次の日
「....にしても驚いたな。まさか同じ旅館に他の生徒も泊まってるなんて」
「そ、そうね....」
俺と二乃は暗い森の中を歩きながらそう話していた。
俺達が泊まっていた旅館には、偶然にも同じ学校の生徒達も泊まっていた。
生徒達の乗っていたバスも雪で足止めを食らったらしい。
俺達はその旅館で合流してバスに乗って林間学校先にきて、飯盒炊爨と
オリエーテーションを行い、現在肝試しを行なっていた。
そして、俺の隣では二乃が震えながらも俺の腕に抱きつきながら歩いていた。
「てか二乃、肝試しとか苦手じゃないのか? 昨日の夜も怖がってたし....」
「そうよ....でも、一人で残るのはもっと嫌だった....」
二乃がそう言っている時、急に草むらから音が聞こえた。そして、そこから
ゾンビのメイクをした男が現れた。
「い、いやぁぁぁ!?」
二乃は俺の背中に回って俺の服を掴んで震えていた。だが、俺はその
メイクをした男に見覚えがあった。
「....修也、その辺にしておいやってくれ」
「....ん? カシラじゃねぇか!」
ゾンビのメイクをした修也は俺がいる事に驚いていた。
「カシラも参加してたのか!」
「まぁな。....それよりも、よく似合ってんじゃねぇか。まるで本物だな」
「おいおい! それは俺がゾンビみたいって意味に聞こえんだが?」
「....」
修也の言葉に俺は目をそらした。
「目をそらすな!」
「....あぁ、悪りぃ悪りぃ」
「ったく....で、そっちの人は?」
「クラスメイトの二乃だ。二乃、コイツは三組の相河 修也だ。顔は悪人ヅラだが
良い奴だから安心しろ」
「ど、どうも....」
二乃は怯えながらも、俺の背中から挨拶していた。
「どうも。にしても、カシラが参加するなんて意外だな」
「まぁ、俺にも色々あるんだよ....」
「へぇ。そういや、キャンプファイヤーのダンスの相手って決まってたか?」
修也はふと、そう聞いてきた。
「....まだ決まってねぇよ」
「参加するならさっさと決めてくれよ。クラスの女子にカシラの相手がいないかって
聞かれてんだよ」
修也は疲れたようにそう言ってきた。
「わかってる。それに、一応誘おうと思ってる奴はいるんだよ」
「えっ....」
「マジか!」
俺の言葉に、二乃は言葉を失い、修也は声を上げて驚いた。
「誰なんだよ? 俺のクラスか?」
「....言わねぇ」
「はぁ....だと思った。ま、勝にも伝えておくぜ」
「好きにしろ。....じゃあ俺達は行くぞ」
「おう。....アンタも気をつけろよ。脅かすのは後一人だが、そいつめちゃくちゃ気合い
入れてたからな」
修也は二乃にそう言って、自分の隠れている場所に戻っていった。
「....二乃、行くぞ」
「....えぇ」
二乃はどこか寂しそうな声でそう言った。その時、俺は二乃の悲しそうな表情に
気づく事ができなかった。