転生アラガミの日常   作:黒夢羊

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どうも皆様、黒夢羊です。

最初の2~5の何処かで地味ーに書いてた主人公が言う『約束』についてのお話です。
まぁタイトルで察しがつくところではありますが……。
まぁ、タラタラと昔話が続くだけなので適当に読み進めてもらっても構いません。

では、本編へどうぞ。






第26話 孤独から救われ、英雄に憧れた少年は天使の少年を救う夢を見るか?

 

 

 

 

 

 

 

──変わっている

 

 

 

 

子供の頃の自分の周りの評価はそんな感じだった。

周りが男子が流行っているゲームには興味を引かれず、父が溜め込んでた昔のゲームを遊んでいた。

皆が夢中になるアニメには目もくれず、その反対でしていたドキュメンタリーやバラエティ番組を見ていた。

皆がゲラゲラと笑っている漫画雑誌を買わずにライトノベルを買っていた。

言動も冷めていて、感情を顔で表現したことがあまりなかった。

 

 

 

 

今思えばそんな些細なこと……と思うが、趣味を共有し仲間を作っていた小学生の頃に皆と違うことしかしていなかった自分はかなり浮いていたと思う。

事実陰口を言われた時期もあるし、なんなら物理的に手が出てきそうになったこともある。

……まぁその度に何故か第三者が偶然居合わせて事なきを得ていたんだけどな。

 

まぁそんな自分が普通という枠組みに入れたのは──顔はともかく名前を思い出せないが──ある友人のお陰だった。

そいつは自分と違って、スポーツも出来て明るくて、何時もクラスの……学年の中心だった。

片や学年で有名な変わり者、片や学年の人気者。

そんな真反対にいる自分がソイツを関わりをもったのは皮肉にも自分を友達という枠組みから外した「共通の趣味と話題」だった。

 

 

それはある日の平日。自分は何時も通り学校から近くの図書館へと向かっていた。

正直小学校の図書室で自分の読みたいものはあらかた読み尽くしたし、ライトノベルも録に置いてない。己の小遣いで買えば良いと言う話だが、ライトノベル1巻の値段は小学生の小遣いではそうホイホイ気楽に変える値段では無いのだ。

そういう意味では無料でライトノベルや小説を読むことができて、かつ条件さえ守れば借りることが出来る図書館は当時の自分にとっては最高の場所だった。

 

そんなこんなで今日も図書館にやって来て、何時も通り手提げ袋に入れた本をカウンターで返却して、新しい本を探しに行く。

カウンターのおばさんが新しい本が入ってるよ、と教えてくれたのでワクワクしながらライトノベルが置かれてあるコーナーへ小走りで向かう。

さてさて──何処にあるのかな……?

 

 

来ているという新刊を探そうとワクワクしていた自分は、本来そこにいるはずが無いであろう人物の姿を目の中に捉えて、停止してしまった。

 

「うーん……どうしよっかなー」

そこには学年の人気者■■ ■■がラノベを片手に一人唸っていたのだ。

グラウンドでサッカーに明け暮れている彼にとっては真逆の場所に近いだろう図書館。

しかもライトノベルのコーナー。

 

……この時普通なら見つかることを恐れて隠れたり身を潜めたりするのだろうが、残念ながらその時の自分は興味の方が強く刺激されてしまい、思わず声をかけてしまった。

 

「……何してんの?」

 

「うぉ!?……伊麻川か」

 

最初こそ大声を出したものの、ここが図書館だと思い出したのか声を潜めてこちらの名前を呼んで来る■■。

しかし、こちらの質問には一切答えられてないのでもう一度同じ言葉で問いかける。

 

「……何してんの?」

 

多分ここで彼を見た大体の人間がそう聞くだろう。そんな聞かれた当の本人は少しバツが悪そうに「あー」とか「えー」だのマトモな答えを彼なりに必死に探しているようだ。

それから暫くして、もうなんか面倒くさいし自分も他のヤツ探しに行くかなーと考えてたら遂に■■が口を開いた。

 

「……好きだから」

 

「……は?」

 

──いや、許してほしい。誰だってそう思うだろう。

一度定着したイメージというのは中々払拭することが出来ないのだ。だから今目の前で■■が言った事に対して理解が追い付かず「は?」で返してしまった自分は悪くないだろう。

そう自分が自分の反応に対してやってしまったなーと幼心ながらに思っていると、いきなり目の前の■■が自分の肩を掴んできた。痛い。

 

「なあ、頼む。この事は皆には言わないでくれ」

 

妙に必死な彼を見ていて自分は思う。

まぁ確かに普段からクラスで散々馬鹿にされてるライトノベル(自分が100%原因)を読んでいたり好きなんてバレたら一気に地獄行きになるだろうな。

だが、彼は勘違いしていることがある。それを正すために肩を掴んでいる彼の手を払いのける。

 

「言わないよ」

 

「え?」

 

「言わないって言ってる」

 

「本当n「うん」……」

 

「良かった……」

 

心底安心したように息を吐く■■。

事実そうなんだろう。充実してきた彼の生活が自分の一言で終わるかもしれないのだから。

ただ、彼は知らないのだろう。

 

「そもそも……」

 

「そもそも?」

 

「俺が言っても、信じてもらえないと思う」

 

そう、これに尽きる。

学年のカーストトップに居る彼の言葉と最下層に居るであろう自分の言葉、一体どっちをクラスの皆や先生は信じるだろうか。

もし自分の言葉を信じるヤツが居たとしたらそれは■■の人気を落としてやろうと考えるヤツらだ。

そんな自分の考えは露知らず、自分の言ったことが分かっていないのか首をかしげる■■。

 

「どうしてだ?」

 

「……■■君が人気者で、俺は人気者じゃないから」

 

「んー?どうしてそうなる?」

 

「もし、■■君がヒーローの敵が『ヒーローは■■君の敵だ!』とか言ったらどう思う?」

 

「嘘だっ!!って思う」

 

「そう、それと同じ」

 

「あっ……」

 

自分の中で思ったよりも理解が早い■■をイヤな奴からマトモな子へと脳内でランク付けする。

やはり中心人物だから頭も周りも早いのだろう。

ただ、自分の興味は既にラノベに移りかけており、■■を無視して本棚から目的の最新刊とこの前読んでいたシリーズの続きの刊を手に取る。

目標を確保できたので、もうここには用はない。

最後に忠告として■■に一言だけ。

 

「あまり、来ない方がいいよ……ここ」

 

「……」

 

それは■■も分かっていたのだろう。

現に自分にですらあんなに怯えていたのだから。

下を向いて黙りこむ人気者についでにどうでも良い情報を教える。

 

「土曜日の朝は人が少ないから、借りるのならその時がいいと思うよ…どうでもいい情報だけど」

 

「……!!」

 

さて、どうでも良い事を話したしさっさと家に帰って借りたコレでも読もうかな……と思っていたら肩を捕まれた、痛いです。

振り向くとさっきまで数歩後ろに居た■■が肩を掴んできてるじゃ無いですか。音無かったよ?アレ?君忍者?……いや、床元々音鳴りつらいヤツだ。

そんなアホな事を考えていると■■が口を開いた。

 

「あのさ……もしで良かったらなんだけど」

 

「お前のオススメ教えてくれねぇ?」

 

 

 

 

これが、自分─伊麻川 禊と■■ ■■が友達となる始まりだった。

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

2014年 8月2日

 

自分──いや、自分達は■■の家に集まってゲームをしていた。

しているゲームは自分達ではお馴染みGOD EATER2。

周囲が某狩りゲーで騒がしくも自分達はコレを集まってはしていた。

前作の理不尽さはかなり収まっており、逆に今度はこちらが狩る側へと変わっている。

まぁ前の方が命かかってる感があって自分は好きだったんだが。

 

勿論某狩りゲーも自分達二人はやるにはやっているのだが、■■は知らないが自分の中であれは他のメンバーとやる時用にしているだけなので二人の時はもっぱらコレである。

ある程度プレイした後、一旦休憩と眼をほぐしながら■■は呟く。

 

「あのさぁ……ヒーローって居ると思う?」

 

「は?」

 

彼の中で自分の返答があらかじめ予測していたものと同じだったのかケラケラと笑ったあとに真面目な顔で話始める。

 

「俺さ、お前と図書館であった事覚えてる?」

 

「あー、必死に言わないでくれーってやつ」

 

自分の誇張に誇張を重ねたような物真似を見て苦笑いしながらも話続ける。

 

「おう、それそれ……でさ、あの時ぶっちゃけ死んだと思ったのよ」

 

「今生きてる……まさかゾンビっ!?」

 

「違うって、お前があの時言わないでくれて、しかも安全な時間を教えてくれて。俺のなかでお前がヒーローに見えたんだ」

 

何コイツはそんなこっ恥ずかしい事を言っているんですかね。言われてるコッチが照れるんですよ。

そんな自分の心情を理解しているのかしてないのか、■■の口は止まらない。

自分もこっちを助けたいと思っただの。

だから、まずは見て見ぬふりをしていたイジメを無くそうと次の日から自分に声をかけ続けただの。

 

自分は凄くないと、当たり前だと言っている事がどれだけ凄いのかをわかっていないのだコイツは。

たった一回、しかも自分の安全はそこまで揺るがない相手に対してクソどうでもいい恩を返すためにあそこまでやる小学生がどのくらい居るのだろうか。

少なくとも自分は絶対に見て見ぬ振りを続けるだろう、その方が安全だからだ。

 

 

寧ろ、恩を返さなきゃいけないのはこちらだ。

そんなこんなで話は続いていき、最後に「だから自分が助けられそうな人は助けてあげたいんだ」……とそう締め括られた。

■■がこちらを見る……どうやら感想を求めているらしい。1つ軽き咳払いをして思ったことをそのまま伝える。

 

「アホだと思った」

 

「えぇ……」

 

「ぶっちゃけ見捨てれば良いはずの奴を助けるところもそうだし、俺に恩を感じる必要なんてないのに感じてた所とか本当にアホだって思った」

 

「…………」

 

「更にこれからも助けられる人を助けたいとか自己犠牲も程ほどにしろよ?ソレでお前が倒れたら皆がお前が助けた人を責めるぞ「お前のせいだって」……な?」

 

「そんなこと」

 

「あるんだよ、それが。お人好しのお前は分からないかもしれないけどな」

 

「…………」

 

自分が生きてきた道と近いけど、異なる道を歩んできた■■。

そんな自分の昔を知っているからこそ自分の「分からないかもしれないけどな」という言葉が強く染みたのだろう。悔しさでなのか拳を強く握りしめている。

今まで言った言葉に嘘偽りは全くない。

コイツには自分の味わった苦しみは分からないだろうとずっと昔から思っている──けど。

 

「でも、そんなお前だから救われた奴だって多いと思う」

 

「禊……」

 

そう、こんな奴だったから自分はあの時救われたのだ。コイツは自分をヒーロー何て言うけど全く違う。

コイツの方がヒーローなんだ。

 

「俺はお前と違って他人を助けるつもりなんて更々無いし、寧ろ嫌だと思ってる──でも、もしお前が助けて欲しいなら、出来る限り手を貸そうとは思う」

 

「そこで貸してやるって断言しないんだな」

 

「するわけないだろ?したらやらなきゃいけない」

 

「お前らしいな」

 

今度は紛れもなく笑顔で、こちらを■■は向く。

こんなこといってるヤツに「お前らしい」なで片付けるお前が凄いわ。

 

「まぁ……あれだ、お前には恩があるからな」

 

「……じゃあ、その恩とやらで頼みたいことがあるんだがいいか?」

 

急に真面目な顔になった■■は、こちらに体を向き直して真剣な表情でこちらを見つめる。

それに少しびびった自分は吃りながらもなんとか返事を返す。

 

「お、おう……どうしたいきなり、そんな真面目そうに」

 

「いや……『もしも』って時があるからな、その予防作っていうか、しこりは残さないようにしとかないとな……って」

 

今の■■が何を言っているのかは正直長い付き合いの自分でも分からない。

だけど、大事なことを伝えようとしていることは自分じゃなくても理解できた……だから、その『頼みたい事』を聞き逃さないように次の言葉を待つ。

 

暫く言葉を選んでいるのか、それとも言うのを躊躇っているのか悩んでいたが、ついに意を決したのか、深く息を吐いて口を開く。

 

 

 

 

「将来……俺なんかじゃ助けることすら出来ない人が出てくると思う」

 

 

「だから、お前は……()()()()()()()の中で良い」

 

 

「お前が助けられる、と思ったヤツだけで良い」

 

 

「俺の代わりに……そいつを助けてやって欲しい」

 

 

 

それは、まるでこれから何が起こるかを分かっているかのように口振りで。普段であれば「厨二病乙w」みたいに茶化して終わらせようとするのに、その時は■■は本気の顔していた。

だから、こっちもしっかりと答える必要がある。

 

「分かった……と、同時に断る」

 

「どういうことだ?」

 

己の言ったことが肯定されたのか否定されたのか分からず首をかしげる■■。

そんな■■に自分は、自分なりの考えを話す。

 

「お前がそうして欲しいっていうなら俺もそうする……けど、俺はなりふり構わず人を助けるのは嫌なんだ」

 

「だから助けられる人じゃない。助けたいと思ったヤツしか助けない」

 

「ただ、一度助けると決めたら絶対に助ける。それは約束する」

 

胸に手を当てて『約束』する。

それがどれだけ重たい鎖として自身を縛るのかを当時の自分は理解しないまま。

ただ、それを聞いた■■は安心したような顔で一言。

 

「うん、やっぱりそっちの方がお前らしいからそれで良い」

 

「……というか俺は人助けとか嫌いなんだ」

 

自分のその一言に反応したのか、■■が突然ニヤニヤしながら「そーいえば」と話始める

 

「お前この前道端で困ってる婆さんの荷物運び手伝ってたよな?」

 

「知らん」

 

「あと、捨てられてた猫もこっそり家に持って帰って飼ってるよな?」

 

「……なんでそれを知っている」

 

「この前見たから」

 

「はぁ!?あの時いたのかよお前!だったら──」

 

「他にもあるぞーお前の助けてるエピソード」

 

「うおおお!?やめろぉぉぉぉ!!」

 

違う、違うんだ!

婆さんの件は単に邪魔だったんだ。猫は家に持って帰って痛め付けてやってストレス解消しようとしただけだから!!違うから!別に可愛いとか思ってないから!

それかあれだ……コイツの自己犠牲菌が感染したに違いない。

そうだ、そうとしか考えられない。

くそっ、最悪だ……。

 

 

 

 

ただ、コイツと最初で最後に交わしたこの約束はどれだけ経っても守り続けようと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 





今回も最後まで読んで頂きありがとうございます。

今回のタイトルは昔私がやっていたゲームの中の一文をもじって使わせていただきました。
まぁそのゲームの一文も元ネタがあるみたいなんですが。

■■君が誰かについてはここでは言及はしません。
というかしても多分誰も気にならないですし。
続きの話も書いているので早めに上げられると思います。


では、次のお話で。

主人公やそれ関連の過去の話は──

  • いる
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