「ど、どうしよう!」
「焦るのはわかるが落ち着け! とりあえず電話するぞ」
「う、うん....」
そう言って俺と二乃はそれぞれ電話をかけ始めた。
と言っても、俺は上杉の番号しか知らないが....
「上杉」
『一海か!』
「お前、今どこに誰といる?」
『今、四葉とらいはと時計台のところにいる』
「わかった。今からそっちに行くから絶対に動くなよ!」
俺はそう言って電話を切った。
「そっちは電話繋がったか?」
「ダメ。誰も出ない....」
「そうか。とりあえず、四葉は上杉とらいはちゃんといるみたいだから
こっちに連れてくる。少しだけ待ってろ」
俺はそう言って屋上を出ようとした時....
「ちょっと待って!」
俺は二乃に呼び止められた。
「なんだ」
「私も上から皆を探す。見つけたら電話するから連絡先教えて」
「わかった」
俺は携帯を二乃に渡した。
そして二乃が登録をしている時....
「え....」
二乃は俺の携帯を見て何かに驚いていた。
「どうした?」
「な、何でもないわ....ありがとう」
「あぁ。じゃあ行ってくる」
俺は携帯を受け取って屋上を出た。
〜〜〜〜
「らいはちゃん、四葉!」
俺は走って時計台のところに来ていた。
「胡蝶さん!」
「待ってましたよ!」
「そうか。で、上杉は!」
時計台のところには、何故か上杉がいなかった。
「お兄ちゃんなら、三玖さんを見たからって追いかけて行きました」
「そうか....」
「(あの野郎....)」
「それで、二乃は今どこにいるんですか?」
「二乃はあの店の屋上で待ってる」
俺はさっきまでいた店の屋上を指差した。
「そうですか! じゃあ私達は先に向かった方が良いですか?」
「そうだな。って....」
俺がそう言うと携帯が鳴った。電話をかけてきたのは二乃だった。
「どうした?」
『五月を見つけたわ。今、人形焼きのお店の近くにいる』
「わかった」
「どうしたんですか?」
「五月を見つけたらしい。俺が迎えに行ってくるから二人は先に
屋上に向かってくれ」
「わかりました!」
「らいはちゃん、四葉から離れんなよ」
「はい!」
「では胡蝶さん、また後で!」
そう言って、二人は手を繋いで店の方に向かっていった。
「(人形焼き屋か....こっちの方だったな)」
俺は人形焼き屋の方に走り出した。
〜〜〜〜
「見つけたぞ五月!」
五月は人形焼き屋のすぐ近くでウロウロしていた。
「胡蝶君!? どうしてここに!」
「二乃が店の屋上から教えてくれたんだよ。急いで店の屋上に行け。
今ならまだ間に合うだろ」
「店の屋上って....どこのお店ですか?」
「あそこだ」
俺は店の方を指差した。
「あの、どうやって行ったら良いんでしょうか?」
「は....?」
「道がわからないんですが....」
「お前、まさか方向音痴か?」
「....」
俺がそう言うと、五月は目をそらした。
「はぁ....じゃあ、とりあえず俺についてきてくれ」
俺はそう言って店の方に歩き出した。
「ま、待ってください!」
五月は俺の後ろを追いかけてきた。
〜〜〜〜
「ここの屋上だ。急いだらまだ間に合うはずだ」
「そうですか。ありがとうございます」
「じゃあ俺は残りの二人とアホを探してくる」
そう言って立ち去ろうとしたら....
「あの、一つ良いですか?」
五月に呼び止められた。
「なんだ」
「どうして、そこまでしてくれるんですか?」
「どう言う意味だ?」
「胡蝶君は、どうしてそこまで私達に協力してくれるんですか?」
「....お前らに取っては、花火大会は母親との大切な思い出なんだろ?
家族との思い出が大事なのは俺もよくわかる。だから、少し助けて
やりたいと思ったからだよ」
「それだけの理由で....」
「あぁ。....ほら、さっさと行けよ。今ならまだ間に合う筈だ」
「....ありがとうございます」
五月は頭を下げて店の中に入っていった。
「(さてと、アイツら何処にいるんだよ....)」
俺は探しに行こうとした時、携帯が鳴った。
電話をかけてきたのは上杉だった。
『一海か!』
「お前さぁ、動くなって言ったよな? 何勝手に動いてんだアホ」
『そ、それは悪かった....』
「はぁ....お前、今どこにいる」
『今、三玖と駐車場の近くにいる』
「駐車場!? 何でそんなところにいるんだよ!」
『い、色々事情があってな....』
「その事情ってのは後で聞くから、二人とも絶対に動くなよ!」
俺は電話を切って駐車場の方に走り出した。
〜〜〜〜
駐車場
「(どこだアイツら....)」
駐車場についた俺は二人を探した。
「あ、カズミ」
すると、ベンチに座っている三玖がいた。
「三玖! ....あのアホは」
「一花を迎えに行くって車を追っていった」
「はぁ?」
「一花、女優の卵なんだってさ」
「....悪りぃ、一から説明してくれ」
三玖の言葉に俺の頭はフリーズした。
そして、三玖の説明によると一花は少し前から女優をしており、
後少しでオーディションが始まるらしい。そのオーディションは
一花にとってはまたとないチャンスで、そのチャンスを掴むために
オーディションに向かっていったらしい。さらに上杉の応援も受けて。
「....とりあえず事情はわかった。で、何でお前はついて行かなかったんだ?」
「足怪我したから」
三玖の足を見ると、包帯の様なものが巻かれていた。
「なるほどね....」
「それよりも、花火終わっちゃったね」
「え....」
そう言われ、俺は携帯を見ると既に花火終了の時間になっていた。
「マジかよ....」
「まぁ、今回は仕方ないよ。色々とトラブルもあったから....」
そう言った三玖の表情は悲しそうだった。
「三玖....」
「ねぇ、二乃達って今どこにいるの?」
「....多分、花火を見るはずだった所だ。ちょっと待ってろ」
俺はそう言い二乃に電話をかけた。
「....二乃か?」
『胡蝶君....』
「すまなかった。あんだけ大口叩いたのに集めらなくて....」
『いいのよ。あれだけの人混みの中、二人を連れてきてくれただけでも凄いわ』
「....そうか」
『それで、今どこにいるの?』
「今、三玖と駐車場の近くだ」
『駐車場ね。....一花とアイツは?』
「....実はだな」
俺は三玖から聞いた事を全て話した。
『そう....あのバカ一花、少しぐらい話してくれてもいいじゃない....』
そう言った二乃の声は寂しそうだった。
「二乃....」
『....ひとまず、そっちに向かうわ。そこで待っていて』
そう言って電話は切れた。
〜10分後〜
「三玖〜、胡蝶さ〜ん!」
しばらくすると、四人が駐車場にやって来た。
「お待たせしました、って三玖、その足どうしたんですか?」
五月が三玖の足を見てそう聞いた。
「ちょっと怪我しただけ。もう普通に歩けるから」
「そうですか....」
「さて、これからどうする? 一花とバカを待つか?」
俺は五人にそう聞いた。
「えぇ、公園で待とうって話になったのよ」
「公園?」
「実はね....」
俺は二乃から話を聞いた。
〜〜〜〜
「て事でね」
「そうか。良いのからいはちゃん?」
「はい! あんなに凄いところで花火を見せてもらいましたから
そのお礼がしたいんです!」
「....良い子だならいはちゃん」
「それで、胡蝶君も一緒にどうかしら?」
「俺もか?」
「えぇ。....その、嫌だったかしら?」
「っ!」
二乃は上目遣いで俺にそう言ってきた。
「....そんな事ねぇよ。じゃあ俺も参加させてもらう」
「そうこなくっちゃ。それじゃあ先に行って準備を始めましょう」
そう言って俺達は公園に向かった。