでしょ」

「....うん。フータロー君は、いい友達だよ」

 一花は一瞬何かを考えていたが、すぐにそう言った。

 

「そう。じゃあアンタが....」

「待って!」

 すると、さっきまで静かだった三玖が急に立ち上がった。

 

「平等! みんな平等にしよう!」

「平等....?」

 三玖の言葉に、私達全員意味がわからなかった。

 

 

 〜〜〜〜

 

「なるほど....考えたわね」

「誰も隣に行きたくないなら....」

「全員が隣に行けば良い....」

「まぁ、誰かもわからない相手に手も出さないだろうし....」

「少なくともフータローから見たら....」

 私達五人の姿は前髪を両サイドに分けて誰が誰か分からない状態だった。

 

「それよりも、一つ思う事があるんですが....」

 部屋に戻って歩いている時、急に五月がそう言った。

 

「どうしたの?」

「上杉君ばかり言いますが、胡蝶君はどうするんですか?」

 それを聞いて私達の足は止まった。

 

「....今の今まで普通に忘れてたね」

「本当だね....」

「だ、大丈夫でしょ。胡蝶君だし....」

「いやぁ、どうだろ? 意外にカズミくんの方が危険だったりして....」

 一花の言葉に私達は困惑した。

 

「....と、とにかく部屋に着いてから決めましょう!」

「そ、そうだね....」

 五月の言葉に私達は賛成して部屋の前まで歩いた。

 

「....じゃあ、行くわよ」

 そう言って私は扉を開いて中に入った。だが、既に上杉と胡蝶君はそれぞれ

 眠りについてしまっていた。

 

「....私達も寝ましょうか」

「そうだね....」

 そう言って私達はそれぞれ布団に入ろうとした。すると、一花が肩を叩いてきた。

 

「二乃」

「何よ一花」

「....カズミ君の隣だからって襲っちゃダメだよ」

 一花は私の耳元でそう言ってきた。

 

「〜〜〜〜っ!? ア、アンタ何言って....!」////

「じゃあおやすみ〜」

 一花は私の様子を見て笑いながら布団の中に入ってしまった。

 

「(な、何で余計なことを言うのよ....!)」///

 私は逃げるように布団に潜ったが、隣に胡蝶君がいる事を思い出して

 なかなか眠りにつけなかった。

 

 

 

 

 

 

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