転生アラガミの日常   作:黒夢羊

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どうも皆様、黒夢羊です。

今回書いていてやはり自分の書きたいことを文字にするのって難しいなぁ……と思った次第です。
まぁ真面目な回なので今回はこれくらいで。


では、本編へどうぞ。




第37話 黒き竜帝

 

くそっ、最悪過ぎる。

いまの自分はハンニバル神属との戦いを経験してない……対ハンニバルとしては動きはある程度理解してはいるが、立ち回りは素人に近い。

 

神機使いとしての立ち回りならまだ分かるが、アラガミとしての立ち回りなんて知らない……というか知るわけがない。

一先ずは多用するであろう右腕の仕込み刃から破壊していくしかない

 

 

逃げるという選択肢はあるにはあるが……逃げ切れる確率は決して高くないだろう。

カリギュラはハンニバルと違い逆鱗の部位にブースターがあり、このブースターを使い急発進することが出来る。そのスピードは通常のハンニバルだとしても神速種の速さにも勝るとも劣らない。

 

いま目の前にいる黒いカリギュラがどのくらいの身体能力を持っているかは分からないが、少なくとも通常のカリギュラの身体能力を遥かに凌駕していると考えた方が良いだろう。

ならば、逃走を選択し無防備な背中を晒して致命傷を負うよりかはいまここで立ち向かって生き残る可能性に賭けることにした。

何より、コイツを捕食する事が出来れば自分は確実に強くなる事が出来る……強くなればアラガミとの戦いで捕食する事が出来る種類も増えるだろうし、何より神機使いとも無駄な戦いを避ける事ができる筈だ。

 

 

 

 

──覚悟を決めろよ、自分。

両腕を前に軽く突き出し、カリギュラの苦手属性である炎を両腕に纏わせ、牽制用に背部にも数発の炎球を産み出しておく。

彼方も此方を警戒しているのか、自分を威嚇するかのように仕込み刃を出し入れして金属と金属が擦れ会うような若干耳障りな音を鳴らす。

 

……こう言うのは先に動いた方が隙を晒すからやめといた方が良い気もするが、なら逆に相手に対処されなければいい。

 

 

 

 

黒いカリギュラは突如前方に跳び跳ねる。直後先程黒いカリギュラが居た地面に複数の炎の渦が生まれ、その渦から炎柱が突き出す。

それくらい避けるのは造作もないよな……だから、次の一手を打つ。マントから産み出された炎球を空中にいるカリギュラに向けて放ち、自分は前方へと走り出す。

 

弾丸のように真っ直ぐに目標に向かって飛んでいく炎球は巨大な3対の仕込み刃によって全てかき消されてしまう……どんな馬鹿力と速度、硬度があればそんな芸当が出来るんだか、ディアウス・ピターの体を焼くレベルの熱だぞ?

全部消されたのは誤算だったが、まだ本命ではないだけマシと考えろ……そして、カリギュラが炎球をかき消すのと同時に下に来ていた自分は真上に向かって跳躍し、カリギュラの無防備な腹に向かって炎を纏った拳を叩き込む。

 

カリギュラは更に上空へと吹き飛ばされ、その反対に自分は地面へと落下していく。未だに距離が離れていく相手に向かって先が尖った円錐形の炎柱を産み出して数発放ち、地面に着地する。

 

見事に全弾命中したのかどうか、暗闇に紛れ込んでその姿を見ることが出来ず、目を細めて確認しようとした次の瞬間。暗闇の空に1つの煌めきが生まれた直後、自分の視界に先程吹き飛ばしたカリギュラがその仕込み刃を展開させて迫ってくる姿が映った。

避けれないと判断し、両腕を交差させて防御する。

 

先程受け止めた時と同様の音が鳴り響くが、その衝撃は比べ物にならないほどに重く、自分の体を襲う。

衝撃に押され地面に足が食い込み、そこを起点に辺りに亀裂が走っていく。

 

 

これ以上は無理と判断したのか後方へとバックステップを踏んだカリギュラを見て、一息付けると思ったのだが、相手はそれすらさせる気は無いようで再び刃を展開させてこちらに突撃してくる。

巨大な3対の刃による連続切り。画面越しと実際の違いなのか、それともコイツが桁違いなのかは分からないがその剣撃の速度に防戦一方に追い込まれてしまう。

 

籠手から伝わる衝撃が段々と積み重なり腕の感覚が段々とイカれて来ている……いい加減どうにかしなければと思った次の瞬間、カリギュラの下からの一撃に両腕が上にはね除けられてしまい、籠手によるガードが遂に崩される。

そして次に待っていたのは、追い込まれた自分には不可避の一閃。

 

 

カリギュラの刃が自分の腹を斜めに切り裂いた。

 

 

 

いっ…………てぇ……!!

痛みが強すぎて意識が一瞬飛びかけるが、直ぐに立て直そうとする……しかし、黒き竜帝はそれを許してはくれない。

左手で顔を捕まれ、そのまま壁に叩きつけられて、背中から全身に強い衝撃が流れ息が詰まる。

そしてそのまま壁から離されると空中へ放り投げられる。そこでどうにか整えようとした自分の視界にブースターから赤い炎を吹き出し、右腕に赤い雷槍を纏った竜帝の姿が映った。

 

そして次の瞬間自分の腹に異物が入り込む感覚が生まれ、続いて先程切りつけられた時よりも激しい痛みが体を走る。

そしてその痛みに抗うことすら出来ずに地面へと叩きつけられ、息が再び詰まる。

 

 

マウントを取られた状態で、今度こそ息の根を止めようとしているのか、持ち上げた右腕の刃を展開させる竜帝。だが、ここで死ぬわけにはいかないのだ。

自身の周囲に炎球を出現させ、それら全てを相手の顔面目掛けて放つ。

咄嗟の事で対処できなかったか、左腕で顔を守るがその合間から2発ほどが左角と右顎を撃ち抜き、砕いた。

 

するとカリギュラはマウントの姿勢から大きくバックステップを取ってボロボロの自分から距離をとる。

まだ意識や、体が動かせる分コアは殺られていないようだが、アラガミを摂取していないからか体の傷の治りが遅い。

お陰で頭をハンマーで思いっきり殴られているような感覚と体に無数の刃物が刺さったかのような激痛が続いており、足は小鹿レベルで立ってるのがやっとの状態だ。

 

しかし、まだ反撃の力が残っているのを警戒したか。相手は攻めあぐねているよう……ではないな。

 

 

黒き竜帝は赤い雷を自分と同じように両腕に纏い、刃を展開させる。

今の自分からしてみれば死神の鎌にも見えるその刃は腕と同様に赤い雷を纏っており、先程よりも威力が上がっている事は意識が朦朧としている自分でも分かる。

 

ああ……クソ。

こうなるならさっさと逃げ出せば良かったな。

いや、そもそもの話夜に獲物を探そうなんて考えが間違っていたのかもしれない。

そんな諦めにも近い後悔が朦朧とした意識の中、幾つも浮かんでくる。

 

 

そんな事を考えて居たからか、相手からしてみれば牽制のつもりで放った赤い雷球が迫って来ているのに気付いた時には、今の体で回避が不可能な所まで到達した時だった。

 

 

──これから来るだろう痛みに耐えるために目を閉じる。

 

 

 

『今まで、色んな奴を食ってきたから罰が当たったのかもしれないな……いや、欲張りすぎたから身を滅ぼしただけか?』

 

暗闇の中、そんな思いが浮かぶ。

そして走馬灯のように人間だった頃の記憶が駆け巡る。

 

 

 

 

自分を育ててくれた両親。

 

親切を突っぱねて無駄に衝突していた。

この世界に来る前に自分が死んだのか消えたのかは分からないが、親不孝で本当に申し訳ない気持ちで一杯だ

 

 

名前を思い出すことの出来ない友人達。

 

毎日ばか騒ぎして、周りから呆れられたり怒られたりもした。

でもそれが楽しくて仕方がなかった。

他から見れば糞みたいなモノだったかもしれないが、自分からしてみれば充実していた。

アイツらとGOD EATER3ができなかったのが残念で仕方がない。

 

 

他にも色々と迷惑をかけた周りの人達や、自分を信じてくれた先生。

色んな人との思い出が朧気だが頭の中を駆け巡っていく……。

 

 

 

 

そして最後に思い浮かんだのは……

 

この世界に来て初めて共に過ごした相手。

短い間だったが傷ついた時も隣に居てくれた。

名前をつけたのも理由を色々と考えていたが、そんなの関係なく仲良くしたかったからかもしれない。

 

アイツ……ルインは大丈夫かな。

攻撃できないから……いや、速いから大丈夫か。

でも……心配だなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

ああ……やっぱり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死ぬのは……嫌だなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キューーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識を手放そうとした自分の耳に聞こえた、聞きなれた叫び声。

そして閉じた目を開け、映ってきたのは。

 

「キュ……キュー!」

 

雷球に体を焦がされたルインの姿だった。

 

 

お前、なんで……。

そんな自分の問いに答える間もなくルインはカリギュラに向かって突撃していった。

後ろの自分を切ろうと思っていたカリギュラは予想外の存在に驚きながらも、躊躇うことなくルインを切り付ける。

 

切り付けられ、その勢いで吹き飛ばされてこちらへ戻ってくるルインを自分は眺めることしか出来なかった。

そう、ロミオを助けれなかった時と同じように。

 

 

 

 

大型の自分でさえ未だに治る気配のないあの刃による一撃をアバドンであるルインが受けたらどうなるか。

間違いなく死が待ち構えているだろう。

 

 

「……キュ……ウ」

 

 

地面に伏せたルインが鳴き声をあげる。

どう見たって助からないだろう。

 

 

何故こうなった?

 

 

 

 

自分が原因か?

 

 

 

 

いや……目の前のアイツが。

 

アイツさえいなければ。

 

 

 

 

朦朧としていた意識は覚醒し、その代償かドロドロとした感情が沸き上がってくる。

それは瞬く間に自分の意識を染め上げ、残ったのはたった1つの感情。

それはきっと現実から目を背けたいが為に生まれた責任転嫁のようなもの……そして、人間だった頃に生まれていた漠然としたモノではなく確かにそうしたいと芽生えた感情。

 

 

 

 

──殺す。

 

 

 

 

 

殺意。

この世界に生まれて、いや。自分という存在が出来てから1度も行動に起こそうとは思わなかった感情。

 

体の中を何かが駆け巡っていく感覚。

痛みが急速に無くなっていき、それに代わり重かったはずの体がどんどん軽くなっていく。

 

 

内から溢れでる殺意を相手にぶつけるように、体の底から声を張り上げ、叫ぶ。

 

 

 

 

 

グルウォォォォオオオオオオオオオオッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──いつぞやに聞いただろう。

 

 

 

 

玲瓏と輝く月は、二度も闇の世界を孤独にありながら救う。

 

 

 

 

だが――絶望の淵に沈む世界は、その救いを受け入れることはない。

 

 

 

 

どこまでも深く、暗く、命がもがくほどに肥大する闇。

 

 

 

 

今――新たな終わりが目醒める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回も最後まで読んで頂き本当に有り難う御座います。

今回は主人公覚醒(?)回でした。
ルインに関して色々あると思いますが、一人で過ごしていた中、一緒に生活をする理解者が目の前で殺されたと考えたら怒りが沸く人もいると思います。

これから3話くらいはちょっとぶっ飛ぶ事が起きると思いますのでご容赦ください。
まぁ、全てはノヴァが原因となすり付けておきます。


ではまた、次のお話で。

続編があるとしたらどれが良いでしょうか?

  • GE3編
  • IFストーリー編
  • レゾナントオプス編
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