俺が信じる道   作:アイリエッタ・ゼロス

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五人を見極めろ

「....何やってんだお前ら」

 上杉が退院して数日後、俺が中野家に来ると二乃達五人は何故か髪型を一緒にして

 上杉の前に立っていた。

 

「一海! 良いところに来てくれた! お前も手伝ってくれ!」

「いや何をだよ....」

「コイツらを見分ける方法をだ! コレを見てくれ!」

 そう言って、上杉は俺の前に0点のテスト用紙を五枚見せてきた。そのテスト用紙の

 名前の部分は破り捨てられていたが....

 

「これはさっき、お前が来る十分前に来た時に会ったやつが落とした物だ。顔は

 見たんだが風呂上がりで誰か分からなくてな....」

「へぇ....」

 そう言いながら、俺は五人の方を見た。

 

「とりあえず、一番左は二乃だろ」

「「「「「っ!」」」」」

 そう言った瞬間、上杉以外の五人は驚いた様な表情をした。

 

「ん? もしかして違ったか?」

「い、いえ....胡蝶君の言う通り、私が二乃よ」

 俺が言った場所にいた二乃はそう言ってきた。

 

「マ、マジか....何で分かったんだ?」

「....まぁ、普通に見てそう思ったからか」

「じゃ、じゃあ残りの四人はどうだ?」

 上杉にそう言われ、俺は残りの四人の方を見た。

 

「(....とりあえず、髪の長さ的に一番右が一花。その横が四葉だな。服に428って

 あるし。問題は五月と三玖だが....左の方が三玖っぽいな)」

「右から一花、四葉、五月、三玖だな」

「おぉ!」

「胡蝶さん大正解です!」

「っ! 凄いですね....」

「よく分かったね....」

 俺の言葉に、四人はそれぞれ驚いた様にそう言ってきた。

 

「す、すげぇ....一海! どうして分かったんだ!」

「一花は五人の中で一番髪が短い。四葉は一花の次に髪が短くて服に428があった。

 五月と三玖は悩んだが服装を見てわかった」

「そ、そんな見分け方が....」

「まぁ、言っちゃ悪いが上杉、お前だとこの見分け方は難しいぞ。周りにあまりにも

 興味がないお前じゃ」

「ぐっ....確かに....」

「うわぁ....カズミ君容赦ないね」

 一花は呑気そうにそう言っていた。

 

「事実そうだからな。というか本人達に聞けよ。良い見分け方を」

「それならありますよ!」

 すると、髪型を戻しリボンをつけた四葉が手を挙げた。

 

「本当か!」

「はい! 私達の見分け方はお母さんが昔こう言ってました。”愛さえあれば自然と分かる“って」

「....なら俺では無理なわけだ」

「諦め早いな....」

 そう呟きながら、俺は例の解答用紙を見た。

 

「物の見事に0点だな....」

「くそっ....こうなったら最後の手段だ」

 すると、上杉は紙の束を机に置いた。

 

「これは0点のテストの問題を集めた問題集だ。これを解けなかった奴が今回の0点の

 テストの犯人だ」

 そう言った瞬間、五人からは不満の声が出た。だが、上杉の最後の奴が犯人という

 言葉により、五人は慌てて問題を解き出した。その間、上杉は何食わぬ顔で五人の

 筆跡を見比べていた。

 

「(そういえば....)」

「なぁ上杉。お前って俺の十分前に来たんだよな?」

「あぁ」

「それで、このテストを落としたのは風呂上がりだったんだよな?」

「そうだが....それがどうかしたのか?」

「あぁ。もしもお前の言う通りなら、俺は犯人が分かったぞ」

 俺がそう言った瞬間、五人の中の一人の肩が動いた。

 

「本当か!」

「まぁな。ま、それはテスト終わりにでも話そうか」

 そう話してしばらくすると、一花が上杉にテスト用紙を渡した。すると....

 

「なるほど....犯人はお前だな一花」

 上杉はテスト用紙を見て一花にそう言った。

 

「な、何で私....?」

「....bの書き方。筆記体で書くことを覚えていたのはお前だけだ。俺は一海みたいに

 お前達の顔を見分けれないが、お前達の文字は嫌という程見てきたからな」

「ぐっ....で、でも証拠がそれだけじゃ....」

「おい一花。お前、風呂から上がったらドライヤーするよな」

 諦めが悪い一花に向かって俺はそう聞いてみた。

 

「えっ....?」

「良いから答えろって」

「....ま、まぁするけど。それがどうしたの?」

「上杉がテストを落とした女と会ったのは十分前。つまりその十分の間に髪を乾かせて

 服も着替えられるのは一花....お前しかいないんだよ」

「っ....! ま、参りました....」

 俺の言葉を聞き、一花は諦めた様に膝から崩れ落ちた。

 

「諦め悪いな....上杉の時に自白すれば良かったのに....」

「ぐっ....まさかこんな近くに伏兵がいるなんて....」

 そう言っている間に、他の四人が上杉にテストを渡していた。すると....

 

「....ちょっと待て」

 上杉はさっきの0点のテストを見返していた。

 

「二乃の門構えに三玖の4、四葉の送り仮名に五月の“そ”....お前ら、一人ずつ0点の

 犯人じゃねぇか!」

 見返し終わった上杉は、一花以外の四人に向かってそう叫んだ。

 

「....バレた」

 上杉の叫びに、三玖は諦めた様にそう呟いた。

 

「俺が入院した途端にこれか....お前らやっぱり....」

 上杉がそう呟いていると、五月が上杉の耳元で何かを言っていた。

 

「(何を言ってんだ....)」

 そう思っていると、上杉が不意にこう言った。

 

「この中で昔、俺と会った事があるよって人ー?」

 そう言った瞬間、俺達の表情はきょとんとなった。

 

「....何言ってんのよ急に」

「どういう事?」

「....ははは、そりゃそうだ。お前らみたいな馬鹿があの子のはずねーわ」

「ば、馬鹿とはなんですか!」

「(あの子って、あの写真の子か....?)」

 俺は上杉の言葉を聞いてそう考えた。

 

「間違ってねーだろ五月。よくも0点のテストを隠してたな。今日はみっちり

 復習するぞ」

 そう言いながら上杉は三玖の肩を叩いた。

 

「おい上杉....わざと間違ってるのか?」

「えっ....?」

 上杉は肩を叩いた人物を見て固まった。

 

「....フータローの事なんてもう知らない」

「す、すまん! ワザとじゃないんだ!」

「あはは! まずは上杉さんが勉強しないといけませんね」

 そんな四葉の言葉を最後にして、俺達の勉強会は始まった。そして、数時間勉強をして

 帰ろうとした時、俺は二乃に声をかけた。

 

「二乃、ちょっといいか?」

「どうしたの胡蝶君?」

「悪いんだがこの時期店の手伝いとかが忙しくてな。今までみたいにこうして勉強会に

 参加する事が難しそうなんだ。だからしばらくの間上杉から教えてもらってくれないか?」

「え、えぇ....」

 そう言って二乃は見るからに嫌そうな顔をした。

 

「そんな嫌そうにしてやらないでくれ....たまには俺も顔は出しにくるし学校行ってる

 時間なら教える事はできるから」

「....ま、まぁ考えておくわ」

「そうか....じゃ、俺は帰るな。また明日」

 そう言って、俺は二乃の家から出た。そして、家を出たら上杉が外で待っていた。

 

「待っててくれたのか?」

「途中まで一緒に帰ろうと思ってな」

「そうか」

 そんな事を言って歩き出し、しばらくして俺は上杉にこう聞いた。

 

「なぁ、さっき言ってた事ってどういう事だ?」

「さっき?」

「昔、俺と会った事がある人って言っただろ」

「あぁ....たまたま五月の持ってたお守りが五年前の子の買ったお守りと似てたんだよ」

「五月の持ってたお守り?」

「入院してる時に見せてきたやつがな。それに、五年前のあの子、五月の持ってた

 お守りに似てた物を五個買ってたんだよ」

「っ! それって....」

「ま、偶然だと思うがな。五年前のあの子があんなに馬鹿じゃないと思うし」

 上杉は特に気にした様な様子がないようにそう言った。

 

「....そうか」

 そう言って、俺は今回の事にはこれ以上言及しなかった。

 

 

 

 

 

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