転生アラガミの日常   作:黒夢羊

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どうも皆様、黒夢羊です。
えー、作者昨日は若干微熱の状態で書いていた為かかなりの怪文書を投稿していたようです。
それに全く気付かないあたり重症だったような気もしますが。

改めて直した作品を投稿させて頂きます。
誠に申し訳ありませんでした。


では、本編へどうぞ。


第14話 ハンニバル様といっしょ!!

 

 

 

ヴァジュラは雄叫びを上げ、自身の前方に小サイズの雷球を5つ作り出す。

作り出された雷球は自身の主を守るかのようにその場から離れようとはしない……が、次の瞬間一斉に雷球が前方へと発射される。

これは広範囲に渡る攻撃だが、ホーミング性能も低い上に通路に遮られてせいぜい2球程しか届かないだろう。

 

 

そう思い跳び跳ねて躱し、雷球が自分の下を通りすぎようとしたその時、強い衝撃が自分の体を襲った。

訳がわからないまま、受けた衝撃に押されるように吹っ飛ばされ、

何度も地面と激しく衝突する時の体の痛みで気を失いそうになった。

何回かぶつかったところで速度が収まったのか、地面を少し滑った後に停止した。

 

 

……いったい何が起きた?そう思いながら体を持ち上げると、眼前にヴァジュラの姿が。

思考がそうしろと命令する前に体が勝手に両腕を交差させ、ヴァジュラのタックルを正面から受ける。

本来であれば眼前に迫った敵の攻撃を本来防ぐことは難しいだろう。だがそれは通常のハンニバルだったらの話で、自分が通常の個体を遥かに凌駕する速さを誇る神速種であるからこそ防御が間に合ったのだ。

その代償に、防御に使った両腕がビリビリと痺れている。体を回転させて勢いをつけた尻尾でヴァジュラの頭部に反撃を叩き込もうとするが、バックステップで避けられてしまい、空中で放たれた雷球が背中に直撃してしまった。

 

 

衝撃による痺れではない、きっとドラマとかでみるスタンガンを物凄く強くしたようなショックを体が襲う。

ヴァジュラは先程と同じように威嚇を行っているが、今の自分にそこに攻めに行ける心理的余裕はなかった。

そう、先程自分が飛び上がった際に受けた衝撃は、確証が持てないがおそらくヴァジュラが跳躍しこちらへと突進か何かをしたのだろう。

これはゲームの頃にはなかった行動、予想外のことに思考を巡らせる……が出てくる答えは1つだけだった。

 

 

『生きているから』

 

 

そう、目の前のヴァジュラは命の危機なんて滅多にないこの世界に比べれば温室のような生ぬるい世界にいた自分が、ゲームという媒体を概して何度も殺してきたデータの塊ではなく、オラクル細胞というものが集合し形成された1つの生きる命。

データ通りの行動ばかりをするわけがない……自分はどこかでこの世界がゲームの延長だと思っていた。

だから空中であの攻撃を食らってしまった。

…………………………。

 

 

深呼吸をして、思考を落ち着かせる。

相手は同じ生物、データじゃない。さっき「油断をするな」と言い聞かせたばかりだというのに、自分はアホなのかもしれない。

ただ、ここで意識を変えれたのは大きい収穫だ。

もし相手が自分と互角いや、それ以上のスピードとパワーを誇るアラガミだとしたら間違いなく死んでいたと思う……息を軽く整えて、改めて眼前に映る巨大な虎──ヴァジュラを睨む。

ゲームの頃のヴァジュラの行動パターンはおおよそ頭に入っているが、それを過信するのは危険だ。

だが知っているのと知らないのでは大きな違いがある。

 

 

 

 

だが、やることは1つ──奴を殺して食べるだけだ。

ヴァジュラが再び雄叫びと共に小サイズの雷球を自身の前と召喚する。本来隙だらけなこれは奴にとって上空へ飛ばして接近するため──もしくは横にそれた相手に追加の雷球をかますためか。

今思い付くのはこの二つだ、そして前者は自分が経験しているから別の行動を取るとアイツは考える筈……なら。

 

 

ヴァジュラが雷球を放つ。それと同時に立ち幅跳びの感覚で前へ飛ぶ。

ヴァジュラはこれは好機とばかりに再び跳躍し、タックルをかましてこようとする。成る程、さっきのは飛びながらタックルしてきたのか……だが、もう見切った!

人で言う右肩からこちらへとタックルしてくるヴァジュラの頭に手を置き、跳び箱の要領で更に高く飛び上がる。

さて、高さは充分。相手はこちらと違い空中での小回りはあまり効かない……なら、さっきは使えなかったこれをお礼にお見舞いしてやろう。

 

 

両腕を横に広げて掌は自身から背を向けるように、そして足は昔憧れたあのヒーローのあの技の構えを取り、掌から炎を最大噴射する。

ロケットエンジンさながら噴出される勢いでぐんぐんとスピードを上げてあっという間にヴァジュラとの距離が1m程に。

食らえ!必殺の──

 

 

ライダーキィィィィィィィィック!!

 

 

突き出した右足は見事にヴァジュラの背中を捉え、地面に食い込ませる。

そして地面に食い込むだけでは飽きたらず、ヴァジュラの肉体組織を破壊しながら確実に食い込み、爪が肉を貫通していく。

 

 

このままではヤバイと悟ったのか、ヴァジュラのマントから小さな放電が起こるのが視界に映ったので、掌を反転させ一気に後方へと離脱する。

直後ヴァジュラが地面に這いつくばりながらも自身の周囲に放電する。

放電中に体制を立て直したヴァジュラがこちらへと向き直ろうとするが、向き直る前に接近しこちらを向いたタイミングで炎を纏った右ストレートを顔面にお見舞いする。そして仰け反ったヴァジュラの顎にもう一度アッパーをかまして更に上半身を仰け反らせる。

上半身が仰け反りすぎたことで露になったヴァジュラの腹に全力で出来る限りの炎の拳ラッシュを叩き込む。

 

 

「グヴルゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

 

そして何発目から分からない拳を叩き込んだ後にシメの右ストレートを全力でぶちこむ。

漫画の再現のようには行かなかったが後ろ足で1、2歩後ろへよろめいたヴァジュラはそのまま流れるように地面へと横たわり、動かなくなった。

まさかとは思うが死んだフリをしている可能性もあるので炎槍を作り、ヴァジュラの心臓部分へと突き刺すが、ピクリとも反応が返ってこないことから本当に絶命したのだろう。

 

 

なにか目的を忘れている気もするが、それよりも大事なのは食事だ。

自分が今欲しいのはヴァジュラのこのマント……いや、正確に言うと雷を放電したり制御しているこのマントの機能が欲しい。

果たして1体だけで足りるのかは分からないが、それでも食べておくにこしたことはない。

両手を合わせて感謝の意を示す。自分の腹に収まり、自分の生きる糧となってくれることに感謝をすることは大事なことだと教わった。

……誰から教わったのかはちょっとすぐには思い出せないが。

 

 

ヴァジュラの腹を一口かじる。

……味は、なんと言ったら良いのだろうか?ステーキに近い味と食感なのだがステーキよりも少し硬い。

だが、旨い。どちらかと言うと高級な3つ星レストランとかで出される奴じゃなくて全国チェーン店とかで出されるやつに近いと思う。

…………3つ星レストラン何て行ったことないから分かんないけど。

 

 

そうやってヴァジュラの体が消えないうちに急いで食べた。大型なのもあって意外と全部食べ終わるのに時間がかかったから少し焦ったのはここだけの話だ。

さて、ヴァジュラも食べ終えたし、神機使いに見つかる前にさっさと寝床に帰るとしよう。

 

 

と、自分がそう寝床の帰路へと付こうとした時。

ふと、尻尾が何かに引っ張られる感触がした。

……新手の敵か!と思い、思いっきり後ろを振り返ったがそこには何もおらず、ただ白い雪が降り積もった山々と凍りついたダムの光景しかなかった。

気のせいか……と、思ったが再び尻尾が何かに引っ張られる感触がする。しかも今度は先程よりも強い力で。

 

 

子供か何かか?と思い尻尾を自身の顔の近くまで寄せてその先端を見てみると────

 

「キュ、キュイー!?キュイー!?」

 

自分の尻尾にかぶりつきながらジタバタと暴れる小さな何かがいた。

それは濃い紫と黒を足したかの体色をしており、その顔は神機の捕食形態をデフォルメしたかのような形をしている。

──自分の尻尾にかぶりついて居たのは、神機使いからは幸運のアラガミと呼ばれ、見つかれば追いかけ回される当のアラガミからしてみれば不幸以外のなにものでもない。

 

 

小さな捕食者、アバドンだった。

 

 

 




今回も最後まで読んで頂き、本当に有難う御座います。
改めてこの物語は誤字の指摘や修正などをしてくださる方、そして評価をして感想をかいてくださる方。
そして読んでくださる方。
皆様が居てくれるお陰で書き続けています。
本当に有難う御座います。


では、また次の話で

主人公は最終的に人類に……

  • 味方してほしい
  • 敵対してほしい
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