転生アラガミの日常   作:黒夢羊

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どうも皆様、黒夢羊です。

連続投下です。

なんと日間ランキング6位になりました。
…まぁそのあとすぐに落ちてしまいましたが。
それでも皆様が読んでくださっているお陰です。
本当に有難う御座います!!


さて、前もって今回の話の注意です。
今回はかなりのご都合主義が働いています。
ですので、もしかしたら主人公が嫌いになる方も居ると思います。
本当に申し訳ありません。




では、本編へどうぞ。







第27話 ディオニュソスの誓い

それからどうやって寝床へ帰ったのかは覚えていない。

途中でアラガミと遭遇した気もするが、どうしたのかさえ覚えていない。

 

心配そうにするルインを気遣う気力すら無い。

近寄ってくるルインを手のサインで止めながら、座り込む。

 

 

いま、自分の中に残っているこの言い様のない感情はなんなんだろうか。

絶望……なんてのは多分違うんだろう。

それはロミオの仲間達が持つべき感情だ。

自分みたいな化け物が持って良いものじゃない。

 

 

 

 

自分が……多分中学生だった頃、約束をした。

名前はもう思い出せないが……自分が、今の自分が居たのはアイツのおかげと言っても過言じゃない。

そいつは一言で言えば良いヤツだった。

 

どこぞの赤髪の少年みたいに全てを救おうとは思っていないが、それでも自分の手が届くところは全て助けてあげようと言う信念を掲げるくらいのお人好し。

自分もそんなアイツに助けられた一人だが、アイツから言えば自分がそう思う切っ掛けだったらしい。

 

 

そんなある日、アイツは自分に頼み事をしてきた。

普段なら受けはするが、自分からはしないであろう頼み事をだ。

真剣な表情も相まってなんだと思ったら「俺の代わりに助けられる人を助けてくれ」……だと。

 

勿論アイツには恩があったしそれくらいなら一言でOKを出してやろうと思った。

でも、真剣なアイツを見て自分も自分なりの答えを出すべきだと思った。

だからこう言った。

 

「自分が助けたいと思ったヤツを助ける」

 

「そして、一度助けるって決めたヤツは絶対に助ける」

 

最初で最後になるだろうアイツとの約束はずっと守ってきた。

高校が別になっても助けると決めた相手はどんな手段を使ってでもとことん助けた……それが相手から嫌われる方法だとしても。

 

 

他人からすればどうでもいいと思えるようなガキの、しかも契約書すら用意していないお粗末な決め事だ。

でも、自分の中でその約束は。言葉では言い表せない程大事なものだった。

 

 

 

……きっと自分は、心のどこかで天狗になっていたのかもしれない。

不意を付かれたとは言え傷を負いながらもブラッドを圧倒できる速さと大型アラガミと対等に渡り合える身体能力。

一度ヴァジュラで油断しないと言ったがとんだ大間違いだった。自分の力を過大に評価して、録に考えることもせずに成り行きに身を任せて軽々しく助けようなんてほざきやがる。

 

何よりも、ロミオを助けられなかったくせに『後で蘇るから大丈夫』とか考えている自分が居るのが嫌だ。

こんなヤツが人を助けるなんておこがましい……

寧ろこのまま神機使いに殺された方が役に立つんじゃ──「キュ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………ルイン?

沈んだ思考を再び浮かせたのは今の自分の気持ちとは正反対の色を持つルインの鳴き声だった。

ルインを見ると何を考えているのかは分からないが、唸り声をあげている。

 

『どうした、餌か?』

 

「…………」

 

そうだ、確かに半日近く餌をあげていない。

それはルインも困るだろう。

そう思いマントの端を切り落とそうとしたその時

 

「キュー!!」

 

ガブリ。ルインが自分の指に噛みついてきた。

何時もなら痛くはないそれは自分にダメージが蓄積されていたからか、それとも精神がやられていたからか。

微かな痛みがあった。

 

『痛っ!』

 

「ギュ!?」

 

思わずそう声が出て、反射的に手を振るってしまう。

高速で振るわれた手からルインが吹き飛ばされて壁にぶつかってしまう。

 

『ルイン!大丈夫か!?』

 

すぐに我に返り、慌ててルインの元へ駆け寄り身の安全を確認する。

大きな外傷は無さそうだが、衝撃は大きかったみたいで苦しそうに掠れた声をあげている。

 

 

クソッ!

こうして自分は面倒を見るって言った奴にさえ暴力を振るうカスなのか……。

いや、それは後だ。どうすれば良い?どうすればルインを助けられる!?

考えてみても今自分に出来ることなんて自分の体を食べさせることしか出来ない。

マントを切り取りルインの口に入るくらいまで小さくカットし僅かに開いた口のなかに入れてやる。

頼むから……生きてくれ。お願いだ……

 

 

 

 

そんな自分の願いが通じたのかは分からないが、その後ルインは体力も回復し、少し立てば再び小さな唸り声を上げ始めた。

前に似たような光景を見たのを思い出した──名前で呼ばなかった時にルインは同じように唸り声を出していた気がする。

あの時は拗ねていた……なら今も拗ねているのか?

そう考えたが今はそういう状況ではない。なら、なんなのだろうか……向こうは理解できているのにこちらが理解できない……言葉が通じないというのはこんなにも大変なんだなと関係ないことを思う。

 

ルインは暫く唸り声を上げていたが、段々とその声は静まっていき、今度はこちらへ近づいてきた。

自分の元へ来ると、顔の高さまで上がってきてその体を自分の頬へ擦り付けてきた。

 

その時、少しだけ。

もしかしたら気のせいなのかもしれない。

逃げという自分の思いが産み出した幻聴だったのかもしれない。

けど……その声はとても暖かくて、優しさに……そして悲しみに溢れた声で一言。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『死なないで』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、聞こえた。

驚きに満ちた目で頬から離れて正面に移動したルインの方を見ると、静かに頭を上下に動かした。

……なんで、何でなんだ。

 

─餌が無くなるのが困るからか?

 

ルインは首を横に振る。

 

─自分の身が危なくなるからか?

 

またしても横に振る。

 

 

 

 

 

──自分が、死ぬと悲しいからか?

 

 

 

 

今度は頭を横に振ることはなかった。

代わりに返ってきたのは上下に動かした、肯定の意。

 

……そんなことを、言わないでくれ。

まだ、生きていても良いって。そう思うじゃないか。

 

 

ルインはまた再び頭を上下に動かす。

 

 

 

そんなルインを見て……………………自分は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

 

次の日の朝がやって来た。

目覚めは最悪だ。

 

 

自分の体を触ってみる、昨日はボロボロだったところもほぼ完璧というレベルで回復している。

体内の底をつきかけていたオラクルも何故か半分近くまで回復している。

……まるで自分の体まで死ぬなと言っているように錯覚するのは傲慢だろうか。

 

 

 

 

あれから自分は生きることを決めた。

そして、マルドゥークを倒すために協力する。

助けるなんて言葉は、自分が負けないアラガミになるまで使わない。アイツとの約束を、アイツに誓った言葉を二度と違えないために。

 

 

 

 

これは偽善で、傲慢で、自意識過剰な愚かな元人間が自分勝手に誓う約束だ。

きっと人様から見たら同情なんてもっての他、罵詈雑言の嵐だろう。それを責めることなんて誰も出来ないし、自分を責めることが正義だ。

 

それでも自分はその歪みきった偽善を通し続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今日は何を食らうとするかね。

 

 

 

 

 




最終回も最後まで読んで頂き、本当に有難う御座います。



……冗談です。
ただまぁ転生アラガミの日常のプロットを練っていた最初の時はここが終わりでした……。

まだまだこの話は続いていくので、どうか宜しくお願いします。
ここまで読んでいただいた方に改めて心からの感謝を。



では、次の話で。

主人公やそれ関連の過去の話は──

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