転生アラガミの日常   作:黒夢羊

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どうも皆様、黒夢羊です。

今回はちょっと再び妄想回となっております。
今回の妄想は本当にない頭を引き絞って考えたのですが、如何せん頭が空っぽな為に何も出なかったです。

という訳で、多分納得のいかない事が多いと思いますことを先に注意書きとしてお知らせしておきます。


では、本編へどうぞ。




第24話 すれ違う志と脆弱な決心

 

 

 

「何てことだ……」

 

極東支部局長であるペイラー・榊は自身の研究室で大きなため息をつく。

何時もは怪しい笑みを浮かべるその顔も今回ばかりは歪んでおり、それが見るものからすればことの重大さを知らせるのには充分だっただろう。

 

 

榊博士の手元に寄せられたのは昨日生じた大規模な偏食場である。発せられた偏食場は『贖罪の街』の中心から少し外れた所を中心として『贖罪の街』ほぼ全域に発せられており、この偏食場の中に居た確認できた全てのアラガミが偏食場の中心地へと移動を開始、もしくは中心地へ意識を向け続けていたという報告が入っている。

 

そしてその中心地ではハガンコンゴウを群れのリーダーとしたコンゴウ神属の群れがボルグ・カムランを捕食していたらしい。

 

 

データを見る限り感応種イェン・ツィーの発する感応波に酷似しているが、一致はしなかった。

一般的にはイェン・ツィーの変異種もしくはゴッドイーターとの戦いを生き抜いたイェン・ツィーが変化し、その感応波に変化が生じた……と、前の自分であればそう考えるだろう。

 

 

だが、今の自分……ひいては『あのアラガミ』が持つ特異性を知るごく少数の人物であれば今回の異常な偏食場の主が誰だろうかと、言われればすぐに思い付くであろう存在。

ハンニバル特異種──捕食したアラガミの能力を得ることが出来るノヴァの残滓を取り込んだ第3のノヴァへと至る可能性があるハンニバルの変異種。

恐らくだが特異種がイェン・ツィーを規定数捕食し、その感応能力を得たと見て良いだろう。

 

 

勿論イェン・ツィーの変異種という可能性も捨てきれないが、それよりかは特異種がイェン・ツィーの能力を得たと仮定する方が現状ではより現実的であった。

しかし、気になるのはその偏食場の影響を受ける位置に居た神機使いの神機が機能を停止していなかったことだ。そう、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。これが何を意味するか分かるだろうか?

 

 

まず、偏食場及び偏食場パルスというのは『アラガミが発する偏食因子やオラクル細胞を不安定化させる特殊な力場』の事。

通常種のものはさほど問題無いのだが、第一種接触禁忌種と呼ばれるアラガミが放つ偏食場は神機使いの肉体や精神にも影響すると言われていて、感応種の感応能力はこれをさらに凶悪化させたものとも言え神機を停止させてしまう為、基本感応種は禁忌種相当にカテゴリされている。

……少し話が脱線したが、ひとまず偏食場というのはアラガミが放つ、オラクル細胞に影響を与える可能性のある特有の周波とでも覚えてもらえれば良い。

 

 

さて、ここから本題なのだが、感応種の感応波は周囲のオラクル細胞を支配しようとする傾向があり、ブラッド──第3世代の神機使いでなければ先にも述べたが、神機が停止してしまう。

第3世代の血の力が感応種の干渉を防いでいるため、第2世代で感応種を討伐することになると最低1人はブラッドのメンバーを連れていかなければいけないのが現状である。

しかし、特異種が放ったと思われるこの偏食場は感応種のものとは違い、その範囲に居た神機を停止させることは無かった。つまりこの偏食場は感応能力によるものではない可能性が非常に高いと言える。

 

 

つまりはイェン・ツィーを捕食し、その感応能力を得たのだが、それを『体内で解析し、自身に最も適応するような偏食場及び偏食場パルスへと変化させた』可能性が考えられる。

荒唐無稽、そんなことがあり得るわけがないと言われるかもしれないが、そもそもオラクル細胞が起こす事象を未だ明確に解析と証明することが出来ていないのだ。

我々の人智を越えた現象が起きたとしても何らおかしくない。

 

 

そもそも他のアラガミの部位を体に増設しているという点で少々可笑しいのだ。自身とは全くとは言えないが、異なる構造を持つアラガミの能力を摂取し会得するのは自身の血液と適合することのない血液を無理やり輸血するのに例えられるのではないだろうか?

だとしたら、大きな拒絶反応が起こるだろう。

 

 

現にアラガミが他のアラガミを捕食したとしてもその特性を得ている事例は少なく、あくまでも栄養を得るためや元からある特性を伸ばすなどの既存するものを伸ばす傾向にあり、それと異なる進化があったとしても自身がなれない環境に適応するために変異した進化などが多い。

 

 

……まぁ何が言いたいかというと、特異種はノヴァの残滓を取り込んでおり、感応種の感応能力を変化させ自分のものにしたとしてもなんらおかしくないと言うことである。

そのため何度もいうが感応種のように神機使いの神機は停止していない為、感応能力から通常の偏食場へと表現は正しくないかもしれないが書き換えた可能性が高い。

そして、最も恐ろしいのは以上の事から特異種は『オラクル細胞を持つ生命体』という括りではなく、『アラガミ』と『オラクル細胞を持つ人間及び神機使い』と別個で認識している可能性が出てきたのだ。

 

 

元々その傾向は出ていた、アラガミを率先して捕食しており神機使いを目にしても一向に目もくれず逃走するという生態……。

本当にリンドウ君が倒したハンニバル神速種が復活したのなら神機使いを目の敵にしてもおかしくない。

現に執拗に神機使いや神機に固執するようなアラガミだっているのだ、神機らしきものを見たら率先して襲いかかってくる可能性は高い筈。

 

 

しかし、特異種はそれをしない。

それどころか間接的とは言え神機使いを助けてさえいる……これでは人類と敵対するつもりはないという意思さえ感じられるだろう……だが。

 

 

 

 

赤い雨……赤乱雲という赤い雲から降らされる雨、それによってアラガミは感応能力という新たな力を得た、中にはアラガミを統率する能力を持つ存在が現れるようになる。そして感応種は既存の神機使い殺しと言えるような神機を停止させる性質を持つ。

更に人類に対しては黒蛛病という感染すれば致死率100%を誇る恐ろしい病を発病させる。

 

 

もし、もしも特異種の元来持つ偏食場がこの赤い雨だとするならば、特異種はこれによって神機使いを封殺する能力を持つアラガミを作り、更にそのアラガミを喰らい自身も力をつける。そして人類には非常に驚異となる致死性の病気を発病させ、徐々にその数を減らして行き、これによって次代の神機使いを減らしていく……それに黒蛛病は黒蛛病を発病した患者との接触によっても発病することもある……。

 

 

 

 

もし、もしも特異種がこの赤い雨を発生させる赤乱雲を起こしているのだとしたら、何処かで姿が確認されても良い……いやまて!?

『贖罪の街』では大規模な偏食場が発生した前日に赤い雨が降っていた筈……。

 

 

徐々にピースが繋がっていく感覚がする。

特異種が赤乱雲に関わっている可能性がグンと高まった……しかし、それを断定するにはピースが、情報がまだ揃いきっていない。

仮に特異種を倒す為に最大戦力を用意したとして、激しい損耗の末に特異種を倒せたとしよう。

もしその後に赤い雨が止まなかったらどうする……明らかにこちらの大損害でしかない。

 

 

今はまだ確定したわけではない。

内心冷や汗が止まらない焦り続ける自分に言い聞かせながら手元の書類を整理し、データへ打ち込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなペイラー・榊に今までに類を見ない超巨大赤乱雲が極東支部へ近づいていることを観測班が伝えに来たのはそれから二時間後の事であった。

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

今日は何もない平和な朝だ。

あれから感応種の能力を得たから、これでマルドゥークともなんとか戦える気がしてきた。

 

 

さて、ご飯を探しにちょっと出歩きましょうかね……最近神機使いの姿を見なくなったのは、やはり赤い雨が影響していたのか?

まぁ濡れたら神機使いでも死ぬ確率100%の病気にかかってしまうのだから無理もない。自分だったら正直施設の中に引きこもっていると思う。

 

 

適当に見つけたオウガテイルを倒し捕食する……うん、安定の美味しさ。

ルインは申し訳ないけど寝床においてきた、もし何かあったらすぐ逃げるようには言ってるし、これからやろうとしていることに巻き込んでしまったりしたら怖い上に注意を払わないといけないから集中出来ない。

 

 

そんなルインを置いてきたことに対しての言い訳みたいな理由を心のなかで必死に言いながらも、大きく深呼吸をして、息を整える。

マルドゥークは炎属性、ヴァジュラとは違って属性による優位は見込めない……だが、それは相手も同じ。

となると次は戦闘経験の差だ、マルドゥークが対アラガミ戦を経験しているならかなり厄介なことになる……特にハンニバル神属と。

 

 

このスピードも初見殺しには使えるが、マルドゥークなら直ぐに対応してくると考えた方が良いだろう……それに戦う場所は恐らくアラガミ防壁のすぐ側、市民もまだ残っているだろうから下手に大振りに動けば市民にも被害が及ぶかもしれない。

 

 

条件はあちらが圧倒的とは言えないかもしれないが有利な方へと傾いている。イェン・ツィーの時は大丈夫だったが、大型の感応種の能力の影響を受けるかどうかもまだ分からない。

そんな分からないだらけで戦いに行くのが正直バカらしい、怖くてしかたがないが、人類に味方をするって決めたのだからそこは頑張らなければ。

 

 

両手に紫の雷を放電させながら自分は新たな獲物を探しに行くのだった。

 

 

 

 

 

 




今回も最後まで読んで頂き有難う御座います。

さて、結局のところ半分ほどが榊博士の勘違いになってしまうのですが、それが主人公に対してどう働くかは今後次第ということで。

偏食場とか感応現象の資料を読んでいると他のアラガミ化小説とかを書いてらっしゃる人の理解力の凄いことですよ……私のガバガバ過ぎる設定で本当に申し訳ないです。
たまにコメント欄で考察(?)とかをされる方がいらしてそれを見てもう嬉しいのなんのって話です。
自分の作品を他の方がどうなのかって考えていただけるなんてもう……ね。

さてさて、最近私は生活の時間が一身の都合上ズレたので体調が悪くなることが増えました。
コロナウイルスも段々と広がりを見せながらもインフルの影もある……皆様も体調を崩さないようにどうかお気をつけ下さい。


ではまた、次のお話で。

この作品のヒロインはー

  • キュウビまたはマガツキュウビだろ!
  • ルインちゃん1択!
  • フランさんだと思う!
  • リッカさんでしょ!
  • ラケル先生だろ!

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