転生アラガミの日常   作:黒夢羊

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どうも、皆様黒夢羊です。

最近気温の変化が激しすぎて体調を良く壊してしまいます……今も鼻水とくしゃみと涙が止まらない……ってこれ花粉症ですかね?
皆さんも体調を崩したりしないように気を付けてくださいね?あとそろそろ地獄の季節が来るので私と同じ花粉症の方は頑張りましょう!


では、本編へどうぞ。







第32話 偵察班の男は静かに暮らしたい

 

 

偵察班──それは読んで字の如く、偵察を己の任務とする部隊。決して表舞台に出ることはなく、英雄達を影から支える立役者……何てご立派なものではない。

少なくとも偵察班所属のゴッドイーターである、俺─ルドガー・ロックヘッドはそう思っている。

 

 

 

そう……そう思っているからこそ、もう自分以外全滅した部隊の仲間の分も含めて、こんな状況に陥らせた原因のフェンリルに向けて少し震えた声で毒を吐く。

 

「本当にクソッタレな職場だぜ……なぁ?」

 

お前らもそう思うだろ──そう目の前の人面の獣達に対して言おうとしたが、その声は群れのリーダーであろう黒い獣……ディアウス・ピターの咆哮にかき消される。

インカム等をして耳を塞いではいるがその音は強く響きキーンという耳鳴りがするのに加えて、真正面に立つ自分には咆哮による空気の揺れなのかビリビリと衝撃のようなものが感じられる。

そしてそんなディアウス・ピターに付き従うように後方から此方を見ている4体のこれまた人面の獣。ディアウス・ピターとは体つきは同じだが前者が意地の悪そうなジジイの顔に対して、こちらは女神像の顔を少し不細工にした感じである。それに加えて体毛やマント色など所々が黒いあちらとは異なる青い人面獣。

 

 

その名はプリティヴィ・マータ。

ディアウス・ピターが天空の帝王であるのならばプリティヴィ・マータは地上の女王であろうか。

そんな仰々しい名を持つ奴らが俺の目の前にいるのは、つい先程のことだ。俺らは『贖罪の街』にて最近話題のアラガミである特異種を目撃したという情報の真相を調べるためにやって来ていたのだが、そこへ何処から現れたのか突如コイツらが襲撃。連中達から少し離れた所で痕跡などを探していた俺以外は皆揃ってアイツらに殺されてしまった。

 

最悪なことに死体をいたぶる趣味でも持っているのか足元には仲間達だった死体が転がっており、自分の気が付かない間に何回か弄ばれたのだろうか、体の損傷が全員激しく、何体かは腕と胴体が分離しているのもあった。

辛うじて神機を持っていた俺は仲間の元へ戻ってきた時に不意打ちに近い形で放たれた雷撃を間一髪防ぐことができたが、それでも相手は接触禁忌種。

その威力はヴァジュラの比ではなく防いだというのにその雷撃が俺の体を焼き、今に至る。

 

 

しかし、痺れを切らしたのかディアウス・ピターがこちらに向かって大きく跳躍しまともに食らえば見事に3枚下ろしにでもされるであろう鋭い爪を持つ前足で此方を切り裂こうとする。

体が悲鳴をあげている為に生半可に避けようとすると間違いなく上か下に致命傷を負う、しかし装甲を展開し己の身を守るのも良いだろうが、それでも今の装甲では防げるかどうか……。

 

一瞬の間、これ以上選択が遅れれば死に繋がるだろう──そんな中で俺が選択したのは。

 

「クソっ!!」

 

展開した神機の装甲が帝王の一撃を防ぐ……が、その衝撃までは防ぐ事が出来なかったようでそのまま後ろに吹っ飛ばされ、背中からビルに激突する。

……今ので骨が何本かイカれたか?こんなことなら装甲は頑丈なタワーシールドにでもしとけば良かったな。

そんな今さらどうしようもない後悔をしながら目の前に迫る巨大な口に喰われるのを──

 

「キューー!」

 

「……は?」

 

直後に来るであろう痛みを堪えるために俺が目を瞑った直後、この場に似つかわしくない小動物のような声が聞こえ、つい間抜けな声が出てしまった。

おそるおそる目を開けると、俺を喰らおうとしていた帝王サマは俺から視線を外し己の後方……俺の視界の先へと視線を向けていた。そしてその先には白い体を持つアバドンのようなアラガミが依然として高い声で鳴きながらくるくると回っていた。

 

 

ボロ雑巾の俺よりも希少なコアを持つソイツに興味を抱いたのか、帝王サマは叫び声を上げ白いアバドンに襲いかかったが、当の攻撃された白いアバドンは尋常じゃない速さでそれを軽々と避け、まるでディアウス・ピターを挑発するように2~3回鳴いた後に奴らにお尻を向けフリフリと振った。

 

人間で言えば明らかに小馬鹿にした態度に帝王と女王達がキレない訳がなく、5方向からの無慈悲な雷撃と氷球と氷柱が襲い掛かるがそれら全てをまるでお遊びと言うかの如く避けきる白いアバドン。

帝王達の一斉攻撃を避けきったと思いきや先程同様に挑発するかのようにディアウス・ピターの眼前まで行き笑ったかのように「キュ、キュ、キューー」と鳴いたかと思えば直ぐにマータ達の隙間を縫って離脱し、俺の視線の遥か前方でもう一度鳴く。

 

 

2度も小馬鹿にされた帝王達が取った行動は、自身のプライドを傷つけた愚かなアラガミに死を持って償わせる事らしく、俺を放っておいてそのまま白いアバドンを追いかけていきやがった。

 

残ったのは、死に損ねた俺と半壊状態の神機……そして仲間達だったもの。ここで救援を待つのもいいか……?インカムは……まだ動くか。なら、やることは1つだ。

俺はインカムを起動させ雑音だらけの音の中から心配しているであろうオペレーターの声を拾い上げる。

 

『──!──!応と──さい!』

 

「あー、ヒバリちゃん。こちらロックヘッド」

 

『!?ロッ──さん!!』

 

耳障りな電子の砂嵐の音のせいで何を言っているのか全く分からないが、恐らくこっちを心配しているのは分かる。だから、短く結果と目的を伝え行動を起こす。

 

「4体のプリティヴィ・マータを連れたディアウス・ピターの襲撃が発生。俺以外は死亡、そんで持って妙なアバドンが出現し、ディアウス・ピター達はそれを追っていったみたいだ」

 

『そ──!?』

 

「今俺がいるのは分かってはいると思うが『贖罪の街』のN地点を中心としてAを南とした場合の北西部8kmぐらいの少し広い広場だ」

 

「そして、俺はこれからディアウス・ピターと妙なアバドンの捜索を続行する」

 

その一言を発した途端に向こうの空気が変わったのを感じる。分かりやすいなぁヒバリちゃんは……。

まぁ、そこが良いらしいんだが?

 

『!?──ックヘッ─ん!無茶─す!』

 

「取り敢えず増援と回収部隊を要求する。相手は接触禁忌種の群れだ、死ぬことのないメンツにしておいてくれよ?」

 

そう言ってこちらから一方的に通信を切る。

砂嵐が煩くってなんのっての……さて、行くとするかね?回復錠を5つ一気に口へと運び、噛み砕く。

急速に体の痛みが和らいでいくが、それでも和らぐだけで折れた骨までは完治とは行かないようだ……。

 

しっかしまぁ、この状態で追跡なんてヤキが回ったかね?知らず知らずの内に社畜根性がついてしまったのかも知れないな……。

思わず苦笑いするが、いや違うなと首を降る。

仲間達の死を無駄死にしたくないだけだ。俺が死んでしまってはどうしようもないかも知れないが、それでもあのアバドンの情報を持ち帰ればきっと何かの役に立つだろう。

念のために録画機器のチェックを行い、まだ使えることを確認すると、俺は地面に残った巨大な足跡という痕跡を元に追跡を開始するのだった。

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

痕跡を辿り俺はディアウス・ピター達を発見したが、そこには帝王と女王の他にももう一体、下手したら前の2体よりもヤバい奴がそこに居た。

ハンニバル特異種。ハンニバルの変異種である神速種が変化したらしい個体。先の超巨大赤乱雲の際にも出現が確認された事で赤い雨との関係性を疑われてるらしいが……。

そんな特異種が……いや、特異種と敵対している筈のプリティヴィ・マータがディアウス・ピターと戦っていた。どういう事だ……?先程は確かにディアウス・ピターに従っていた筈だが……。

何もかくにもこの状況は残さなければ。俺は録画機器を再起動させ、その光景を壁を背にしながらその光景を撮り続けた。

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

あれから少し経過したんだが、結果だけ言おう。

ディアウス・ピター及びプリティヴィ・マータ4体全てが特異種によって倒された。俺の証言だけを聞いたらまさかとは思うだろうがこの映像が何よりの証拠だ。

何よりもあの特異種、どうやったかは知らないがプリティヴィ・マータを使ってあの群れの中で一番強いディアウス・ピターを仕留めにいきやがった。そんでもってディアウス・ピターに殺られた個体とかを回収して、戦いは他の奴らに任せて自分は捕食と来た。

 

 

かといって弱い訳じゃねぇ、確実にあの中でアイツが1番に強いだろう。何よりも厄介なのがディアウス・ピターを倒し終わった後に残った2体のプリティヴィ・マータを同士討ちさせたって事だ。

何が起きたかは分からないが突然2体が特異種を警戒し始めたと思えば片方がもう片方を襲い初めて同士討ちが始まった。そこを特異種が2体にトドメを刺して美味しいところを全部かっさらった……。

 

 

今特異種は広場の中心で食事を終えて満足げにしているが、いつこちらに来るかわからん……この映像を届けるためにもさっさとズラかろう……。

と、その時。ビビっていたからかなんなのか分からないが、足元にあったコンクリートの破片を強く踏みつけてしまい、思ったよりも大きな音が出てしまった。

 

……おそるおそる特異種の方を見ると、完全に此方を見ていた。確実に俺がいることに気がついているのだろう。

特異種は人を今まで襲ったことがないとされているが、そのどれもがゴッドイーターだったからだ。奴がゴッドイーターと認識しなければどうなるのかはいまだに不明で、つまり今自分はかなりピンチであるということ。

 

 

どうする……神機は半壊しているから、これを見せれば逆に警戒対象から外れて襲われるかもしれない。かといってこのままだと言うわけにも行かない。

少し悩んだ末に俺は博打に出ることにした。

神機を壁に隠して特異種に姿を見せる。顎に手を当てて、まるで人間が考え事をしているような行動を取っている特異種の視線が直接自分に突き刺さる。その視線を振り払うように自分の右腕を特異種に向けて見せつける……いや、正確には右腕についているゴッドイーター特有の赤い腕輪をだ。

もし、もしも奴がゴッドイーターを認識しているのであれば神機だけでなくこの腕の赤い腕輪も認識のひとつに入っているのではないかという希望的観測に基づいた大博打。

 

 

時間だけが過ぎていく……特異種は何かを値踏みするかのようにジロジロと俺を見た後に、慌ててその場を離れた。

……どうやら賭けには勝ったようで、それを理解すると思わず腰からへたり込むようにして地面に腰を降ろす。体がその時に悲鳴を上げるが今はそんなことはどうでもよかった。

 

 

……助かった。

 

 

そう、生き延びたのだ。自分勝手な行動とはいえ、あの特異種とディアウス・ピター達から。

何とも言えない気持ちになりつつも、無駄死にはならなかったこと。これで、今回の任務にも意味が生まれて、アイツらの死が無駄ではないと証明できたのではないか。

まぁ……なによりも

 

「本当に……クソッタレだよな」

 

それは自分の所属するフェンリルに対して、そして同時にこんな生活を強いるこの世界に対して、俺は何時ものように毒を吐くのであった。

 

 

 

 

 




今回も最後まで読んで頂き、有り難う御座いました。

安定の支離滅裂文章クオリティですね。
本当にすいません。
一応次回は榊博士と主人公回になります。
主人公はどんな能力を手に入れたのか?果たしてロックヘッドが持ち帰った映像は榊博士に何を考えさせるのか?


ではでは、また次のお話で。

主人公は今後

  • 純愛を!
  • ヒロインに依存を!
  • ハーレムを!
  • 原作キャラと命を賭けた戦いを!
  • もっと強くなるだよ!
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