とあるお方のアラガミ転生のお話に強く感化されこの作品を書き始めた次第です。
見切り発車となってしまいますがどうか宜しくお願いします。
拝啓、お父様お母様。お元気でしょうか?
息子である自分はこの度……人間をやめてしまいました。
「…………じゃないよ!なんで!?」
慌てて周囲を見渡す。そこは見慣れた、しかし現実世界ではなくデータ上の架空の世界として見慣れていた光景が広がっていた。
少し周りを見れば広がるビルと思わしき残骸の数々と広大な自然。
自分は確信した。ここは俺が夢中になってプレイしていたGOD EATERの世界で、俺はその世界に転生したんだと。
そしてひょんな事に神機使いとしてでなくアラガミとして。
どうしてこうなった?霧がかかったようにぼやけている記憶を少しずつ思い出していく……
2018年12月30日、俺は雨が降りしきる中傘を差しながら行きつけの家電量販店へと向かっていた。
そう、今日はなんと言っても楽しみにしていたGOD EATER3を買う日なのである!……発売日に買えなかったのは学生特有の財布の薄さが原因でして……。
うちの学校はバイト等にかなり厳しく、テストの点で上位に入りつつ内申が良いと判断された後に専用の用紙を手に入れ、そこにバイトをする「正式な」理由とそのバイト先等を記入した後に学年担当の先生5人以上から判子を貰わなければいけない。
……なんでこんなに厳しいのかは分からないが、都内でも有名な進学校だからだろうか「社会勉強よりも学力を上げろ」と言いたいのかもしれない。
俺の場合は家庭での突出した問題もなくバイトできても夏休みや冬休みの長期休暇中のみ。
つまり2学期の期末テストを逃したら死ぬのである。
それが分かってからは死ぬほど勉強した、それはもう幼稚園の頃からの親友から「来年は世界が滅ぶのかもな」と言われるほど。
不幸中の幸いか俺はボランティアや委員会などの活動にはほぼ(強制的に)参加しているので、内申は中の上はあると思う……多分。
努力が実りなんとかバイト許可証なるものを入手することができた。
そんなこんなで冬休みに入ってから知り合いのおじさんが勤務しているホームセンターに本当に短期間だがバイトとして働くことになったのだが、働くと言ってもやることは品出しと使い終わった段ボールやケースの整理だけ。それでも普段家でゲーム三昧の時期に体を動かすのはかなりキツかった。
まぁそんなこんなで苦労して手に入れた初給料を手にGOD EATER3を買いに行くのである。
お年玉を待てばいいだろとかいうが……違う、1日も早くプレイしたいのだ!特に年末の特番をBGMにしながらゲームをする何とも言えないあの気分を味わいたい!
そんなわけで今寒い空気に身を晒しながら外出しているわけだ。
交差点の赤信号で止まったが、沸き上がる高揚感を抑えきれず思わず両足が小刻みにリズムを刻む。
そして青信号になりいざ進もうと前を向くと、向こう側から母親とまだ幼稚園くらいだろうか、歩く姿が可愛らしい男の子がこちら側へと渡ろうとしていた。
早く行きたいが、この交差点の歩道は細く傘がぶつかって何かあるかもしれない。平時なら別に構わないが今は大事な時、トラブルでも起こしてマイナスな気分でゲームをしたくはない。その為渡りきるまで少し避けて待つことにした。
しかし、その道半ば。男の子が母親に追い付こうと脚を早めようとしたその瞬間。猛スピードでトラックが交差点へ突入しようとしていた。
突然の事に対応できていない男の子、何故かそれを見て俺の体は勝手に動いていた。
棒立ちしている男の子を突飛ばし自身もそのまま向こう側へ走り抜けようとする─が、視界の端に強い光が迫ってきて────
……思い出した。そうだ、俺は男の子を助けようとしてトラックに引かれ……たのか?
そこで記憶が止まっていて審議の程は不明だが、今自分が置かれている状況からして死んだのだろう。
もしくは夢か。
だが夢にしては異様な程太陽の光の暖かさや風に揺れる草の音があまりにもリアルだ。
一先ずは自分がアラガミになり、この世界が現実だと言うことにしよう。次に大事なのは自分の身の安全である……つまり自分はなんのアラガミか?という事で、オウガテイル等の小型であればハードを通り越してルナティックモードまで難易度ゲージが天元突破である。
感覚的には2本脚で自立していて尻尾でバランスを取っているような気がする。
そして肩を動かそうとしてみると、確かに確り肩から腕先まで動く感覚があった。
取り敢えずオウガテイルでは無いようだ。となると他の小型アラガミを思い出せるだけ思い出してみるがどれも特徴が当てはまらない。と言うことは中型~大型のアラガミである可能性が高い。
両手があるという事で思い浮かぶのはコンゴウ系だが後ろ足(?)で自立出来ていそうな事から違う筈だ。
となるとなんだ?首と体を少し捻って尻尾と思われる部位を確認しようとする。
そして目に飛び込んできたのは日の光を受けて白く輝く純白の尾。
……ん?
急いで両腕を確認する。自分の両腕は白の表面に金色の筋繊維のような見覚えのあるモノへと変わっていた。
この見た目に合致するのは自分の中で1体だけ存在する……ハンニバルだ。しかも色合いからみて通常の個体ではなく神速種と言われる個人的にトラウマの1つである個体……。
おいおい、何てヤツに転生してるんだよ俺!
これ見つかったら絶対に狩られるヤツだ!主人公を始めとした化け物が襲いに来るヤツだ!うわぁぁぁぁぁぁぁ!!
──────……
少し経って落ち着きを取り戻した。そしてよくよく考えてみればハンニバルということは比較的他のアラガミから襲われにくいと言うことだ。
そういう面ではかなり安全なのではないか?
敵いそうにない大型は逃げれば良いだけだ。
そう自分が安堵していると、ふとハンニバルにしては視線が低いことに気が付いた。
……いやな予感がする。首を思いっきり持ち上げるがそれでも自分の思っているハンニバルよりは小さい。
確かビルのこの辺りよりは高かった筈だ。
以下の事から考えられる予想としては……自分はハンニバルの幼体なのでは?
そう考えた瞬間体から冷や汗がどっと溢れ出たような感覚に陥った。
いやいや洒落になってないぞこれは!?ハンニバルってだけで狙われるのにハンニバルの幼体だと?絶対に捕獲または調査対象じゃねーか!!
俺が人間の博士みたいなんだったら色々と興味あるわ!絶対捕獲かコア回収してきてとか命令する!そして俺が主人公だったら絶対に行く!
しかもよーく両腕確認したら片手にしか無い筈の籠手が両腕にあるじゃん!!完全に変異種じゃん!!余計に狙われるじゃん!!
神機使い達から恐れられるハンニバルが両腕で頭を抱え「うおおおおおおお!?」と言い様の無い不満を何処かへ晴らそうとするその光景は端から見ればかなり滑稽だったのではないだろうか。
しかし今はそんなどうでも良いことで、ある程度保証された筈の自分の身の安全がガラガラと音を立てて崩れかけているのである。
そうして自分が悩んでいると何かの足音が聞こえた。瞬間体が跳び跳ねるように建物の影に隠れる。
そーっと除くとそこにはオウガテイルが数匹で徘徊していた。餌でも探しに来たのだろうか?
それから少しの間オウガテイル達を眺めているとお腹から間抜けな音がなった……ような気がした。
どうやら俺の体はご飯をご所望のようで、目の先にいるオウガテイル達が御馳走に見えてくる。
かといってこのオウガテイル並のこの体で複数体に挑むのも少々怖い。
どうするか……と唸っているとハンニバルの技の1つを思い出した。あれが出来れば遠い距離からもなんとか出来るかもしれない。
そう思い力を込めると腹の中に少し温かいものが溜まっているのを感じ、それを吐き出すよう喉元へと戻していく。そうしてスイカの種を吹き出す要領で口元までやって来たそれを吐き出す。
すると口から何度もゲームの中で見たことのある、しかしゲームとは比べ物にならない程リアルな火球がオウガテイル達に向かって放たれた。
そして火球は1匹のオウガテイルに直撃し、その爆発の余波で他の奴らも軽く吹き飛ばされた。
おお!これならなんとかなるのでは?
続けて1発、2発と吹き飛ばされて倒れているオウガテイル達に向けて火球を放つ。
あっという間に丸焼きのオウガテイルが出来上がった。
……うーん、一方的なのも申し訳ないな……。
そう思いながらも空腹には勝てず丸焼けの餌を食べようとしたのだが……。
「これって……美味いのか?」
そう、ここに来て味の問題である。アラガミを食べた経験なんぞ当たり前だが生まれてから1度もない。
人間が食べるならまだしも今の自分はアラガミな訳で、腹を下すとかそう言うことはない筈だ……多分。
しかし、1度意識してしまうとアラガミを食べることに対しての謎の抵抗感が自分の行動を制限する。それは人間の頃の名残かそれともこの世界の知識を有しているが故なのか、はたまたその両方か。
少しの間悩んだが、生命の本能には勝てず焦げた肉を骨付き肉を持つ要領で持ち、腹の部位を喰らい、咀嚼する。
……美味い。噛み答えがあり、かつ自分の吐いた炎で焼かれたのかジューシーな肉汁らしきものが溢れてくる。
例えるならステーキだろうか?取り敢えず美味い。
こうして始めて食べたアラガミの美味さを実感しつつ、この世界での始めての1日を終わろうとしていた。
最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。
GOD EATERは初代から続けていて、この間3をやり始めた次第です。
噂話で「難しい」と耳にしているのでクリアできるかかなり不安ではありますが頑張りたいと思います。
宜しければ感想や評価などをしていただけると有り難いです。
それではまた次の話で。
カップリングを書くならどちらが良いですかね?(反映さえるかは不明)
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アラガミ(主人公)×アラガミ
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アラガミ(主人公)×人間